山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

10.8型E Ink画面で読書ができるレノボ製2in1「Yoga Book C930」を試す

レノボ・ジャパン「Yoga Book C930」

 レノボ・ジャパンの「Yoga Book C930」は、Windows 10を搭載した10.8型の2in1デバイスだ。IPS液晶とE Inkのデュアルディスプレイを採用しており、2つの画面を自由に切り替えて使えることが特徴だ。

 本製品のキーボード面はE Inkディスプレイになっており、付属のペンを使ってスケッチやメモができる「E Inkノート」のほか、電子書籍リーダーとしてPDFを表示する「E Inkリーダー」などの機能が利用できる。そもそもE Inkで10.8型というサイズはなかなかお目にかからないこともあり、電子書籍の表示にどの程度使えるか、気になる人も多いだろう。

 そこで今回は、電子書籍用途で本製品がどのくらい使えるか、使えるとすればどのような用途が適切なのか、E Inkディスプレイ側の挙動を中心にチェックしていく。ベンチマークを含む一般的なレビューについては、すでに掲載されているジャイアン鈴木氏の記事をご覧いただきたい(液晶&E Inkで唯一無二のデュアル画面2in1「Yoga Book C930」実機レビュー)。

ノートPCとタブレットスタイルを自由に切り替え。画面指定も容易

 本製品はいわゆる2in1のタブレットだ。通常は一般的なノートPCの形状だが、液晶を回転させて背面に折りたたむことで、タブレットとしても利用できる。画面を200度以上開いた時点で一方の画面が自動的にオフになるので、ノートPCとスタイルから、タブレットモードへと、速やかに移行できるというわけだ。

 もっとも本製品は画面が2つあるため、どちらの画面を使うのかという問題が生じる。そこで本製品は、E Inkの画面を2度タップするとアクティブになるギミックを備えている。わざわざ設定画面を呼び出してあっちをオン、こっちをオフ、といった操作は必要ない。

ノートPCの形態。キーボードがE Inkのスクリーン表示であることが特徴
液晶部を反対側に回転させると……
タブレットの形態で使用できる。これは液晶側の表示をオンにしている状態
反対側、E Inkディスプレイ側を利用することもできる。画面を2回タップすると切り替えられる

 ところで本製品のような2in1デバイスをタブレットとして使用する場合、両手で本体を持つと、背面にぐるりと回したキーボードに指先がふれる状態になる。その時点ではキーボードとしての機能はオフになっているので、うっかり文字が入力されてしまうことはないものの、持っていて違和感があることは否めない。

 しかし本製品の場合、キーボードはE Inkによる画面表示でおうとつがまったくないため、手で持った状態でも指先に違和感がまるでない。せいぜい厚みと重量が多少あるタブレットといった印象で、いい意味で2in1のタブレットらしくない。ちなみに厚みは公称9.9mm、実測でも10mmといったところで、2画面が重なっているとは到底思えない薄さだ。

物理キーボードを搭載した一般的な2in1では、このように背面にキーボードが来るため、手に持った状態で指先にキーがふれることになる
本製品のキーボードはE Inkディスプレイ表示なので完全にフラットで、手に持っても指先にキーがふれることなく、違和感がない

 重量は、Wi-Fiモデルが約775g、SIMカードを搭載できるモデルが約799gで、タブレットとしては重量があるが、一般的な2in1はキーボード込みだと1kgを超えるのもめずらしくないため、十分に軽量である。初代iPad(680g)プラス約100gに抑えていると考えれば、だいたいの感覚がおわかりいただけるのではないだろうか。

メインの液晶画面とE Inkディスプレイの連携表示は不可能

 さて、本製品のE Inkディスプレイは、利用スタイルに応じて、さまざまな機能を切り替えて使うことができる。ノートPCスタイルではキーボードを表示するほか、ペンを使ってスケッチやメモを取るためのツール(E Inkノート)にもなるし、今回のテーマである、PDFを表示するためのリーダー(E Inkリーダー)としても使えるというわけだ。

