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●ベアボーンノートPCとは

 コストパフォーマンスの高いノートPCでは、台湾メーカーのOEM品を採用したり、台湾メーカーに製造を委託することで、コストを下げている製品が増えている。とくにオリジナルブランド系低価格ノートPCでは、いわゆるベアボーンノートPCがベースとなっていることが多い。ベアボーンとは、半完成品のキットのことで、デスクトップPCの場合なら、ケースと電源、マザーボード、光学ドライブやFDD(ない場合もある)がセットになっており、ユーザーが用途に応じて、CPUやメモリ、HDD、ビデオカードを選択して組み上げるという製品である。ノートPCの場合も、基本的には同じで、ケースやマザーボードが決まっており、CPUやメモリ、HDD、光学ドライブ、場合によっては液晶パネルを自由に選べる製品を指す。いわゆるBTO製品に近いが、BTOの場合は完成品として購入するのに対し、ベアボーンノートPCは、半完成品を購入するのが普通だ(ショップで組み上げてくれるところもある)。ベアボーンノートPCの長所は、ユーザーが欲しい仕様のマシン(CPUやメモリ、HDD容量など)を手に入れられることである。ベアボーンノートPCをベースにした完成品を販売しているメーカーやショップも多い。
 ベアボーンノートPCの多くが台湾製ということで、信頼性について不安をもたれる方もいるかもしれないが、台湾メーカーの製造技術や品質管理体制は、国内メーカーと比べても遜色はない。日本IBMや日立製作所といった大手国内メーカーのノートPCでも、すべての製品を国内で生産しているわけではなく、台湾メーカーのOEM品を採用している例もある。OEM品とベアボーンノートPCは、基本的に同じラインで製造されているので、ベアボーンノートPCも同等の信頼性や耐久性を持っているといってよいだろう。つまり、ベアボーンノートPCだからといって、大手国内メーカーの製品と比べて、ハード自体は品質や信頼性が劣るということはないのだ。
 台湾といえば、世界最大のマザーボードの製造地として知られているが、ノートPCを製造しているメーカーも数多い。ノートPC専業メーカーとして古くから有名なのがTwinheadで、一時期は秋葉原でもTwinhead製ノートPCが販売されていた。FICやASUSTeKのように、マザーボードメーカーとして有名なメーカーにも、ベアボーンノートPCやノートPCのOEM品を製造しているメーカーもある。ASUSTeKのL8400シリーズは、ツクモ電機やパソコン工房、フロンティア神代などのオリジナルブランドノートPCとして販売されている。AcerやMiTACのような台湾の大手PCメーカーも、ノートPCを製造している。たとえば、日本IBMのThinkPad i Seriesの一部の製品はAcerが製造を担当。また、日本ではあまりなじみがないかもしれないが、CLEVOのOEM製品も高い評価を得ている。CLEVOは、ノートPCを日立やエプソンダイレクトにOEMとして出荷している。

