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液晶&E Inkで唯一無二のデュアル画面2in1「Yoga Book C930」実機レビュー

レノボ・ジャパン「Yoga Book C930」122,653円~(キャンペーン価格)

 レノボ・ジャパンは、キーボード面にE Inkディスプレイを採用したデュアルディスプレイ構成のWindows 10搭載10.8型2in1タブレットPC「Yoga Book C930」を10月4日に発表、12日より予約販売を開始した。

 旧Yoga Bookは必要に応じてキートップを表示するライトアップキーボード「ハロキーボード」が採用され、キー入力とペン入力を切り替えていたが、新Yoga BookはE Inkディスプレイを実装することにより直接ペンで手書き可能となり、またキートップの表記も自由に変えられるようになった。

 今回レノボ・ジャパンより実機を借用したので、おもにE Inkディスプレイの使い勝手を中心にレビューしていこう。

CPU/SSDの差、ペンの有無を考慮すると上位モデルのほうがお買い得?

 新Yoga Bookのラインナップは4モデル。Core m3-7Y30(1~2.6GHz、2コア4スレッド)を搭載する下位モデル、Core i5-7Y54(1.2~3.2GHz、2コア4スレッド)を搭載する上位モデルが用意されており、それぞれにモバイルデータ通信可能なWWAN対応モデルと非対応モデルが存在する。

 ほかにも下位モデルには128GB PCIe SSD、上位モデルには256GB PCIe SSDとストレージ容量が差別化されているが、メモリはすべて4GBのLPDDR3-1866 SDRAMが搭載されており、カスタマイズもできない。長く使うことを考えると8GBメモリの選択肢がなかったのは残念だ。

 旧Yoga BookにはWindows 10だけでなくAndroid 6.0を搭載したモデルも用意されていたが、新Yoga BookではWindows 10に1本化された。10万円を超える価格帯に移行したのでAndroid OS専用機がなくなったこと自体は納得できる。しかし軽いOSを求めるユーザーのためにデュアルブートという選択肢も用意してほしかったというと欲張りすぎだろうか。

 CPUは旧モデルでは、Atom x5-Z8550(1.44~2.4GHz、4コア4スレッド)が採用されていたので、下位のCore m3-7Y30モデルでもかなりの性能向上となる。詳しくはベンチマークの章で解説しよう。

 なお購入を検討している方に1つ注意点がある。じつは下位のCore m3-7Y30搭載モデルには専用ペン「Lenovo Precision Pen」が同梱されていない。またこのデジタルペンは、10月15日時点で公式通販サイトのレノボ・ショッピングで単体販売されていなかった。

 AES方式を採用したほかのペンを利用できる可能性は高いとはいえ、CPUの速度差、ストレージ容量、デジタルペンの有無を考慮すると、24,570円差で入手できる上位モデルのほうがお得感は高い。

【表1】Yoga Book C930のモデル一覧 ※10月15日調べ
Yoga Book C930 - アイアングレー
製品番号ZA3S0006JPZA3T0015JPZA3S0090JPZA3T0005JP
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore m3-7Y30(1~2.6GHz、2コア4スレッド)Core i5-7Y54(1.2~3.2GHz、2コア4スレッド)
GPUIntel HD Graphics 615(350~900MHz)Intel HD Graphics 615(300~950MHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 4GB
ストレージ128GB SSD256GB SSD
ディスプレイ1stディスプレイ:10.8型IPS液晶(2,560×1,600ドット、280ppi、輝度・コントラスト比・色域不明、10点マルチタッチ、光沢)、2ndディスプレイ:10.8型E Ink(1,920×1,080ドット、204ppi、10点マルチタッチ)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2、WWANIEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2、WWAN
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB Power Delivery、DisplayPort、オーディオ、OTG Hub)×2、microSDカードリーダ×1
カメラ200万画素固定焦点(Fixed Focus)カメラ
セキュリティ指紋認証センサー
SIMカードスロットなしNano SIMカードなしNano SIMカード
バッテリ容量Design Capacity:35,800mWh、Full Charge Capacity:36,730mWh(Battery reportで計測)
バッテリ駆動時間約11時間約10時間約11時間約10時間
バッテリ充電時間約3時間(電源オフ時)
本体サイズ/重量約260.4×179.44×9.9mm(幅×奥行き×高さ)/約775g
重量約775g約799g約775g約799g
ペン別売りLenovo Precision Pen
Microsoft Officeなし
カラーアイアングレー
販売価格134,784円150,984円161,784円177,984円
キャンペーン価格122,653円137,395円147,223円161,965円