 最初に知っておきたいのは、このE Inkディスプレイ上で動作するのは、もともと備わっている機能、つまりE InkノートやE Inkリーダー機能にかぎられるということだ。任意のWindowsソフトをこちらに表示させたり、また独自になんらかのアプリを追加することはできない。ストレージ自体はWindows側と共有しているが、それ以外はほぼ独立したものと考えたほうがよい。

 したがって、メインの液晶側であれば表示できる電子書籍のブラウザビューアを、このE Inkのスクリーン側で使うこともできない。できることといえば、E Inkディスプレイ側にデフォルトで備わっているE Inkリーダーを使って、PDFドキュメントを表示できるというだけだ。

キーボード右上のアイコンをタップすると……
切り替えのメニューがスライド表示される。ちなみに直上にあるのは指紋センサーだ
これは描画ツールである「E Inkノート」。ペンのほか、指先でのタッチによる描画に切り替えることもできる
PDF表示機能は、「E Inkリーダー」という名前からもわかるように、ドキュメントを閲覧する機能としての性格が強く、注釈などの書き込みには対応しない

 また、メインの液晶画面とE Inkディスプレイを連携させての表示も不可能だ。本製品の底面は排気口や滑り止めの足がないフラットな仕様で、またヒンジでつながれた液晶側とE Ink側の重量がほぼ等しいので、本のようなスタイルで持った場合も、重量が一方に偏らない利点がある。

 つまり、本のように保持して電子書籍を見開きで表示するには絶好の仕様なのだが、いかんせんソフト側が非対応であるため、こうした使い方は不可能だ。この点はかえすがえすも残念で、将来的なアップデートに期待したい。

閉じた状態。ロゴの配置といい、見るからに本らしいルックスだ
側面。液晶側と本体側の厚みが等しいのは、E Inkディスプレイを採用した本製品ならでは
本のように開いた状態。底面に当たる面(左側)にゴム足などがないこともあり、2in1デバイスを広げて立てているようには見えない
同じPDFを液晶側とE Ink側でべつべつに表示し、本の見開きのように並べたところ。これを1つのソフトで行ない、かつページめくりもできれば言うことはないのだが、現状はべつべつに読み込んでべつべつに表示できるというだけで実用性は皆無だ

Cドライブやメモリカード上のPDFを読み込んで表示可能

 表示できるファイル形式がPDFにかぎられるとはいえ、これだけ大型のE Inkディスプレイを備えたデバイスは決して多くないだけに、興味は尽きない。まずスペックから見ていこう。

 E Inkディスプレイの画面サイズは(本体側の液晶と同じく)10.8型で、現在市販されているE Inkのなかでは最大クラスである。解像度は1,920×1,080ドットで、ほかのE Inkデバイスのほとんどがアスペクト比4:3の中、めずらしいワイド比率である。

 画素密度は204ppiで、KindleやKoboなど現行の300ppiクラスの端末に比べると低いものの、十分に実用レベルである。このサイズのE Ink端末としては以前紹介したOnyxの「BOOX NOTE」があるが(Onyx International「BOOX NOTE」(前編)参照)、階調などの表現力は本製品のほうが高く、かつ残像があまり目立たないため、トータルでは本製品が上という印象だ。

 ただし、単行本サイズの本を見開き表示するとなると、本文のフォントサイズが小さい場合、さすがに読みにくさを感じる。ビューア側の拡大機能を使う方法もあるが、発想を変えて、このときだけメインの液晶側で見るというのも1つの手ではある。そうした意味で、潰しが効くデバイスであることは間違いない。

7型のKindle Oasis(右)との比較。画面サイズの違いは歴然だが、コミックは横幅に合わせて縮小されるため、ページサイズで比較するとかなり差が縮まる。なおコミックのサンプルにはうめ著「東京トイボックス 1巻」を使用している(以下同)
見開き表示の状態でKindle Oasis(右)と比べると、1ページの表示サイズはほぼ同じだ
本連載で以前紹介したE Ink採用の9.7型Androidタブレット「BOOX NOTE」(右)との比較。アスペクト比の関係で、ページサイズは本製品のほうが逆に小さくなる
10.5インチiPad Pro(右)との比較。こちらもアスペクト比の関係もあって、1ページの表示サイズは本製品のほうが逆に小さくなる
これは本製品を180度まで広げ、E Inkディスプレイ(左)と液晶(右)に同じページを表示したところ。両者ともに10.8型だが、使用するアプリによって表示サイズは若干違ってくる
画質の比較。上段左が本製品E Ink側(204ppi)、右が本製品液晶側(280ppi)、下段左がKindle Oasis(300ppi)、右が10.5インチiPad Pro(264ppi)。Kindle Oasis以外はいずれも見開き表示での比較。おおむね解像度どおりの表現力で、細い線や文字において本製品はやや不利だ

