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フルHDゲーミングの最適解となるか?「Radeon RX 6600 XT」レビュー

Radeon RX 6600 XT

 AMDのRadeon RX 6000シリーズの新たなミドルレンジGPU「Radeon RX 6600 XT」が8月10日に発売される。

 この発売に先立ち、Radeon RX 6600 XTを搭載するASRock製のビデオカードをテストする機会が得られたので、ベンチマークテストを通してAMDの新ミドルレンジGPUの実力をチェックしてみた。

RDNA 2ベースのミドルレンジGPU「Radeon RX 6600 XT」

 Radeon RX 6600 XTは、RDNA 2アーキテクチャに基づき、7nmプロセスで製造されたミドルレンジGPU。32基のコンピュートユニットが有効化されており、2,048基のストリーミングプロセッサや、40基のRay Accelerators、32MBのInfinity Cacheが利用できる。

 VRAMには、16GbpsのGDDR6メモリを8GB搭載しており、128bitのメモリインターフェイスでGPUコアと接続することにより、256GB/sのメモリ帯域幅を実現している。TBP(Total Board Power)は160Wで、PCI Express 8ピン補助電源コネクタ1本での電力供給が可能となっている。

【表1】Radeon RX 6600 XTの主な仕様
GPURadeon RX 6600 XTRadeon RX 6700 XT
アーキテクチャRDNA 2RDNA 2
製造プロセス7nm7nm
コンピュートユニット32基40基
ストリーミングプロセッサ2,048基2,560基
Ray Accelerators32基40基
ROPユニット64基64基
ゲームクロック(GPU)2,359MHz2,424MHz
ブーストクロック(GPU)2,589MHz2,581MHz
AMD Infinity Cache32MB96MB
メモリ容量8GB (GDDR6)12GB (GDDR6)
メモリスピード16Gbps16Gbps
メモリインターフェイス128bit192bit
メモリ帯域幅256GB/s384GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0PCIe 4.0
消費電力 (TBP)160W230W

ASRock製ビデオカード「AMD Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC」

 今回のテストに際して借用したのは、ASRockのRadeon RX 6600 XT搭載ビデオカード「AMD Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC(RX6600XT PGD 8GO)」。3基の冷却ファンを搭載した大型のビデオカードで、カードサイズは305×131×48mm(長さ×高さ×厚さ)、占有スロット数は2.4スロット。

 搭載GPUのRadeon RX 6600 XTは独自のオーバークロック仕様となっており、ゲームクロックが2,428MHz(+69MHz)、ブーストクロックが2,607MHz(+18MHz)へ引き上げられている。一方、VRAMは標準仕様通り16Gbps動作のGDDR6メモリを8GB搭載しており、補助電源コネクタもPCI-E 8ピン(1系統)となっている。

 画面出力端子は、HDMI 2.1(1基)、DisplayPort 1.4(3基)。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x8だが、スロット形状はPCI Express x16仕様となっている。

ASRock「AMD Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OC」
3基の冷却ファンを備える大型GPUクーラーを搭載。GPUクーラーは基板よりもファン1個分ほど大きい
カード裏面には基板前面をカバーするバックプレートを搭載。カード後方部分は通気口が設けられており、ファンの風を透過する仕様となっている
カードの長さは305mmで、占有スロット数は2.4スロット
ブラケット部の画面出力端子には、HDMI 2.1(1基)、DisplayPort 1.4(3基)を搭載
動作に必要な補助電源コネクタは8ピン(1基)
AMD Radeon RX 6600 XT Phantom Gaming D 8GB OCのGPU-Z実行画面

テスト機材

 Radeon RX 6600 XTの比較機材には、ライバルとなるNVIDIAのミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060」と、RDNA 2を採用する上位モデル「Radeon RX 6700 XT」を用意した。

