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エプソンの新ドキュメントスキャナ「DS-560」を試す(後編)

~Wi-Fi経由のスキャン、OCR、オプション項目をチェック

「DS-560」
1月下旬 発売

価格:オープンプライス(直販44,980円)

 最大50枚のA4原稿を同時にセットでき、300dpiカラーで毎分26枚の高速読み取りを可能とするエプソンのドキュメントスキャナ「DS-560」。速度や画質など基本性能をチェックした前編に続き、後編となる今回は、本製品の目玉機能であるWi-Fiを経由したPCおよびタブレットからの読み取りや、OCR機能の評価、さらに読み取りオプションについてチェックしていく。

Wi-Fi経由での利用に対応。速度はやや遅め

 前回のUSB接続に続き、今回はまずWi-Fi経由でPCと接続する手順について見ていこう。

各モードは背面レバーで切り替える。Wi-Fi直接接続モード(アクセスポイントモード)では「AP mode」、インフラストラクチャモードでは「Wi-Fi」に設定する。レバーの下にあるのはAOSS/WPSで接続するためのConnectボタン

 Wi-Fi経由での接続方法は2通り。PCと1:1でアドホック接続するWi-Fi直接接続モード(アクセスポイントモード)と、アクセスポイント経由で接続するインフラストラクチャーモードだ。アドホックモードが使用できるのは、ScanSnap iX500と比較した際の強みだが、どちらかというとスマートフォン/タブレット向けの機能だろう。今回は後者、インフラストラクチャーモードで利用する。

 インフラストラクチャーモードで利用する場合は、背面のボタンを使ってAOSSまたはWPSでアクセスポイントと接続。その後製品添付のCD-ROM内のインストールナビからユーティリティ「EpsonNet Setup」を実行し、本製品を検出すれば、あとはUSB接続時と同じように使用できる。ネットワークの設定時にWPSだけでなくAOSSが利用できるのは、ScanSnap iX500と比較した際の強みだ。

 セットアップの手順そのものは難しくなく、あらかじめUSB接続で利用していれば5分もせずに使えるようになるが、全体の段取りがやや見えにくく、一旦つまづくと何をしてよいのか分かりにくい。これについては、ScanSnapのウィザードのほうが全体の手順が把握しやすく、またステータスも把握しやすいと感じた。

インフラストラクチャーでの設定時には、付属CD-ROMからユーティリティ「EpsonNet Setup」を実行する
接続完了。手順はシンプルだが途中で別のユーティリティを呼び出す格好になっており、全体の手順が把握しにくい
こちらはScanSnap iX500の無線設定ツール。機能がまとまっておりステータスも把握しやすい
ScanSnap iX500の無線設定ツールのウィザードは全体の手順が把握しやすい。すでに無線設定が完了している場合のLEDの表示なども説明されており安心感がある

 ではUSB接続の場合と同様、読取速度について見ていこう。条件は前回と同じで、解像度は300/600/1200dpi(本製品のみ)の3パターン、カラーモードはモノクロ(白黒)、グレー、カラーの3パターンの組み合わせだ。

【表1】読取時間の比較
DS-560ScanSnap iX500
白黒(モノクロ)300dpi1分23秒0分46秒
600dpi3分06秒1分04秒
1,200dpi3分33秒-
グレー300dpi1分22秒0分56秒
600dpi3分29秒2分52秒
1,200dpi4分02秒-
カラー300dpi1分46秒0分56秒
600dpi5分07秒2分52秒
1,200dpi8分57秒-
【表2】ファイルサイズの比較
DS-560ScanSnap iX500
白黒(モノクロ)300dpi8.8MB6.0MB
600dpi25.3MB21.7MB
1,200dpi37.4MB-
グレー300dpi24.2MB38.7MB
600dpi102.1MB126.6MB
1,200dpi269.4MB-
カラー300dpi23.9MB41.6MB
600dpi102.9MB130.8MB
1,200dpi306.9MB-

 速度については、前回のUSB接続時は300dpiでほぼ互角、600dpiではグレーで本製品が優勢、カラーでScanSnap iX500が優勢だったが、このWi-Fi接続ではいずれの設定値でもScanSnap iX500の圧勝である。ScanSnap iX500はUSBでもWi-Fi接続でも読み取り速度にほとんど違いはないが、本製品はWi-Fi接続では露骨に遅くなるため、大きな差がついてしまうというわけだ。

