ニュース

アプリ起動もデータコピーも超高速! 最新NVMe SSD注目7製品一斉比較

~気になる発熱とサーマルスロットリングもテスト

 「まだケーブルなんてものを使っているんですか?」と、思わず上から目線で煽ってしまいたくなるくらいに、最新のNVMe SSDは速い。ここでは、そんな最新のNVMe SSDから7製品をピックアップ。速度、温度の両面から性能をチェックしていこう。

TEXT:北川達也


最新コントローラ&ヒートシンクを採用

ADATA Technology XPG GAMMIX S11
コントローラSilicon Motion SM2262
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップADATA Technology製フラッシュメモリ

 Silicon Motionの最新NVMe対応コントローラ「SM2262」を採用し、最大速度3,000MB/sオーバーを実現したハイエンドクラスの製品。ヒートシンクによる熱対策も行なわれている。また、可変長の疑似SLCキャッシュを採用するなどのチューニングが施されている。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
AGAMMIXS11-960GT-C960GB非公開3,150MB/s・1,700MB/s37,000円前後38.54円
AGAMMIXS11-480GT-C480GB非公開3,200MB/s・1,700MB/s19,000円前後39.58円
AGAMMIXS11-240GT-C240GB非公開3,200MB/s・1,100MB/s11,000円前後45.83円
ADATA Technology XPG GAMMIX S11 AGAMMIXS11-480GT-C
最高温度は66℃で、ヒートシンク搭載による熱対策の効果が発揮されている。90秒付近で速度が低下しているのは、疑似SLC領域を使い切ったためで、熱による影響ではない

ミドルレンジの手堅い構成が魅力

CFD販売M2OPG1VN
コントローラSilicon Motion SM2260
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップIM Flash Technologies製フラッシュメモリ

 人気コントローラメーカー、Silicon Motionの第1世代NVMe対応コントローラとIMFT製の3D NANDを搭載。すでに次世代のコントローラを採用した製品が登場しているため、性能面や発熱などでは最新世代に劣るが、手堅い性能と耐久性を実現している。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
CSSD-M2O512PG1VN512GB非公開2,500MB/s・1,100MB/s22,000円前後42.97円
CSSD-M2O256PG1VN256GB非公開2,000MB/s・1,100MB/s18,000円前後70.31円
CFD販売
本製品は、2017年に登場した初期のNVMe SSDであるため、最新の製品と比較すると発熱が大きく、サーマルスロットリングによる速度低下が何度も発生し、最終的にはかなり速度が低下した。なお、最初の速度低下は疑似SLC領域切れだ。

コスパの高さで市場をリードする人気モデル

Intel SSD 760p
コントローラSilicon Motion SM2262
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップIM Flash Technologies製フラッシュメモリ

 安価なだけでなく、性能も高いことから大人気となっている製品。Intel自社製ではなくSilicon Motionのコントローラを採用する点は、前モデルのSSD 600pと同じだが、最新世代の64層3D NANDを採用。性能は格段にアップし、発熱も減少している。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
SSDPEKKW010T8X11TB非公開3,230MB/s・1,625MB/s37,000円前後36.13円
SSDPEKKW512G8XT512GB非公開3,230MB/s・1,625MB/s18,000円前後35.16円
SSDPEKKW256G8XT256GB非公開3,210MB/s・1,315MB/s10,000円前後39.06円
SSDPEKKW128G8XT128GB非公開1,640MB/s・650MB/s7,000円前後54.69円
Intel SSD 760p SSDPEKKW512G8XT
テスト開始から約2分30秒で最高温度69℃に達し、その後はほぼ一定の温度で推移している。サーマルスロットリングによる速度低下は見られない。最初の速度低下は、疑似SLC領域を使い切ったからで、そのサイズは約7GBだった。

NVMe SSD初のDRAMレス設計を採用

Kingston Technology A1000 NVMe PCIe SSD
コントローラPhison PS5008-E8
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x2)
NANDチップKingston Technology製フラッシュメモリ