 GeForce RTX 3060はZOTAC製ビデオカードの「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」、Radeon RX 6700 XTはAMDのリファレンスモデルでテストを行なう。Radeon RX 6600 XTを含め、テストに用いるビデオカードは全て、GPUをオーバークロックして搭載している。テスト時の動作仕様については以下の通り。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPURadeon RX 6600 XTGeForce RTX 3060Radeon RX 6700 XT
ビデオカードベンダーASRockZOTACAMD
製品型番RX6600XT PGD 8GOZT-A30600H-10Mリファレンス
ベースクロック2,064MHz1,320MHz2,330MHz
ゲームクロック2,428MHz2,433MHz
ブーストクロック2,607MHz1,807MHz2,615MHz
メモリ容量8GB (GDDR6)12GB (GDDR6)12GB (GDDR6)
メモリスピード16.0Gbps15.0Gbps16.0Gbps
メモリインターフェイス128bit192bit192bit
メモリ帯域幅256GB/s360GB/s384GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x8PCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
パワーリミット不明170W(PowerLimit)186W(GPU PPT)
GeForce RTX 3060搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCのGPU-Z実行画面
Radeon RX 6700 XTのリファレンスモデル。GPUの動作クロックは標準仕様よりも高く設定されている
Radeon RX 6700 XTのGPU-Z実行画面

 各ビデオカードを搭載するベース機材には、Zen 3世代の8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X」を搭載したAMD B550環境を利用する。

 グラフィックスドライバについては、Radeon RX 6600 XTがレビュアー向けの「Adrenaline 21.8.1」、GeForce RTX 3060は「GeForce Game Ready Driver 471.41」、Radeon RX 6700 XTは「Adrenaline 21.7.2 Optional」をそれぞれ導入している。

 そのほかのテスト機材については以下の通り。

【表3】テスト機材一覧
GPURadeon RX 6600 XTGeForce RTX 3060Radeon RX 6700 XT
CPURyzen 7 5800X (8コア16スレッド)
CPUパワーリミットPPT:142W、TDC:95A、EDC:140A
CPUクーラーサイズ APSALUS G6 (ファンスピード=100%)
マザーボードMSI MAG B550M MORTAR [UEFI=1.80]
メモリDDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-52、1.20V)
システム用SSDSamsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源Thermaltake Toughpower Grand RGB 1050W Platinum (1050W/80PLUS Platinum)
グラフィックスドライバAdrenaline 21.8.1 (27.20.22023.1003)GeForce Game Ready Driver 471.41 (30.0.14.7141)Adrenaline 21.7.2 Optional (27.20.22021.1002)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 21H1 / build 19043.1151)
電源プランバランス
モニタリングソフトHWiNFO64 Pro v7.06
ワットチェッカーラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約26℃

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果をみていこう。

 実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」。

 今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3通りの画面解像度でテストを実施している。

3DMark

 3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、DXRテスト以外では全体2番手のスコアを記録しており、Time Spyで12~15%、Fire Strikeで28~31%、Wild Lifeで3~35%の差をつけて、GeForce RTX 3060を上回っている。一方、上位モデルであるRadeon RX 6700 XTとの差は、Time Spyで26~28%、Fire Strikeで18~30%、Wild Lifeで22~31%。

 DXRテストではGeForce RTX 3060の逆転を許しており、Radeon RX 6600 XTのスコアは比較製品中最下位となっている。Port RoyalでのGeForce RTX 3060との差は約11%だが、DirectX Raytracing feature testでは約64%もの差をつけられている。DirectX Raytracing feature testでは上位モデルのRadeon RX 6700 XTもGeForce RTX 3060に約38%差をつけられているので、RDNA 2に対するAmpereアーキテクチャのDXR性能の優位性が反映された結果であると言える。

【グラフ01】3DMark v2.19.7225「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.19.7225「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.19.7225「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.19.7225「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.19.7225「Fire Strike Ultra」
【グラフ06】3DMark v2.19.7225「Wild Life/Wild Life Extreme」
【グラフ07】3DMark v2.19.7225「Port Royal」
【グラフ08】3DMark v2.19.7225「DirectX Raytracing feature test」

VRMark

 VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orange Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、Orange Roomで約27%、Cyan Roomでは約20%の差をつけてGeForce RTX 3060を上回った。Blue RoomではGeForce RTX 3060に逆転されているが、その差は約5%と僅差に留まっている。

