Hothotレビュー

M1版MacBook Airを徹底検証。新旧AirとProの比較で見えた性能差

Apple「MacBook Air」104,800円~

 Appleは自社開発のSoC「Apple M1」を採用した新型Macの3シリーズを11月10日(米国時間)に発表、11月17日に発売した。すでにM1版の「13インチMacBook Pro」、「Mac mini」についてはレビューが掲載されているが、今回は「MacBook Air」のレビューをお届けする。

 ここでのレビュー記事の構成は下記のとおり。すでに製品発表から時間が経過しており、外観などは旧モデルから変更がないので、興味のある章からご覧いただきたい。

MacBook Airの製品概要

 MacBook AirはOSに「macOS Big Sur バ-ジョン11.0」、SoCに「Apple M1」を採用。メモリは8GBまたは16GB、ストレージは256GB/512GB/1TB/2TBを搭載している。

 ディスプレイには13.3型のIPS液晶パネル(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、400cd/平方m、P3)を採用。環境光に応じて色温度を調整する「True Toneテクノロジー」をサポートする。

 インターフェイスは、Thunderbolt 3×2、3.5mmヘッドフォンジャックで、通信機能はWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0だ。

 ディスプレイ上部には720pのWebカメラ「FaceTime HDカメラ」が内蔵されており、また3アレイのマイクも搭載されている。

 キーボードはバックライトを内蔵する「MagicKeyboard」を装備。キーボード右奥の電源ボタンは指紋認証センサー「Touch ID」が内蔵されており、押すだけでロックを解除可能だ。

 本体サイズは304.1×212.4×4.1~16.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.29kg。筐体の素材には100%再生アルミニウムが使われており、カラーはシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色が用意されている。

 なお従来のMacBook Airは、CPUにTDP 10Wの第10世代Coreプロセッサ(Ice Lake)が採用されていた。たとえばCore i5モデルであれば、既報の記事『4コアに倍増した「MacBook Air 2020」をmacOSとWindowsで性能検証してみた』のとおり、「Core i5-1030G7」(4コア8スレッド、800MHz~3.5GHz)が搭載されている。詳しくはベンチマークの章で解説するが、新旧MacBook Airは筐体が同じでも、エンジンがまったくの別物なので、比較対象にはならないという点には留意してほしい。

【表1】「MacBook Air (M1, 2020)」のスペック
OSmacOS Big Sur バ-ジョン11.0
CPUApple M1(8コアCPU[高性能コア×4、高効率コア×4]、7コアまたは8コアGPU、16コアNeural Engine)
メモリ8GB/16GBユニファイドメモリ(DDR4)
ストレージ256GB/512GB/1TB/2TB SSD
ディスプレイ13.3型(2,560×1,600ドット、227ppi、16:10、光沢、400cd/平方m、色域P3、タッチ非対応、スタイラス非対応)
通信Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5.0
WWAN
インターフェイスThunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gb/s、USB 3.1接続時最大10Gb/s)、3.5mmヘッドフォンジャック
カメラWebカメラ(720p)
バッテリ容量49.9Wh
バッテリ駆動時間最大15時間のワイヤレスインターネット、最大18時間のApple TVアプリのムービー再生
本体サイズ304.1×212.4×4.1~16.1mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.29kg
セキュリティTouch ID(指紋認証センサー一体型電源ボタン)
内蔵アプリ写真、iMovie、GarageBand、Pages、Numbers、Keynote、Siri、Safari、メール、FaceTime、メッセージ、マップ、株価、ホーム、ボイスメモ、メモ、カレンダー、連絡先、リマインダー、Photo Booth、プレビュー、ミュージック、Podcast、TV、ブック、App Store、Time Machine、探す、QuickTime Player
同梱品30W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m)
カラーシルバー、スペースグレイ、ゴールド

MacBook Proとはなにが違う?

 MacBook AirとMacBook Proの違いは、本体色、GPUコア数(下位モデルの場合)、バッテリ容量、バッテリ駆動時間、ファンクションキー、ディスプレイ輝度、サイズ、重量、スピーカー、マイク、冷却ファンの有無と多岐にわたる。

 どちらを購入するかはこれらの違いを秤にかけて選ぶわけだが、個人的には両者のユーザー体験に大きな差はないと考える。GPUのコア数が1つ違ってもトータル性能に大差が出るとは考えにくいし、冷却ファンの有無もピークパワーの維持に違いが表われるくらいだ。バッテリ駆動時間はどちらもモバイルノートとしては平均を大きく上回っているので、スペック的に2時間短くても運用方法でカバーできる。