 データの読み込みについては、Cドライブに保存してあるデータを自由に読み出せる。たとえばDropboxに自炊データを入れてほかのデバイスとデータを同期させ、それをE Ink側から読みに行くことも可能だ。ただし毎回rootからたどっていくので、階層が深いと探しにくい。

 またメモリカード(microSD)から読み込むことも可能だが、本製品のメモリカードスロットはSIMスロットとの兼用で、クリップ先など尖ったものを差し込んで取り出す方式のため、頻繁な抜き差しには向かない。大量のライブラリを外部から持ち込む場合を除いては、前述のようにクラウドストレージ経由で随時読み込んだほうが便利だろう。

Windowsのドライブから直接データを読み出せる。ちなみに特定のフォルダをライブラリとして指定しておく機能はない
メモリカードスロットはSIM共用でピンで取り出す仕組みのため、頻繁な抜き差しには不向きだ

E Inkリーダーはサクサク動作も右綴じ非対応がマイナス

 「E Inkリーダー」の挙動をもう少し踏み込んで見ていこう。

 表示についてだが、デバイス本体を縦向きにしての単ページ表示、90度回転させて横向きにしての単ページ表示、および見開き表示のいずれにも対応する。ただし残念ながら右綴じには対応しないので、コミックなど右綴じ設定のPDFを表示すると、ページの左右が逆順に並んでしまう。技術書などならともかく、コミックの表示においては致命的だ。

縦向きに表示した状態。ワイド比率ゆえ上下には余白ができる
横向きでは単ページ表示、見開き表示のいずれかを選択できる。ただし見開き表示は右綴じには対応せず、コミックは左右のページが入れ替わってしまう
ストレージ領域を共有していることから、液晶側(上)とE Ink側(下)で同じコンテンツを呼び出して表示することもできるが、連動してのページめくりなどにはもちろん対応しない。E Ink側は右綴じ非対応ゆえ左右ページの順序が入れ替わっている

 ページめくりはタップもしくはスワイプで行なう。特筆すべきなのはその性能の高さで、タップから反応するまでの間はそれほどでもないのだが、ページの書き換えのスピードは非常に速く、一瞬で次のページへと書き換わる。E Inkにありがちなもっさり感はほとんどなく、それゆえ市販の電子書籍端末と比較して、白黒反転があまり気にならない。

 これはWindows向けの高性能なCPUを使っていること、またメモリ容量が潤沢にあるためだと考えられる。今回試用しているのはCore i5を採用した上位モデルで、下位のCore m3モデルでどの程度の性能に差が出るかは不明だが、ハードウェアの性能が高ければ、E Inkでもこれほどサクサクと表示できるのかと驚かされる。

 このほか、PDFを選択して開く画面は、スクロールではなくリストを4項目ずつ順番に表示する仕様となっているなど、スクロールが苦手なE Inkの特性を理解して設計されていることがわかる。ちなみに白黒反転はページを10回めくるたびに1回発生する仕様で固定されているが、とくに変更する必要はないと感じた。

E InkリーダーでPDFを表示し、タップおよびフリックで単発/連続のページめくりを試したのち、ジャンプ機能で開始ページへと戻る様子。ページの書き換えはかなり速いことがわかる

 一方このE Inkリーダーは、電子書籍のビューアとしての機能は決して多くない。右綴じに対応しない以外にも、画面の中央付近をタップして進捗バーを表示したり、ダブルタップで拡大するといった、PDFビューアの多くに共通する作法に対応せず、またPDFの目次を表示する機能もない。単体のソフトとしてはまだまだ駆け出しという印象だ。

