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「ラブライブ!」にもうってつけ。NEC「LaVie Tab S TS508/T1W」

~フルHDでBay Trail-T搭載の8型タブレット

NECパーソナルコンピュータ「LaVie Tab S TS508/T1W」

 NECパーソナルコンピュータの「LaVie Tab S」シリーズは、2013年11月に初代のモデルが発売。ちょうど1年後の2014年11月に第2世代の「LaVie Tab S TS508/T1W」が発売になった。

 初代の「LaVie Tab S」は、7型サイズで、液晶の解像度は1,280×800ドット、プロセッサはMT8125(1.2GHzクアッドコア)を採用していたが、第2世代では8型となって本体が一回り大きくなり、ディスプレイ解像度は1,920×1,200ドット(フルHD)に向上。プロセッサはBay Trail-TシリーズのAtom Z3745(1.33GHzクアッドコア)が採用され、同じシリーズでありながらフルモデルチェンジに近い進化を遂げている。なお、これに伴い実売価格も約4,800円上昇している。

 また、第2世代からWi-Fiモデル(TS508/T1W)に加えて、SIMロックフリーのLTEモデム内蔵版(TS708/T1W)が追加された。日本でも低価格なMVNOのSIMカード販売が徐々に広がりを見せており、キャリアに縛られない本機のような製品は、より安価にしかもテザリングやWi-Fiルーターを必要としない単独で通信可能なタブレットとして、ユーザーの選択の幅を広げてくれるものだ。今回はWi-Fiモデルをお借りできたので、レビューをお届けする。

基本仕様は標準的、価格が下がれば市場競争力は十分

 具体的にスペックを見ていこう。前モデルも含めたスペックは以下の通り。

メーカー名NECNECNEC
型番TS708/T1WTS508/T1WTS507/N1S(旧モデル)
実売価格39,800円前後32,800円前後28,000円前後
プロセッサAtom Z3745
(4コア 1.33GHz/最大1.86GHz)
MT8125
(4コア 1.2GHz)
メモリ2GB(LPDDR3 SDRAM)1GB(LPDDR2 SDRAM)
内蔵ストレージ16GB32GB
液晶サイズ8型ワイド7型ワイド
解像度1,920×1,200ドット1,280×800ドット
タッチパネル10点静電容量式タッチパネル5点静電容量式タッチパネル
無線LANIEEE 802.11b/g/n
BluetoothVer.4.0
LTE/3GLTE(バンド1/3/8/19)/
3G(900/2,100MHz)
××
カメラ背面800万画素/前面160万画素背面500万画素/前面160万画素
センサGPS、加速度、接近GPS、加速度GPS、加速度、照度
本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
123.8×209.8×7.9mm116×191×7.9mm
公称重量約310g約305g約250g
公称駆動時間約8時間約7時間
OSAndroid 4.4Android 4.2
CPU-Zでプロセッサの状態をチェック。バックグラウンドで動いているカーネルやアプリもあるため、初期状態からCPU-Zだけを立ち上げた状態でも、CPUクロックは1.463GHzになっていた。処理の傾向は特定コアだけ負荷がかかるのではなく、4コア全てを均等に演算に使っているようだ

 Atom Z3745は、Windowsタブレットにも採用されるプロセッサであり、実際にクロックが高いZ3795がNECのWindowsタブレット「LaVie Tab W」で採用されている。WindowsとAndroidのプロセッサ周りのアーキテクチャを共通化することで、ボリュームメリットによる部品調達価格の低減と開発のコストを下げようという狙いがある。なお、本シリーズのCPUは、通常は1.33GHz駆動だが、インテル・バースト・テクノロジーにより負荷が高くなると自動的に最大1.86GHzまで動作クロックが上昇する。

 ちなみに、内蔵ストレージが前モデルの32GBから16GBに縮小しているが、これは競争が激化している8型タブレット市場で他社製品との価格競争を意識し、コストダウンを図ったと思われる。

 例えば、競合となる製品は、フルHD解像度をスペックの基準にするならば、Google/ASUSの「Nexus 7 Wi-Fiモデル 32GB」、レノボ・ジャパンの「YOGA TABLET」、ASUSの「MeMO Pad 7」、ソニーの「Xperia Z Ultra」、富士通の「ARROWS Tab QH33/S」、デルの「Venue 8 3000シリーズ」などが挙げられる。これらの機種とは採用プロセッサや無線LANの11ac対応などの細かい差はあるが、おおむね横並びの仕様となっている。TS508/T1Wの実売価格は32,800円前後なので、これらの製品と市場での価格は拮抗しており、後発ながらも今後の価格下降を考えるならば、市場競争力は十分にある製品だ。

