笠原一輝のユビキタス情報局

Atom Z2760を徹底分析

〜モバイルWindowsユーザーの新しい選択肢

 IntelのAtom Z2760(開発コードネーム:Clover Trail)は、IntelがタブレットPC向けに開発したSoC(System On a Chip)で、Windows 8のリリース前に合わせて9月末に発表された。

 Atom Z2760の大きな特徴は3つある。1つ目はバッテリで10時間のビデオ再生が可能という、タブレットに必要とされる低消費電力を実現したこと。2つ目は、S0ixという新しいSステートに対応したことで、従来のPCでのS3(メモリサスペンド)/S4(ハイバネーション)に匹敵するような非常に低い消費電力を実現しながら、OSは動作しネットワークに接続したままという新しい待機モード(Connected Standby)に対応していること。そして3つ目が、これらの低消費電力、タブレットの使い勝手を実現しながらもx86デュアルコアプロセッサを採用しているため、従来のWindowsアプリケーションをそのまま実行することができる互換性を備えていることだ。

 すでにAtom Z2760を搭載したタブレットは、OEMメーカー各社から発売されており、日本でもAcer、Dell、富士通、HP、Lenovoなどから販売開始されている。本レポートでは、富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」を利用しつつ、実際に利用してわかったAtom Z2760の特徴や利用感などについて触れていきたい。

従来世代と比較すると、組み込み系の技術が導入されより低消費電力に

 Atom Z2760に関して、これまでも本連載や記事で何度か取り上げてきたが、復習の意味を兼ねて振り返っておきたい。Atom Z2760は、インオーダー型命令実行のx86プロセッサコアを2つ搭載し(Hyper-Threading対応なので論理的には4スレッド)、GPUにPowerVR SGX 545、ビデオデコーダ/エンコーダ、PCで言うところのサウスブリッジに相当する機能などを、1チップに統合したいわゆるSoCになっている。詳しい機能や仕様などは発表時の記事を参照頂きたい。

 プラットフォームの観点から見れば、このAtom Z2760はIntelの低消費電力向け製品としては第3世代にあたる製品となる。第1世代は2008年に発表されたAtom Z500シリーズ(開発コードネーム:Menlow)で、ソニーのVAIO type Pや富士通のLOOX UなどのUMPCに採用され人気を博した。第2世代が2011年にリリースされたAtom Z670(開発コードネーム:Oak Trail)で、今回のAtom Z2760(開発コードネーム:Clover Trail)はその後継製品となる。

 Atom Z5xx(Menlow)およびAtom Z670(Oak Trail)と、Atom Z2760の大きな違いは、周辺部分の設計にある。従来の周辺は、基本的にPC向けの汎用アーキテクチャを踏襲していた。例えば、メモリはDDR2だし、バスはPCI ExpressやIDE/SATAなどの技術を流用した。これに対して、Atom Z2760では、メモリはLPDDR2、ストレージはeMMC、Wi-Fiとの接続はSDIO、そのほか周辺機器との接続はI2CやMipi-CSI/DSIなど、これまで組み込み系で使われてきた技術が利用されているのだ。

Intelのデータシートより抜粋したAtom Z2760のブロック図
LenovoのThinkPad Tablet 2のメインボード。中央のElpida製のLPDDR2 DRAMの下にAtom Z2760が実装されている。ElpidaのDRAMの左に見えるSamsung Electronics製のチップがeMMCのフラッシュメモリ

 これらのバスを変更した最大の理由は消費電力だ。PCで利用されているようなPCI Express、SATA、USB 3.0のような汎用バスは、データ転送速度も高く、複数のデバイスを接続することができるなどのメリットがあるのだが、その分消費電力が大きいというデメリットを抱えている。このため、どんなにCPUやGPUが低消費電力になっても周辺部分の消費電力が減らないというジレンマを抱えていた。

 そこで、Atom Z2760では思い切って組み込み系で利用されるeMMC/SDIO/I2Cなどを採用し、用途別に接続するという形を採った。タブレットやスマートフォンではあらかじめ必要とされる機能がほとんど固定されており、汎用のバスの必要性が低いからだ。ただし、USB 2.0は用意されており、本体のUSBポートや、ワイヤレスWAN(3G)のモデムを接続するのに利用されている。

 メインメモリはLPDDR2と呼ばれる、モバイル機器(スマートフォンやタブレット)向けに開発された低消費電力版のDDR2が利用される。LPDDR2の特徴は、待機時のセルフリフレッシュ(メモリの内容を保持するため、DRAMは常にリフレッシュをかけている)時の電力が通常のDDR2に比べて大幅に削減されていることだ。Atom Z2760では後述するConnected Standbyという新しい待機モードをサポートしており、そのConnected Standby時のDRAMの消費電力を下げるという目的でこのLPDDR2が採用されている。