 PhisonのDRAMレスコントローラ「PS5008-E8」を採用した低価格ドライブ。PS5008-E8はHMB対応のコントローラだが、本製品ではこの機能を無効化し、非対応で設計されている。PCI Express 3.0 x2接続の製品であるため、ベンチマーク性能は控えめだが、960GBモデルが3万円切りと安く、かつ使用感自体は悪くない。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
SA1000M8/960G960GB非公開1,500MB/s・1,000MB/s28,000円前後29.17円
SA1000M8/480G480GB非公開1,500MB/s・900MB/s17,000円前後35.41円
SA1000M8/240G240GB非公開1,500MB/s・800MB/s9,000円前後37.50円
Kingston Technology A1000 NVMe PCIe SSD SA1000M8/480G
PCI Express 3.0 x2接続の製品であるため、最大速度は遅めだが、その分、温度も低い。最高温度は56℃で今回テストした中ではもっとも低かった。最初の速度低下は疑似SLC領域切れで、サイズは4GBほどであった。

BiCS3を採用したハイエンドクラス製品

Lite-On Technology Plextor M9PeGN
コントローラMarvell 88SS1093
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップ東芝メモリ製フラッシュメモリ

 東芝メモリ製の64層3D TLC NAND「BiCS3」とMarvell製のコントローラを組み合わせた製品。前モデルのM8Seとコントローラは同じだが、NANDメモリがBiCS3へと変更され、大幅な性能アップを実現。本製品に対応した新たなツールも配布されている。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
PX-1TM9PeGN1TB非公開3,200MB/s・2,100MB/s48,000円前後46.88円
PX-512M9PeGN512GB非公開3,200MB/s・2,000MB/s25,000円前後48.83円
PX-256M9PeGN256GB非公開3,000MB/s・1,000MB/s14,000円前後54.69円
Lite-On Technology Plextor M9PeGN PX-512M9PeGN
最後まで少しずつ温度の上昇が続いているが、5分間の計測ではサーマルスロットリングによる速度低下は発生していない。最終温度は73℃であった。最初の速度低下はほかの製品同様に擬似SLC領域が切れたためで、そのサイズは約5GB

最速クラスの性能を実現した人気モデル

Samsung Electronics SSD 970 EVO
コントローラSamsung Phoenix
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップSamsung Electronics製フラッシュメモリ

 高い処理能力を備えた5コアのSamsungオリジナルコントローラと自社製の最新世代の64層3D TLC NANDを採用。現役最速クラスの性能と高い耐久性で大人気となっている製品だ。熱を拡散させるCopper Sealによる熱対策も行なわれている。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
MZ-V7E2T0B/IT2TB2GB3,500MB/s・2,500MB/s89,000円前後44.50円
MZ-V7E1T0B/IT1TB1GB3,500MB/s・2,500MB/s44,000円前後44.00円
MZ-V7E500B/IT500GB512MB3,400MB/s・2,300MB/s22,000円前後44.00円
MZ-V7E250B/IT250GB512MB3,400MB/s・1,500MB/s13,000円前後52.00円
Samsung ElectronicsSSD 970 EVO MZ-V7E500B/IT
2カ所の温度が計測され、低いほうがコントローラと推測されるが、高いほうは不明。そのコントローラ温度は高めだが、速度低下は発生していない。この製品も、最初の速度低下は疑似SLC領域切れによるもの

Western Digital初の自社製コントローラを採用

Western Digital WD Black NVMe SSD
コントローラWestern Digital製(型番非公開)
インターフェイスM.2(PCI Express 3.0 x4)
NANDチップWestern Digital製フラッシュメモリ

 Western Digital製のオリジナルコントローラと64層3D TLC NANDを組み合わせた製品。公称最大速度は現役最速クラスで、同社のハイエンドクラス製品のブランド「Black」に恥じない性能を実現する。同社のWebサイトから専用ツールを入手できる。

