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日本HP、LTE対応「HP ElitePad 900」発表会を開催

~紛失時の追跡サービスが標準添付、NFCログオン機能追加

HP ElitePad 900
5月27日 発表

価格:91,350円~

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は27日、法人向けのピュアタブレットPC「HP ElitePad 900」のLTE対応モデルを発表。都内で発表会を開催した。

 発売中のElitePad 900をベースに、LTE通信モジュールを追加したモデル。au(KDDI)対応版、NTTドコモ対応版の2種類が用意され、大きな特徴として繋がりやすいとされる800MHz帯をサポートしている。

 au版は「HP ElitePad 900 for au」の製品名で、6月中旬販売。周波数はLTEが800MHz、1.5GHz、CDMA/EVOが800MHz、2GHzをサポート。

 NTTドコモ版は「HP ElitePad 900 for DOCOMO」の製品名で、6月下旬販売。周波数はLTEが800MHz、1.5GHz、2GHz、WCDMAが800MHz、2GHzをサポート。

 価格はいずれも、Windows 8モデル(ストレージ32GB)が91,350円、Windows 8 Proモデル(ストレージ64GB)が111,300円。LTE通信モジュール以外の製品仕様は従来と同等。

 なお、NTTドコモのMVNOによる低価格SIMサービスの対応については、現在検証中で順次情報を公開していきたいとしている。

新しく追加になったMicroSIMスロット(右)、左はmicroSDカードスロット
日本ヒューレット・パッカード株式会社 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 岡隆史氏

 発表会の冒頭、同社 取締役 副社長執行役員 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏が挨拶。現在のクライアント状況について、「情報にアクセスするデバイスとして伸びるのはタブレットだが、情報を発信する側は、作るために性能が欲しい部分や使いやすさの部分でPCが便利。PCメーカーからすると、PCとともに伸びる(タブレットの)分野をやる必要がある。我々のビジネスの主戦場にタブレットが加わった認識」だとした。

 タブレットは個人利用が主体で、ビジネス向けには色々な機能が必要と指摘。セキュリティやシステムの管理で企業のIT部門に認めてもらい、会社の資産として導入するため、長期で使えるものとしてシステム系のタブレットの需要は強いと感じたという。2013年のタブレット出荷台数予測の600万台のうち、「2割程度はビジネスに導入されるのではないか」とした。

 企業でタブレットを導入することについては、トップダウンで検討するケース、個人で買いたいがビジネスにも使いたい(BYOD)など、かなりの割合が使いたいと考えているという。ただ、使いたい人は多くても、機能要件として、バッテリやセキュリティ、耐久性を求める企業が多く、ネットワークのつながりやすさも重視されている。岡氏は「今日発表する新しい製品、サービスが(その)回答になる。買いたい、使いたいと思っているお客さんへ良い提示ができるのではないかと思っている」と自信を見せた。

 また、ソリューションのパートナーも3社と協業し、セキュリティと使い勝手、ICカード認証などを加えたほか、日本HPも新しいオプションを用意。岡氏は「キーボードがようやく用意できた」と話した。

ビジネス向けには機能を強化したタブレットが必要
ビジネスでのタブレット活用に関する調査
日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部 本部長 久嶋俊一氏

 続いて同社 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部の久嶋俊一 本部長が製品、サービス、オプションの詳細を説明した。

 ElitePad 900自体は、デザインやMIL-STD-810Gに準拠した堅牢性などを評価され、導入について数十万台ほど検討されたという。一方で、いつでもどこでも使いたいという要求があり、LTEデータ通信モジュール搭載によって応えることになった。これは、日本向けの専用通信モジュールを800MHz対応で開発し、久嶋氏は「製品企画から14カ月で実現でき、感無量」だとした。

 LTE対応から考えられる課題にも取り組み、持ち出して利用する機会が増えるため、本体のセキュリティや、ログオンからの即時利用といった点も新しいソリューションを提供。ネットワーク接続制限、遠隔ロックとデータ消去、トラッキングと回収、物理認証の4つが加わった。

 そのうち、1番大きなものが「Computrace」サービスだという。機能としてはデバイス追跡、ロック、データ消去など、持ち出しできるクライアントの紛失や盗難に対応するもの。エージェントはBIOSレベルに導入されており、モジュールが消去されても自動でBIOSから復活するという。海外出張など世界中で利用可能だという。デバイス内の資産管理にも対応し、ハードウェアだけでなくソフトウェアの資産管理も行なえる。

 個人用の管理機能「Find My PC」4年間分が製品に標準で付属。資産管理はできないが、遠隔消去とロック、位置情報トラッキングが利用できる。資産管理を含むサービスは5月30日より提供開始し、価格は4年間で12,495円、回収サービス込みの場合は16,590円。1年間から最長5年間までのラインナップも用意される。

 次にNFCによる認証を紹介。本体にはNFCが内蔵されているが、これを使ってWindowsのログオンを行なえる。具体例として、インスタントメッセージやVoIPで着信した場合、ピュアタブレットのクライアントではソフトキーボードを使ってパスワードを入力してログオンした後、応答するという手順になる。これをNFCログオンに変更すれば、社員証などの非接触型ICカードですぐにロックを解除でき、なりすましできないというセキュリティ面、すぐ応答できる利便性の両方でメリットになるとした。

Computraceサービスの概要
個人では同様の「Find My PC」が利用可能
NFCによるログオン認証に対応

 このほか、同社のカスタムインテグレーションサービスが6月中旬からElitePad 900に対応予定であること、新オプションとして10台まで充電できるモジュール、キーボードジャケット、肩掛けストラップとハンドル付きの保護ケースの3つが提供可能になったことを紹介した。

各種オプションに加えてマルチ充電モジュール、キーボードジャケット、ハンドル付き保護ケースの3つが追加
マルチ充電モジュール。充電自体はドックコネクタが10本ある単純なもの
金庫のように収納。会社や学校などに置くことを想定している
キーボードジャケット。角度は3段階で調節可能
ジャケットに収め閉じるとクラムシェルタイプを閉じた時と同様
肩掛けストラップと背面にハンドルの付いた保護ケース

(山田 幸治)