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税別139,800円でCore i7&ペン対応な2in1「m-Book U400S」を使ってみた

~16GBメモリ/512GB SSD搭載でファンレス仕様

マウスコンピューター「m-Book U400S」139,800円〜

 マウスコンピューターは5月16日、360度ディスプレイ回転式14型2in1「m-Book U」シリーズを発売した。本製品は、第8世代(Whiskey Lake)の「Core i7-8565U」、16GBメモリ、512GBストレージを搭載し、デジタイザペンを同梱しているにもかかわらず、税別139,800円という手ごろな価格を実現している。それでいてアルミニウム合金削り出しの筐体の質感もなかなかに高い。

 今回本製品の実機を借用したので、詳細スペック、外観、使い勝手などをチェックした上で、AV品質、性能などについても検証していこう。

ハード的には1モデルのみ、Officeあるなしは選択可能

 m-Book Uシリーズに用意されているモデルはハードウェア的には「m-Book U400S」の1モデルのみ。スペックは充実しており、CPUは第8世代(Whiskey Lake)の「Core i7-8565U」(4コア、1.80~4.60GHz)、メモリは16GB(DDR3L-1866 SDRAM)、ストレージは512GB SSD(Serial ATA)を搭載。ディスプレイは、10点マルチタッチ、256段階の筆圧感知に対応した14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット)を採用しており、デジタイザペンも標準で同梱されている。

 これでOffice非搭載モデルが139,800円、Office搭載モデルが158,800円に設定されているので、お買い得感は高いと言える。

【表1】m-Book U400Sのスペック
シリーズ名m-Book U シリーズ
製品名m-Book U400S
OSWindows 10 Home
CPUCore i7-8565U(4コア/8スレッド、1.8~4.6GHz)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリDDR3L-1866 SDRAM 16GB
ストレージ512GB Serial ATA SSD
ディスプレイ14型フルHD液晶(1,920×1,080ドット、157ppi、輝度非公表、色域非公表、光沢、タッチ対応、スタイラス対応)
通信IEEE 802.11ac(最大1.73Gbps)、Bluetooth 5.0
WWAN非対応
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0 Type-C、USB 3.1 Type-A、HDMI、ヘッドセットジャック、Webカメラ(100万画素)
バッテリ容量57,288mWh(Battery reportで計測)
本体サイズ322.8×218×16.8mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.5kg
セキュリティWindows Hello対応顔認証カメラ、Windows Hello対応指紋認証センサー
Microsoft Office-Office Personal 2019
カラー1色
価格139,800円158,800円
パッケージには本体以外に、ACアダプタ、電源ケーブル、デジタイザペン(Microsoft Pen Protocol対応)、単6電池、ペンホルダー、説明書類が同梱されている。なお、写真のショートタイプの電源ケーブルはオプションで税別700円

新旧インターフェイスを装備、SDカードスロットはなし

 m-Book U400S の本体サイズは322.8×218×16.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.5kg。本体材質はアルミニウム合金製で、天面、キーボード面、底面はブラック、両側面はゴールドに着色されている。剛性はしっかりと確保され、天面、キーボード面、両側面にはヘアライン加工が施されている。価格以上の高級感を備えているというのが率直な感想だ。

 インターフェイスは左側面にUSB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.0 Type-C、右側面にUSB 3.1 Type-A、HDMI、ヘッドセット端子が配置されている。新旧インターフェイスが利用できる点は使い勝手がいいが、SDカードスロットが存在しない点、USB Power Deliveryによる給電・充電に対応するのが左側面奥のUSB 3.1 Type-Cだけという点には留意しておこう。

 なお有線LAN端子は用意されていないが、ワイヤレス通信機能は最大1.73GbpsのIEEE 802.11ac、Bluetooth 5に対応している。

 本製品のバッテリ容量は公式サイトに記載がないが、「powercfg /batteryreport」コマンドで調べたところ、設計容量は57,288mWhと表示された。カタログスペックのバッテリ駆動時間は最大16.4時間とされているが、実使用でのバッテリ駆動時間も期待できそうだ。

 前述のとおりm-Book U400SはCPUにCore i7-8565Uを採用しているが、高性能なプロセッサを搭載している2in1としてはめずらしく冷却ファンを内蔵していない。動作音を低減するために、冷却ファンではなく、専用設計のヒートプレートで放熱するファンレス機構を採用したとのことだが、どのぐらいの処理性能を発揮するのか気になるところ。この点についてはベンチマークの章で検証してみよう。

