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LG Electronics「25UM65-P」

~コンパクトな21:9ウルトラワイド液晶ディスプレイ

25UM65-P
液晶サイズ25型
パネル方式AH-IPS方式
表示解像度2,560×1,080ドット
アスペクト比21:9
画素ピッチ0.2286×0.2286mm
表面処理アンチグレア
タッチパネルなし
バックライト方式LED
応答速度5ms(GTG)
コントラスト比1,000:1(標準、ダイナミックコントラスト有効時5,000,000:1)
視野角水平178度/垂直178度
輝度250cd/平方m
表示色約1,677万色
走査周波数水平:30kHz~90kHz
垂直:56~75Hz(HDMI:56~61Hz)
チルト角度下5度、上20度
高さ調節なし
スイベルなし
ピボット機能なし
入力端子DVI-D×1
DisplayPort×1
HDMI×2
ステレオミニジャック
出力端子ヘッドフォン出力
スピーカー3W+3W
VESAマウント対応(75×75mm)
電源ACアダプタ
消費電力標準31W
付属品HDMIケーブル
オーディオケーブル
ACアダプタ
ソフトウェアCD-ROM
本体サイズ609×188.4×383mm(幅×奥行き×高さ)
重量4.1kg

 LG Electronics Japanは、シネマスコープに近い、アスペクト比21:9のウルトラワイド液晶ディスプレイ新モデルを5機種発表した。これまでも同社は、アスペクト比21:9の液晶ディスプレイとして、表示解像度2,560×1,080ドットの29型モデル「29EA93-P」や「29EA73-P」などの製品を発売してきた。それに対し今回の新製品では、複数の画面サイズをラインナップするとともに、高解像度表示に対応する製品も用意し、より幅広いユーザーのニーズに対応できるようになっている。

 今回は、その新製品の中から、最もコンパクトな25型モデル「25UM65-P」を取り上げる。3月下旬より発売を予定しており、価格はオープンプライス、実売予想価格は34,000円前後。

本体デザイン

 本体デザインは、アスペクト比21:9の従来モデルと大きく変わらない。スタンド部の形状こそ、従来モデルの環状の独特なデザインではなく、一般的な平面のスタンドを採用しているが、液晶パネル部は1.1mmの「狭額縁デザイン」を採用する点などは従来モデルを踏襲している。ただ、1.1mmの狭額縁とはいっても、実際の画面表示領域から側面までの幅は10.1mmあるため、1.1mmの狭額縁という表記は少々強引と感じる。それでも、表示領域から側面までの幅10.1mmというのは、なかなかの狭額縁であることは間違いないだろう。

 カラーはブラックで、液晶部背面やスタンドは光沢処理が施されている。ただし、樹脂製の素材感が直接感じられることもあり、高級感はあまり感じられない。

 本体サイズは、609×188.4×383mm(幅×奥行き×高さ)。横幅は、アスペクト比16:9の24型製品よりわずかに大きい程度で、設置場所の確保に苦労することはなさそうだ。スタンドは、前方5度から後方20度のチルト調節にのみ対応し、高さ調節やスイベル機構などは備えない。なお、75×75mmのVESAマウント用ネジ穴が用意されているため、別途アームを活用すれば、角度調節などの自由度を高められる。

 電源ボタンやOSD操作ボタンは、液晶下部中央に配置されている。この操作ボタンはジョイスティック型となっており、直感的なOSD操作が行なえる点は嬉しい。

液晶パネル

 2,560×1,080ドット表示対応の25型ウルトラワイド液晶パネルを採用。パネルの方式はAH-IPS方式。視野角は上下/左右ともに178度とされている。特に左右の視野角は広く、多少視点を移動させても色合いや明るさの変化はほとんど感じられない。ただ、上下の視野角はやや狭いようで、視点を上下に移動させると、やや色合いの変化が感じられたのは少々気になった。

 パネルの表面はアンチグレア処理となっており、外光の映り込みはほとんど気にならない。文字入力作業の多いビジネス用途でも、申し分なく対応可能と言える。タッチパネルは非搭載だ。

 バックライトはLEDで、輝度は250cd/平方m。まぶしいと感じるほどではないが、十分な明るさが確保されている。コントラスト比は標準で1,000:1、ダイナミックコントラスト有効時で500万:1と、従来モデルと同等。応答速度はGTGで5msと、IPSパネルとしてはほぼ標準的だ。

接続端子

 映像入力端子は、DVI-D×1系統、DisplayPort×1系統、HDMI×2系統の4系統を用意。アナログRGB入力はないが、大きな問題はないだろう。

 映像以外の端子としては、サウンド入力端子とヘッドフォン出力端子を備える。25UM65-Pは3W+3Wのステレオスピーカーを搭載しており、DisplayPortとHDMI、サウンド入力経由の音声を再生できる。スピーカーは液晶面下部に搭載。スピーカーの音質は、液晶ディスプレイ内蔵スピーカーとしては標準的なもので、特別高音質というわけではない。音楽や映像再生時の音質にこだわるなら、ヘッドフォンや外部スピーカーを利用するべきだが、OSやアプリの告知音などを再生するといった用途なら、特に不満はない。

