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Linuxカーネルのソースに手を入れて高速化したAndroidスマホ「vivo X23」

~カメラは美顔だけでなく「美体」も可能

 中国vivoは6日(現地時間)、新スマートフォン「vivo X23」を発表した。中国での価格は3,498人民元(約57,000円)。

オーロラをモチーフとした背面デザイン。画面内指紋認証+顔認証

 本機のコンセプトは「より多くの美を発見する」ことだが、そのうちの1つが筐体デザイン。複雑な工程を経て仕上げられたガラスの背面は、光の当たり具合によって刻一刻と表情を変え、オーロラをなぞらえた光の変化を表現しているという。

 また、筐体を薄く見せるための工夫も施し、なおかつ手へのフィット感を向上させる3Dガラスを採用している。

 ディスプレイは上部のカメラ部に切り欠きがある「水滴屏」。アスペクト比は19.5:9となっている。下部はフレームを縮めるため、ディスプレイ基板の一部を折りたたむCOF技術を採用。また、背面のオーロラの光と調和する、光をテーマにした10種類の壁紙をプリインストールした。

 本機はディスプレイ底部に光学式の指紋センサーを埋め込んだデザインとなっている。F1.5/720pの高密度第4世代光学式指紋センサーを採用し、従来より認識率を40%改善し、0.35秒でロック解除できる。指紋ロック解除時のエフェクトも凝った作りとなっている。指紋センサーの認識度を高めるため、従来より0.1mm薄いディスプレイを採用した。

 指紋センサーのほかに前面カメラを利用した顔認証も可能。特徴は広スペクトルカメラの採用で、可視光のほかに赤外線も感知可能で、暗所でも顔認証できる。従来の一部スマートフォンでは、暗いところでの顔認証時は、白い高輝度画面を表示させ、カメラの補助光として使っていたが、本機ではその必要がないとしている。

オーロラをモチーフとした模様の背面
画面底面の指紋センサーは第4世代へ進化
広スペクトルカメラにより赤外線も1つのユニットで感知できる

125度の超広角カメラ。美顔に加え、「美体」も搭載

 背面カメラのメインセンサーにはソニーのIMX363を採用。画素面積は1.4μm、F値は1.8。独自の演算方法により、12.3EVのダイナミックレンジを実現した「超逆光」モードも備える。これは一眼レフに匹敵する数値だとしている。

 サブは125度/1,300万画素の超広角カメラを搭載。これまで撮りきれなかった風景や家族の集合写真にも対応するとしている。

 カメラ機能は美顔モード、さまざまなライティングエフェクトを備えるほか、新たに「美体」モードも搭載。ちょっと痩せた体型にしたり、脚を長く見せるといったこともリアルタイムに行なえる。

12.3EVの広ダイナミックレンジを実現した「超逆光モード」
美顔に加え、体のパーツを自由自在に変えられる「美体」も搭載

Linuxカーネルのソースコードを20%書き換え

 同社によると、Androidは10周年目を迎えるが、素のAndroidシステムは使い込んでいくうちに“プチフリ”が発生してしまう症状があるほか、ハードウェアの性能を活かしきれていない問題があるという。これはAndroidのベースとなっているLinuxカーネル部分が最適化されていないためだとしている。

 しかしLinuxカーネルのソースコードに手を加えた場合、たった1行の変更でもシステムの安定性に大きく影響するため、これまでほかのスマートフォンメーカーは手を加えてこなかった。vivoは2年前よりこの問題を認識し、シリコンバレー、杭州、南京、および本社にあるR&DセンターでLinuxカーネルの改修に取り組んだ。

 この結果が、vivo X23に新たに搭載された「vivo System-Turbo」だ。Linuxカーネルの20%に相当するソースコードを書き換えた結果、WeChatのRedPacketの開封速度を40%、一般的なアプリの起動速度およびゲームのフレームレート100%向上。そしてバックグラウンドで高負荷がかかっているさいにも、フォアグラウンドのゲームアプリの最低フレームレートを300%向上させたという。