画面上部をタップするとメニューバーを表示できる。これは見開き表示の状態
アイコンをタップすると見開きを単ページ表示に切り替えられる
ジャンプ機能。任意のページへと移動できる。ちなみに進捗バーにあたる機能はないようだ
ページの拡大機能。この手のビューアによくあるダブルタップでの拡大ではなく、メニューバー上から「+」、「-」をタップして調整する方式。ピンチイン・ピンチアウトにも対応しない

 若干困りものなのが、このE Inkの画面の向きをロックできないことだ。そのため見開き表示の状態でデバイスを持って横に寝転がると自動的に画面がローテーションし、縦画面の単ページ表示に戻ってしまう。メイン画面は固定できるのだが、寝転がって使う場合には若干不便な仕様だ。

 ちなみにこのE Inkリーダーは、ペンを使っての注釈の書き込みには対応しないが、PDFを部分的にキャプチャーしてPC側のクリップボードに送る機能を備えるほか、E Inkノートでは、メイン画面のコンテンツをE Ink側に表示して注釈を書き加える機能も用意されている。

 これらのほうが注釈機能よりもはるかに難易度が高いように思えるのだが、ともあれ、こうした連携機能が充実していくのは歓迎だ。

キャプチャーツール。まず範囲を選択する
確定させると、範囲選択したエリアがクリップボードにコピーされ、Windows側で利用できるようになる

液晶側はどのくらい電子書籍ユースで使える?

 E Inkディスプレイとは反対側、液晶画面を使った読書の可能性についても見ていこう。

 液晶ディスプレイのサイズは10.8型で、E Inkディスプレイと同じ。解像度は2,560×1,600ドットということで、こちらのほうが高い。画素密度は280ppiとギリギリ300ppiには足りていないものの、現行の10.5インチiPad Proでも264ppiであることを考えると、十分すぎると言える。

 タッチ画面の反応は良好で、たとえばKindleであればブラウザで「Kindle Cloud Reader」を全画面表示し、左右タップやスワイプで読み進められる。ほかの電子書籍ストアのブラウザビューアは今回試せていないが、タップやスワイプなどタッチ操作に対応していれば、大きな問題はないと見てよいだろう。

 またE Inkディスプレイ側と違い、こちらはWindows 10対応の任意のソフトをインストールできるので、電子書籍ストアが用意しているWindows用のビューアソフトを使う方法もあるが、タッチ操作に対応しているかどうかは要チェックだ。「Windows対応だからもちろん使えるはず」と考えていると、タッチ非対応でページをめくれない可能性があるので要注意だ。

液晶側でコミックを見開き表示したところ。ビューアも自由に選択可能で、よって右綴じコンテンツの見開き表示にも支障はない

 また、フリーの自炊ビューアなども自由にもちろんインストールできる。一昔前のWindows向けの自炊ビューアはマウス操作を前提としていることが多く、タップやフリックに対応しない場合があるので注意する必要があるが、対応ソフトさえ見つかれば、PDF以外にZIP圧縮JPGなども楽しめる。

 実際に何冊か本やコミックを読んでみたが、角ばった本体のエッジ部分が手に当たって若干痛いことを除けば、まったく違和感なく読み進められる。もし裏面が物理キーボードで、つねに手に当たっているようならば、ここまで快適に読めることはないだろう。E Ink側と違って画面が光沢調なので、反射がやや気になるくらいだ。

 ちなみにこれはE Inkディスプレイでの読書時にも言えることだが、本製品のヒンジ部はすだれのような独特の形状をしており、手のひらに長時間あたっていると痛みを感じやすい。そのためタブレットを手で支える場合は、ヒンジが下ではなく上に来るよう、本体を180度回転させて持つのもよいだろう。

 また本製品は電源ボタンと音量調整ボタンが側面にあるため、読書中になにかとふれやすく、うっかり読書中にスリープモードに移行してしまうミスが起こりやすい。こうした場合も、前述のように本体の向きを上下逆にすることによって、持ち方のクセによっては解消できる可能性がある。

本製品のヒンジ部。すだれのような独特の構造
畳んだ状態。この構造により360度の画面回転を実現している
ただしこのヒンジが手のひらに当たる持ち方は少々痛い。本体を上下逆にし、ヒンジ部が上に来るように持ったほうがよさそうだ

ノートPCとしての使い勝手は?

