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三菱電機とドコモ、5G屋外実験で世界最速の27Gbpsを達成

屋外実験の様子(通信距離10m時)

 三菱電機株式会社は、株式会社NTTドコモと共同で、世界初となる5Gの屋外実験において、27Gbpsでの通信に成功したことを発表した。

 第5世代移動通信方式(5G)で、28GHzを用いて5G向けに開発した超多素子アンテナシステムによる16ビーム空間多重処理を行なうことで、世界で初めて屋外実験において、通信距離10mで27Gbps、100mで25Gbpsの通信に成功したという。

 5Gでは20Gbpsの通信速度が期待されているが、その実現のため、異なるデータを並列に伝送する「マルチビーム空間多重」を行なう超多素子アンテナシステム技術の採用が有望視されている。しかし、このシステムの実現に向けては、数百を超えるアンテナ素子によるビーム形成とビーム間の干渉低減が課題となっていた。

 その解決に向けて、三菱電機とドコモは共同で、16ビーム空間多重を実現する超多素子アンテナシステムを開発。三菱電気は28GHz実験装置の開発と提供、16ビーム空間多重技術の屋外実験の実施を行ない、NTTドコモは28GHz実験装置の仕様策定、実験企画の推進をそれぞれ行なった。

 4Gでは実現できなかった16ビーム空間多重を実現するため、アナログ回路によってあらかじめ設定したビームを切り替えることで、端末の移動に追随するビーム形成技術、変化する伝搬環境を基地局側で測定し、信号を制御することで、干渉を低減するビーム間の干渉低減技術を開発。これらにより、屋外移動環境における16ビーム空間多重を実現したという。

 実験では、最大256素子フェーズドアレー×16(4,096素子)からなる、超多素子アンテナを備えた基地局を建物壁面に設置、パッチアンテナ×16を備えた端末を自動車に搭載し、基地局から距離10m、100mの道路に沿って移動する端末に対して、見通し条件において16ビーム空間多重伝送を行なう28GHz帯屋外実験を実施したところ、10mで通信速度27Gbps、100mで25Gbpsの伝送実験に世界で初めて成功した。

屋外実験環境と各端末位置における通信速度

 これは28GHz帯における移動通信方式において、世界最高の周波数利用効率である1Hzあたり67bpsの実現に相当し、実験の結果、電波資源拡大のための研究開発「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」における目標値を達成したという。

 三菱電機では、この技術により、バスなど大勢の人が乗車して移動する乗り物においても、20Gbpsを超える超高速通信の実現が期待できるとしている。

超多素子アンテナによる端末の追随