 特にカラーの場合は、もっとも一般的な300dpiでも、本製品のほうが2倍近い時間がかかっている。挙動を見ていると、読み取り後の処理が追いつかずに紙送りが途中で停止したり、読み取り完了後の処理に長時間待たされることが多い。USB接続時も600dpi以上でこの症状が多発するのだが、Wi-Fi接続ではその頻度がさらに高くなる。ScanSnapは同じ環境でスムーズに動いていることからして、スキャナ側のCPUの性能差によるものと見てよさそうだ。なお生成されるファイルサイズについては、USB接続とWi-Fi接続とで大きな差はないことを補足しておく。

タブレットから無線でスキャン可能。読み取り後の編集機能が充実

 次にタブレットからWi-Fi経由でスキャンを実行する手順について見ていこう。タブレットからの利用にあたっては、iOS/Android用の専用アプリ「DocumentScan」を用いる。本製品固有のSSIDおよびパスワードをタブレットに設定して1:1で接続する方法のほか、アクセスポイント経由で接続する方法の2通りが用意されているのは、PCでの無線接続時と同様だ。今回は後者の手順で利用する。使用したタブレットはNexus 7(2013年モデル)である。

 接続は、本製品が無線でアクセスポイントに接続されていれば、タブレット側でアプリを起動して検索するだけで検出されるので、特段難しくはない。あとは読取設定を確認してスキャンを実行すれば、原稿が読み取られ、スキャンデータがタブレットに転送される。このあたりの手順はScanSnap iX500もほぼ同じだ。

PCの場合と同様、1:1でアドホック接続するWi-Fi直接接続モード(アクセスポイントモード)と、アクセスポイント経由で接続するインフラストラクチャーモードの両方が利用できる。今回は後者を利用
「DocumentScan」を起動したところ。検索するとネットワーク内のスキャナが表示されるのでタップして接続する
「DocumentScan」のメイン画面。読取設定が表示されている。ボタンが小さくやや分かりにくいが、右上の「スキャン」をタップするとスキャンが開始される
スキャン実行中。ページの進捗が表示される
スキャンが終わるとページの転送が開始され、サムネイルが順番に表示される
転送完了。1ページ目が表示された。左側のサムネイルをスクロールすることで任意のページを確認できる
保存を実行するとファイル一覧に表示される

 ほぼ同じ接続方法(インフラストラクチャ)および読取設定(300dpiカラー)でScanSnap iX500と速度を比較すると、本製品が1分42秒、ScanSnap iX500が0分45秒ということで、時間はややかかる傾向にある。ちなみにこれはPCから無線で読み取った際の所要時間とほぼイコールで、スキャン完了後の処理で待たされるという傾向も同じだ。無線LANそのものの速度差は考えにくいことを考慮すると、スキャナのCPUの処理速度がボトルネックになっているのではないかと考えられる。ただこれはあくまでScanSnap iX500と比較した場合の話で、単体で見ると致命的に遅いわけではない。ScanSnapが速すぎるというだけで、本製品も十分に実用レベルだ。

ScanSnapのスマートフォン/タブレット用アプリ「ScanSnap Connect Application」。インターフェイスは非常によく似ている

 ちなみにタブレットで利用する場合、PCでの利用に比べて機能制限がいくつかある。ファイル形式はPDFもしくはJPGのみで、解像度は200/300dpiの2択。またオプションは白紙ページ除去と重送検知のみで、補正機能については設定項目が見当たらない。ScanSnapにおける同等アプリ「ScanSnap Connect Application」もおおむねこれに近い制限があるが、画質は圧縮率を指定できるほか、裏写り軽減も利用できるので、本アプリのほうが機能はやや少なめということになる。

 読み取ったPDFの編集機能については、本製品のアプリはページの回転、順序変更、削除、全ページ180度回転、全ページ逆順といった機能が用意されている。ScanSnapのアプリはページの回転、削除、ファイル名の変更に限られるので、本製品のアプリのほうが編集機能はかなり豊富である。なかでも全ページ180度回転や全ページ逆順は、原稿のセットを誤った際に再度スキャンをしなくて済むので重宝する。