物理キーボード搭載ノートPCの追従を許さない薄さを実現

 新Yoga Bookのサイズ(幅×奥行き×高さ)/重量は約260.4×179.44×9.9mm/約775g(Wi-Fiモデル)、約799g(WWANモデル)。旧Yoga Bookが約256.6×170.8×9.6mm/約690gだったので、ディスプレイサイズの拡大、E Inkディスプレイの搭載に伴い、サイズ、重量ともに増えたことになる。とはいえ新Yoga Bookの厚さはわずか9.9mm。物理的なキーボードを搭載するクラムシェル型ノートPCの追従を許さない薄さを実現している。

 筐体は金属製で、本体カラーはアイアングレーを採用。360度開くディスプレイ機構にはYogaシリーズでおなじみの回転式ウォッチヒンジが継承されている。ディスプレイを閉じている状態であれば、そのままバッグに放り込んでいても不安を感じないほどの剛性感は確保されていると感じた。

 なお新Yoga Bookには落下、水濡れ、火災などの予期せぬ障碍や、盗難、紛失にも対応する「アクシデント・ダメージ・プロダクション(ADP)」が1年間標準保証として提供されている。

 インターフェイスは左右側面にそれぞれUSB 3.1 Type-Cが、加えて左側面にはmicroSDカードリーダが用意されている。3.5mmイヤフォンジャックは省かれているが、USB 3.1 Type-CがUSB Power Delivery、DisplayPort、オーディオ、OTG Hub機能をサポートしている。

 ただし筆者が他社製のUSB Type-C - 3.5 mmイヤフォン変換アダプタ経由でイヤフォンを接続したところ、右側のUSB 3.1 Type-Cでしか認識しなかった。DisplayPortの信号が両方から出力されているかは、今回は機材の都合上確認が取れなかった。

 E Inkディスプレイの右奥に指紋認証センサーが搭載され、デジタルペンを天面に固定できるなど使い勝手が向上しているが、なかでもユニークなのがディスプレイのオープン機構。ディスプレイ天面を2回軽くノックすると内部のマグネット機構がずれ、自動的にディスプレイが1cmほど開かれる。

 筐体が薄いぶん旧Yoga Bookではディスプレイを開けるのに手こずることがあったが、新Yoga Bookはスマートに開けられる。超薄型クラムシェルノートPCの開閉機構として技ありの仕組みだ。

本体天面。鏡面仕上げの「Lenovo」のロゴのみが入る
本体底面。認証情報、シリアルなどはシールとして貼られている
本体前面。中央付近の2つの穴はノイズキャンセリングに対応したデュアルマイクロフォン
本体背面。Yogaシリーズ伝統の360度回転式ウォッチヒンジが採用されている
本体右側面には左からボリュームボタン、スピーカー、電源ボタン、充電インジケータ、USB 3.1 Type-C端子が並ぶ
本体左側面にはUSB 3.1 Type-C端子、充電インジケータ、microSDカード/Nano SIMカードトレイ、スピーカーが用意されている。なおUSB 3.1 Type-C端子はUSB Power Delivery、DisplayPort、オーディオ、OTG Hub機能をサポートすると記載されているが、借用機ではオーディオ機能を右側面の端子でしか利用できなかった
1stディスプレイは10.8型IPS液晶(2,560×1,600ドット、280ppi、10点マルチタッチ、光沢)。ディスプレイ上部には200万画素固定焦点(Fixed Focus)カメラが内蔵されている
2ndディスプレイは10.8型E Ink(1,920×1,080ドット、204ppi、10点マルチタッチ)
ディスプレイが360度回転するヒンジ機構が採用されており、閲覧、文字入力、視聴、ペン入力などさまざまなスタイルで利用可能だ
パッケージには、本体、ACアダプタ、USBケーブル、取り出し用ピン、マニュアル類が同梱されている
USBケーブルは両端ともUSB Type-C形状。長さは実測約150cm
ACアダプタの仕様は入力100-240V~0.8A、出力5V/3A、9V/3A、容量27W
Core i5-7Y54搭載モデルに同梱されるデジタルペン「Lenovo Precision Pen」。サイズは152.3×9.50×9.65mm(幅×奥行き×高さ)、重量は18.6g(バッテリ含む)。4,096段階の筆圧検知、傾き検知機能をサポート。筐体はアルミニウム素材が採用されている
製品パッケージ表面
製品パッケージ裏面。サイズは約320×195×35mm(同)
本体の実測重量は約778g
ACアダプタとUSBケーブルの合計実測重量は約95.4g
デジタルペン「Lenovo Precision Pen」の実測重量は約18.9g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1803適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は216.87GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは35,800mWh、FULL CHARGE CAPACITYは36,730mWhと表示された
E Inkディスプレイ右奥には指紋認証センサーが内蔵されている
ディスプレイカバーを2回ノックすると、自動的に1cmほど開く。ボリュームボタン(下)を長押しでも同じように開かれる
これはディスプレイを180度開いた状態でマグネットビューワーを載せた写真を合成したもの。側面の上下に大きなマグネットパーツが入っているのがわかる
天面をノックすると下側のマグネットパーツが動くことで吸着力が失われ、両ディスプレイの間に指を入れるための約1cmのすき間が生じる
Lenovo Precision Penは天面左右にマグネットで装着できる

