西川和久の不定期コラム

マウスコンピューター「MB-P930X2-SH」

~4K/3,840×2,160ドットIGZO搭載15.6型ノートPC!

マウスコンピューター「MB-P930X2-SH」

 マウスコンピューターは11月14日、GeForce GTX 970M(3GB)を搭載する15.6型ノートPC「m-Book P」シリーズ10モデルを発売した。MB-920系はフルHD、MB-930系は4K IGZOディスプレイを搭載する。今回は後者が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

Core i7とGeForce GTX 970Mのパワーに4K/IGZOディスプレイが魅力的

 冒頭に書いたように、MB-920系はフルHD、MB-930系は4K IGZOディスプレイを搭載。発表された10モデルの内訳は、8GB/HDD 500GBの「MB-P930B」(169,800円)、「MB-P920B」(139,800円)。16GB/SSD 128GB+HDD 500GBの「MB-P930S-SH」(189,800円) 、「MB-P920S-SH」(159,800円)。16GB/WD Black2(SSD 120GB+HDD 1TB)の「MB-P930S-BK2」(189,800円)、「MB-P920S-BK2」(159,800円)。16GB/M.2 SSD 256GB+HDD 1TBの「MB-P930X-SH」(209,800円)、「MB-P920X-SH」(179,800円)。32GB/M.2 SSD 256GB+HDD 2TBの「MB-P930X2-SH」(229,800円)、「MB-P920X2-SH」(199,800円)。

 このように、搭載メモリとストレージ、そしてパネルの違いとなっている。そのほかの部分は共通だ(全て税別)。同じ構成なら4K IGZOディスプレイのMB-930系が3万円アップとなる。

 またOSは基本的に64bit版のWindows 8.1 Updateであるが、最後の32GBモデルのみ64bit版Windows 8.1 Pro Updateがプリインストールされる。今回手元に届いたのは最上位の「MB-P930X2-SH」。主な仕様は以下の通り。

マウスコンピューター「MB-P930X2-SH」の仕様
プロセッサCore i7-4710HQ(4コア/8スレッド、クロック2.5GHz/3.5GHz、キャッシュ6MB、TDP 47W)
メモリ32GB(PC3-12800/8GB×4)
ストレージM.2 SSD 256GB+HDD 2TB
OSWindows 8.1 Pro Update(64bit)
ディスプレイ15.6型(光沢)IGZOディスプレイ、3,840×2,160ドット(4K)、タッチ非対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600、GeForce GTX 970M(3GB)
Mini DisplayPort×2、HDMI×1
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0+LE
その他USB 3.0×4(うち1つはeSATA兼用)、SDカードスロット、200万画素Webカメラ、音声入出力
バッテリ駆動時間最大約4.1時間
サイズ/重量約385×275×27mm(幅×奥行き×高さ)/約2.5kg
価格229,800円(税別)

 プロセッサはCore i7-4710HQ。4コア8スレッドで、クロックは2.5GHzから最大3.5GHz。キャッシュは6MB、TDPは47W。メモリは4スロットあり、PC3-12800の8GB×4を搭載済み。ノートPCで最大32GBと言うのはあまり見かけない構成で強力だ。ストレージは、M.2 SSD 256GBとHDD 2TB。OSは先に書いたように、このモデルのみ64bit版のWindows 8.1 Pro Updateとなっている。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600と、第2世代Maxwellアーキテクチャで28nmプロセス技術のGeForce GTX 970M(3GB)。必要に応じてシームレスにグラフィックス機能を切り替えるNVIDIA Optimus対応だ。外部出力用として、Mini DisplayPort×2、HDMI×1と、デスクトップPC並みの出力を備えている。

 ディスプレイは、15.6型(光沢)IGZOディスプレイを採用し、解像度は4Kの3,840×2,160ドット。タッチには対応していない。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11b/g/n。Bluetooth 4.0+LEも搭載している。ただこのクラスとなると、IEEE 802.11acも欲しいところ。

 そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×4(左側面×1、右側面×2、背面×1)、SDカードスロット、200万画素Webカメラ、音声入出力。USB 3.0のうち1つの背面にあるポートはeSATA兼用となる。

 サイズは約385×275×27mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.5kg。バッテリは内蔵式で着脱は出来ないタイプだ。バッテリ駆動時間は最大約4.1時間。少し短いようにも思うが、本機の性質上、特に問題にならないだろう。

 価格は229,800円(税別)。今回発表された「m-Book P」シリーズの中では最上位と言うこともあり、それなりに高価だ。ただ仕様を考えると妥当なところである。

前面。パネル中央上に200万画素Webカメラ、正面側面左側に各種インジケータ
背面。電源入力と、USB 3.0兼eSATAコネクタ。電源ケーブルも含め、外部に大容量HDDなどを接続した場合もこの位置ならケーブルが邪魔にならない
下面。メモリなどにアクセス可能な小さいパネルはない。ノートPCとしては多くのファンを内蔵しているのが分かる
斜め後ろ。トップカバーは、メタリックでヘアライン仕上げの(少しブラウンがかった)ブラック。全体的に重厚な雰囲気がある
左側面。HDMI出力、USB 3.0、Mini DisplayPort×2。キーボードはオフ/弱/強の3段階式バックライトを搭載している
キーボード。アイソレーションタイプでテンキー付き。一部キーピッチが狭くなっているものの、いびつな並びはない。上の左右メッシュ部分にスピーカーを内蔵
右側面。ロックポート、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、SIMカードスロット、SDカードスロット、音声入出力。ただしSIMカードスロットは機能しない
キーピッチ。実測で約19mm
ACアダプタ。サイズは約165×80×35mm(同)、重量839gとヘビー級だ

 筐体は天板やパームレストにはアルミヘアライン加工が施されており、少しブラウンがかったブラックは重厚感がある。持った時には(良い意味で)冷たさを感じる質感だ。バッテリは内蔵式で着脱できない。

 前面は、パネル中央上に200万画素Webカメラ、正面側面左側に各種インジケータ。背面に電源入力とUSB 3.0兼eSATAコネクタがある。ACアダプタからのケーブルも含め、HDDを増設した時、この位置なら邪魔にならない。裏はメモリなどにアクセスできる小さパネルはなく、いくつかファン用のスリットが見える。ノートPCとしては多めだ。付属のACアダプタは、サイズ約165×80×35mm(同)、重量839gと、本体同様ヘビー級のものが使われている。

 左側面は、HDMI出力、USB 3.0、Mini DisplayPort×2。Mini DisplayPortが2つあるのはノートPCとしては珍しい。右サイドは、セキュリティロックポート、Gigabit Ethernet、USB 3.0×2、SIMカードスロット、SDカードスロット、音声入出力。ただしSIMカードスロットは機能しない。

 3,840×2,160ドット(4K)の15.6型(光沢)IGZOディスプレイは、IGZO固有の少しギラギラ感があるものの、発色/コントラスト/明るさともに十分。また視野角も広め。クオリティの高いパネルであることが分かる。

 キーボードはテンキー付きのアイソレーションタイプで、オフ/弱/強3段階のバックライトも装備している。キーピッチは主要キーで約19mm。一部狭いキーもあるが、15.6型とフットプリントも広めなので、比較的余裕がある。タッチパッドは2ボタン式だ。クリックが少し深めの印象だ。

 ノイズや振動に関しては気にならなかったが、左側にあるスリットからかなり温かい排気がある。強力なCPUとGPUを内蔵しているので仕方ないところだろう。

 サウンドは、キーボード上部のスリット部にスピーカーがあるため、直接音が耳に届きクリアだ。Creative Sound Blaster X-Fi MB3を搭載していのでクオリティも十分。欲を言えば今一歩パワーがあれば迫力が増しそうだ。