 また、メモリはPoP(Package On Package)と呼ばれるCPUパッケージの上にDRAMのパッケージを重ねて置くという手法で実装されており、最大で2GBまで搭載することができる。なお、メモリは32bit幅のシングルチャネルないしはデュアルチャネル構成が可能で、デュアルチャネル時には6.4GB/secの帯域幅をサポートする。

 内部ストレージはeMMCと呼ばれるフラッシュメモリ用のインターフェイスで接続される。もともとはSDカードの前身であるMMC(Multi Media Card)を組み込み用(Embedded)としたもので、言ってみればSDカードの中身が基板に直接張り付いていると考えればわかりやすいだろう。SATAではなくeMMCを使うメリットは消費電力で、デジタルカメラやスマートフォンなど、消費電力が重要視される環境でSDカードが使われる理由を思い出して頂ければすぐに理解してもらえるだろう。

 ただ、転送速度はSATAに比べると速くはない。6GbpsのSATAは理論的には600MB/secの転送速度を実現可能だが、Atom Z2760のeMMCは最大で100MB/secの転送速度で、6分の1しかない。しかし、この速度はあくまでインターフェイスの速度なので、実際の読み書きの速度は、フレッシュメモリの性能に依存する。よく、eMMCのフラッシュメモリはSATAのSSDに比べると遅いとひとくくりにされてしまうのだが、実際にはeMMCだから遅いのではなく、低価格向けの製品に採用されることが多く、速度があまり重要視されないことが多いからである。それでもHDDに比べればランダムリードが高速であるため、OSやアプリケーションの起動は高速で、性能面でメリットはある。

 このように、Atom Z2760の特徴は、新しい組み込み向けのバスインターフェイスを採用することでプラットフォーム全体で低消費電力を実現しながら、CPUコアをシングルコアからデュアルコア化し、内蔵GPUをPowerVR SGX 545へと強化することで全体の処理能力を、従来より向上させているのがポイントだと言える。

リファレンスデザインを利用したプラットフォームの開発

 Atom Z2760を搭載した製品は、Acer、ASUS、Dell、富士通、Lenovo、LG Electronics、HP、Samsung Electronicsの8つのOEMメーカーから11のデザインが発表されている。

【表1】グローバルに販売されているAtom Z2760を搭載した製品(筆者作成)
製品名 ICONIA W510 ViVoTab TF801C ViVoTab Smart Latitude 10 Arrows Tab Wi-Fi QH55/J ThinkPad Tablet 2
メーカー Acer ASUS ASUS Dell 富士通 Lenovo
SoC Atom Z2760(1.8GHz)
メモリ(最大) 2GB 2GB 2GB 2GB 2GB 2GB
ストレージ(最大) 64GB 64GB 64GB 64GB 64GB 64GB
ディスプレイ 10型 11.6型 10型 10型 10型 10型
解像度 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,366×768ドット
デジタイザー - - CTOオプション - CTOオプション
防水 - - - - IPX5/7/8 -
Wi-Fi/BT 4.0
WAN - - - CTOオプション - CTOオプション
GPS CTOオプション
NFC - - CTOオプション
フルサイズUSBポート(本体側) - - - -
キーボードドック オプション オプション オプション - - -
重量 580g 675g 580g 658g 574g 565g
日本での販売 販売開始済み 販売開始済み 未定 販売開始済み 販売開始済み 販売開始済み
製品名 IdeaTab K3011 Tab-book H160 ENVY X2 ElitePad 900 ATIV Smart PC 500T
メーカー Lenovo LG Electronics HP HP Samsung Electronics
SoC Atom Z2760(1.8GHz)
メモリ(最大) 2GB 2GB 2GB 2GB 2GB
ストレージ(最大) 64GB 64GB 64GB 64GB 64GB
ディスプレイ 11.6型 11.6型 11.6型 10型 11.6型
解像度 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,366×768ドット 1,280×800ドット 1,366×768ドット
デジタイザー - - CTOオプション
防水 - - - - -
Wi-Fi/BT 4.0
WAN - - CTOオプション -
GPS - - CTOオプション -
NFC - CTOオプション -
フルサイズUSBポート(本体側) - - - -
キーボードドック 内蔵
重量 640g 710g 680g 750g
日本での販売 発表済み 未定 販売開始済み 発表済み(2月予定) 未定
AcerのICONIA W510。日本ではキーボードドックなしのW510とドック付きのW510Dの2ラインナップ
ASUSのViVoTab Smart。10型液晶を採用して重さ580g
DellのLatitude 10。バッテリが取り外せる唯一のWindows 8タブレット、フルサイズのUSBポートおよびSDカードスロットも便利
富士通のARROWS Tab Wi-Fi QH55/J
LenovoのThinkPad Tablet 2、詳しくは別記事参照
LenovoのIdeaTab K3011、キーボードドック付属
LG ElectronicsのTab-book H160。スライダー形式のハイブリッドPCになっている
HPのENVY X2
HPのElitePad 900、解像度が1,280×800ドットとユニークだ
Samsung ElectronicsのATIV Smart PC 500T。キーボードドック標準添付