本体天面。表面にはヘアライン加工が施されている
本体底面。ヒンジ側(下)に放熱口があるが冷却ファンは内蔵されていない
本体前面
本体背面
本体右側面には、左から指紋認証センサー一体型電源ボタン、ヘッドセット端子、USB 3.1 Type-A×1、HDMI×1が用意されている
本体左側面には、左からUSB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort Alt Mode対応)×1、USB 3.0 Type-C×1、ボリュームボタンが配置されている
ディスプレイ面。上部ベゼルには100万画素のWebカメラとWindows Hello対応の顔認証カメラ、マイクが内蔵されている
キーボード面。キーボードは81キーの日本語キーボード、タッチパッドは全体が沈み込むダイビングボード構造が採用されている
ACアダプタには通常の電源ケーブルのほかに、オプションで携帯用のショートケーブル(税別700円)も用意されている
ACアダプタの仕様は、入力100-240V~1.2A、出力5V 3A、9V 3A、15V 3A、20V 2.25A、容量45W
デジタイザペンはMicrosoft Pen Protocol準拠。電源は単6電池。USB端子にデジタイザペンを固定するためのペンホルダーが付属している
本体の実測重量は1,453g
ACアダプタと電源ケーブル(ショートタイプ)の実測重量は228g
デジタイザペンの実測重量は18.2g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1809適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は452.81GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに57,288mWhと表示された

タイプしやすいキーボード、ペンは筆圧感知256段階

 m-Book U400Sはノートブックモード、タブレットモード、スタンドモード、テントモードと、利用シーンに合わせて最適なスタイルを選べる2in1だ。2in1としては当然の仕様だが、ディスプレイを180度以上開くとキーボードが無効化されるので、タブレット状態でキーを押しながらわしづかんでも誤入力されることはない。

 キーボードはキーピッチが約19mm、キーストロークが約1.5mm確保されており、文字キーはすべて等幅にそろえられているので、タッチタイピングしていてもすべてのキーを自然に打鍵できる。個人的にはもう少し反発力が強いほうが好みだが、打鍵感も良好だ。タッチパッドも節度あるクリック感で操作しやすい。

 使っていてやや気になったのは打鍵音の大きさ。文字キーの打鍵音は平均的だが、EnterキーとSpaceキーは底打ちするとかなり甲高く音が響く。喫茶店などの静かな環境では叩くのではなく、押すようなおとなしめのタイピングを心がけたい。

 標準で同梱されるデジタイザペンは筆圧感知256段階。日頃使っているデジタイザペンが4,096段階なのでかなり使い勝手が違うと予想していたが、「Windows Ink ワークスペース」の「スケッチパッド」を利用しているかぎりは、正直差を感じない。お絵かきソフトで繊細なタッチを表現するさいにはほかの2in1なりタブレット端末を選ぶべきだが、メモ書きしたり、簡単なイラストを描くのならm-Book U400Sで十分だ。

左上からノートブックモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモード。ディスプレイを180度以上開くと、キーボードは無効化される
文字キー、ファンクションキーはすべて等幅にそろえられている。「\」(バックスラッシュ)が最下段にある点だけは慣れが必要だ
キーピッチは約19mm、キーストロークは約1.5mm確保されている
m-Book U400Sの筆圧感知は256段階だが、筆者ぐらいの絵心なら十分実用的。ただしお絵かきソフトで繊細なタッチを表現する描画ツールを使うなら、ほかの2in1を選ぶなり、ペンタブレットを利用しよう
ペンホルダーは右側面のUSB Type-A端子に装着する。デジタイザペンをセットしていると指紋認証センサー一体型電源ボタンにふれられないので、OSのロック解除には顔認証カメラを利用しよう

ディスプレイの色域はせまめ、スピーカーのボリュームは低め

 m-Book U400Sのディスプレイには、14型フルHD液晶パネル(1,920×1,080ドット、157ppi、光沢、タッチ対応、スタイラス対応)が採用。輝度や色域は公表されていない。

 そこで、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率は63.4%、sRGB比は63.6%、Adobe RGBカバー率は47.1%、Adobe RGB比は47.1%とかなり低めの値が出た。広色域を売りにしていない2in1、ノートPCの多くが、sRGBカバー率で90%を超えている。色をチェックするようなクリエイティブワークには、広色域の外付けディスプレイを使ったほうがいい。

 サウンドについては、細かな音も小気味よく鳴って素性がよさそうなのだが、ボリュームが小さすぎる。目の前で最大ボリュームで再生しても正直物足りない。音楽を楽しみたいのならヘッドフォンやスピーカーは必須アイテムだ。

色域はせまいが、発色自体に癖はない
実測したsRGBカバー率は63.4%、sRGB比は63.6%
実測したAdobe RGBカバー率は47.1%、Adobe RGB比は47.1%
スピーカーは左右の底面手前に内蔵されている
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大74.1dBA(50cmの距離で測定)

ファンレス設計のためピークパワーを抑えたセッティング?