 上位モデルのRadeon RX 6700 XTとの差は、Orange Roomで約2%、Cyan Roomで約22%、Blue Roomで約40%。Orange Roomの結果はCPU性能のボトルネックが大きく影響しており、GPU性能の差を反映したものではない。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約2%、WQHDで約1%という僅差でGeForce RTX 3060を上回っているが、4Kでは逆に約5%の差をつけられ逆転されている。4Kになると、メモリ帯域幅の差が効いてきている印象だ。

 一方、上位モデルのRadeon RX 6700 XTとの差は7~37%で、こちらも高解像度になるほど差が広がっている。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約7%、WQHDで約5%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約4%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は26~34%。

【グラフ12】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

 PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator(以下PSO2 NGS CC)では、簡易グラフィック設定を「6:ウルトラ」に固定して、ベンチマークテストを実行した。

 ここではRadeon RX 6600 XTがGeForce RTX 3060を下回っており、14~19%のスコア差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとのスコア差は30~68%。

 ただし、PSO2 NGS CCのスコア差は、ほぼ「フレームレート差の2乗」であるため、フレームレートを基準としたパフォーマンス差で言えば、GeForce RTX 3060との差は7~9%で、Radeon RX 6700 XTとの差は14~29%。

【グラフ13】PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。

 Radeon RX 6600 XTは全ての条件で全体2番手の結果を記録しており、GeForce RTX 3060に23~35%の差をつけて上回った。Radeon RX 6700 XTとの差は3~24%。

【グラフ14】Forza Horizon 4 (v1.473.947.2)

DIRT 5

 DIRT 5では、描画品質を「Ultra High」に設定し、レイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)有効時と無効時の2通りでベンチマークモードを実行した。

 レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600 XTは、GeForce RTX 3060に22~26%の差をつけて上回り、全体2番手のフレームレートを記録している。Radeon RX 6700 XTとの差は13~20%。

 レイトレーシングを「オン」にした場合でも、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060に18~19%の差をつけて上回っている。Radeon RX 6700 XTとの差は17~18%。

【グラフ15】DIRT 5 (v1.0.274109.398)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX 12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを有効化した設定で、フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング「オフ」では、Radeon RX 6600 XTがGeForce RTX 3060に2~17%の差をつけて上回っている。Radeon RX 6700 XTとの差は17~30%。

 レイトレーシングを「最高」に設定した場合は、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060に逆転されており、3.2~4.6倍という大差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は2.1~3.3倍。上位のRadeon RX 6700 XTもWQHD解像度以上ではGeForce RTX 3060を下回っているあたり、DXR性能の差が強く反映された結果と言える。

【グラフ16】フォートナイト (v17.30)

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約3%、WQHDで約1%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約7%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は29~36%。

【グラフ17】レインボーシックス シージ (build 7130801)

Apex Legends

 Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を標準の144fpsから300fpsに引き上げている。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約6%、WQHDで約3%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約6%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は19~31%。

【グラフ18】Apex Legends (v3.0.9.135)

オーバーウォッチ

 オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。上限フレームレートは400fps。

 Radeon RX 6600 XTは全ての条件でGeForce RTX 3060を上回っており、フルHDで約11%、WQHDで約11%、4Kで約6%の差をつけている。Radeon RX 6700 XTとの差は12~24%。

【グラフ19】オーバーウォッチ (v1.62.0.0.84997)

Call of Duty: Black Ops Cold War

 Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシング関連の設定を「オフ」にした場合と、すべて「ウルトラ」にした場合で、平均フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600 XTは、フルHDで約12%、WQHDで約9%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約15%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は22~64%。

 レイトレーシングを「ウルトラ」に設定した場合、GeForce RTX 3060がRadeon勢を圧倒しており、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060に4~6倍もの大差をつけられている。Radeon RX 6600 XTとRadeon RX 6700 XTの差は96~111%で、GeForce RTX 3060はRadeon RX 6700 XTにも2~2.3倍の差をつけている。