 ただし、こ日本では発売されていない製品もあるほか、販売されていてもオプションの機能(例えばワイヤレスWANなど)は選択できない場合があるので、あらかじめお断りしておく。

 これらのマシンを見ていくと、スペックがかなり似通っていることに誰でも気がつくだろう。SoCがAtom Z2760で共通なのはもちろんだが、他のスペック(メモリやストレージ)もほとんどの製品が最大で2GB/64GB、Wi-Fi/Bluetooth 4.0は全製品で標準搭載、液晶パネルは10型ないしは11.6型で、解像度は1製品を除き1,366×768ドットとなっており、基本部分に差が無いことがわかる。

 さらに詳細に見ていくともっと面白いことが見つかる。今回のAtom Z2760を搭載している製品の無線コントローラとしてBroadcomの「BCM4330」がほぼ例外なく採用されているのだ。すでに述べたとおり、Atom Z2760ではWi-Fiを接続するバスとしてPCI ExpressやPCIのような汎用バスではなく、SDIOが利用されているため、確かに選択肢は多くない。それでも例外があってもよさそうだが、そうではないのだ。

 この背景には、IntelがAtom Z2760のデザインをOEMメーカーに渡す時に、こうした無線コントローラとそのWindows用のドライバなどもIntel経由で渡していることにある。実際、IntelがOEMメーカーに対して配布しているドライバのアップデートパッケージには、Intelのドライバだけでなく、このBCM4330のWi-Fi/Bluetoothドライバ、さらにはGPSやNFCのドライバなどが含まれている。

 このように、SoCだけでなく、Intel製ではない周辺部分も含めてIntelから提供している現状について、Intel モバイルコンピューティング事業部 ビジネスライン課長 ジョン・ウォレス氏は「Atom Z2760ではプラットフォームリファレンスデザインの手法が採用されている。我々はタブレット向けの製品を設計する際に、単にSoCを出荷すればいいとは考えなかった。周辺部分、フェームウェア、ソフトウェア、OSも含めて1つのデザインと認識しており、Microsoft、開発パートナーとなるOEMメーカーと協力してリファレンスデザインを開発し、それを提供している」と述べている。

 Intelがこうした手法を採用しているのは、Atom Z2760の投入時期をWindows 8の発表時期に合わせるためだったという。ウォレス氏は「昨年の(2012年)10月末に予定されていたWindows 8の発表時期に間に合わせるためこうした開発体制を採ってきた。もちろん、IntelがOEMメーカーのスペックを縛るということではないので、今後はもう少しバラエティに富んだスペックの製品が出てくる可能性はある」と説明する。

 今後OEMメーカーが独自のデザインを採用した製品を採用する可能性は残されているとのことなので、例えばLG Electronicsの「Tab-book H160」のようなスライダー機構を採用したハイブリッド型PCもラインナップされるなど、リファレンスデザインから外れた製品も登場しつつある。今後Atom Z2760や、その後継となるBay Trail(関連記事参照)世代などでは新しいデザインの製品に採用される可能性は十分あると言える。

現行モデルでも差別化のポイントもある

 ただ、現行世代の同じように見えるタブレットでも差別化のポイントはいくつもある。大きく見ていくと5つの点が差別化のポイントだと思う。1つ目はキーボードドックの有無、2つ目がデジタイザーの有無、そして3つ目は防水/防塵機能への対応、4つ目はフルサイズのUSB端子の有無、そして5つ目がMicro USB充電への対応だ。

 キーボードドックとは、スレート型のタブレットを装着して利用するキーボード内蔵のドッキングステーションで、キーボードおよび本体側に内蔵されているバッテリと同容量のバッテリを内蔵していることが多い。キーボードドックにドッキングすると、見た目はクラムシェル型のノートPCとして利用することができるため、Windows 8をタブレットとしてだけで無く、ノートPCとしても利用したい人には魅力的な選択肢と言える。Acerの「ICONIA W510D」もそうした製品の1つで、キーボードドックに本体と同じ容量のバッテリが内蔵されているので、キーボードドックに取り付けた状態ではバッテリ駆動時間が倍になるというメリットがある。

 デジタイザーの有無は、特にWindowsデスクトップアプリケーションを活用したいと思っているユーザーには重要になる。デジタイザーはDellの「Latitude 10」およびLenovoの「ThinkPad Tablet 2」でオプションとして用意されており、タッチの代わりにデジタルペンで操作したり、絵を描いたりできる。例えば、紙のメモの代わりにMicrosoftの「OneNote」などで手書きメモを取ろうという用途などにもデジタルペンは有益だ。