 ましてや、ディスプレイ輝度、スピーカーとマイクの品質については、相当マニアな人以外は気にならないレベルの違いだ。となると、どうしてもファンクションキーがTouch Barのほうがいいと考える方以外は、MacBook Airがピッタリなマシンと言える。

 なお7コアGPU版と8コアGPU版のどちらを選ぶかについては5,000円の価格差をどう捉えるか次第。メモリ、ストレージが最小構成なら7コアGPU版を、メモリ、ストレージを増量するならリセールバリューを考慮して8コアGPU版を購入することをおすすめする。

【表2】「MacBook Air(M1, 2020)」と「MacBook Pro(13-inch, M1, 2020)」の相違点
製品名MacBook Air
(M1, 2020)
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
価格10万4,800円~13万4,800円~
カラーシルバー、スペースグレイ、ゴールドシルバー、スペースグレイ
GPU7コアまたは8コア8コア
バッテリ容量49.9Wh58.2Wh
バッテリ駆動時間最大18時間最大20時間
ファンクションキー物理キーTouch Bar
ディスプレイ輝度400cd/平方m500cd/平方m
サイズ(幅×奥行き×高さ)304.1×212.4×4.1~16.1mm304.1×212.4×15.6mm
重量約1.29kg約1.4kg
スピーカーステレオスピーカーハイダイナミックレンジステレオスピーカー
マイク3マイクアレイスタジオ品質の3マイクアレイ
冷却ファン非搭載搭載
【表3】「MacBook Air (M1, 2020)」と「MacBook Pro (13-inch, M1, 2020)」の価格一覧
MacBook Air
(M1, 2020)
※7コアGPU
MacBook Air
(M1, 2020)
※8コアGPU
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
M1/8GB/256GB10万4,800円13万4,800円
M1/8GB/512GB12万4,800円12万9,800円154,800円
M1/8GB/1TB14万4,800円14万9,800円174,800円
M1/8GB/2TB18万4,800円18万9,800円214,800円
M1/16GB/256GB12万4,800円15万4,800円
M1/16GB/512GB14万4,800円14万9,800円17万4,800円
M1/16GB/1TB16万4,800円16万9,800円19万4,800円
M1/16GB/2TB20万4,800円20万9,800円23万4,800円

デザインは旧MacBook Airとまったく同じ

 筐体デザインは旧MacBook Airとまったく同じ。実測重量も過去記事のときと比較してみたが、新MacBook Airが1,279.5g、旧MacBook Airが1,278.5gだった。CPU(SoC)の変更によりマザーボードを再設計しているはずなのに、重量がほぼ同じなのは本当に驚かされた。

 ただし外観デザインが同じでも性能、使い勝手で変わっている点はある。まず、いい意味で変わっているのはWebカメラの画質。どちらも720p FaceTime HDカメラが搭載されているが、新MacBook AirはM1に搭載された画像処理機能により、ホワイトバランスや露出を調整し、ノイズも低減してくれる。室内光で撮影しても健康的な肌色でビデオ通話可能だ。

本体天面。筐体材質は100%再生アルミニウム
本体底面。ファンレスだが底面には放熱口すら存在しない
ディスプレイ面。ディスプレイ上部に720p FaceTime HDカメラが内蔵
720p FaceTime HDカメラで撮影した写真。M1に搭載された画像処理機能により、ホワイトバランスや露出を調整し、ノイズも低減している
キーボード面。ファンクションキーはすべて物理キーだ。ステレオスピーカーはキーボード左右の特等席に内蔵されている
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大79.4dBA(50cmの距離で測定)。ちなみに旧MacBook Airは同条件で最大77.2dBAだった

 悪い意味で変わっているのは、Thunderbolt 3経由で同時接続できる外部ディスプレイの数。1台の外部ディスプレイに6K/60Hz表示できる点は同じだが、旧MacBook Airは2台の外部ディスプレイに4K/60Hz表示できるが、新MacBook Airは外部ディスプレイが1台に制限されている。

 筆者は自宅ではノートパソコンの画面を閉じて、43型と27型の2つのディスプレイに映像出力して使っている。外部ディスプレイ1台という制限は非常に残念だ。おそらくM1の仕様上の制限によるものと思われるが、次期モデルでは解消されることに期待したい。

本体前面と本体背面
本体右側面には3.5mmヘッドフォンジャック、本体左側面にはThunderbolt 3×2(充電、DisplayPort、Thunderbolt接続時最大40Gbps、USB 3.1接続時最大10Gbps)が装備