 製品として独自性の追求というよりは、人気のある8型タブレット市場で、他メーカーと同レベルかつ価格競争力のある製品を投入し、このカテゴリも含めたタブレット市場でのシェア拡大を狙っていると捉えるべきだろう。そのため、製品全体を見るとごくシンプルに作られており、余分なものは何もない印象だ。具体的なハードウェア仕様を以下で見ていこう。

シンプルな構成だからこそ使いやすい本体設計

 ハードウェアの外観としては、奇抜さや飾りのない四角いデザイン。前面は光沢のあるタッチパネルで、背面は白いマット調の樹脂素材。ボタン類も銀色塗装の樹脂素材だ。他メーカーでは、独自性を出そうと曲線を入れたり表面にドット加工をしたりというのがあるが、そのような装飾は一切ない。個人用途からビジネス用途まで、どこで使っても恥ずかしくない実用品としてのデザインだ。個人的にはここまでシンプルな方が好感が持てる。また、前モデルから7.9mmという薄さを維持しており、手に持ったときに8型タブレットとしては薄い印象を受ける。

イマドキのタブレットらしく、正面にハードウェアスイッチはなく、ホームボタンや「戻る」などは全て液晶に表示。液晶の周囲には1段高い縁があり、前面の液晶と背面樹脂パーツの境界とともに対ショック用のフレームとしての機能があると推察する。上下にステレオスピーカー、右上に160万画素の前面カメラがある
背面は左上に800万画素の背面カメラとフラッシュがあるほかは、NECとインテルのロゴがあるのみ。余計な装飾は一切ない
左側面はカバーを開けるとmicroSDカードのスロットがある。microSDカードはカードを押し込むとイジェクトされる方式。なお、LTEモデムを搭載した「TS708/T1W」では、この部分にSIMカードスロットがある
右側面には電源とボリュームボタン。配列は一般的なAndroidタブレットと同じ。ボタンは十分な突起があるのは押しやすい。なお、スクリーンショットも電源ボタンとボリュームボタンの「-」側の同時押しでキャプチャできる
天面にはカメラ側にイヤフォンジャックを搭載。防水ではなく一般的なヘッドセットも使える仕様
底部にはMicro USBポートと、その右側に小さなスリット形状のマイクがある。こちらも防水仕様ではない
公称は305gだが、単体の実重量は296gだった。8型タブレットとしてはやや軽い方だ
50cmの一般的なMicro USBケーブルと1.5A出力のACアダプタが付属

視野角が広く見やすい液晶

 8型タブレットの使いやすさを左右するものの1つとして、液晶の見やすさがある。本製品はIPSパネルを採用しているため、色にコクがあり締まり具合が良い。具体的には、黒がより黒く、白が過剰に発光しないで自然に見える。また、色のグラデーションも濁りがないためパッと見で「液晶が綺麗だ」と感じるだろう。

 また、視野角も広く、実際に45度までは色の変化がほぼなかった。また、テストした機体はパネルの色むらもなく視認性は抜群だ。

視野角30度前後。正面と比べて色の変化は全くない
視野角45度前後。30度と比べるとやや青色が暗くなるが視認性は落ちていない
視野角60度前後。微妙な変化だが色の彩度が落ち、黒い部分がやや白っぽくなる。とはいえ、ユーザーによっては気にしないレベルの低下だ

プロセッサ性能はイマドキの携帯電話よりやや劣る

 ベンチマークテストの結果は「AnTuTu Benchmark v5.1.5」と「3DMark - The Gamer's Benchmark」の値を掲載した。4コアながらもクロックが最大1.86GHzと今時のスマートフォンに比べて低いため、スコアも低い印象を受ける。とはいえ、後述のnasneからの地上デジタル放送の再生やゲームのプレイでは動作が重いという印象は受けなかった。現状のAndroidでは一部のFPSゲーム以外は、アプリがそれほど瞬間的な処理性能を必要ないため、実用上は問題なさそうだ。