 Atom Z2760を搭載した製品の中で異色の存在となるのが富士通の「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」である。ARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jは防水/防塵に対応したデザインになっており、お風呂やキッチンといった水回りでも利用することができる。防水のPCというのはこれまでも無かったわけではないが、一般のユーザーが気軽に買える価格帯の製品は皆無だったので、そうした所でもPCを使いたかったというユーザーには朗報と言える。

 このほか、細かな部分だが、フルサイズUSBポートの有無やmicroSDカードスロット、Micro USBでの充電機能などについても注意しておきたい。多くのAtom Z2760搭載タブレットではMicro USB端子がついているが、通常のUSB機器(例えばUSBメモリなど)を利用するには付属しているMicro USB→USB A端子メス変換ケーブルを利用する必要がある。これに対してLatitude 10やThinkPad Tablet 2などではフルサイズのUSB A端子が用意されており、変換ケーブルを利用する必要が無い。USBメモリやUSB機器をよく使うユーザーであれば、こういうところもチェックしておきたい。

 また、Micro USBケーブルで充電できるかどうかも、使い勝手には大きく影響する。キーボードドックが付属しているICONIA W510Dは、付属している専用のACアダプタでしか充電できない仕様になっており、Micro USB端子からの充電ができない。これに対して、ARROWS Tab Wi-Fi QH55、ThinkPad Tablet 2などではMicro USB端子からの充電が可能になっているので、旅行時にわざわざ専用のACアダプタなどを持って行かなくても、汎用のUSBチャージャー+Micro USBケーブルで充電できるし、モバイルバッテリを利用しても充電することができる。特にモバイル環境における荷物を減らしたいと考えているユーザーにはこの点は要チェックと言えるだろう。

AcerのICONIA W510Dには標準でキーボードドックが付属してくる。キーボードドックに接続することで、バッテリ駆動時間は倍になり、18時間駆動が可能なクラムシェルノートPCになる
LenovoのThinkPad Tablet 2に付属のデジタイザペン。デジタイザペンを利用することで、Windowsデスクトップでの操作やお絵かきソフトなどでの利便性が大きく向上する
富士通のARROWS Tab Wi-Fi QH55/JはIPX5/7/8の防水とIPX5Xの防塵機能を備えている。このようにお風呂での利用も可能
LenovoのThinkPad Tablet 2はフルサイズのUSB端子の他、充電用のMicro USB端子も用意されている
DellのLattitude 10はAtom Z2760の中で唯一フルサイズのSDカードスロットが用意されている
ARROWS Tab Wi-Fi QH55にはMicro USB端子をフルサイズのUSB端子に変換するケーブルが付属している

Windows 8で新しく導入されたConnected StandbyとAtom Z2760のS0ix

 本連載でも、Atom Z2760を搭載したWindows 8タブレットの最大の魅力はConnected Standbyに対応していることだと繰り返し述べてきた。Connected Standbyは、ネットワーク接続(Wi-FiやワイヤレスWANなど)に接続したままに、システムをスタンバイ状態にする機能。Windows 8で新しくサポートされたが、すでにこれまでのスマートフォンやタブレットなどで普通に実装されてきた機能だ。つまり、スマートフォンやタブレットの使い勝手をPCにもたらすモノである。これを利用すると、ユーザーはスタンバイからの復帰にかかる時間がほぼゼロとなり、さらには電源をオンにするとメールの着信状態などを一目で確認することができるので、利便性が向上する。

 このConnected Standbyは以下のような仕組みで動作している。

【表2】Connected Standbyの仕組み
一般的なWindows PC Connected Standby 消費電力
デスクトップ Metro ネットワーク
S0 動作中 動作中 動作中 すべてのパケットが透過 高い
S0i1 - ソフトサスペンド状態 オーディオ/ビデオ再生 プッシュのみ透過 低い
S0i3 - ソフトサスペンド状態 ソフトサスペンド状態 プッシュのみ透過 かなり低い
S3 メモリサスペンド - 低い
S4 ハイバネーション - かなり低い
S5 ソフト電源オフ ソフト電源オフ ほとんどない

 Atom Z2760にはこのConnected Standbyに対応するために、新しくS0ixと呼ばれる新しい待機状態をサポートする機能が用意されている。通常、OSはACPIで規定されているステート(状態)を変化させ、省電力を行なっている。例えば、一般的なPCでは、動作中を意味するS0から、メモリサスペンド(CPUの状態をメモリに書き込みメモリにだけ通電させる待機状態)となるS3へ、さらにメモリの状態をストレージに書き出すハイバネーションを行うS4へ移行させ、最終的にOSをシャットダウンすると、ソフト電源オフと呼ばれるS5へと移行する(実際にはS1、S2もあるのだが、ここでは関係ないので割愛する)。

