OS X El Capitanカウントダウン

第8回

新しい日本語書体の追加とヒラギノ角ゴシックの拡充

 今秋にリリースされる「OS X El Capitan」の特徴や新しい機能などを毎週1つずつ紹介するEl Capitanカウントダウン。今回はEl Capitanから追加される新しい日本語書体を紹介する。

 追加される日本語書体は4書体で、「クレー」、「筑紫A丸ゴシック」、「筑紫B丸ゴシック」、「游明朝体+38ポかな」。この中で「游明朝体+38ポかな」は、かなのみの書体で、漢字は游明朝体が利用される。

 「クレー」はフォントワークスによる書体で、硬筆書体と呼ばれているもの。鉛筆を使って書き上げた手書き文字のような印象を与える書体になっている。ウェイトはミディアムとデミボールドが用意されている。

標準添付される書体としては初めてとなる硬筆書体。鉛筆で書いた手書き文字をイメージさせる

 筑紫シリーズはフォントワークスの中心となる書体のシリーズで、今回追加されているのは、「筑紫A丸ゴシック」、「筑紫B丸ゴシック」の2つ。いずれも丸ゴシック体で、それぞれレギュラーとボールドが用意されている。

「筑紫A丸ゴシック」はフォントワークスの中心書体である筑紫シリーズの1つ。レギュラーとボールドが用意され、こちらではレギュラーを掲載している
こちらは「筑紫B丸ゴシック」。ボールドのウェイトを掲載した

 字游工房による「游明朝体+38ポかな」は、その名称のとおり「かな」のみが用意されている書体で、漢字混じりの文章ではYosemiteにも搭載されている游明朝体の漢字フォントと組み合わせる形で利用することになる。大正時代に制作された36ポイント(見出し向けサイズ)の金属活字をベースにデザインされているのが特徴。游明朝体を使ったフォント表現の幅を拡げられる書体だ。こちらもミディアムとデモボールドのふたつのウェイトが用意されている。

大正時代に制作された38ポイント(見出し向けサイズ)の金属活字をベースにデザインしたという「游明朝体+38ポかな」。名称は38ポだがそこはデジタルなので多くの文字サイズで利用できる。漢字部分は游明朝体を利用するが、かな混じりではレトロな雰囲気を漂わせる

 標準的なヒラギノ角ゴシックは、利用できるウェイトが大幅に増えている。特にiOSなどで顕著な、細いフォント表現に対応できる「W0」が注目される。ウェイトはこのW0からW9までの10段階から選べるようになり、フォント表現の幅がより広がるようになる。

 これらの書体はOS Xの「Font Book」から確認することができる。OS Xにおけるサンプルの文章は伝統的なもので、宮沢賢治による詩の一節より引用されている。

流行りの非常に細い書体が標準搭載されるようになった。ヒラギノ角ゴシックのW0
こちらはもっともウェイトのあるW9。計10個のウェイトがヒラギノ角ゴシックで利用できる

(矢作 晃)