 最後に、本稿の趣旨から外れるが、通常のノートとしての利用についても軽くふれておこう。E Inkを搭載し、PDFを表示できると言っても、ノートとしての最低限の使い勝手が確保されていなければ、その時点で購入の候補から外れてしまうであろうからだ。前回のジャイアン鈴木氏のレビューと併せて参考にしていただきたい。

 まずE Inkによるキーボード操作は、打鍵時にバイブによるフィードバックもあることから、同じフラット表示とはいえ、一時期はやったレーザーでデスク面に投影するキーボードなどと比べると、格段にわかりやすく、打鍵もしやすい。キーの配置が一般的なのもプラス要因だ。

 ただしホームポジションを指先で探り当てられないことから、タッチタイピングにはさすがに厳しく、指先を見ながらの打鍵になりがちだ。このあたりは(もともとそのようなコンセプトだろうが)モバイルユースで使うサブ機の域を出ない印象だ。テキスト入力が主用途だと、少々厳しいと感じた。

E Inkキーボードでのタイピング。指先のポジショニングに慣れが必要となるが、キーを叩くとバイブで反応があるなど打鍵感は工夫されている
E Inkによるキーはきちんと押下する。同時にバイブが震えて指先にフィードバックを返す仕組みだ

 もっとも、タブレット1画面の下部にスクリーンキーボードを表示するのに比べると、表示面積は段違いで、かつノートPCと同じスタイルで使えることから、本製品のほうが圧倒的に有利である。これだけの画面サイズがありながら700g台という重量も魅力で、いざというときにテキスト入力にも対応しうるデバイスとして、日々持ち歩くのにはもってこいだ。

 おもしろいのが、キーボードの手前にあるタッチパッドが、利用時にだけ拡大表示されるギミックだ。スペースキーの手前に丸いボタンがあるのだが、じつはこれがタッチパッドで、タップすることで面積が広がり、タッチパッドとして使えるようになる。これにより、キーボードの奥行きを無駄に使うことなく、かつ大型のタッチパッドを搭載できるというわけだ。

 ちなみにキーボードを「モダン」から「クラシック」に切り替えるとタッチパッドも常時表示されるが、その場合はほかのキーがひとまわり小さくなる。画面表示のメリットを最大限活かしたこれらの設計はなかなか興味深い。

キーボード手前にある丸いボタン。これをタップすると……
タッチパッドが表示され、広い面積でポインタを操作できる。画面上にキーボードを表示するがゆえの利点だ

やはりPDFの右綴じ対応が望まれる

 以上のように、全体的なスペックや性能は上々で、この手のデバイスにありがちな、機能に特徴はあるものの基本性能がおろそかになっているということはない。また懸案であるE Inkリーダーの右綴じ表示も、利用頻度がそれほど高くないのならば、そのときだけは液晶側を使うという手もある。

 実売価格は、キャンペーン価格を適用しなければ、下位のCore m3モデルで13万円台、上位のCore i5-モデルで16万円台(いずれもWi-Fiモデル)ということで、電子書籍ユースを目当てに買う価格ではないが、2in1デバイスがほしいという目的が先にあり、用途として電子書籍が上位に来るという順位付けであれば、かなり魅力的な選択肢といえる。

 ただし日本語書籍の利用にあたっては、左綴じのみ対応という現状では、どうしても技術書やオフィス文書に利用範囲がかぎられるため、ソフトウェアアップデートで右綴じ対応が提供されることが望まれる。それさえクリアされれば、ほかにない特徴を持った可搬性の高いデバイスとして、プライベートな範囲までカバーしうる、魅力的な1台となるはずだ。

ノートとして使いつつ、キーボード面だけをビューアに切り替えることもできる。会議中に液晶画面で手元を隠しつつ、こっそりコミックを読むことも可能……かもしれない