ノートPCとしては文句なしのパフォーマンス

 OSは64bit版のWindows 8.1 Pro Update。メモリを32GB、そしてSSD搭載なので、起動や終了も含め、何をしても非常に高速だ。初期起動時のスタート画面は1画面、「じゃらん」以降がプリインストールのアプリとなる。デスクトップは壁紙はOS標準のまま、左側にアプリなどのショートカットが1列ある。タスクトレイの常駐は11とやや多めだろうか。

 ストレージは、SSDがM.2規格で256GBの「PLEXTOR M62」。HDDは、2TB/5,400rpm/32MBの「Seagate/SAMSUNG ST2000LM003(HN-M201RAD)」を搭載している。SSDはC:ドライブのみの1パーティションで約223GBが割り当てられ、空きは159GB。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、Bluetoothは全てRealtek製で構成されている。

スタート画面1。「じゃらん」以降がプリインストールアプリ
起動時のデスクトップ。壁紙はOS標準のまま、左側にアプリなどのショートカットが1列ある
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは、SSDがM.2規格で256GBの「PLEXTOR M62」。HDDは、2TB/5,400rpm/32MBの「Seagate/SAMSUNG ST2000LM003(HN-M201RAD)」。Gigabit Ethernet、Wi-Fi、Bluetooth全てRealtek製
SSDのパーティション。SSDはC:ドライブのみの1パーティションで約223GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア1280、グラフィックスクロック924MHzなどが分かる

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリが「Fresh Paint」、「Hulu」、「LINE」、「NAVITIME」、「R25 for Windows8」、「Yahoo!天気・災害」、「じゃらん」、「ホットペッパーグルメ」、「ムビチケ」、「楽天gateway」など。一般的なものばかりなので画面キャプチャは掲載していない。

 デスクトップアプリは、「AOSBOX for mouse」、「Creative Sound Blaster X-Fi MB3」、「Quick Time」、IntelやNVIDIAのツール系、「マカフィーインターネットセキュリティ」。AOSBOXは、Cloudタイプのバックアップツールだ。

アプリ画面1
アプリ画面2
AOSBOX for mouse
Creative Sound Blaster X-Fi MB3
Flexikey

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、ディスクリートGPU搭載機なので3DMarkの結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は4コア8スレッドと条件的には問題があるため参考まで)。なお、PCMark 8 バージョン2はいろいろ条件を変えて試したもののエラーになり途中で止まってしまうので今回は掲載できなかった。参考までに、同社の製品ページにはPCMark 8 Creativeにおいて4244のスコアであると掲載されている。

 winsat formalの結果は、総合 5.7。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 8.35。3DMarkはIce Storm 83016、Cloud Gate 19907、Fire Strike 6493。CrystalMarkは、ALU 75741、FPU 68913、MEM 64835、HDD 44915、GDI 18383、D2D n/a、OGL 45050。

 以前に、Core i7-4710MQとNVIDIA GeForce GTX970M(3GB)を搭載した、ドスパラ「GALLERIA QF970HE」(HDDモデル)を紹介しているが、ストレージ以外は非常に良く似た結果となっている。

 BBenchは、省電力、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で13,970秒/3.8時間。仕様の4.1時間より若干短いもののほぼ同じ結果となった。

「winsat formal」コマンド結果。総合 5.7。プロセッサ 8.2、メモリ 8.2、グラフィックス 5.9、ゲーム用グラフィックス 5.7、プライマリハードディスク 8.35
3DMarkの結果。Ice Storm 83016、Cloud Gate 19907、Fire Strike 6493
BBenchの結果。省電力、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で13,970秒/3.8時間
CrystalMark。ALU 75741、FPU 68913、MEM 64835、HDD 44915、GDI 18383、D2D n/a、OGL 45050

 以上のようにマウスコンピューター「MB-P930X2-SH」は、Core i7-4710HQ、GeForce GTX 970M(3GB)、そして4K対応15.6型(光沢)IGZOディスプレイを搭載した、持ち運べるハイパフォーマンスマシンだ。筐体も重厚感があり、仕上げもなかなか良い。

 バッテリ駆動時間が短めなのは気になるものの、4Kも出力できるハイエンドノートPCを求めているユーザーにお勧めしたい製品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/