日本エイサー「Aspire Timeline AS3810T」
~Core 2 Duo搭載で9万円を切るスリムモバイルノート



日本エイサー「Aspire Timeline AS3810T」

発売中

実売価格:89,800円前後



 日本エイサーから登場した「Aspire Timeline AS3810T」は、デュアルコアのCore 2 Duoを搭載しながら、実売9万円を切るスリムモバイルノートである。Aspire Timelineシリーズは、13.3型ワイド液晶搭載の「AS3810T」、14型ワイド液晶搭載の「AS4810T」、15.6型ワイド液晶搭載の「AS5810T」の3モデルがあるが、日本ではAS3810TとAS4810Tの2モデルのみ発売される。

 Timelineシリーズは、ULV(超低電圧版)のCPUを搭載しており、LEDバックライトの採用や低消費電力設計によって、約8時間という長時間駆動を実現していることも魅力だ。Intelがマーケティングを開始したCULV(Consumer Ultra Low Voltage)と呼ばれるセグメントの製品で、低電圧で高性能でありながら、CPUの価格が従来よりも引き下げられており、これまで比較的高価だったモバイルノートを10万円以下で実現できるというものだ。

 今回は、このAspire Timeline AS3810T(以下AS3810T)を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。

●Core 2 Duo SU9400とIntel GS45を搭載

 AS3810Tは、13.3型ワイド液晶を搭載したスリムモバイルノートであり、最薄部23.4mm、最厚部でも28.9mmという、スリムなボディが魅力の1つだ。天板にはつや消し仕上げのアルミニウム合金が採用されており、高級感を演出している。ボディカラーは濃いグレーで、落ち着いた印象を受ける。重量は約1.6kgで、このクラスの製品としては軽く、携帯性も合格だ。

 CPUはCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)で、チップセットはグラフィックス統合型のIntel GS45 Expressを搭載する。メモリは2GB実装しているが、SO-DIMMスロットは2基備えており、最大4GBまでの増設が可能である。ただし、メモリスロットカバーを固定しているネジには破ると保証が無効になるシールが貼られているため、ユーザーによるメモリ増設は保証外となるようだ。なお、HDDベイカバーを固定しているネジの1本にも同じシールが貼られていた。HDD容量は250GBで、モバイルノートとしては十分な容量だ。

AS3810Tの上面。ボディカラーは濃いグレー1色のみだ。表面はつや消し加工されており、指紋が付きにくい「DOS/V POWER REPORT」誌とのサイズ比較。AS3810Tのほうが横幅がかなり大きいDVDトールケース(右)との厚さ比較。最厚部でもDVDトールケースを2枚重ねた程度の厚さだ
AS3810Tの底面。メモリスロットやHDDベイのカバーが用意されているメモリスロットやHDDベイのカバーを固定しているネジには、封印シールが貼られており、破ると保証が無効になる

●1,366×768ドット表示の13.3型ワイド液晶を採用

 液晶のサイズは13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットである。最近増えているアスペクト比16:9の光沢タイプの液晶だ。LEDバックライトを採用しており、消費電力の削減に貢献している。発色やコントラストについても不満はない。液晶上部には、100万画素Webカメラを搭載。Webカメラとしては高画質であり、720pのHD動画の撮影も可能だ。

液晶は13.3型ワイドで、解像度は1,366×768ドットだ。光沢タイプなので、発色は鮮やかでコントラストも高い液晶上部に100万画素Webカメラを搭載

 キーボードは全91キーで、キーピッチは約19mmである。キートップとキートップの間の隙間が大きい、いわゆるアイソレーションタイプのキーボードで、キータッチは良好だ。キー配列もほぼ標準的だが、Enterキーの右側にもPgUpキーやPgDnキーなどが配置されているので、慣れるまで戸惑う人もいそうだ。

 ポインティングデバイスとしては、タッチパッドを採用。2本指でのマルチタッチ操作にも対応しており、拡大/縮小や回転操作、スクロール操作などが可能だ。タッチパッドのクリックボタンは、パッド手前に配置されているが、左右のボタンがシーソーのように一体になっているので、端のほうをしっかりと押さないと、ボタン入力が認識されないことがあった。タッチパッドの右上には、パッドのON/OFFを切り替えるボタンが用意されており、外部にマウスなどを繋いだときに、ワンタッチでパッドをオフにできるので便利だ。