型番容量バッファ用メモリ公称最大速度(リード・ライト)実売価格GB単価
WDS100T2X0C1TB非公開3,400MB/s・2,800MB/s43,000円前後43.00円
WDS500G2X0C500GB非公開3,400MB/s・2,500MB/s23,000円前後46.00円
WDS250G2X0C250GB非公開3,000MB/s・1,600MB/s12,000円前後48.00円
Western Digital WD Black NVMe SSD WDS500G2X0C
70℃を超えた辺りから、温度の上昇速度は緩やかになるが、最後まで温度が上昇を続けて最終的には76℃まで到達した。ただし、サーマルスロットリングによる速度低下は発生していない。最初の速度低下は疑似SLC領域が切れたためだ

【問い合わせ先】ADATA Technology:03-5807-0011(エイデータテクノロジージャパン)・http://jp.adata.com/jp/、CFD販売:-・http://www.cfd.co.jp/、Intel:0120-868686(インテル)・http://www.intel.co.jp/、Kingston Technology:00531-88-0018・http://www.kingston.com/jp/、Lite-On Technology:info@aiuto-jp.co.jp(アユート)・http://www.plextor.com/、Samsung Electronics:Webサイトのフォームから(ITGマーケティング:http://www.itgm.co.jp/)・http://www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp/、Western Digital:0120-994-120(ウエスタンデジタルジャパン)・http://www.wdc.com/jp/

【検証環境】CPU:Intel Core i5-7600K(3.8GHz)、マザーボード:ASUSTeK PRIME Z270-K(Intel Z270)、メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)、システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、256GB)、OS:Windows 10 Enterprise 64bit版、温度と転送速度:TxBENCHでシーケンシャルリード(QD32)を容量の全域に対して5分間実行したさいの値を「HWiNFO64」で測定

最大速度と速度劣化をチェック

 ここでは、CrystalDiskMarkによる最大速度計測の結果とTxBENCHを利用した速度劣化テストの結果を見ていく。

 まず、CrystalDiskMarkの結果だが、トップクラスと言えるのは、Samsungの970 EVOとWestern DigitalのWD Blackの2製品だ。両者はいずれの項目でも優れた性能を実現している。3番手は、ランダムリード・ライトに優れるADATA XPG GAMMIX S11、ランダムリードこそ若干遅いが、それ以外の成績がよかったLite-OnのPlextor M9Peだろう。なお、KingstonのA1000のシーケンシャルがほかの製品と比較して遅いのは、PCI Express 3.0 x2接続であるからだ。

 次にTxBENCHの結果は、970 EVOがダントツで優秀。全製品が疑似SLC領域を使い切っているため、ランダムライトの速度は低下しているが、低下後の速度がもっとも速かったのが970 EVOだ。しかも、970 EVOは、リードに関しては速度低下を起こしていない。2番手グループは激戦でどれも一長一短あるため、甲乙付け難い。

【検証環境】CPU:Core i5-7600K(3.8GHz)、マザーボード:ASRock Fatal1ty Z270 Professional Gaming i7(Intel Z270)、メモリ:CFD販売 Crucial Ballistix Sport W4U2400BMS-8G(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)、システムSSD:Lite-On Plextor M8PeGN PX-512M8PeGN[M.2(PCI Express 3.0 x4)、MLC、512GB]、OS:Windows 10 Pro 64bit版

Amazon.co.jpで購入する
本記事は、DOS/V POWER REPORT10月号「特集・SSD/HDD/NAS+αPCストレージ強化計画」からの抜粋です。この特集では、SSD(NVMe/Serial ATA)やHDD(内蔵、外付け)、NAS、USBメモリ、SDメモリーカードなど、旬の各種ストレージからお勧めの製品をピックアップして検証するとともに、ストレージを使いこなすためのコツや、ストレージやデータの処分方法について紹介しています。