E Inkディスプレイによる使い勝手は旧モデルとは別物

 新Yoga Bookはシリーズ名を継承しているが使い勝手はまったくの別物。旧Yoga Bookでは必要に応じてキートップが浮かび上がるライトアップキーボード「ハロキーボード」が採用されていたが、あくまでも入力装置に過ぎなかった。

 ところが新Yoga BookのE Inkディスプレイは、文字を入力する「E Inkキーボード」、メモやイラストを書く「E Inkノート」、PDFファイルを閲覧する「E Inkリーダー」と3つのモードが用意されており、用途によってまったく表示が変わり、また直接書けて、コンテンツを表示することが可能なのだ。

E Inkディスプレイの概要を説明する少し長めの解説動画(6分31秒)を用意した。動きも見られるので、以降の解説を読むより理解が早いかもしれない

 E Inkキーボードにはタッチパッドをつねに表示する「クラシック」、必要に応じてタッチパッドが現われる「モダン」の2種類のスタイルが用意されており、またキートップの地色を黒または白から選べる。もちろん言語ごとにキートップの表示が変化する。日本語/英語キーボード以外のキートップも利用可能だ。

 タッチタイピング時のユーザーの癖を学習する「タイピングエラーコレクション」を引き続き搭載しつつ、タイピング時のフィードバックに「アニメーションキー」を追加。タイピングしたさいにバイブレーションと音だけでなく、キートップがへこむことによってユーザーへのフィードバックが向上されている。

 必要なときだけ表示する「スクリーンキーボード」として進化を遂げたE Inkキーボードだが、1つ気になったことがある。それはバイブレーションが弱くなっていること。バイブレーターの位置や数が変わっているためか、部品が変わっているためか理由はわからないが、バイブレーションを最大に設定していても、音で振動していることはわかるが、指にその振動はほとんど伝わってこない。面積が異なるので比較するのは妥当ではないかもしれないが、MacBookのタッチパッドに採用されている「Taptic Engine」と同じぐらい明確なフィードバックがほしいところだ。

E Inkキーボードには「クラシック」、「モダン」の2種類のスタイルが用意
キートップの表記・配列は28種類の言語から選べる
キーをタイプすると、音や振動ともに、キートップが沈み込むアニメーションでユーザーにフィードバックされる
キーボード音は4段階、キーボードのバイブレーションは3段階で調整可能。しかしバイブレーションを最大に設定していても、指先にその振動はほとんど伝わってこない

 E Inkノートはなかなか使いやすく実装されている。本アプリにはペン、消しゴム、スクリーンショット、選択、コピー/貼り付け、取り消す、やり直す、ペンとタッチの切り替えと充実した機能を用意。罫線、ドット罫、方眼紙などのテンプレートも利用可能だ。

 使い勝手も悪くない。すばやく線を書き続けると、いったんジャギーがあって、多少カクカクした線として暫定的に表示されるが、書き終わると一気になめらかな線として再描画される。描画速度という点ではイラストを描くのにも使えると思う。どのような速度で描画されるかは、先の動画で確認してほしい。

 おもしろいのが「スクリーンショット」機能。E Inkノートからスクリーンショットを実行すると、メインディスプレイの全画面キャプチャーがE Inkノート側に貼りつけられる。そのままノートの挿絵としても使えるし、それを下絵に模写したのちに、全画面キャプチャーのレイヤーだけを削除可能だ。

 絵心のない筆者はうまくいかなかったが、写真などから模写するのに役立ちそうだ。ただし濃い画像の上では線が目立たない。取り込む画像を表示するさいには、事前に色を薄く調整したほうがよいだろう。

