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最新CPUはPentium D、Core 2 Duoの何倍速いのか?

Pentium D 960
2006年5月発売

 読者の中にはデュアルコアCPUがやってきた当時を覚えている方がどれくらいいるだろうか。用意したのはPentium DとCore 2 Duo。これとCore i9-9900Kを比較したらどうなるだろうか、と軽い気持ちで組んではみたが……。テンマツ記のようなものだが、かつてを知る方も知らない方も時代の流れを感じていただければ幸いだ。

TEXT:石川ひさよし

デュアルコアCPU黎明期を振り返る

 Pentium D世代のPCを組み立てるのは久しぶりだ。手元に届いたパーツ一式を見ると、当時のトレンドが思い出される。

 たとえばCPU。Pentium D 960はLGA775に対応しているが、接点が1,151まで増えた現在からすると密度もたいしたことはない。

 カラフルなマザーボードも懐かしい。当時でも単色のマザーボードはあったと記憶しているが、今回用意したIntel G33チップセット搭載マザーボードなどミドルレンジクラスモデルでは、どの端子が何の端子か分かりやすい色分けをし、初心者にも組み立てやすいことがアピールされていた。

 インターフェイスではIDEに注目だ。すでにSATAも普及していたが、互換性重視のミドルレンジマザーボードとあって、追加チップを搭載してIDEに対応させていた。映像出力も時代を感じる。当時の主流はDVIで、HDMIも登場していたと記憶しているが、この製品はミドルレンジクラスマザーボードということもありDsub 15ピンのみ。Dsub 15ピンに対応するディスプレイはもはや少数派だ。

当時はLGA775が用いられていた
LGA775はPentium 4の後期からCore 2の世代まで使われた息の長い規格だ。Socket478から移行した際にはずいぶん端子が増えたと感じたものだ
GIGA-BYTE TECHNOLOGYのGA-G33M-DS2R(rev. 1.0)
IntelではPGAからLGAへの移行期。PGAからLGAへと切り換わり、当時は「CPUを落としたらアウト」(これはいつの時代も変わらないが……)、「Socket478のほうが楽だった」などと言われていた
IDE端子やPCI拡張スロット、Dsub 15ピンなど、現在のマザーボードではもう搭載されていない端子も多い

動かすのも一苦労

検証環境を構築するにあたり問題となったのがOSだ。Windows 10ではUSBメモリからもDVDメディアからもインストール途中で止まってしまった。時間も限られているため、Windows 7 Ultimate 64bit版を光学ドライブからインストールしてそのまま使うことにした。Core 2 Duo環境のOSも同様だ。デバイスマネージャーから見る限り、一部はMicrosoft提供のものとなるがすべてのデバイスドライバが当たっているようだった。

 なお、Windows 7登場時にはOSのインストール時間も短くなり感動したものだが、今回のように古い環境へのインストールとなると1時間近く要し、そうした感動はみじんもない。多少なりとも環境を共通化するためにSerial ATA接続のSSDを用いてもだ。光学ドライブからメモリにインストールデータを展開、さらにストレージへの書き込みと、各段階のバスの帯域やCPUの処理速度が現行世代と比べてはるかに遅いためであるようだ。Pentium D登場の当時は最新プラットフォームのパフォーマンスに感動したものなのだが……。

ベンチマークするにも時間がかかる

 Pentium D 960では、CINEBENCH R15を動かすのに要した時間に閉口した。OpenGLテストを省いても44分程度。Core 2 Duo E6600も多少はマシという程度だ。マルチスレッドのCPUテストでも、デュアルコアとはいえ2スレッドなので15分程度要した。CPU(シングルコア)テストも、Turbo Boost機能がないため30分程度要した。ほか、対応する拡張命令が少ない点も比較的新しいベンチマークやアプリケーションで時間を要した原因に挙げられる。

当時のハイエンドとはいえ2スレッド。Hyper-Threadingが利用できないPentium Dでは、マルチスレッドテストでも2スレッドで、シングルスレッドよりはマシという程度。非常に時間がかかる
拡張命令セットもSSE3止まり。CINEBENCH R15には直接関係のないものもあるが、拡張命令セットの対応を見ると、Pentium Dの頃はSSE4.xやAVX、FMAなど利用できないものが多い

それではスコア対決!

 前項まででいろいろとグチが入ったことからも想像できるところだが、とんでもないスコア差が付いている。笑うしかないが、Pentium DのCINEBENCH R15のCPUスコアは56cb。「Core i9-9900KはPentium D 960の36倍速い」と言われてもピンと来ないかもしれないが、Intel CPUは12年でこれだけ進化したわけだ。CPU(シングルコア)は31cbなので、こちらも7倍という結果だった。

 なお、PCMark 05でも、Pentium D 960で最大6.9倍、Core 2 Duo E6600で4.9倍のスコア差が付いた。CPU自体もそうだが、プラットフォームも大きく違う。当時はチップセット側に統合されていたグラフィックス機能はCPUに内蔵され、一番の差が付いたメモリはDDR2からDDR4へ、接続もチップセットからCPUへと変わった。HDDテストは当時はHDDが主流だったことを考えると、実際はもっと差があるだろう。

検証環境

[Core i9-9900K環境]CPU:Intel Core i9-9900K(3.6GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE Z390 AORUS ELITE(rev. 1.0)(Intel Z390)、メモリ:Micron Ballistix BLT8G4D26AFTA(PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2)、OS:Windows 10 Pro 64bit版
[Pentium D 960/Core 2 Duo E6600環境]CPU:Intel Pentium D 960(3.6GHz)、Intel Core 2 Duo E6600(2.4GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE GA-G33M-DS2R(rev. 1.0)(Intel G33)、メモリ:Patriot Memory PDC24G6400LLK(PC2-6400 DDR2 SDRAM、2GB×2)、OS:Windows 7 Ultimate SP3 64bit版、[共通]SSD:Micron Crucial MX500 CT1000MX500SSD1(Serial ATA 3.0、1TB)

告知

発売中のDOS/V POWER REPORT2018年12月号の特集は「CPU、8コア標準時代、到来」。Intelの第9世代Coreシリーズの登場により、2007年から2016年まで長きにわたって4コアが標準だったメインストリームCPUのコア数は、2年余りで一気に2倍の8コアに。本格的なメニーコア時代の到来です。8コアのCore i9-9900K、i7-9700Kの登場でPCの自作はどう変わるのか。さまざまな角度から解説、検証を行ないました。