 ところがWindows 8のConnected StandbyではS0ステート、つまりOSが動作している状態の中で状態を変化させる。S0が動作状態であるのは変わらないのだが、S0i1というモードでは、SoCのうちオーディオやビデオを再生するエンジンだけに電力が供給されており、CPUは電力を極限まで落として動作する。さらにオーディオやビデオの再生も止まると、S0i3と呼ばれる待機モードへと移行し、CPUを再起動するトリガーとなるエンジン部分と、メモリの一部にだけ電力が入っている状態となり、ユーザーが電源ボタンを押すなどして復帰できるのを待ち受けるモードになる。このS0i3時には、システムのほとんどの部分の電力供給が停止しており、従来のS3(メモリサスペンド)と変わらないような、ほとんど電力を消費しない状態へと移行するのだ。

 さらに詳しく見ていくと、利用しているアプリケーションの種類によっても動作が違う。よく知られているようにWindows 8には2つのモードがある。従来のアプリケーションを利用するWindowsデスクトップと、新しいWindows Storeアプリケーションが利用できる新しいUIの2つだ。

 このうち、Windowsデスクトップアプリケーションに関しては、Connected Standbyモードに入ると、アプリケーションの動作が停止して、サスペンドしている状態と同じになる。例えば、デスクトップアプリケーションで音楽を再生させている状態で、Windows 8タブレットを電源スイッチを押して待機状態にすると再生は停止する。これに対してWindows Storeアプリケーションでは動作が異なっており、Windows Storeアプリケーションの音楽アプリは、画面は切れてもシステムがS0i1というモードへ移行するので、音楽再生は続けられるわけである。

 Windows Storeアプリケーションでバックグランドで動くタイプのアプリケーション(前述の音楽アプリなど)がない場合にはシステムはS0i3というモードへ移行するのはすでに述べたとおりだが、この状態でもネットワークの接続はアクティブになったままだ。この時にすべてのネットワークのパケットを透過すると、そのたびにOSが起動してしまいシステムの消費電力が増えてしまう。そこで、Windows 8ではConnected Standby中にはパケットをフィルタリングする機能が実装されており、プッシュ通知だけを受け取るように設計されている。このため、結局OSがずっとS0にあるという事態を防ぐようになっているのだ(もちろん通知をたくさん受けるようになれば、S0に戻る時間が増えるので待機時電力が増える)。

 MicrosoftはWindows 8ロゴを取得する要件として、このConnected Standbyの仕様をサポートした出荷状態で16時間の待機状態の後で、バッテリが5%しか減っていないことを要求している。この仕様で行けば、13日間は一度も充電しなくてもバッテリ駆動できる計算になる。Lenovoが公開しているデータによれば、ThinkPad Tablet 2では25日間は待機可能とのことなので、実際にはその倍ぐらいを実現しているメーカーもある。

驚異的に待機時の消費電力を削減できるS0ixとConnected Standbyの組み合わせ

 では、このConnected Standby、実際にはどの程度使えるのだろうか。実際に筆者の手元にある製品で試してみた。テストに利用したのは、富士通のARROWS Tab Wi-Fi QH55/J。比較対象として用意したのは、以下の通りで、Microsoftが米国で販売しているSurface RT(OSにWindows RTを採用したタブレット)、クアッドコアCore i7(Core i7-3720QM、Ivy Bridge)を搭載したクラムシェルノートPCのASUS N56VM(Windows 8インストール済み)の3製品だ(テスト環境は表3参照)。いずれもARROWS Tab Wi-Fi QH55/J、Surface RTはConnected Standbyに設定し、N56VMはS3メモリサスペンドへと待機状態にさせ、それぞれ24時間後のバッテリの減りをWindowsの電源通知のアイコンでチェックした。なお、Surface RTに関してはWi-Fiの認定が日本で通っているか不明だったので、Surface RTのテストは米国で同じ無線LANのアクセスポイントに接続して行なっている。いずれも満充電からACアダプタを外し、待機状態にして24時間経過後にバッテリの残パーセントから消費パーセントを計算した。

【グラフ1】待機状態にして24時間後のバッテリの減り
【グラフ2】バッテリ容量からの推定待機時消費電力

 グラフ1はWindowsから通知されるバッテリの残量表示から、待機状態で何%のバッテリを消費したのかを単純にグラフにしたものだ。言うまでもなく、製品によって搭載されているバッテリの容量が異なるので、相対値であるパーセンテージの比較には意味が無いのだが、すでに述べたようにMicrosoftはWindows 8/RTのロゴ要件で、Connected Standbyをサポートする場合には16時間で5%を超えて消費してはならないとしており、それをクリアしているのかを調べる意味でグラフにしてみた。

