やじうまミニレビュー

ノートPCの液晶をディスプレイとして活用できるボード

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
利用例

 筆者は最近、週末に秋葉原に通わなくなった代わりに、AliExpressを眺めるのが日課となっている。思いがけない変わり種のアイテムが数多く見つかるほか、たとえ日本国内で同じものがあったとしても、AliExpressは基本的に日本国内の市場価格より安く、なおかつ送料も無料であることが大半だからだ。

 そのなかでも今回ご紹介するのは、eDPの液晶パネルをHDMIのディスプレイとして使用可能にする変換ボード。購入価格は1,927円(16.99ドル)だった。

 じつは筆者は少し前に、ファームウェアの更新に失敗し二度と起動できなくなってしまったHPの「Elite X3 Lap Dock」を同僚より譲り受けた。分解していろいろ解析してみたものの、どうやら電源制御部分のファームウェアが逝かれてしまったせいで、USBによる給電も充電もできなくなってしまったようだ。仕方がないので、せめてこの12.5型の液晶だけ活用しようと思い、この変換ボードを購入した次第である。

 液晶にはいろいろ種類があるが、筆者が入手したElite X3 Lap Dockに使われた液晶パネルはAUOの「B125HAN02.0」だった。液晶ディスプレイの取引サイト「Panelook.com」によると、このパネルは1,920×1,080ドット表示のAHVAパネルで、表示色は約26万2,000色(6bit)、輝度は300cd/平方m、コントラスト比は700:1、視野角は上下/左右ともに170度などとされている。

 注目はインターフェイスで、30ピンの2レーンeDPとされている。この情報をもとに、変換ボードを注文することとした。ちなみに同じeDPでも1レーンタイプのものが存在したり、古いパネルなどはLVDSと呼ばれるインターフェイスだったりする。また、LEDバックライトではなくCCFL(蛍光管)が使われるタイプの液晶は、インバータ回路も必要になったりする。このあたりは製品購入のさいは、AliExpressの製品ページにある注意書きや説明などをよく読んだほうが良いだろう。

 ちなみに今回Panelook Storeというストアで購入したのだが、決済したあとにパネルの型番を教えてくれというメッセージが飛んできた(しかも夜中11時半)。教えてくれればそのパネルに最適なパラメータを書き込んだうえで出荷してくれるとのことだ。おそらく非対応品でも、非対応だという旨を伝えられることだろう。2,000円もしない製品なのに、至れり尽くせりなサービスには感心する。

 今回は追跡ありのAliExpress Standard Shippingで4月7日夜に注文をしたが、8日にパラメータ書き込み作業をはさんで9日に出荷、編集部に到着したのは19日だった。

 さて肝心な変換ボードだが、RealtekのRTD2550をベースとした構成。HDMI入力ポートは1基で、出力はeDP。また、12V電源接続用のDC入力(外径5.5mm、内径2.1mm)、3.5mmスピーカー出力、OSD/電源操作用基板接続コネクタなどが実装されている。つまりは12VのACアダプタをユーザーが別途用意しなければならないわけだが、電子工作のデファクトスタンダードに近いので、さほど調達に困らないだろう。

 というわけでさっそく基板や電源、液晶パネルを接続してみたが、あっさり写ってしまった。パネル自体が26万色という制限があるためグラデーションではマッハバンドが目立つが、色の深みやコントラストはなかなかのもので、サブ液晶として使う分には十分だと感じた。

 標準でOSDも入っており、日本語も選択可能であった。明るさやコントラスト、各色の微調整などが正常に行なえた。3.5mmステレオミニジャックによる出力も、音量としては十分なレベルだった。

 今回紹介したモデル以外に、ミニD-Sub15ピン入力が可能なモデルや、先述のLVDSやTTLパネル対応モデルなどもある。組み立て作業よりも、ノートPCの分解とパネルの取り出しにある程度スキルを要するが、もし家に(液晶部以外が)壊れたノートPCや使われていないお古のPCがあるのであれば、ぜひとも挑戦してみてほしい。

届いた変換ボード本体。RTD2550をベースとしている(ちなみにAliExpressにある同様のボードの大多数がこのチップのようである)
本体底面
HDMIで入力。DC入力は12Vとされている。また、3.5mmステレオミニジャックによる出力も備えている
手前のコネクタが30ピンのeDP
OSDや電源を操作するためのボタンつき基板はケーブルで接続する
このままだと自立しないため、百均のタブレットスタンドを利用
あとは変換ボードの位置などを工夫すればOKだ
EIZOのパネルチェックサイトでグラデーションをチェックしたところ。マッハバンドが見えるのは、パネル自体が26万色だからだ
明るさやコントラスト、色調節などが可能なOSDも備えている