ニュース

11人の女子高生がXcodeでiPhoneアプリをコーディング

 ライフイズテック株式会社は11日、都内にて女子高校生を対象としたプログラミングワークショップ「Code Girls」を開催した。

 同社では以前より女子中高生を対象にCode Girlsを主催しているが、今回のワークショップはソフトウェア業界団体BSAが後援しており、BSAのプレジデント兼最高経営責任者であるビクトリア A. エスピネル氏の来日に伴って開催された。

 BSAはワシントンDC本部を置く業界団体で、主に知的財産保護活動や不正コピーの権利執行支援などを行なっている。

 ワークショップは、関東圏の3校を対象に、プログラミング未経験の11名の女子高生を募集し、Macbook AirとXcodeを用いて、手順書に基づいてiPhone用計算アプリを制作するという内容。ワークショップは2時間程で、エスピネル氏による講演が行なわれた。

ワークショップの様子

 エスピネル氏は、BSA以前に約10年ホワイトハウスに勤務しており、2009年に知的財産執行調整官(Intellectual Property Enforcement Coordinator)として、知的財産課題についてオバマ元大統領に助言する立場を経験している人物で、IT分野などに進む女性を支援する「Girls Who Code」プログラムに協賛するといった活動も行なっている。

 BSAでは、ソフトウェア業界の課題である人材不足とジェンダーギャップの問題の解決に向け、エスピネル氏を中心に、特に女子学生へ向けたプログラミング教育を推進している。

BSA プレジデント兼最高経営責任者 ビクトリア A. エスピネル氏

 同氏は、BSAで仕事を始めてから、ソフトウェアは常に新たな問題が発生するもので、そういった新たな課題に取り組めること、世界各国の政府代表者や専門家、学者などと会う機会に恵まれることとともに、「ここにいる皆のような若者と交流できる機会もあり、今の仕事はホワイトハウスと同じくらい充実した経験が得られている」と語った。

 ここで行なっている活動や、今皆が学んでいることは極めて重要だとした同氏は、ソフトウェア産業は人手不足で多くの人材が必要なこと、そのために若者や、多くの学生にコーディングを学んでほしいと語り、特に女子に学んでほしいと述べた。

 「ショッキングなニュース」と前置きした同氏は、80年代はコンピュータサイエンスに従事する人の1/3が女性で、弁護士や医師と同等だったのに対し、現在のコンピュータサイエンスには女性がわずか17%しかおらず、弁護師や医師が50%まで増加しているのと対照的だと述べた。

 この問題を解決するためにソフトウェア業界も取り組みが必要で、AdobeやAppleなど、BSAのメンバー企業の多くも働きかけを始めているとした。

 同氏は、プログラミングについて学ぶことは自身のキャリアのためにもなるという利点があるが、意思決定の力になるとした。

 そもそも女性がコーディングを学ぶのは2つの大きな理由があるとして、前述の利点のほか、もう1つがソフトウェアの開発場面には女性が必要なためだという。

 現在、ソフトウェアはビジネスや生活など、社会に大きな影響を与える存在で、社会にとって重要なものとなっているが、社会的影響の大きいものとなった時、その開発現場にはさまざまな視点が必要とされると述べ、それは女性も例外ではないと語った。

 ソフトウェアは常に最高のものを作っていく必要があり、さまざまな視点があることでよりイノベーティブで安全なものが生み出されるとした。

 新しいことにチャレンジするのは大変で、落ち込むこともあるだろうと語った同氏は、今もコーディングは男性の仕事という意識が社会的にあると述べ、自身の経験として、会議で唯一の女性だったこともあると語り、それに向かう勇気が必要で、こういった場に参加してくれることはとても重要であるとした。

 最後に同氏は、若い頃には色々な場面で意思決定をする場面があったが、それは振り返って見ればそれほど大事ではなかったと述べ、自身もかつて弁護士としての人生設計を立てていたが、人生で方向転換をするチャンスはいくつも訪れると述べた。

 また、キャリアにおいては他人からすれば後退しているように見えるような選択でも良いと述べ、実際に賃金や業務的に安定していたニューヨークの弁護士事務所を辞めてロンドン大学へ進学した結果、政府の通商代表部貿易交渉官として働けたこと、その後大学教授を経てホワイトハウスで仕事ができたことを語り、大事なのは関心のある分野や興味のある分野へ進むことだとして、これから仕事について意思決定する時に、仕事が合わないと思ったら「いつでもやり直しが効く」ことを覚えておいてほしいと語った。本当に興味があって関心のある分野を目指し、自分が何を求めているのかを大切にしてほしいとして締めた。