 この結果を見る限り、Atom Z2760を搭載したARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jは24時間経っても5%しかバッテリ残量が減っていない。つまり、計算では16時間で3.3%程度しか減っていないということになるので、十分スペックを満たしていることがわかる。一方、Microsoft自身が販売しているSurface RTは、不可解なことに24時間で12%を消費していた。計算上では16時間で8%を消費していることになるので、ロゴ要件を満たしていないことになる。

 グラフ2はスペック上のバッテリ容量(Surface RTは31.5Wh、N56VMは56Wh、ARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jは30Wh)とグラフ1の消費しているパーセンテージを利用して、24時間の待機状態でどれだけ電力を消費しているのを計算で求めた値だ。つまり、24時間の待機中でバッテリに蓄電されていた電力をどれだけ使っていたのかを示している。クアッドコアのIvy Bridgeを搭載しているN56VMが13.44Whも消費しているのに対して、Atom Z2760を搭載しているARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jはわずか1.5Whしか消費していない。前者がメモリサスペンドでOSが停止しているのにこれだけ消費しているのに比べて、Connected StandbyのAtom Z2760が待機中でネットワークに接続されているままであるのにこれしか消費していないのは十分驚きに値するだろう。

ACアダプタに接続しなくても2日間は使えてしまう新しいWindows PCのカタチ

 このように、威力抜群のConnected Standbyなのだが、実際のモバイル環境ではやや困ったこともある。具体的には、日本で一般的に利用されているWi-Fiルーターと組み合わせて利用する場合だ。日本のポータブルWi-Fiルーターは、Wi-Fi通信が行なわれていない場合には、3G/WiMAXといったWAN側の通信をオフにして消費電力を抑える機能を持っている。このポータブルWi-Fiルーターの機能を利用するには、機器(タブレットやスマートフォン)側が待機状態の時にはWi-Fiをオフにする機能を持っていないといけないのだが、Windows 8のConnected Standbyではそうした機能がないため、常にWi-Fiが接続されたままになり、ポータブルWi-Fiルーターが待機状態へ移行することができないのだ。

 ポータブルWi-Fiルーターは仕組み上、WAN側の消費電力が非常に大きく、待機時にはWAN側や機器自体をオフにするスリープ機能と組み合わせて利用しないと、すぐに電池がなくなってしまう。もちろん、手動でポータブルWi-Fiルーターの電源をオフにすればいいのだが、それをすぐに忘れてしまう人間もいるだろう。そうした意味では、Windows 8にもバッテリ駆動時にConnected StandbyになったときにはWi-Fiをオフにするというオプションがあっても良いと思う。もちろんそれじゃ“Connected”じゃないだろうという議論はあると思うが、それはユーザーの選択に任せるべきだと筆者は思う。いずれにせよ現状ではサポートされていないので、使おうと思うなら注意が必要だ。

 ただ、すでに見てきたように、Connected Standby+Atom Z2760の威力は絶大だ。実際、筆者はARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jを持ち歩いて利用しているが、Webを見たり、メールに返事したり、電子書籍を見たりという用途で、大まかにいって1日で5時間ぐらい使い、未使用時はConnected Standbyにしておくという形で1日使っても、バッテリの残量はまだ50%以上あった。同じような使い方をして次の日も使ったのだが、1日使って帰って来てもまだバッテリは10%程度は残っていた。

 おそらく多くの読者もそうだと思うが、これまでノートPCを外に持ち出して外で利用する場合、ACアダプタを使える環境では、すぐにACアダプタで充電するのが習慣になっていたと思うが、少なくともAtom Z2760ではその必要性はない。もちろん集中してずっと使えば話は別だと思うが、ちょっと使って、スリープしてという使い方なら1日〜2日は余裕でバッテリで使えてしまう。従来のWindowsノートPCでの常識を知っている身からすれば、まさに「革命的」である。

 筆者が率直に思うのは、MicrosoftがWindows 8のSKU構成を決定するときに、Connected Standby有りと無しの区別をしなかったのは失敗だったということだ。それほど、Connected StandbyをサポートしているWindows 8マシンと、サポートしていないWindows 8マシンは異なるユーザー体験なのだ。バッテリ駆動時間やiOSやAndroid OSタブレットと同じような使い勝手をWindowsタブレットに求めるのであれば、そのマシンがConnected Standbyに対応しているかどうかは要チェックと言っていいのではないだろうか。

パフォーマンスではTegra 3とほぼ同等、Atom Z500シリーズから大きな性能向上

 Atom Z2760の性能を確認するためにいくつかのベンチマークを行なった。通常であれば、SYSmarkなどのシステムレベルで性能を確認するベンチマークを行なうところだが、テストに利用する比較対象にx86アーキテクチャではないSurface RTも含まれていたため、一般的なベンチマークではなくWindowsに標準のベンチマークとして用意されているWinSATを利用した。