【グラフ20】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.15.7.9862869)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない高画質プリセットの「ウルトラ」と、レイトレーシングを高画質設定で有効化するプリセット「レイトレーシング:ウルトラ」で、フレームレートの測定を行なった。なお、「レイトレーシング:ウルトラ」では、両メーカーのGPUを同条件で比較するため、NVIDIA GPUで有効になるDLSSをあえて無効にしている。

 「ウルトラ」設定でのRadeon RX 6600 XTは、フルHDで約9%、WQHDで約5%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約6%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は24~39%。

 「レイトレーシング:ウルトラ」設定では、GeForce RTX 3060が全体ベストのフレームレートを記録しており、Radeon RX 6600 XTに67~365%の大差をつけている。Radeon RX 6600 XTとRadeon RX 6700 XTの差は45~289%。

【グラフ21】サイバーパンク2077 (v1.23)

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約42%、WQHDで約30%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約14%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は25~54%。

【グラフ22】アサシン クリード ヴァルハラ (v1.3.0)

ウォッチドッグス レギオン

 ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定で、ベンチマークモードを実行した。

 レイトレーシング「オフ」でのRadeon RX 6600 XTは、フルHDで約15%、WQHDで約4%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは逆に約4%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は23~46%。

 レイトレーシング「最大」では、GeForce RTX 3060とRadeon RX 6700 XTがほぼ横並びの結果を記録しており、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060に4.8~7倍という大差をつけられている。

 ここまでも、DXRを積極的に活用するタイトルではGeForce RTX 3060がRadeon RX 6600 XTに大差をつけてきたのだが、Radeon RX 6700 XTがGeForce RTX 3060に迫るスコアを記録しているところをみると、ここでRadeon RX 6600 XTが大差をつけられた要因としては、DXR性能以上にVRAM容量の不足が影響しているものと考えられる。

【グラフ23】ウォッチドッグス レギオン (v1.5.0)

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDで約7%、WQHDで約4%の差でGeForce RTX 3060を上回り、4Kでは41fpsで横並びの結果を記録した。Radeon RX 6700 XTとの差は13~24%。

【グラフ24】Horizon Zero Dawn (v1.56)

Godfall

 Godfallでは、描画品質を「最高」に設定し、レイトレーシングを有効にした場合と無効にした場合の2通りで、ベンチマークモードを実行した。

 レイトレーシング「オフ」では、Radeon RX 6600 XTは全ての条件でGeForce RTX 3060を上回っており、フルHDで約27%、WQHDで約22%、4Kで約12%の差をつけている。Radeon RX 6700 XTとの差は27~35%。

 レイトレーシングを「オン」にした場合、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060に13~82%の差をつけられ、比較製品中もっとも低い数値を記録した。ここで全体ベストを記録したのはRadeon RX 6700 XTで、Radeon RX 6600 XTに58~146%、GeForce RTX 3060にも35~39%の差をつけている。

【グラフ25】Godfall (v2.4.55)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行なった。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 Radeon RX 6600 XTは、フルHDでは約2%の差でGeForce RTX 3060を上回っているが、WQHD以上の画面解像度では逆転されており、WQHDで約5%、4Kで約9%の差をつけられている。Radeon RX 6700 XTとの差は21~30%。

【グラフ26】Microsoft Flight Simulator (v1.18.15.0)

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」で、GPUレンダリングを実行したさいのレンダリング時間を比較してみた。Radeon勢は「OpenCL」、GeForce RTX 3060は「OptiX」を利用している。なお、参考データとして、Ryzen 7 5800XでCPUレンダリングを実行した結果をグラフに加えている。

 トータルのレンダリング時間で最速を記録したのはGeForce RTX 3060の「519秒」で、これは2番手のRadeon RX 6700 XTが記録した「959秒」より1.6倍ほど高速な結果だ。Radeon RX 6600 XTは全体3番手となる「2,060秒」で、「2,218秒」を記録したRyzen 7 5800Xのをかろうじて上回った。