全91キーで、キーピッチは約19mm。キートップとキートップの間の隙間が大きい、アイソレーションタイプのキーボードだ。Enterキーの右側にもキーが配置されていることには賛否両論がありそうだマルチタッチ操作に対応したタッチパッドを装備。クリックボタンは手前に配置されているが、左右のボタンが独立しておらず一体になっているタッチパッドの右上のボタンによって、パッドのON/OFFの切り替えが可能。パッドを無効にすると、ボタンがオレンジ色に点灯する

●アナログRGB出力とHDMI出力を搭載

 インターフェイスとしては、USB 2.0×3、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)、HDMI出力、マイク入力、ヘッドフォン出力、Gigabit Ethernetを備えている。モバイルノートで、アナログRGB出力とHDMI出力の両方を備えた製品は珍しく、HDMI入力を備えた大画面テレビなどにも接続できる。メモリカードリーダとして、「5-in-1カードリーダー」を搭載しており、SDメモリーカード、MMC、メモリースティック、メモリースティックPRO、xD-Picture Cardを直接装着して、読み書きが可能だ。ワイヤレス機能も充実しており、IEEE 802.11b/g/nドラフト2.0対応無線LAN機能とBluetooth 2.0+EDRを搭載する。

左側面には、アナログRGB出力(ミニD-Sub15ピン)とUSB 2.0、マイク入力、ヘッドフォン出力が用意されている右側面には、「5-in-1カードリーダー」とUSB 2.0×2、HDMI出力、LANが用意されている
右側面のポート部分のアップ「5-in-1カードリーダー」のフタはダミーカード方式。SDメモリーカードを装着すると、わずかにはみ出す

●6セルバッテリで8時間の長時間駆動を実現

手前の中央のインジケーターは、バッテリの充電時にオレンジ色に点灯する

 バッテリは、11.1V/5,600mAhの6セル仕様で、公称約8時間の長時間駆動が可能だ。そこで、バッテリベンチマークソフトの「BBench」(海人氏作)を利用し、1分ごとにWebサイトへの無線LAN経由でのアクセス、10秒ごとにキー入力を行なう設定でバッテリ駆動時間を計測したところ、6時間17分もの駆動が可能であった(電源プランは「バランス」に設定し、バックライト輝度は中)。Athlon Neoと6セルバッテリを搭載する日本HPのHP Pavilion Notebook dv2では、同条件で計測したときの駆動時間は3時間15分であり、AS3810Tはdv2の2倍近く持つことになる。

 Let'snoteシリーズなどと比べても、遜色のないバッテリ駆動時間を実現していることは大きな魅力だ。ただし、ACケーブルのコネクタが3ピンのミッキープラグになっており、ケーブルがやや太いのが残念だ。

標準で6セルバッテリを採用バッテリ仕様は11.1V/5600mAhで、容量は大きいCDケース(左)とバッテリのサイズ比較
付属のACアダプタ。ネットブックの一般的なACアダプタより一回り大きいが、携帯時に苦になるほどではないACケーブルのコネクタは2ピンのメガネプラグではなく、3ピンのミッキープラグになっているCDケース(左)とACアダプタのサイズ比較

●デュアルコア搭載で、クラストップの性能を実現

 参考のためにベンチマークを計測してみた。利用したベンチマークプログラムは「PCMark05」、「3DMark03」、「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」、「ストリーム出力テスト for 地デジ」、「CrystalDiskMark」で、比較用に日本HP「HP Pavilion Notebook dv2店頭モデル」、「HP Pavilion Notebook dv2直販モデル」、NEC「LaVie Light BL350/TA6」、「VersaPro UltraLIte タイプVS」、MSI「X-Slim X340 Super」の値も掲載した。なお、AS3810TとHP Pavilion Notebook dv2、LaVie Light BL350/TA6については、BBenchのテスト結果も載せている。