 WinSATはWindowsのコマンドラインで実行できるテストで、Windowsのシステムのプロパティに表示される「Windowsエクスペリエンスインデックス」を決定する材料として利用される。Windows RTではWindowsエクスペリエンスインデックスは表示されないが、WinSATコマンドそのものは用意されており、x86版のWindows 8で実行しているのと同じテストが実行できる。比較対象としては、前出のSurface RT、クアッドコアCore i7搭載のASUS N56VMの他、Atom Z560(2GHz)を搭載したVAIO Pを用意した。

 また、Android OSを採用したNexus 7とTF201を加えたテストでは、OSの起動時間とJavaScriptのベンチマークを実行した。OSの起動時間は電源オンからログオン画面がでるまでの時間を手動で3回計測し、その3回のうちの中間のタイムを採用した。JavaScriptのテストでは、Googleが用意しているOctaneを利用した。Internet Explorerに比べてChromeを利用した場合の方がよい結果が出るため、公平を期すためにWindows 8ではInternet Explorer 10とChrome(v24.0.1312.56 m)の両方で実行した(Windows RTにはChromeが用意されていないので、Internet Explorerだけの結果となる)。結果はグラフ3〜8と表4で、テスト環境は表3となる。

【表3】ベンチマークテスト環境
Nexus7 TF201 VAIO P N56VM Surface RT Arrows Tab Wi-Fi QH55/J
プロセッサ Tegra3(T30L) Tegra3(T30) Atom Z560 Core i7-3720QM Tegra3(T30) Atom Z2760
GPU NVIDIA GeForce LP NVIDIA GeForce LP Intel GMA500(PowerVR) HD Graphics 4000/GeForce GT 630M NVIDIA GeForce LP PowerVR SGX 545
メモリ(容量) DDR3L(1GB) DDR2(1GB) DDR2(1GB) DDR3(8GB) DDR3(2GB) LPDDR2(2GB)
ストレージ 8GB(eMMC) 64GB(eMMC) 128GB(PATA) 500GB(SATA HDD) 32GB(eMMC) 64GB(eMMC)
OS Android 4.2 Android 4.1 Windows 7 Home Premium(32bit) Windows 8 Pro(64bit) Windows RT Windows 8(32bit)
【グラフ3】WinSAT(CPU/マルチスレッド)
【グラフ4】WinSAT(CPU/シングルスレッド)
【グラフ5】WinSAT(メモリ帯域幅)
【グラフ6】WinSAT(Disk)
【グラフ7】WinSAT(Graphics)
【グラフ8】OS起動時間
【表4】JavaScriptベンチマーク
Nexus7
(Chrome)
TF201
(Chrome)
VAIO P
(IE10)
VAIO P
(Chrome)
ASUS N56VM
(IE10)
ASUS N56V
(Chrome)
Surface RT
(IE10)
Arrows Tab Wi-Fi QH55/J
(IE10)
Arrows Tab Wi-Fi QH55/J
(Chrome)
Overall 1336 1347 737 2317 4366 17049 662 972 2392
Richards 1962 2313 883 2937 8896 16578 847 1347 3005
Deltablue 2567 2596 306 3636 4549 21006 416 519 3471
Crypto 2842 2984 1355 3126 12069 19097 1095 1842 3019
Raytrace 1481 1460 237 2724 2580 23263 239 304 2781
EarleyBoyer 3461 3336 341 6158 3226 40134 309 400 6502
Regexp 470 437 558 769 3357 4951 375 581 737
Splay 728 742 460 559 4551 6617 423 586 652
NavierStokes 444 556 1265 4015 10905 24536 768 1550 3951
pdf.js 1915 1718 1735 2706 14219 18069 1543 2059 2683
Mandreel 1104 1003 637 2204 5463 16454 431 741 2025
GB Emulator 1836 1910 1753 2736 690 18637 1871 2114 3072
CodeLoad 1605 1599 2025 2923 13903 18769 1717 2546 2876
Box2DWeb 623 579 502 1312 415 20094 631 896 1619

 グラフ3〜グラフ7のWinSATの結果だけを見れば、依然としてCoreプロセッサ(今回はクアッドコアのCore i7-3720QM)とAtom系の性能に大きな差があることは見て取れるだろう。それ自体は何も不思議なことではない。TDPが1.7WのAtom Z2760と、TDPが45WのCore i7-3720QMでは、それぐらいの性能差が無ければ逆に困るだろう。

 問題は、Atom Z2760が実際に使い物になるパフォーマンスを持っているのかと言うことだろう。それを理解するには、Androidタブレットの多くで採用されているTegra 3を搭載したSurface RTとの比較がもっともわかりやすいだろう。もうまもなく後継のTegra 4が発売されるが、NVIDIAのTegra 3はARMアーキテクチャのSoCとしては高性能な部類のSoCだ。そのTegra 3と比較してどうかと言えば、CPUの処理能力に関してはマルチスレッドの処理能力に関してはほぼ互角か、若干劣る程度だ。注目したいのはシングルスレッド時の性能で、これは明確にAtom Z2760がTegra 3を上回っていることが見て取れる。これは小さなコアを4つ持っているTegra 3と(相対的に)大きなコアが2つのAtom Z2760の違いと考えることができるだろう。