 むしろ、バッテリの駆動時間がフルHDの動画を連続再生しても5時間24分と公称値に近い点を特筆したい。その公称値も前モデルより1時間増えており、必要以上に性能が高く電力消費の高いプロセッサを積むよりは、バッテリの駆動時間が長い方が実用性は高いだろう。

 カメラ性能もチェックしたが、今時の端末と比べてソフト面や画質面で大きな差はなかった。写真としての画質は素直そのもので、初期状態ではやや彩度を上げているものの、変に加工していない素直な画質だ。機能面ではタッチするとオートフォーカスが動いてピントの状態を知らせてくれるため使い勝手は良いが、シャッターを押してから写真になるまで0.7秒前後のタイムラグがあるため、動いているものの撮影には向かない。

「AnTuTu Benchmark v5.1.5」のスコアは32308。他の端末と比べるとクロック周波数が低いためスコアは伸びていないようだ
「AnTuTu Benchmark v5.1.5」のスコア詳細
「3DMark - The Gamer's Benchmark」のUnlimitedモードでのスコアは14879。少し重めの3Dゲームでも60fps前後が出るため性能としては十分。一般的な3Dを使うAndroidゲームならば快適に遊べるレベルだ
「3DMark - The Gamer's Benchmark」のExtremeモードのスコア。最も重いモードでスコアは7484。さすがにテストによっては30fpsを割る部分もあるが、23.5fpsは確保しているので、映画と同じぐらいの滑らかさは出る
32秒のフルHDで撮影したビットレート8MbpsのMP4ファイルをエンドレスで連続再生したところ、バッテリ駆動時間は5時間24分だった
「TS508/T1W」の背面カメラで撮影した写真。画像サイズは3,264×2,448ピクセル

余計なものがないほどよいアプリ構成

 アプリは基本的なGoogle製のアプリのほかに、eBookJapanの電子書籍ビューワ、観光ガイドを読める「ことりっぷ」、OneDriveに撮影したデータを自動アップロードする「コンテンツナビモバイル」、Office系のファイルを閲覧・編集する「WPS Office」、NECの無線LANルーター用の設定ソフト「らくらく無線スタート」、ナビソフトの「NAVITIME」、ウイルス対策ソフトの「McAfee」、「i-Filter」などがプリインストールされている。

 eBookJapanの電子書籍ビューワに関しては2,160円分の電子ブッククーポンが付いてくるメリットがあるほかは、普通にAppStoreからダウンロードしたものと差はない。特に「ことりっぷ」、「NAVITIME」、「McAfee」や「i-Filter」については、インストールの手間がないというだけで、体験期間が終わったら別途料金が必要だ。

 アプリで端末の魅力を高めるというよりは、初心者向けに必要最低限のアプリを揃え、実用面での入り口を作ったというところだ。とはいえ、アプリを自分で揃えて好みの端末にできるユーザーには、このぐらいのアプリ数の方がストレージが無駄に消費されていることがなく、常駐しているタスクも少ないため、うれしい構成と言える。個人的にはスマートフォンにメーカーやキャリアのアプリが山のように入っていて閉口するため、本製品ぐらいのプリインストールアプリ数に好感を持てる。なお、画面構成はウィジェットとアプリ一覧で分かれておらず、起動時に表示される画面で全て管理する方式だ。

メインの画面。最上段にマニュアル類、その次にプリインストールアプリと続く
メイン画面の2枚目、Google系の標準アプリが並ぶ。アプリ一覧は別になく、このスクリーンだけでアプリが並ぶ方式
メイン画面を横にした場合。もちろん画面は自動回転も可能。8型タブレットは縦より横の方が使いやすいと感じる
観光ガイドが読める「ことりっぷ」、無料版もあるが、ほとんどは800円(税別)で購入する。10分だけ立ち読みができる
eBookJapanの電子書籍ビューワ、「スティーブ・ジョブズ」、「ちはやふる」、「同期」の冒頭だけサンプルとして収録。2,160円分の電子ブッククーポンが付属するのでこちらは製品を購入するだけである程度楽しめる

8型タブレットならではの使い方がある

 最後に8型のフルHD解像度タブレットの活用について考えてみたいと思う。メールやナビ、ゲームなど殆どのアプリは5型級クラスのスマートフォンで十分に使える。本製品に限った話ではないが、8型だと使いやすいモノは何か考えてみたところ、以下のようなものが挙げられる。

