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東芝、米国のFDCに関する訴訟で和解、和解費用1,100億円
──国内でも無償で修正ソフトを配布

'99年10月29日発表



 東芝は29日(現地時間)、米国で同社製のノートPCに関してユーザーから米テキサス州連邦裁判所に提訴されていた集団訴訟において、和解することで仮承認を受けたことを発表した。今後、裁判所の最終承認を得て正式に和解が成立する。この訴訟は、'99年3月に訴えられていたもの。

 同社製ノートPCに搭載しているフロッピーディスク制御IC(FDC~Floppy-Disk Controller)のマイクロコードに不具合があり、書き込みエラーによりデータを破壊する可能性があるとして、保証違反などを理由に損害賠償などを求められていた。東芝は、FDCに制約があることは認めていたが、そのことが原因でデータが破壊されることはなく、現在までに1件も苦情の報告がないとして、争っていた。

 しかし、米国では実際に被害が発生していなくても、その可能性があれば法的救済が求められる考え方があるほか、集団訴訟の陪審裁判では巨額の損害賠償の評決が下る可能性も高い。同社では「経営に重大な影響を及ばす事態を避けるため、想定されるリスクを慎重に検討した結果、裁判上の和解で解決することにした」としている。ただし、今回の和解はあくまで経営上の判断で、「当社の法的責任やパソコンの性能に問題があることを認めたものではない」と述べている。

 米国における和解内容は以下の通り。

  1. '99年11月8日以降に製造する米国向けパソコンには、新しいFDCを搭載する。

  2. 米国内の同社製パソコンの所有者に対し、修正ソフトウェアの無償提供またはハードウェアの改修を行なう。

  3. '99年3月5日に保証期間を経過していたパソコンの所有者には100ドル、保証期間のパソコンの所有者には200ドル(ハードウェアの改修を行なった場合)、または225ドル(修正ソフトウェアでの改修の場合)のクーポン券をそれぞれ提供する。このクーポン券は、東芝の米国子会社が販売するパソコンや周辺機器を購入する際に使用できる。

  4. '98年3月以降に購入したパソコンの所有者に対し和解金を支払う。

 これら、和解契約に関する費用は1,100億円としており、'99年度の特別損失として計上する。そのため、有価証券などを売却し、売却益500億円を特別利益に計上。'99年度の単独の業績予想は350億円下方修正し、650億円の赤字となる。

 なお、日本を含む米国以外の地域でも、11月以降の出荷分より対策済みの製品に切り替えるとともに、既存ユーザーには無償で修正ソフトを提供する。日本では11月1日に主要新聞と同社のホームページにおいて、案内される予定。

追記
 11月1日に予告のとおり、新聞紙面とホームページ上に案内が掲載された。それによれば対策済みのファームウェアは3日に公開予定とされている。

□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/1999_10/pr_j2902.htm
□FDCに関する修正ソフトウェアの無償提供のお知らせ
http://www2.toshiba.co.jp/pc/tfddctr/index_j.htm
□業績予想の修正について
http://www.toshiba.co.jp/about/press/1999_10/pr_j2901.htm
□当社ノートパソコン用フロッピーディスク・コントローラに関するソフトウェアの無償提供のお知らせ
http://www2.toshiba.co.jp/pc/tfddctr/index_j.htm

('99年10月29日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990630/wwe04.htm