 接続端子は、全て液晶部背面に用意されている。ヘッドフォン出力端子も背面に用意されている点は、少々使いにくく感じる。できれば、側面などアクセスしやすい場所に配置してもらいたかった。

OSD

 OSDは、液晶下部中央に用意されているジョイスティック型のボタンを使って操作する。ジョイスティック型のボタンは押し込みも可能となっており、まずボタンを押し込むと画面中央下部に円形のメニューが表示され、そのメニューから機能を選ぶことでメインのOSD操作画面が表示される。

 OSDは画面右側に、画面の上から下まで全領域を使って大きく表示される。表示が大きいため、メニューは非常に見やすい。また、カーソル操作は、上下左右に自在に操作できるジョイスティック型のボタンを使うため、直感的で軽快な操作が可能。一般的な液晶ディスプレイでは、横や縦に並ぶボタンを使った操作となり、OSDの操作時にイライラすることが多かったが、25UM65-Pならそういった心配は皆無だ。

 設定項目も豊富で、明るさ、コントラスト、色温度の設定はもちろん、色合いはRGBCMYの6色調節が可能。2系統入力の同時表示を行なうPBP設定では、メインとサブの入力ポートの設定やサウンド再生の優先ポートなども細かく設定できる。このクラスの液晶ディスプレイとしては、OSDの設定項目はかなり充実していると言っていいだろう。

画質

 25UM65-Pでは、sRGBカバー率99%の広色域パネルを採用しており、発色性能の高さも特徴となっている。実際に表示される映像を見ると、発色は十分に鮮やかで、デジタルカメラで撮影した写真のレタッチ作業なども申し分なく行なえそうだ。また、ハードウェアキャリブレーションにも対応しているため、利用環境を問わず最大限の表示能力を引き出せる。ただ、表面がアンチグレア処理となっている関係もあってか、全体的にわずかに白っぽく感じる。また、光沢パネルに比べると、発色の鮮やかさやコントラストはわずかに劣るという印象も受ける。とはいえ、安価な液晶ディスプレイのような表示品質の低さは全くなく、表示品質に不満を感じることはないだろう。

 先ほど、パネルは上下の視野角がやや狭く感じると紹介したが、実際に使っている場面では、上下への視点移動は少ないはずで、その点が気になることはほとんどないだろう。また、画面はかなり横に広いが、輝度ムラはほぼ感じられず、全体的に均一な明るさとなっている。かなり横長の画面ではあるが、ほぼ均一な表示品質が得られる点は好印象だ。

 応答速度はGTGで5msとなっているが、実際には数字よりもやや応答速度が遅い印象を受ける。特に、高速なスクロールが多発するゲームなどでは、残像が気になる場面があった。それでも、OSDでオーバードライブを設定することである程度の軽減は可能で、オーバードライブ機能を活用すれば、動画再生時などに残像を感じる場面は減る。入力遅延はそれほど大きくなく、家庭用ゲーム機を接続し、シビアな入力を要求するゲームをプレイしてみたが、大きな違和感なくプレイ可能だった。

 面白い表示機能としては、「ブルーライト低減モード」と呼ばれる機能を搭載している点だ。これは、青色光を弱め、長時間画面を見続ける場合の目の疲れを低減するというもので、2段階の調節が可能となる。青色光が弱まるため、色合いは変化するものの、文字入力中心の作業であれば色合いの変化も気にならない。実際の効果は不明だが、長時間利用する場面の多いビジネス用途で有効活用できそうだ。また、電流量を調整してバックライトの明るさを調節する「DC調光方式」を採用することにより、表示映像のちらつきを抑える「フリッカーセーフ」機能も合わせ、目の疲れを低減する機能を搭載する点もポイントと言える。

 画面サイズが25型と他より小さいことと、横長のアスペクト比ということで、どうしても画面の縦の幅が狭くなってしまう。サイズこそ25型だが、実際には画面はかなり小さく感じる。そのため、映像などを表示した場合の迫力という点では、29型以上のモデルに劣る。

 ただこれは、省スペース性に優れるという意味でもある。フルHDの24型ディスプレイとほぼ同等のスペースに設置できるため、設置場所の確保も容易だ。もちろん、画面サイズは小さいとはいっても、表示解像度は他の21:9のパネルと同じで、情報量はフルHD液晶を大きく凌駕。デュアルディスプレイ環境に匹敵する情報を1度に表示できるため、作業効率を大きく高められるのは魅力だ。複数のアプリを並べて利用する場合でも、それぞれのアプリに十分な表示領域を確保でき、複数のアプリの表示を自動的に整列させるツールも付属し、便利に活用できる。液晶表面がノングレア処理となっている点や、目の疲れを抑える機能などから、特にビジネス用途での利用に魅力がある。これまで21:9ウルトラワイド液晶に興味はあっても、設置場所の確保の点で断念していた人に特におすすめしたい製品だ。

(平澤 寿康)