Snapdragon 670を搭載し性能が向上
AndroidのベースとなるLinuxカーネルのソースコード書き換えは大きなリスクを伴う
4つのR&D拠点をフルに稼働させ、2年前よりLinuxカーネルの改善に取り組む
負荷をかければかけるほど真価がわかるというvivoのLinuxカーネル最適化

 また、同社のフラグシップモデル「NEX」世代から、業界ではじめてUnreal Engineと協業し、ゲームエンジンの根底からスマートフォンに最適化させた。TensentおよびNetEaseのゲームラボともコラボし、ゲームタイトルごとの最適化をも施した。この結果、ゲームのローディング速度を16%、フレームレート安定性を60%向上させたという。

 こと中国国内で大流行のMOBAゲーム「王者栄耀」については、いかなるシーンにおいてもフレームレートが50fpsを下らないとしており、2018年度のKPL王者栄耀秋季公式トーナメントの公式スマートフォンとして採用されるとしている。

 同社はこのゲーム最適化機能を「vivo Game-Turbo」と呼んでおり、さきに挙げたSystem-Turboと合わせて、「vivo Dual-Turbo」と呼んでいる。

 また、ゲームプレイに特化した「eスポーツモード」も備えており、PUBG Mobileや荒野行動にも対応。有効にした場合、いかなるアプリを立ち上げていても、側面のボタンを押すだけでゲームのランチャーが起動するほか、ゲームプレイ中も画面左からのスワイプインでゲームを妨げないUIを起動し、電話を受けたり拒否したり、通知をブロックしたりできる。

 さらに、本機はメモリ8GBモデルのみとなっているが、この大容量を活かし、ゲームを複数動作させたままバックグラウンドでスタンバイさせることもできるようになっている。

Unreal Engineと協業してゲームエンジンを最適化
フレームレートを16%引き上げ、安定性を60%向上
X23はKPL王者栄耀秋季公式トーナメントの公式スマートフォンとして採用された
eスポーツモードの搭載

 音声アシスタント「Jovi」も進化し、新たにJoviに実行させるタスクの予約(たとえば翌朝8時に妻に「誕生日おめでとう」というメッセージを送信)、一言で複数のタスクを実行するマクロ機能(たとえば「今から帰る」と呼びかけるだけで、Bluetoothヘッドセットに接続して音楽を再生、妻に「今から帰ります」というメールを送信し、最短のルートをナビゲーション)などが搭載された。

複数のタスクを1つの言葉で行なえるJovi

おもな仕様

 SoCにはSnapdragon 670を搭載。従来のSnapdragon 660と比較し、CPU性能は15%、GPU性能は25%、バッテリ駆動時間は12%、AI演算能力は60%向上したとしている。メモリは8GB、ストレージは128GB、ディスプレイは2,340×1,080ドット表示対応の6.41型Super AMOLED、OSはAndroid 8.1をベースとしたFuntouch OS4。

 インターフェイスはUSB 2.0、Wi-Fi、Bluetoothなど。センサーは重力、光、近接、ジャイロ、GPSなど。DACに旭化成の「AK4377A」を採用し、Hi-Fi対応も謳われている。

 デュアルSIMデュアルスタンバイに対応。バンド帯は4Gが1/2/3/4/5/7/8/12(17)/38/39/40/41/、3Gが1/2/4/5/8/BC0/34/39、2Gが850/900/1,800/1,900MHz。

 バッテリは3,400mAh。本体サイズは74.05×157.68×7.47~7.54mm(幅×奥行き×高さ)、重量は160.5g。本体色はブルー、レッド、バイオレットに加え、vivoのロゴが大きく入ったオレンジとバイオレットの特別モデルも10月に発売する予定。

vivoのロゴを大きくあしらったモデルも10月より販売開始