 ただし、本製品のアプリはいったん編集が終わって保存すると再編集ができないようで、その点では保存後に再度呼び出して編集可能なScanSnapのアプリのほうが、スキャンだけ先に済ませてあとでまとめて編集したい場合に便利だ。

やや時間がかかるOCR処理

 本製品には、数多くの読み取りオプションや画像調整機能が用意されている。利用頻度が高いと思われるOCRから紹介していこう。

 まずはOCRをオンにした場合の読取時間の違いについて。グレーとカラー、300dpiと600dpiに限定し、本製品およびScanSnap iX500でテストを行なってみた。原稿はさきほどと同じく10枚20面、補正オプションなどの条件も同様である。対象言語はいずれも「日本語」を指定。今回は有線(USB接続)に加えて、無線でも同一内容のテストを行なっている。

【表3】有線におけるOCRスキャン時間
 DS-560ScanSnap iX500
 OCRなしOCRありOCRなしOCRあり
グレー300dpi0分47秒1分18秒0分54秒1分28秒
グレー600dpi1分58秒4分44秒2分50秒2分59秒
カラー300dpi0分56秒1分48秒0分54秒1分38秒
カラー600dpi3分58秒6分35秒2分52秒3分07秒
【表4】無線におけるOCRスキャン時間
DS-560ScanSnap iX500
OCRなしOCRありOCRなしOCRあり
グレー300dpi1分22秒1分47秒0分56秒1分30秒
グレー600dpi3分29秒5分52秒2分52秒3分07秒
カラー300dpi1分46秒2分19秒0分56秒1分30秒
カラー600dpi5分07秒8分13秒2分52秒3分21秒

 まず速度については、ScanSnap iX500であれば、OCRなしの場合と比較して、前述のどの解像度およびカラーモードでも最大40秒程度が上積みされるだけで済む。ほとんどのケースにおいてOCRオンで上積みされた時間が30秒前後だったことから推測するに、これが10枚20面の原稿のテキスト解析に必要な時間だと推測される。

 一方の本製品は、上積みになる時間が30秒程度で済む場合もあれば、600dpiでは3分近く上積みになるなど、元の読取時間が長いほど上積み時間も延びる傾向がある。300dpiではそれでもまだプラス50秒程度で済んでいるのだが、600dpiグレー(有線)だと1分58秒だったのが4分44秒、600dpiカラー(有線)では3分58秒だったのが6分35秒と、露骨に所要時間が延びる。

 もちろん所要時間が余計にかかっても、テキストの認識率が高ければその価値があるのだが、今回試用した限り、認識率はScanSnap iX500とおおむね同等であるように感じられた。具体的には、300dpiでは誤認識は若干あるが、600dpiだと誤認識は大幅に減少する、といった傾向だ(ScanSnap iX500が半角カナを使いたがるのはややマイナスだが)。認識率そのものは良好だが、こと速度に関しては、ScanSnapの1世代前の機種(S1500)に近いように感じられる。

以下のOCRサンプルの上半分で使用しているのはこの赤枠の部分。本文の文字サイズとしては一般的
以下のOCRサンプルの下半分で使用しているのはこの赤枠の部分。こちらの文字サイズは注釈レベルの小ささ
DS-560ScanSnap iX500
グレー300dpi
600dpi
カラー300dpi
600dpi

実用性が高い画像調整オプション

 そのほかの画像調整オプションについては、組み合わせが無数にあることから、標準的な読取設定において個々のオプションをオンにした場合の所要時間と概要の紹介に留めておきたい。いずれも特記事項がない限り「カラー300dpi、傾き補正以外のオプションなし、USB接続、10枚20面」での測定結果であり、ほかのパラメータでは傾向が異なる可能性があるのでご了承いただきたい。

オプション名所要時間オフとの時間差備考
アンシャープマスク1分23秒+27秒-
文字くっきり1分28秒+32秒設定値:標準
明るさ1分00秒+4秒設定値:+50
コントラスト0分58秒+2秒設定値:+50
モアレ除去4分52秒+236秒-
ドロップアウト(赤)0分48秒+1秒※グレー300dpiでテスト
色強調1分17秒+30秒※グレー300dpiでテスト
画像はっきり1分03秒+22秒※モノクロ300dpiでテスト