 また、筆者はここ数年、Thunderbolt 3を4ポート搭載するMacBook Proを使い続けてきたが、今回2ポートのMacBook Airを試用して非常に使いにくく感じた。

 まず左右から充電できないのはケーブルの取り回しが面倒だし、MacBook本体を充電しつつ、モバイルディスプレイ、ポータブルストレージ、そしてスマートフォンを接続できないことも不便。インターフェイスの構成は使い勝手を大きく左右する。エントリーのMacBookにも4ポート搭載してほしいと強く思う。

【表4】キーボードの押圧力の一例
FキーEnterキーSpaceキー
13インチMacBook Air0.51N0.51N0.53N
ZenBook 13 UX325EA0.53N0.5N0.51N
13インチMacBook Pro0.51N0.54N0.5N
One-Netbook A10.61N0.55N0.56N
MUGAストイックPC30.51N0.46N0.47N
DAIV 4N0.55N0.55N0.58N
LG gram 2-in-10.6N0.6N0.6N
16インチMacBook Pro0.55N0.55N0.55N
ZenBook Duo0.56N0.54N0.55N
キーピッチは実測19mm前後
キーストロークは1mm
文字キーの押圧力は0.51N前後
キーボードバックライトは16段階で調節できる
本体同梱物一覧
同梱物には、30W USB-C電源アダプタ、USB-C充電ケーブル(2m)が付属
30W USB-C電源アダプタの仕様は、入力100-240V~0.75A、出力20V/1.5A、15V/2A、9V/3A、5V/3A、容量は30W
本体の実測重量は1,279.5g
30W USB-C電源アダプタとUSB-C充電ケーブル(2m)の合計重量は実測158.5g

M1搭載Macで利用できるアプリの種類

 M1搭載Macで利用できるアプリは、M1(Apple Silicon)に最適化されたアプリ、Intel CPU搭載Mac用に作られたアプリ、iOS用に作られたアプリの3種類が存在する。

 いま動作しているのがどれに該当するのか確認するなら、「アクティビティモニタ」が手っ取り早い。アクティビティモニタには「アーキテクチャ」という項目があり、ここにはM1に最適化されたアプリなら「Apple」、Intel CPU搭載Mac用に作られたアプリなら「Intel」と表示される。

アクティビティモニタの「アーキテクチャ」の項目に、M1に最適化されたアプリは「Apple」、Intel CPU搭載Mac用に作られたアプリは「Intel」と表示される
「種類」に、M1用とIntel CPU用のコードの両方が含まれている場合は「Universal」、Intel CPU用のコードのみの場合は「Intel」、M1用のコードのみの場合は「Appleシリコン」と表示される

 もう1つの方法は「アプリケーション」フォルダを開き、確認したいアプリケーションを右クリックして「情報を見る」を選択すること。

 ここの「種類」に、M1用とIntel CPU用のコードの両方が含まれているアプリは「Universal」、Intel CPU用のコードのみの場合は「Intel」、M1用のコードのみの場合は「Appleシリコン」と表示される。なおAppleシリコンと表示されるアプリのほとんどはiOS用だが、「Adobe Photoshop(Beta)」のようにMac用のなかにもM1専用アプリが存在している。

 なおAppleはM1(Apple Silicon)に最適化されたアプリをApp Storeで一部公開しているが、「Is Apple silicon ready?)というサイトではより多くの情報を確認できる。

App Storeの特設ページでカテゴリ別にM1に最適化されたアプリがまとめられている
Is Apple silicon ready?」というサイトでアプリがM1に最適化されているか、Rosetta 2でアプリが動くかどうかを確認できる

 筆者が常用しているカラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」用のアプリ「i1Profiler」が、非対応アプリとして抜けているので完全な情報ではないようだが、App Storeよりは充実しているのでぜひ参考にしてみよう。

筆者の常用アプリのなかでは、カラーキャリブレーション機器「i1Display Pro」用のアプリ「i1Profiler」だけが現時点で利用できなかった

 一方、iOSアプリの対応状況は現時点ではかなり混乱している。App Storeで検索しても「macOSでは検証されていません」というアプリが多く、インストールしてみても3軸ジャイロや加速度センサーなどを前提にしているため動かないゲームもある。またメジャーアプリはそもそも提供されていないものが多い。iOSアプリのソフトウェアベンダーが積極的にmacOSに対応することを期待したい。