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2115」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.10.901」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.8.6578」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
  • CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.3」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」

 今回は比較対象機種として、同じくCore i7-8565Uを搭載したデルの「XPS 13(9380)」を採用した。ファンレスのm-Book U400Sと、冷却ファン搭載ノートPCのなかでもトップクラスの性能を発揮しているXPS 13でどのぐらいの性能差があるだろうか?

 下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
m-Book U400SXPS 13
CPUCore i7-8565U(4コア/8スレッド、1.8~4.6GHz)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリDDR3L-1866 SDRAM 16GBLPDDR3-2133 SDRAM 8GB
ストレージ512GB SATA SSD256GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ14型、1,920×1,080ドット(157ppi)13.型、3,840×2,160ドット(331ppi)
TDP15W
OSWindows 10 Home 64bit
サイズ(幅×奥行き×高さ)322.8×218×16.8mm302×199×7.8〜11.6mm
重量約1.5kg約1.23kg
【表3】ベンチマーク結果
m-Book U400SXPS 13
PCMark 10 v2.0.2115
PCMark 10 Score3,662
Essentials7,6638,575
App Start-up Score9,22212,701
Video Conferencing Score6,9557,445
Web Browsing Score7,0176,669
Productivity6,8406,354
Spreadsheets Score8,2737,702
Writing Score5,6565,243
Digital Content Creation2,543
Photo Editing Score3,2464,251
Rendering and Visualization Score1,531計測不可
Video Editting Score3,3104,200
PCMark 10 Modern Office Battery Life15時間13分
PCMark 8 v2.10.901
Home Accelarated 3.03,7233,599
Creative Accelarated 3.04,7135,089
Work Accelarated 2.04,6764,300
Storage 2.04,8965,023
3DMark v2.8.6578
Time Spy367460
Fire Strike Ultra247301
Fire Strike Extreme472561
Fire Strike9701,198
Sky Diver3,7784,750
Night Raid4,4335,427
Cloud Gate7,4069,834
Ice Storm Extreme30,78733,967
Ice Storm41,96443,070
CINEBENCH R15.0
OpenGL44.50 fps54.41 fps
CPU450 cb740 cb
CPU(Single Core)151 cb185 cb
CINEBENCH R20.060
CPU884 pts
CPU(Single Core)316 pts
Geekbench 4.3.3
32-bit Single-Core Score4,4464,666
32-bit Multi-Core Score10,69915,203
64-bit Single-Core Score5,0285,255
64-bit Multi-Core Score11,84516,558
OpenCL35,52338,254
CUDA
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット4,9866,503
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン837(動作困難)1,001(動作困難)
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 標準品質(ノートPC)3,990(快適)4,992(快適)
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)2,834(やや快適)3,498(やや快適)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード559.870 MB/s3518.489 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト527.413 MB/s1395.874 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード396.471 MB/s565.676 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト244.174 MB/s388.579 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード194.800 MB/s276.542 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト240.889 MB/s432.772 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード24.671 MB/s39.146 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト41.713 MB/s101.843 MB/s

 やはり、ファンレスのm-Book U400Sと、冷却ファンを搭載して独自チューニングを施したXPS 13には、処理性能に大きな差があった。m-Book U400SはXPS 13に対して、CINEBENCH R15.0のCPUスコアは約61%、Geekbench 4.3.3の64-bit Multi-Core Scoreは約72%にとどまっている。

 しかしどんなに負荷の高い処理でもm-Book U400Sは無音だが、XPS 13は冷却ファンが盛大に回り出す。m-Book U400Sは処理性能よりも静音性を選ぶユーザー向けのマシンというわけだ。

 バッテリ駆動時間は「PCMark 10 Modern Office Battery Life」で計測したが、ディスプレイ輝度をもっとも暗くした状態で15時間13分動作した。ディスプレイ輝度40%に設定しても、10時間は軽く超えると思われる。

 冷却ファンがないということでm-Book U400Sでは発熱が不安だったが、CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度は35.1℃、底面の最大温度は41.1℃と比較的低めにとどまった。本体の表面温度がそれほど高くならない程度に、プロセッサのピークパワーを抑えたセッティングになっている可能性がある。

CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときのキーボード面の最大温度は35.1℃
底面の最大温度は41.1℃
ACアダプタの最大温度は33.9℃

機能、装備が充実した2in1を安価に購入したい方にオススメ!

 m-Book U400Sの処理性能は決して高くはない。しかしそれは静音性を重視した、あえての選択だ。指紋認証センサーや顔認証センサーをダブルで搭載し、デジタイザペンが標準で同梱されるなど装備は充実している。16GBメモリ、512GBストレージも長く愛用するのに十分な容量だ。充実装備の2in1をできるだけ安価に購入したいという方にm-Book U400Sはもってこいの選択肢と言えよう。