 E Inkノートの使い勝手で不満を感じたのは2点。1つ目はメインディスプレイとE Inkディスプレイで書き味が異なること。デジタルペン「Lenovo Precision Pen」では、ノックボタンワンプッシュでE Inkディスプレイ側、ダブルプッシュでメインディスプレイ側のノートアプリが起動し、すぐに書きはじめられ、同時に利用することも可能だ。

 しかしメインディスプレイとE Inkディスプレイの書き味を比較すると、後者のほうが明らかに摩擦は少ない。どちらが書きやすいかは好みによると思うが、併用することを考えると筆記感を統一するべきだと考える。

 2つ目の不満はE Inkディスプレイ側のたわみが大きいこと。たわみ自体はわずかだが長い線を描くときなどに摩擦感が途中で変化してしまう。筆者自身はイラストを描くことはほとんどないし、あったとしても長い線を書くことはないので問題とはならないが、プロのイラストレーターの方々にとっては大きな違和感になるかもしれない。

E Inkノートにはペン、消しゴム、スクリーンショット、選択、コピー/貼り付け、取り消す、やり直す、ペンとタッチの切り替えなどの充実した機能を用意
デジタルペン「Lenovo Precision Pen」には、ノックボタンワンプッシュでE Inkディスプレイ側、ダブルプッシュでメインディスプレイ側のノートアプリの起動が割り当てられている
メインディスプレイ、E Inkディスプレイのノートアプリは同時利用可能
E Inkノートのスクリーンショット機能で、メインディスプレイの画面全体をE Inkディスプレイ側に取り込める
模写したのちに、取り込んだ画像のみを削除可能だ

 E Inkリーダーは電子書籍リーダとして位置づけられており、ストレージ内のPDFファイルの閲覧に利用できる。ただしOfficeファイルや、画像、ムービーの表示には対応しておらず、書き込み機能は提供されていない。

 個人的に残念だったのがE Inkディスプレイ側でしか使えないこと。せっかくのデュアルディスプレイ端末なのだから、両方の画面に電子書籍を見開きで表示可能にしてほしかった。ソフトウェアアップデートでぜひ対応してほしい。

E Inkディスプレイはメインディスプレイよりバッテリ消費を節約できるとされている
E Ink リーダーからストレージ内のPDFファイルを直接開くことが可能
PDFファイルは1ページ表示、見開き表示の2種類を選べる
ただし両方のディスプレイを使った見開き表示には対応していない。ぜひソフトウェアアップデートで実装してほしい

モバイルノートPCとしては標準以上のAV品質

 IPS液晶ディスプレイの詳細については公表されていないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したところ、輝度は288cd/平方m、sRGBカバー率が99.9%、sRGB比が123.7%、Adobe RGBカバー率が85.1%、Adobe RGB比が91.7%とモバイルノートPCとしては標準以上のスペックを備えていることを確認できた。

 写真現像などをするさいにはカラーキャリブレーションが必要だが、コンテンツを鑑賞するだけならデフォルトで十分鮮やかな画像、映像を楽しめる。

 一方サウンドについては若干ボリュームが物足りないものの、超薄型筐体に内蔵されているスピーカーとしては健闘していると言える。解像感や低音はそれなりだが、小型スピーカー特有の極端なこもりは感じない。これ以上の音質、迫力を望むなら、外付けスピーカーやヘッドフォン、イヤフォンなどと組み合わせよう。

メインディスプレイの輝度、コントラスト比、色域などは公表されていない
借用機のディスプレイはやや暖色寄りの発色だったがディスプレイ設定で補正できるレベルだ
sRGBカバー率は99.9%、sRGB比は123.7%
Adobe RGBカバー率は85.1%、Adobe RGB比は91.7%
「HDRビデオのストリーミング」は有効化できない
YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大76.3dBA(50cmの距離で測定)と低め

Core i5-7Y54搭載により性能は大幅に向上

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.5.5029」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.1」
  • バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測