 トータルレンダリング時間では上位の2製品に大きな差をつけられたRadeon RX 6600 XTだが、その原因となっているのが1,262秒もの時間を要した「Victor」の結果で、これを除いた合計レンダリング時間は798秒で、405秒のGeForce RTX 3060には2倍近い速度差をつけられているものの、588秒のRadeon RX 6700 XTとの速度差は36%程度で、1,517秒のRyzen 7 5800Xより1.9倍ほど高速だ。

 Radeon RX 6600 XTが極端に遅い結果となった「Victor」は大量のVRAMを使用するテストであるため、Radeon RX 6600 XTではVRAM容量の不足が生じたものと考えられる。その場合、不足分を補うメインメモリにアクセスするために経由するバスインターフェイスが、ほかのGPUよりも遅いPCI Express 4.0 x8であることも不利に働くことになる。

【グラフ27】Blender Benchmark (v2.93.1)

システムの消費電力

 ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中の最大消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 アイドル時の消費電力は、50Wを記録したRadeon RX 6600 XTがもっとも低く、GeForce RTX 3060(53W)より3W、Radeon RX 6700 XT(55W)より5W低い数値となっている。

 Radeon RX 6600 XTのベンチマーク実行中の最大消費電力は248~326Wで、Orange Room以外のテストにおいて比較製品中もっとも低い数値を記録している。いずれもオーバークロック仕様のビデオカードでの比較結果である点に注意が必要だが、Radeon RX 6600 XTはGeForce RTX 3060と同等以上の電力効率を実現していると考えて良さそうだ。

 なお、Radeon RX 6600 XTが比較製品の中でもっとも高い数値を記録したOrange Roomについては、フレームレートが低いためにCPU消費電力が低いGeForce RTX 3060と、CPUのボトルネックによってGPUがフル稼働していないRadeon RX 6700 XTが比較対象であるため、GPUの消費電力差が素直に反映されたものにはなっていない。

【グラフ28】システムの消費電力

ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

 Radeon RX 6600 XTで、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行し、HWiNFO64 Pro v7.06で取得したモニタリングデータをグラフ化した。

 ベンチマーク中の最大温度は、GPU温度が57℃で、GPUホットスポット温度が72℃だった。このさいGPUコアは、130W前後の電力を消費しながら、2,630MHz前後のクロックで動作していた。ファンスピードは1,400rpm前後で安定しており、終始サーマルスロットリングが作動した様子はなく、GPU/メモリクロックとも安定して推移していることから、十分な冷却が行なわれていることがわかる。

【グラフ29】Radeon RX 6600 XT のモニタリングデータ

1080pゲーミングで優れた性能が期待できる379ドルのミドルレンジGPU

 AMDは、Radeon RX 6600 XTを1080p(=フルHD)でのゲーミングに最適なGPUとしており、その条件では多くのゲームでGeForce RTX 3060を上回る性能を実現していた。今回の検証では、メモリ帯域幅やDXR性能でGeForce RTX 3060に逆転される結果もみられたが、フルHD解像度でFPSゲームやバトルロイヤルゲームの高フレームレート動作を狙いたいゲーマーにとっては、魅力的な実力を備えたGPUであると言える。

 AMDは、Radeon RX 6600 XTの推奨小売価格を379ドルに設定している。搭載ビデオカードの国内販売価格がいくらになるのか記事執筆時点では不明だが、先日約5.2万円で発売されたAPU「Ryzen 7 5700G」の北米価格が359ドルであったことを考えると、5万円台から入手できる可能性がある。

 ライバルとなるGeForce RTX 3060搭載ビデオカードの多くが7万円前後で販売されている現在、Radeon RX 6600 XTがミドルレンジGPUの高止まりを打開することを期待したい。

Radeon RX 6600 XTを最速ライブレビュー!実際の動作はどうだ!?

 8月10日(火)22時より、“KTU”加藤勝明氏と“改造バカ”高橋敏也氏によるRadeon RX 6600 XTのレビュー配信をライブでお届けします。実機を使った実動テスト、KTUによるベンチマーク結果大公開など盛りだくさんの内容でお届けします。

 今回は、試験運営中の新チャンネル“PAD”(PC Watch & AKIBA PC Hotline! plus DVPR)にて配信します。チャンネル登録とリマインダーの設定をお願いします!