 「文字くっきり」「アンシャープマスク」は、ソフトフォーカス気味になりがちな本製品では利用機会が多そうなオプションだ。「文字くっきり」はモアレまで強調される傾向があるので要注意だが、「アンシャープマスク」は飛びがちだったコントラストを改善する効果もあるので、ScanSnapに近い画質を得たい場合にはオンにしておくとよい。所要時間も、オフの場合が0分56秒、オンの場合はそれぞれ1分28秒と1分23秒なので、じゅうぶんに実用的だ。常時オンにしてもよいかもしれない。

プレビュー機能を利用すれば、1枚目のプレビューを表示した状態でパラメータを操作し、色合いなどがどのように変化するかを確認できるので便利だ。これは明るさとコントラストの設定値を試している様子

 「明るさ」「コントラスト」はいずれもスライダーで値を調整する方式で、裏写りを完全に飛ばしてしまうといった使い方もできる。最適値を一発で見つけるのは難しいが、プレビュー機能を使えば1枚だけスキャンして画面上で値を変えつつ画質を調節し、最適値を見つけてから本番のスキャンに着手できる。こちらもスキャン速度にはほとんど影響しないようなので、出番も多そうだ。

 スキャン速度が露骨に変わるのが「モアレ除去」で、オフの場合が0分56秒に対し、オンにすると4分52秒もかかる。挙動を見る限りでは1段階上の解像度で取り込んだ後、内部で補正を行なっているようだが、実際に上がってきた画像を見るとモアレを除去しているというよりは全体的にぼやけた印象だ。別のオプションをオンにした結果モアレが発生した場合のみ適用するといった、やや特殊な使い道になるのではないかと感じた。

 以上5つはカラーモードを問わず使えるオプションだが、グレーおよびモノクロの場合のみ使えるのが「ドロップアウト」と「色強調」だ。前者は特定の色(または特定の色以外)を除去するモードで、赤、青、緑、ピンク、黄、黒といった色をプルダウンから選んでスキャンすることで、それらの色が除去される。ただし出力はグレーかモノクロなので、カラーのまま特定の色だけを除去できるわけではない。そもそもは「書類から朱印だけを取り除く」という用途が想定されており、コンシューマ用途では利用シーンは限られるだろう。

 「色強調」はその逆で、特定の色を強調する機能である。こちらもやはり出力はグレーかモノクロなので、カラーのまま特定の色だけを強調する機能ではない点に注意したい。このあたりは、名前から想定される機能と実際の機能にズレがあるので、コンシューマ用途では名称を一考する必要があるように感じられる。なお速度は、オフの場合が0分47秒なのに対して、ドロップアウトは0分48秒と誤差レベル、色強調も1分17秒と、実用的な速度である。

 最後に「画像はっきり」。これはモノクロでのみ利用できる機能で、網点を追加して画像を見やすくする機能だ。見た目がグレースケールのようになるので、画像が2値に変換されてコントラストがはっきりしすぎてしまう場合に利用できる。ただしファイルサイズはグレーでスキャンしたのと変わらなくなるので、モノクロ並みの小さいファイルサイズを維持しつつ画像を滑らかにするという目的にはそぐわない。

 以上が画像調整オプションの紹介だが、過去のモデルではこれらオプションをオンにすると読取時間がケタ違いに変わっていた記憶があるので(今回は比較していない)、モアレ除去以外はかなり実用的だと感じる。EPSON Scanには、2種類の画像を同時に出力する「ダブルイメージ出力」なる機能もあるので、特定の補正オプションをオンにした場合とオフにした場合を同時に出力したり、カラーとグレーを同時に出力するといった使い方もできる。ただし所要時間はかなりかかるので、さきに紹介したプレビュー機能とも併用するとよいだろう。

ユーザー目線での設定画面の改善およびヘルプの提供が求められる

 以上、前後編に分けてざっと紹介したが、従来モデルにあった突飛な挙動も影を潜めており(前編で紹介したマザーボード画像の45度回転が目についたくらいだ)、かなり実用的なレベルに仕上がっていると感じられた。デフォルトの絵作りが必ずしもよいとは思わないが、ScanSnapにはない設定項目や画質調整オプションも多いので、絵作りを自分なりに調整できる。車に喩えるなら、ScanSnapがオートマ車、本製品はマニュアル車といったところだろうか。また今回試した限りでは、重送がまったくといっていいほど見られなかったのも高評価だ。

