●Pentium 4は386以来の大アーキテクチャチェンジ

■特劇企画・目次

■Pentium 4を一気に普及させる
  Intelのアグレッシブな戦略

□Pentium 4 パフォーマンス分析

■Pentium 4搭載
  オリジナルブランドPCカタログ

いよいよ本格的なギガヘルツCPU時代が始まる。1.4GHzと1.5GHzで登場するPenti um 4が、今後も急速にクロックを引き上げていくからだ。徹底的に高クロック化に向けてチューンされたPentium 4の「NetBurstマイクロアーキテクチャ」は、今後、数倍のクロックを実現できるポテンシャルを持つ。IntelのCPUアーキテクチャは、登場時から最終製品までで、通常6~8倍クロックが向上する。そのセオリーに従えば、Pentium 4アーキテクチャは最終的に10GHzに到達しても不思議ではない。
 巨大なポテンシャルを秘めたPentium 4だが、そのラウンチは意外と静かだ。Pentiu m III発表時のようなお祭りイベントはなく、Intelも淡々とイントロデュースしている。PCベンダーの反応も、Pentium 4を正面に立てて盛り上げるという雰囲気ではない。そもそも、Pentium 4搭載マシンの価格はかなり割高なので、一般ユーザーはPentium 4と言われてもあまり身近に感じられないのが実状だ。
 それは、Pentium 4がこれまでになく大きなジャンプであり、ハードルが高いからだ。アーキテクチャ的に言うならば、Intelにとって15年前の初の32bit MPU「Intel 386」以来の巨大なチェンジがPentium 4なのだ。なぜなら、Pentium 4でIntelは、CP Uを構成する三つの重要なアーキテクチャをすべて刷新したからである。それは、マイクロアーキテクチャ、命令セットアーキテクチャ、バスアーキテクチャの三つだ。
 この三つのアーキテクチャを同時に変更するのは、Intelにとって386以来となる。それ以降の486やPentium、Pentium Pro/ II/ IIIは、いずれも三つのアーキテクチャのうち一つか二つを切り換えただけだった。486やPentium、Pentium Proでは、CPUの内部構造であるマイクロアーキテクチャとバスは変わったものの命令セットはほとんど変わらなかった。Pentium II/ IIIではMMXとS SEが加わり命令セットは変わったものの、バスやマイクロアーキテクチャはほぼ変わらなかった。だが、Pentium 4では一気に3アーキテクチャを変えることで、Intelはパラダイムを転換する。386はその後15年間のIntel CPUの基礎となった。だとすると、Pe ntium 4はおそらく今後15年間のIntel CPUの基礎を作るアーキテクチャとなるだろう。
 だが、アーキテクチャの大変革には痛みが伴う。386のときは、業界は冷めた反応で迎え、当時のPC業界の盟主IBMも386を採用しようとしなかった。今回のPentium 4は現状のアプリケーションやベンチマークテストでの性能が上がらないことで、バックラッシュにさらされる。この問題については後述するが、Pentium 4では新アーキテクチャに最適化したアプリケーションでないとその真価が発揮されない。これは、386が新モードだったプロテクトモードを使わないと真価が発揮されなかったのと同じことだ。
 Intelのこれまでのアーキテクチャチェンジでは、ソフトベンダーが追従したため、移行が成功してきた。たとえば、386はWindo wsが386の新アーキテクチャに積極的に対応したことで、大成功を収めた。はたして、今回のPentium 4へのシフトでは、ソフトベンダーは追従して来るだろうか。今回のIntelのチャレンジは、ここにある。
デスクトップ向けCPUの推定ロードマップ