 また、Atom Z2760の性能という意味では、VAIO Pに搭載されているAtom Z560との比較にも注目したい。Atom Z560はAtom Z5xxシリーズの最上位SKUになっており、従来のAtomとの差を見るにはこの違いがわかりやすい。この比較で言えば、シングルスレッド時の性能は若干の性能向上に留まっているが、マルチスレッド時には2倍以上の性能向上を実現している。これはAtom Z560(2GHz)に比べてAtom Z2760は1.5GHz(ターボ時に1.8GHz)とクロック周波数が下がっているが、デュアルコア化されていることが影響していると考えられる。

 Windows VistaやWindows 7で、「Atomが遅い」と感じる原因となっていたグラフィックス性能に関しても、Atom Z2760では大きく改善されていることがグラフ7からわかる。VAIO Pで採用されているAtom Z560のグラフィック性能は非常に低かったのに対して、Atom Z2760のグラフィックスは、Tegra 3を搭載しているSurface RTとほぼ同等か若干低い程度だ。もちろん、Core i7の内蔵グラフィックス+GeForce GT 630Mを搭載している「N56VM」に比べれば低く、「PC向け3Dゲームを快適に」というレベルではないのは事実だが、少なくともTegra 3レベルの性能は持っているわけである。

 Androidデバイスとの比較という意味では、グラフ8の起動時間と表4のJavaScriptベンチマークの結果に注目したい。Tegra 3を搭載した「TF201」、「Nexus 7」がいずれも30秒を超え、TF201に関しては50秒もコールドブートにかかっているのに対して、Atom Z2760を搭載したARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jは27秒でOSが起動した。それでもクアッドコアCore i7を搭載したN56VMよりは若干遅いのだが、十分な時間と言えるのではないだろうか。ログインしてからも砂時計で待たされるということもなく、快適に利用できているということも付け加えておきたい。

 表4のJavaScriptベンチマークではARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jと、AndroidのNexus 7/TF201との差に注目したい。いずれも、ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J(ただしChromeを利用した場合)の方がよりよい結果を出しており、JavaScriptを多用するようなWebページを閲覧する場合には、ARROWS Tab Wi-Fi QH55/Jの方が快適に利用できることを意味している。もちろん、Coreプロセッサを搭載したノートPCとは比較にならないが、筆者個人の体感としては不満無くWebサイトを閲覧することができているということを付け加えておきたい。

AtomはWindowsを快適に使えないという常識は過去のモノに

このようにキーボードやマウスを利用すれば、普通のWindows PCとしても十分利用可能。タブレットとしても、コンテンツクリエーション向けのWindows PCとしても利用できる二面性こそがWindows 8タブレットの魅力だ

 このように、Atom Z2760は性能で言えばTegra 3に匹敵するか、項目によっては上回るパフォーマンスを持っていることがわかる(これからTegra 4が出るので、そうなればまた話は変わってくるだろうが……)。

 また、もう1つ強調しておきたいのは、Atom Z2760は従来のユーザーがイメージとして持っている「Atomは遅い」とは別物だということだ。ベンチマーク結果からも明らかのように、ユーザーがAtom Z5XXが遅いと感じる最大の要因はGPUの性能が十分ではなかったことだし、特にマルチスレッド時の性能が十分ではなく、複数のアプリケーションを同時に走らせた時の性能が不満だと感じることが多かった。しかし、Atom Z2760では、GPUはPowerVR SGX 545へと強化され、CPUもデュアルコアになったことでマルチスレッド時にもTegra 3に匹敵する性能を得ており、大きく改善されている。実際、筆者もAtom Z2760マシンで仕事してみたりしているが、写真の編集のようなCPUの絶対性能が必要な場合は別にして、原稿を書いたり、Excelで表を編集するぐらいなら不満を感じたことはなく、快適とまでは言わないが、実用十分だと感じている。スレート型の製品でも、Bluetoothのキーボードやマウスなどを接続すれば、クラムシェル型のノートPCを使っているのと全く同じ感覚で、しかも1日中バッテリ駆動できる。

 つまり、Atom Z2760は、Windows PCとして一般的な利用には十分な性能備えつつ、iOS/Androidタブレットと同じ使い方を実現し、さらには10時間を超えるような長時間バッテリ駆動、そして従来のWindowsで使っているのと同じアプリケーションがそのまま動く、これらのメリットを備えた兼ね備えた、バランスに優れたプラットフォームと言っていい。モバイル環境でフルWindowsの機能を使うユーザーであれば、従来の考えや印象を払拭し、検討してみる価値は大いにある。

(笠原 一輝)