 比較対象としては「Atom x5-Z8550」を搭載する旧モデル「Yoga Book with Windows」、そしてサイズ的に競合する2in1タブレットPC「Surface Go」のスコアを掲載した。下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
Yoga Book C930Yoga Book with WindowsSurface Go
CPUCore i5-7Y54(1.2~3.2GHz、2コア4スレッド)Atom x5-Z8550(1.44~2.40GHz、4コア4スレッド)Pentium Gold Processor 4415Y(1.60GHz、2コア4スレッド)
GPUIntel HD Graphics 615(300~950MHz)Intel HD Graphics 400(200~600MHz)Intel HD Graphics 615(350~850MHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 4GBLPDDR3-1600 SDRAM 4GBLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ256GB SSD「KBG30ZMT256G」(NVMe PCIe)64GB(eMMC)128GB SSD(NVMe PCIe)
ディスプレイIPS液晶:10.8型、2,560×1,600ドット(280ppi)、E Ink:10.8型、1,920×1,080ドット(204ppi)10.1型、1,920×1,200ドット(224ppi)10型、1,800×1,200ドット(217ppi)
OSWindows 10 Home 64bit
サイズ約260.4×179.44×9.9mm約256.6×170.8×9.6mm245×175×8.3mm
重量約775g約690g約522g
【表3】ベンチマーク結果
Yoga Book C930Yoga Book with WindowsSurface Go
PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Score2,8431,0731,852
Essentials7,1513,2474,521
App Start-up Score12,0172,6984,240
Video Conferencing Score5,6304,1445,023
Web Browsing Score5,4073,0634,339
Productivity4,7431,3912,878
Spreadsheets Score5,8631,2423,467
Writing Score3,8371,5582,390
Digital Content Creation1,8407441,327
Photo Editing Score2,2688541,644
Rendering and Visualization Score1,087440827
Video Editting Score2,5281,1001,720
3DMark v2.5.5029
Fire Strike749295798
Sky Diver2,8331,1423,037
Cloud Gate4,8312,2624,310
Ice Storm Extreme24,72117,22631,322
Ice Storm33,70422,94839,488
CINEBENCH R15.0
OpenGL34.80 fps14.13 fps31.67 fps
CPU241 cb132 cb162 cb
CPU(Single Core)123 cb38 cb65 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット2,6631,3443,240
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン595(動作困難)動作不可564(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード1,564.834 MB/s128.275 MB/s1,091.454 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト818.335 MB/s41.686 MB/s130.828 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード651.251 MB/s38.284 MB/s205.782 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト276.444 MB/s14.246 MB/s82.811 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード284.204 MB/s38.164 MB/s119.376 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト167.833 MB/s17.302 MB/s95.857 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード44.777 MB/s13.765 MB/s23.558 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト87.677 MB/s11.873 MB/s38.061 MB/s
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで7時間28分18秒9時間33分43秒7時間34分50秒

 性能的には3DMarkの一部項目、モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】を除き、新Yoga Bookがもっとも高いスコアを記録している。とくに旧Yoga Bookとのスコア差は大きく、PCMark 10のトータルスコアは1,073から2,843へと約2.65倍の向上をはたしている。

 また旧Yoga Bookとの大きな違いはストレージ速度。eMMCのストレージを搭載する旧Yoga Bookのシーケンシャルリードは128.275 MB/s、PCIe接続のSSDを搭載する新Yoga Bookは1564.834 MB/sと12.2倍の速度を叩き出した。実際両者を使い比べてみると、あらゆる操作の速度差は歴然としている。

 旧Yoga Book自体はよいマシンだし、現在も併売されているが、単に処理性能だけ見てもまったく別のPCだと考えたほうがいい。

CINEBENCH R15のCPUを連続で5回実行したさいのキーボード面の最大温度は46.3℃
底面の最大温度は48.5℃
ACアダプタの最大温度は55.1℃

新Yoga Bookは現行で唯一のデュアルディスプレイ搭載モバイルノートPC

 IPS液晶とE Inkのデュアルディスプレイを採用した新Yoga Bookは現時点で唯一無二のモバイルノートPCだ。旧Yoga Bookから使い勝手は大幅に進化しているし、ほかのメーカーのラインナップを見ても競合は見当たらない。あえて競合を探すのならCOMPUTEX TAIPEI 2018でASUSが披露した2画面ディスプレイ搭載ノートPCのコンセプトモデル「Project Precog」ぐらいだろう(ASUS、キーボードも液晶のデュアルディスプレイPC「Project Precog」参照)。

 しかし新Yoga Bookはデュアルディスプレイをまだまだ活用できると思う。たとえばキーボードとマウスを接続してデスクトップのつながったマルチディスプレイとして使うモードや、E InkディスプレイをファインダーにしてWebカメラで撮影するモードなど、ちょっと考えただけでもソフトウェアだけで実現可能な機能が思いつく。

 現時点でも新基軸のモバイルノートPCとして魅力的だし、さらにソフトウェアアップデートで魅力的な製品に育て上げていってほしいと思う。こまごました不満、要望はあるが、さらに進化した新機軸のモバイルノートPCとして新し物好きにはたまらない1台だ。