●ベアボーンノートPCのトレンド

 そこで、ベアボーンノートPC(OEM用として出荷されているものも含まれる)の最新トレンドを解説することにしたい。
 一口にノートPCといっても、筐体のサイズ、重量にはかなりの幅がある。もっとも、今もっとも売れているのは、オールインワンノートである。オールインワンノートは、三つのスピンドル(スピンドルとは回転軸のことで、3スピンドルならHDD、CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブなどの光学ドライブとFDDを搭載する)をすべて内蔵している製品のことを指す。オールインワンノートは、通常、重量もあり(3kg、4kg程度)筐体も大きいため、常に携帯するには適さないが、液晶ディスプレイが広く(13.3インチ〜14.1インチクラスのものがほとんど)、キーボードの使い勝手もよいことから、1台目のPCとして、デスクトップ代わりに利用されることが多い。台湾製ベアボーンノートPCのほとんどが、このオールインワンタイプである。
 オールインワンタイプのベアボーンノートPCでは、CPUとして、モバイルPentiumVまたはモバイルCeleronが採用されているのが一般的だ(低価格ノートPCでは、AMDのモバイルK6-2+やモバイルK6-V+を採用している製品もある)。デスクトップ用のCeleronはFSBクロックが66MHzになっているが、ノート用CPUの場合は、モバイルPentiumVもモバイルCeleronもすべてFSBクロック100MHzで動作する。多くの低価格ノートPCではモバイルCerelonが採用され、ハイエンドノートPCではモバイルPentiumVが採用されている場合が多い。CPUパッケージとしては、アップグレードが容易にできるμPGA2を採用している製品が大多数を占めている。
 チップセットは、Intel純正のi815や440BX/MXなどを採用している製品と、VIA TechnologiesやSiSに代表されるサードパーティ製チップセットを採用している製品に分けられる。最近のデスクトップ用チップセットは、ビデオ描画機能やサウンド機能などを内蔵した統合型チップセットが増えてきているが、ノートPCの世界でもその流れは変わらない。VIA Technologiesでは、Apollo PM601(Apollo Promedia)という統合型チップセット製品を出荷している。Apollo PM601は、グラフィックスコアとしてTridentのBlade3Dコアを内蔵した統合型チップセットであり、低価格ノートPCでの採用実績もある。また、SiSのSiS 630/630Sは、ビデオ描画機能やサウンド機能を一つのチップに集積した統合型チップセットで、10BASE-T/100BASE-TX対応のLAN機能を内蔵している。統合型チップセットを使えば、ビデオチップが不要になるため、マザーボードの小型化にも貢献するしコスト面でも有利である。しかし、統合型チップセットのビデオ描画機能は、専用ビデオチップに比べると、描画性能(とくに3D描画性能)が見劣りするため、ハイエンドノートPCでは、S3のSavage MXやATIのRAGE Mobilityシリーズといった専用ビデオチップを採用している。
 液晶パネルも重要なポイントである。現在のオールインワンノートでは、14.1インチまたは13.3インチのXGA(1,024×768ドット)表示が可能な液晶パネルを採用している製品が多いが、より高い解像度が欲しいというニーズに応えるため、今後はハイエンドノートPCを中心にSXGA+(1,400×1,050ドット)やUXGA(1,600×1,200ドット)表示が可能な15インチクラスの液晶パネルを採用する製品も増えてくるだろう。
 ノートPC向けの2.5インチHDDの容量の向上ペースは驚くほどで、現在では低価格ノートPCでも8〜12GB、ハイエンドノートPCでは20GBクラスのHDDを内蔵するのが一般的となっている。オールインワンタイプのノートPCでは、パック式HDDを採用することで、HDD交換を容易に実現している製品も多い。光学ドライブに関しては、低価格ノートPCではCD-ROMドライブが主流だが、ミッドレンジ以上のモデルでは、DVD-ROMドライブやCD-R/RWドライブを標準装備していたり、選択できたりする製品が増えている。
 日本では、携帯性を重視したいわゆるスリムノートやサブノートの人気も根強いものがあるが、今まではこうした携帯性重視の製品は、国内メーカーの独壇場という雰囲気が強く、台湾のOEM製品を目にすることはあまりなかったが、AcerやASUSTeK、GIGA-TECH(GIGA-BYTEの子会社)のように、携帯性に優れたスリムノートを製造するメーカーが増えてきている。携帯性重視のスリムノートは、より高い製造技術が要求されるが、台湾の有力メーカーならそのハードルも十分クリアできる。今後も、台湾メーカーからOEM供給されるスリムノートが増えていくだろう。(石井英男)

最新ベアボーンノートPC

日本市場を意識したスリムタイプボディを採用している

●ASUSTeK S8シリーズ

 「S8シリーズ」は、ASUSTeKが9月に発表した最新ノートPC。ASUSTeKのノートPCとしてはオールインワンタイプのL8400が有名だが、S8シリーズは1スピンドルタイプのスリムノートPCである。日本市場を意識して作られており、本体の厚さはわずか25mmで、重さも1.7kgと軽い。ボディはマグネシウム合金製で、質感も良好だ。μPGA2パッケージのCPUをサポートしており、850MHz駆動のモバイルPentiumVにも対応している。チップセットには440MXを、ビデオチップにはSMI721(ビデオメモリ8MB)を採用している。液晶パネルは12.1インチで、SVGAモデルとXGAモデルを選択できる。56kbps対応モデムと10BASET/100BASE-TX対応ネットワーク機能を内蔵していることに加え、PCカードスロットはスリムノートながらTypeU×2という仕様になっていることも評価できる。
 また、スリムノートとしてはめずらしく、HDDがパック式(9.5mm厚)になっており、交換も容易だ。キーボード上部には四つのクイックスタートキーを装備し、登録したアプリケーションをワンタッチで起動することもできる。また、タッチパッドにはスクロール用上下ボタンが設けられているなど、細かい面もぬかりなく設計されている。スリムでパワフルなノートPCが欲しい人にはオススメの製品だ。 (石井英男)


背面のコネクタ類をカバーするフタが装着されている

●MiTAC MiNote 7020

 台湾の大手PCメーカーMiTACのオールインワンノート。μPGA2パッケージのCPUをサポートしており、CPU交換によるアップグレードも容易にできる。チップセットには440BXを、ビデオチップにはATI TechnologiesのRAGE LT PRO(ビデオメモリ8MB)を採用している。DIMMスロットを2基装備しており、オンボードで実装されている64MBメモリと合わせると、最大320 MBまでメモリを増設することができる。液晶パネルは14.1インチまたは15インチで、解像度はXGAである。モデムはオプションで、LAN機能を内蔵することはできないなど、仕様的な面ではやや古さが目立つ。とはいえ、PCカードスロットはTypeU×2という仕様になっているので、モデムカードやLANカードを装着して使えば、とくに問題はない。CD-ROMドライブまたはDVD-ROMドライブを内蔵できる。
 重量は3.2kg(14.1インチ液晶モデルの場合)あり、サイズ(W×D×H)も310×258×39.5 mmと大きいので持ち運びには向かないが、パソコンとしての基本性能は高いので、メインマシンとして使うには魅力的な製品だ。(石井英男)

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