現時点では「macOSでは検証されていません」というアプリが多い
iOS用アプリ「Paper Toss」はトラックパッドで操作可能
iOS用アプリ「CubeRunner」は端末を傾けて操作する。M1搭載Macでインストール、起動可能だが、3軸ジャイロを搭載していないためコントロールできない

Intel Mac用アプリとUniversalアプリの速度の違い

 Intel Mac用アプリと、M1に最適化されたコードを含むUniversalアプリでどのぐらい性能が異なるのだろうか? 他機種との比較はつぎの章で行なうが、ここではIntel Mac用の「Chrome」、UniversalアプリのChrome、そして参考用にUniversalアプリの「Safari」、Intel Mac用の「Edge」を準備して、ブラウザベンチマーク「JetStream2」を実施してみた。

【表5】ブラウザごとのJetStream2の総合スコア
Intel Mac用の「Chrome」91.261
Universalアプリの「Chrome」188.076
Universalアプリの「Safari」180.556
Intel Mac用の「Edge」99.45

 結果は上記のとおり、Universal版のChromeはIntel Mac版の約2.06倍のスコアを記録している。Safari、Edgeでもほぼ同様の傾向だ。もちろんすべてのアプリがM1に最適化されることで約2倍の性能向上が見込めるわけではない。しかしUniversalアプリが増えたとき、M1搭載Macがどのくらい快適な環境になるのか楽しみだ。

ChromeはIntel Mac用、Universalアプリの2種類が現在提供されている
Intel Mac版ChromeのJetStream2の総合スコアは91.261
Universal版ChromeのJetStream2の総合スコアは188.076
Universal版SafariのJetStream2の総合スコアは180.556
Intel Mac版EdgeのJetStream2の総合スコアは99.495

気になるベンチマークスコアは?

 最後にベンチマークをチェックしてみよう。今回は下記の4機種のベンチマークスコアを掲載している。

  • MacBook Air (M1, 2020)
  • MacBook Pro (13-inch, M1, 2020)
  • MacBook Pro (16-inch, 2019)
  • MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020)

 下記が検証機の詳細な仕様と、その結果だ。

【表6】ベンチマーク結果
MacBook Air
(M1, 2020)
MacBook Pro
(13-inch, M1, 2020)
MacBook Pro
(16-inch, 2019)
MacBook Air
(Retina, 13-inch, 2020)
SoCApple M1Apple M1
CPU高性能コア×4、高効率コア×4高性能コア×4、高効率コア×4Core i9-9880H(8コア16スレッド、2.3~4.8GHz)Core i5-1030NG7(4コア8スレッド、1.1~3.5GHz)
GPU8コア8コアAMD Radeon Pro 5500M 4GBIntel Iris Plus Graphics(300MHz~1.05GHz)
Neural Engine16コア16コア
メモリ8GB8GB16GB8GB
ストレ-ジ512GB256GB1TB512GB
TDP45W10W
OSmacOS Big Sur バージョン11.0.1macOS Big Sur バージョン11.0.1macOS Big Sur バージョン11.0.1macOS Catalina バ-ジョン10.15.4
CINEBENCH R23.200
CPU(Multi Core)6,937 pts7,744 pts8,780 pts
CPU(Single Core)1,491 pts1,498 pts1,177 pts
CINEBENCH R20.060
CPU1,963 pts2,092 pts3,465 pts964 pts
CPU(Single Core)401 pts401 pts460 pts367 pts
CINEBENCH R15.0
OpenGL88.88 fps88.26 fps124.59 fps42.52 fps
CPU1,046 cb1,068 cb1,489 cb476 cb
CPU(Single Core)206 cb208 cb186 cb146 cb
Geekbench 5.3.1
Single-Core Score1,3031,2541,1401,160
Multi-Core Score5,8955,6746,9212,733
Single-Core Score(Apple Sillicon)1,7271,728
Multi-Core Score(Apple Sillicon)7,5317,569
Compute(Metal)18310(Apple Silicon)26094(dGPU)9430
Compute(OpenCL)20868(Apple Silicon)19248(Apple Silicon)33059(dGPU)8323
Blackmagic Disk Speed Test(単位 : MB/s)
WRITE 1回目2,718.42,276.62,754.61,329.8
WRITE 2回目2,774.62,178.12,780.31,333.1
WRITE 3回目2,871.52,243.22,737.81,333.5
WRITE 4回目2,864.22,087.82,783.81,333.4
WRITE 5回目2,686.32,327.12,807.51,331.4
WRITE 平均2,783.02,222.62,772.81,332.2
READ 1回目2,813.02,754.62,777.31,294.5
READ 2回目2,744.32,767.62,775.61,303.4
READ 3回目2,694.72,767.72,770.81,269.3
READ 4回目2,837.92,756.62,777.81,301.5
READ 5回目2,826.72,739.22,777.71,306.3
READ 平均2,783.32,757.12,775.81,295.0
SSDをAmorphousDiskMark 1.0.2で計測(単位 : MB/s)
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルリ-ド3,403.853,397.043,458.821,542.48
SEQ128K QD32 シ-ケンシャルライト3,025.642,498.233,308.411,274.35
RND4K QD32 ランダムリ-ド2,208.092,354.072,211.46699.22
RND4K QD32 ランダムライト2,640.482,679.991,840.1012.93
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルリ-ド1,229.651,229.38903.661,042.65
SEQ1M QD1 シ-ケンシャルライト126.4490.23269.401,545.44
RND4K QD1 ランダムリ-ド65.4567.3648.0462.32
RND4K QD1 ランダムライト32.0833.45335.3713
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然5分29秒305分5秒484分52秒9914分14秒05
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps3分18秒363分18秒813分12秒977分25秒60
iMovieで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、29.97fps(品質 : 高、圧縮 : 高速)3分10秒293分9秒313分23秒756分23秒58
YouTube動画を連続再生した動作時間
ディスプレイの明るさ6/16、音量6/1616時間3分55秒18時間35分55秒10時間5分0秒