1.ブラウザ
2.Office系ソフトでのデータ作成
3.TVや動画の視聴
4.地図の表示
5.反射神経が必要な音楽系のゲームアプリ

 ブラウザは8型サイズでかつフルHDになることでWebサイトの表示がPCと同等の見た目になる。むしろ、スマートフォン用のサイトを表示されると間延びした表示になり見た目が悪いぐらいだ。記事が読みやすいのはもちろんのこと、解像度がフルHDとなりドットピッチが240dpiと細かいのでフォントも滑らかなのが8型ならではの見た目となる。これはOffice系のソフトでデータを閲覧したり編集するときにも同じだ。

本誌のPC版の画面を表示させたところ。8型なら連載一覧など細かい文字もハッキリと視認できる

 個人的にお勧めしたいのが、nasneと本製品の組み合わせだ。nasneはWi-Fi経由でTVをリアルタイム視聴と録画ができるNAS型HDDレコーダーだ。nasneは1TBモデルでも実売は24,000円前後。SIMロックフリーモデル(TS708/T1W)と組み合わせても64,000円程度でHDDレコーダ付きのTVが買える感覚だ。

 しかも、この組み合わせならば、家中どこでもWi-Fiが届けばTVが見られる。さらに、nasneは外出先からのリモート視聴や予約録画に対応しているので、出張先のホテルやカフェからも家にあるnasneに撮った番組を見られる。もちろん、5型級のスマートフォンでも同じことができるが、映像を見るなら8型の方がよりTVを見ている感覚に近い。

nasneを家の無線LANルーターに接続し、本製品にアプリ「TV SideView」を入れれば家中どこでもTVが見られる環境が簡単に構築できる

 地図については、今まで多く語られてきているので今さらという感じはあるが、細かい地名標記や路地の表示、そして広域の詳細な表示は8型の方が圧倒的に見やすい。本製品にはGPSが搭載されているため、より正確な現在位置の表示ができる。

実際に使用頻度が高いのはやはり地図アプリだ。8型タブレットならば、より広域が見られるため地形が把握しやすい

 最後にゲームだ。ボタンを押すだけのいわゆる“クリックゲーム”であれば、5型級のスマートフォンの方が使い勝手がよい。8型が有利なのは、反射神経が必要な音楽系のゲームやFPSだ。

 試しにユーザー数が500万人いると言われるブシモの「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」をプレイしてみた。このゲームは楽曲にあわせて中心部から次々に降ってくる丸いマークがキャラクターに重なったらタイミングよくタップするのが基本スタイル。タップはタイミングによって「PERFECT」、「GREAT」、「GOOD」……という5ランクがあり、1曲あたり110前後から200個超降ってくる丸いマークをどれだけタイミング良く高いランクでタップできるかで得点になる。曲ごとに難易度があり、イージーは誰でもできるレベルだが、特別な楽曲の「エキスパート」では画面中が丸いマークで覆いつくされて初心者では全く歯が立たないほど難しい。

 筆者は普段5型のスマートフォンでプレイしているが、本製品でプレイしてみたところ、丸いマークの速度は速く感じるが、画面が大きくなったことでキャラクタと重なるタイミングは掴みやすくなり、同じ楽曲を5回プレイして得点が1.2倍ほど上昇した。こうした視覚や反射神経が必要なゲームでは8型の方がプレイしやすいことを実感できる。

ブシモの「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」。丸いマークがキャラクターに重なったらタイミングよくタップする。音楽に合わせるリズム感と視覚的な反射神経が必要なゲームだ。(C)2013 プロジェクトラブライブ! (C)KLabGames cbushiroad All Rights Reserved.

 前述している通り、本製品は競争が激化している8型タブレット市場に投入されたコストパフォーマンスに優れた「実用品」と言える。特にLTEモデムを搭載したモデルは他メーカーもまだ少ないため、安価なMVNOのSIMカードと組み合わせることでキャリアが販売するタブレットよりも安いランニングコストで運用できるのが魅力だ。

 極論すると、人によっては、スマートフォンを持たず、音声通話だけに特化したいわゆる“フィーチャーフォン”とデータ通信SIMカードを搭載した本製品という組み合わせでもSNSなどでコミュニケーションが取れる。ほかの8型タブレットと際だった違いこそないものの、日本人好みのプライベートでもビジネスでも使えるデザインと、NECという日本人になじみが深く、サポート体制が万全のメーカーの製品であることから、初心者から上級者まで安心して使える製品と言える。

(シバタススム)