やじうまミニレビュー

PCや家電の物理スイッチをスマートフォンから操作できるIoTデバイス「Switch Bot」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Switch Bot」(Switchbot-S1-WH)。ホワイトのほかブラックもラインナップされる

 Wonder Tech Labの「Switch Bot」は、PCや周辺機器、家電製品などの物理スイッチを、スマートフォンアプリ経由でリモートで押すことができる、超小型のIoTロボットデバイスだ。

 物理ボタンに取り付けることで、最大80m離れたところから、Bluetooth経由で遠隔操作が行なえる。

 押し込む方式の物理スイッチのほとんどに対応することから、電源のオン/オフはもちろん、PCのリセットボタンに取り付けて、遠隔でのリセットを可能にするなど、応用範囲は無限大だ。

 なかでも、住宅据え付けの照明スイッチや冷暖房のように、本体ごと交換しづらい機器や、リモコン機能のない古い家電を、手軽に遠隔操作できるのは魅力的だ。

 本製品は、約2年前から技適のないモデルがAmazonなどで流通していたが、今年(2018年)頭に国内代理店のFUGU INNOVATIONS JAPANがクラウドファンディングを実施したのを皮切りに、技適取得済みのモデルが流通するようになった。

 今回は、このクラウドファンディングで入手したモデルを用い、製品の特徴と基本的な使い方について紹介する。

パッケージ。これは前述のクラウドファンディングで入手したモデルで、現行の店頭向けモデルはデザインが改められているようだ
技適も取得済みであることが分かる。代理店はFUGU INNOVATIONS JAPAN

簡単設定でスマートフォンから物理スイッチのオン/オフが可能

 本体は、42.8×36.5×24mmの手のひらサイズで、身近にあるものでサイズが近いのは、USB-AC変換アダプタなどだろうか。

 重量は公称100gとなっているが、実測は38gと軽量だ。ボタン型電池ではなく、CR2というカメラ用の電池を採用しているため、電池寿命は約2年とかなり長い。

本体は手のひらサイズ。中央にアームが収納されている
本体のほか、粘着テープの予備と、日本語の取扱説明書が付属する。この写真にはないが、ワイヤ付ステッカー(後述)も同梱される

 利用にあたっては、スマートフォンに専用アプリ(iOS/Android)をインストール。本体の絶縁テープを剥がしてBluetoothで接続すれば、アプリからの操作で、本体中央のアームを動かせるようになる。

 あとは、操作したい物理スイッチにアームが当たるよう、両面テープで位置を調整しつつ、本体を貼り付ければ完了だ。

専用アプリをインストールしBluetoothで接続する。検出は自動的に行なわれる
オプションには「ログイン」という項目もあるが、スマートフォン単体との組み合わせでは使用しない
アプリのボタンをタップすると本体中央からアームがせり出す
アームが最大まで展開した状態。可動範囲は135度
照明スイッチに取り付けた状態。粘着力は強く、一度貼り付けると剥がすのはかなり苦労する
スマートフォンからの遠隔操作でスイッチをオフにできる。動作時は上面のLEDが点灯する
スマートフォンからの操作で照明をオフにする様子。アームの最大押下力は10Nとかなり強く、スイッチが固すぎて押せないということはまずない

 アームの可動範囲は135度で、水平よりもやや下までせり出すので、多少窪んでいるスイッチでも問題なく押せる。逆に、出っ張っているスイッチだと、アームの圧によって本製品が浮き上がってしまうので、取り付ける高さを調整してやらなくてはいけない。

 もっとも、本製品自体には高さ調整の機能はないので、スイッチの高さによっては、自前で切り出したプラ板をかませるなど、多少の工作が必要になることがある。この点については、やや改良の余地ありだと感じる。

 なお、両面テープは3M製の強力なタイプで、ちょっとやそっとでは剥がれない。構造上、スイッチを何度も押すうちに、本体が剥がれて落下するのではと心配になるが、まったくの杞憂だ。むしろ、貼り付けた側の壁紙などが剥がれるのを心配したほうが良い。

シーソースイッチのオン/オフにも対応

 ところで、勘の鋭い人であれば、ここまで紹介した仕様だけでは、スイッチの種類によっては使えないことに気づくだろう。

 というのも、この仕様であれば、両端をシーソーのように交互に押すスイッチでは、押してオンにすることはできても、オフに戻すことができないからだ。

 もちろん、シーソースイッチの反対側に本製品をもう1台取り付け、オンとオフで2台を使い分けるようにする手もあるが、1つのスイッチのために本製品を2台取り付けるのは、さすがにコスト面で難がある。また、スイッチの両側を本製品で塞ぐと、指で押すのが困難になるという別の問題もある。

 こうした場合のために、本製品はワイヤーがついた1cm四方のステッカーが付属している。これをシーソースイッチに貼り付けたのち、スマートフォンアプリ側の設定で「壁スイッチを使用します」をオンにする。

 すると、通常は135度可動するアームが、約70度の位置で止まった状態になるので、ステッカーのワイヤーを、そのアームの先端に引っ掛ける。

ナイロン製のワイヤーがついた1cm四方のステッカーが付属する
これをシーソー式のスイッチに取り付け、ワイヤーをアームにひっかける
アプリの設定画面で「壁スイッチを使用します」をオンにする
これにより、アプリの操作ボタンが「ON」と「OFF」の2つに分かれる

 上記のように設定することで、オンにすると押される一方、オフにするとワイヤーが引っ張られて、スイッチが元の状態に戻るという動作が可能になる。

 これならば、照明スイッチのようにシーソー式になったスイッチでも、オン/オフ両方の操作が可能になるというわけだ。

ワイヤー付ステッカーを使うことにより、押すだけでなく、引っ張る操作も可能になり、シーソースイッチでオン/オフ両方の操作が可能になる
取り付け位置の関係でオンとオフの動きが逆になってしまう場合は、「スイッチのオン/オフを反転します」にチェックを入れれば解決する
他のユーザに操作させたくない場合はパスワード保護をかけることも可能だ

新境地が開けるIoTデバイス?

 以上のように本製品は、さまざまなタイプのスイッチに対応でき、汎用性は抜群だ。

 類似の製品では、スイッチの上から覆いかぶせるように取り付けるタイプもあるが、本製品ならば手動での操作も邪魔しないので、これまでと使い方を変えなくて済むのもよい。

スイッチに覆いかぶさる構造ではないので、本製品を取り付けた状態でも手動での操作に支障はない。ただし、左右どちらに取り付けるかは、事前に検討したほうが良さそうだ
長押しにも対応。秒数も指定できるので、リセットスイッチなどを押すには最適だ
タイマーでの動作にも対応する。この設定は本体に保存されるようで、アプリを入れたスマートフォンの電源がオフになっていても動作する

 別売の「Switch Hub」を組み合わせることで、外出先からの操作や、スマートスピーカーとの連携による音声での操作も可能になる。IFTTTとの連携にも対応するので、Webサービスとの組み合わせもできるなど、応用範囲は無限大だ。

 ネックがあるとすれば、防水仕様ではないため、風呂場など水がかかる場所で使えないことだろうか。欲を言えば、サイズももう少し小さいとベターだが、粘着面が狭いと取付強度が下がる可能性があり、致し方ないだろう。

 価格も5,000円を切っており手頃で、これまでリモコンなどで操作できなかったさまざな機器が、スマートフォンからコントロール可能になることから、2つ、3つと欲しくなってしまう。

 本格的なスマートホームとまでいかなくとも、リモート操作できれば便利だと思っている機器が手元にある人は、試してみれば新境地が開けるはずだ。