Aspire Timeline AS3810Tのベンチマーク結果
 Aspire Timeline AS3810THP Pavilion Notebook dv2店頭モデルHP Pavilion Notebook dv2直販モデルLaVie Light BL350/TA6VersaPro UltraLite タイプVSX-Slim X340 Super
CPUCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)Athlon Neo MV-40(1.6GHz)Athlon Neo MV-40(1.6GHz)Atom N280(1.66GHz)Atom Z540(1.86GHz)Core 2 Solo SU3500(1.4GHz)
ビデオチップIntel GS45内蔵コアAMD M690G内蔵コアMobility Radeon HD 3410Intel 945GSE内蔵コアUS15W内蔵コアIntel GS45内蔵コア
PCMark05
PCMarks計測不可(エラー発生)16782175N/A18502101
CPU Score362918452129152117392435
Memory Score357625782713245324563338
Graphics Score14958202018N/A3191108
HDD Score5200364239268939182265086
3DMark03
1,024×768ドット32ビットカラー(3Dmarks)161515083453N/A(1,024×600ドットでは638)4451552
CPU Score561564714N/A(1,024×600ドットでは240)200492
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
HIGH147615042914N/A3471427
LOW21722174447414595502094
ストリーム出力テスト for 地デジ
DP79.3348.5761.3331.978.268.1
HP99.9399.6799.8388.231.299.97
SP/LP10099.8399.8799.3799.93100
LLP99.9710099.999.9399.97100
DP(CPU負荷)651001008150100
HP(CPU負荷)368777805361
SP/LP(CPU負荷)245343644235
LLP(CPU負荷)183635383428
CrystalDiskMark 2.2
シーケンシャルリード66.58MB/s48.22MB/s53.35MB/s83.31MB/s(Cドライブ)、56.50MB/s(Dドライブ)107.4MB/s未計測
シーケンシャルライト57.82MB/s50.64MB/s41.73MB.s40.39MB/s(Cドライブ)、54.63MB/s(Dドライブ)112.4MB/s未計測
512Kランダムリード30.32MB/s27.59MB/s24.97MB/s79.24MB/s(Cドライブ)、31.25MB/s(Dドライブ)103.6MB/s未計測
512Kランダムライト32.58MB/s37.19MB/s32.76MB/s29.44MB/s(Cドライブ)、31.23MB/s(Dドライブ)102.8MB/s未計測
4Kランダムリード0.452MB/s0.499MB/s0.323MB/s12.43MB/s(Cドライブ)、0.560MB/s(Dドライブ)11.03MB/s未計測
4Kランダムライト1.147MB/s1.220MB/s1.058MB/s1.928MB/s(Cドライブ)、1.551MB/s(Dドライブ)10.36MB/s未計測
BBench

6時間17分3時間15分2時間24分7時間8分未計測未計測

 製品カテゴリ的には、HP Pavilion Notebook dv2やX-Slim X340 Superがライバルとなるが、CPU性能は、Athlon Neo MV-40を搭載するdv2やCore 2 Solo SU3500を搭載するX-Slim X340 Superに比べてかなり高い。Athlon NeoもCore 2 Soloもシングルコアなので、デュアルコアのCore 2 Duoを搭載したAS3810Tに比べて、CPU性能は低くなる。また、HDD容量が大きいため、CrystalDiskMarkのスコアも優秀だ。さすがに高速なSSDを搭載したLaVie Light BL350/TA6やVersaPro UltraLite タイプVSには及ばないが、ネットサーフィンや文書作成など一般的な利用方法においてパフォーマンス不足を感じることは少ない。

 AS3810Tの実売価格は89,800円前後であり、デュアルコア搭載のモバイルノートとしてはかなりお買い得だ。バッテリ駆動時間が長いので、外で使うことの多いヘビーモバイラーにもお勧めできるマシンだ。また、ネットブックでは性能的に不満があるが、さりとて光学ドライブを内蔵したA4ノートは欲しくないという人にも、AS3810Tは有力な選択肢となるだろう。これまでモバイルノートは、一般的なA4ノートよりも価格が高いことが多かったが、AS3810Tの登場によって、他社も刺激を受け、モバイルノートの中心価格帯が下がるというシナリオもあり得る。作りもしっかりしており、性能的にも十分なので、初心者にもお勧めだ。

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(2009年 6月 19日)

[Text by 石井 英男]