【お詫びと訂正】初出時に、上記の表でMacBook Air(M1, 2020)のストレージの容量を256GBとしておりましたが、正しくは512GBになります。お詫びして訂正させていただきます。

 最初に注目したいのが旧MacBook Airとの性能差。Core i5-1030NG7搭載MacBook Airに比べてM1搭載MacBook AirはCinebench R20のCPUで約2.04倍、Cinebench R15のCPUで約2.20倍のスコアを記録している。旧MacBook Airを購入した方のために、少しお得な買い替えキャンペーンを提供してあげてほしいと思う。

 つぎに注目したいのが13インチMacBook Proとの性能差。MacBook Proに対してMacBook AirはCinebench R23のCPUで90%、Cinebench R20のCPUで94%のスコアにとどまっている。これは誤差とは言い切れないスコア差だ。

 そこでCinebench R23実行中の消費電力の推移を計測してみたところ、いったん28W前後で消費電力が安定したものの、その後23.9Wまでじりじりと下がっていった。消費電力の推移を見たかぎりでは、SoCの発熱が高まり、クロック周波数が少しずつ低下していったようだ。つまり後半ピークパワーを維持できなかったため、MacBook Proよりベンチマークスコアが低かったのだと思われる。

 一方、実アプリではLightroomは同様にMacBook Airの処理スピードが低下したようだが、Premiere Pro、iMovieでは処理時間はほとんど変わらなかった。

 なお、Blackmagic Disk Speed Testの書き込み速度はMacBook AirがMacBook Proを大きく上回っているが、これはMacBook AirがUniversal版、MacBook Pro版がIntel Mac版でベンチマークを実施したため。どちらもUniversal版で実施したAmorphousDiskMarkでは誤差以上の差はなかった。

 バッテリ駆動時間については、MacBook Airが49.9Wh、MacBook Proが58.2Whのバッテリを搭載していることから当然後者が有利だが、それでもMacBook AirはMacBook Proの約86%に相当する16時間3分55秒もYouTube動画を連続再生し続けた。十二分すぎるほどのバッテリ駆動時間が確保されていると言える。

MacBook Airはベンチマーク実行中、いったん安定した消費電力がじりじりと下がっていく挙動が見られた
Cinebench R23を連続で9分間実行後のキーボード面の最大温度は39.1℃
底面の最大温度は37.9℃。ファンレスだが発熱は低く抑えられている(室温20.2℃で測定)
30W USB-C電源アダプタの最大温度は40.8℃

まとめ : エントリー機の処理能力を底上げしたM1の功績は大きい

 MacBook AirはMacBookのラインナップのなかでエントリーモデルに位置づけられている。そのエントリーモデルがM1搭載MacBook Proと同様に、Geekbench 5やiMovieで8コア16スレッドのCore i9-9880Hを搭載する16インチMacBook Proを上回るスコアを記録していることは驚くべき結果だ。

 Universalアプリが今後増えてくれば、MacBook Airの処理速度は向上していく。比較的安価で購入可能なエントリーモデルの処理能力を底上げしたという意味で、M1の功績は大きいと筆者は考える。