 現状の問題点としては、ページ上下に発生しがちな影や、やや甲高く一定でない駆動音、スキャン中にプレビューが表示されないこと、また本稿で述べた600dpi以上およびWi-Fi接続時の速度低下などが挙げられる。実機でテストしていないので本稿では紹介していないが、無線で接続する必要がなければ、本製品の下位モデルのDS-510という選択肢もあるだろう。

 価格については、直販価格だと本製品が44,980円、ScanSnap iX500が49,800円と本製品のほうが有利だが、実売ベースではScanSnap iX500が本製品の直販価格より安く売られているケースも多々ある。またScanSnap iX500にはパッケージ版単体だと3万円を超えるAdobe Acrobat Standardが標準で添付されるという、かなり強力な付加価値もある。価格だけを比較するのではなく、こうした部分も含めて判断すべきだろう。

 と、いろいろ述べてきたが、現状でもっとも大きな要改善ポイントは、やはりソフトウェアの操作性だというのが筆者の結論だ。「EPSON Scan」と「Document Capture Pro」という2種類のソフトのどちらからでもスキャンが行なえるせいで、いったん設定した解像度が消えてしまったように見える(実際には一方のソフトにのみ設定されている)といった問題点のほか、設定画面の難解さについては、本製品でも依然課題として残ったままだ。

 ScanSnapのユーティリティも、選択肢が2個しかないのにプルダウンで選ばせる項目があるなど、使い勝手としては首をひねる箇所もあるのだが、「基本設定はタブ切り替え」、「詳細設定はもう1階層下」というルールが徹底されているため、設定を変更する際も、各タブの1階層下まで探せば必ず見つかる安心感がある。

 一方で本製品は、詳細設定の先にさらに設定画面があるなど、階層が非常に深く、いざ設定を変えようとした場合に見つけるのに苦労する。例えばOCRをオンにするためには、EPSON Scanのメイン画面から「保存ファイルの設定」を開き、そこでさらに「詳細設定」をクリックして「EPSON PDF Plug-in 詳細設定」を呼び出し、その先で「テキスト」タブを選んでようやくOCRの設定画面が表示されるといった具合だ。

「EPSON Scan」の画面。「基本設定」「画像調整」という2種類のタブ以外に、下部に「環境設定」、および右下のファイルアイコンの中にも設定項目がある
ファイルアイコンをクリックして「保存ファイルの設定」を開いたところ。「詳細設定」ボタンの先にまだ続きがある
「詳細設定」をクリックすると「EPSON PDF Plug-in 詳細設定」なる画面が表示される。ここからさらにタブを切り替える
「テキスト」タブを表示して、ようやくOCR関連のメニューが表示された。タブも数えると最初の画面から3階層目ということになる

 このあたりは、同社がドキュメントスキャナ以外にもさまざまなスキャナを手がけており、既存のユーティリティから別のユーティリティを呼び出す格好になっているのが一因だが、「中の人は理解できているがユーザは置いてけぼり」という典型例であり、おそらくここが改善されない限り、ScanSnapとの差は縮まらないのではないかというのが率直な感想だ。

 従来モデルから改善されない状況を見るにつけ、社内的に容易に変更できない事情があると推測されるが、それならせめて目的別にヘルプやチュートリアルを用意するといった対策もあるのではないかと思う(本製品添付のユーザーズガイドは読み進めていくと「詳細は○○のヘルプをご覧ください」と丸投げされて完結していない場合が多く、目的を達成するまでに右往左往させられる)。

 実のところ今回のレビューも、試用以前に製品を「理解」することにかなりの時間を費やしており、実際にユーザーが本製品を購入したとして、自分がやりたいことをできるようになるまでの時間は、ScanSnapよりもかなり長いと考えられる。まだ発売前ということで発売時に何らかの手が打たれる可能性もあるが、ハードウェアそのものは明らかによくなっているだけに、こうしたユーザー目線での使い勝手の改善ないしは情報提供を切に望みたい。

(山口 真弘)