会場:The Flint Center at DeAnza College(カリフォルニア州 Cupertino)
■Mac OS 9は、10月23日にリリース
ウォークマンを手にする盛田昭夫氏の姿がスクリーンに表示され、Jobs氏は追悼の言葉を述べた。同氏に敬意を表すように、Think difrerentのロゴが右上にある |
講演の冒頭にJobs氏は、先日訃報が伝えられたソニーの名誉会長、故盛田昭夫氏への追悼の言葉を述べ、トランジスタラジオやウォークマンなど、次々と革新的な製品を世界へ送りだしてきた功績を称えた。
続いてリリースが近づいたMac OS 9の紹介がはじまる。この内容についてはこれまでも伝えてきたMacworld EXPOやSEYBOLD SEMINARSとほぼ同様で、50を超えるMac OS 9の新しい機能のなかから代表的な9つの機能を紹介するというもの。Jobs氏はこれらをこれまでよりも短く簡単に説明したあと、お馴染みのPhil Schiller氏にデモンストレーションを託した。このSchiller氏のデモは、これまでより一層具体性を増したものになっている。例えばマルチユーザー機能のログインは、発声による声紋の認証で行ない、さらにログインしたユーザーのキーチェーンを使って、暗号化されたデスクトップ上のファイルが、許可されたユーザーだけに復号できることを実証。さらにこれらは、インターネットを経由して共有されているSchiller氏宅のファイルサーバー上で行なわれるなど、緊密な連携をもつMac OS 9のインターネット機能をアピールした。
また、1回で見事に成功させた声紋認証のデモ以上に会場が沸いたのは、インターネットを使ったソフトウェアのオートアップデート機能。最初は、まだドライバのインストールされていないUSB接続のハードディスクをプラグイン。すると、インターネットから自動的に必要なドライバをダウンロードして、再起動なしにマウントされることを実演した。また、そのハードディスクに入っていたゲーム「STARWARS:Episode1 RACER」に必要なOpenGL関連のファイルも最新バージョンをサーチして、これも自動的にダウンロード、再起動なしにゲームを楽しんで見せた。ポッドレーサーが豪快にクラッシュしたシーンは場内の笑いを誘ったが、これはSchiller氏のサービスに違いない。
こうした一連のデモを受けて、Jobs氏が再びステージに登場。これまでの発表どおり、米国内での価格は99ドル。発売日を10月23日と明らかにした。講演では各国対応版については触れなかったが、Mac OS 8.5リリースから実現している世界同時リリースは継続するものと予想される。
□Mac OS 9製品情報(英文)
http://www.apple.com/macos/
□関連記事
【9月1日】SEYBOLD SEMINARS SF 基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990901/seybold2.htm
■3モデルの新iMacをアナウンス。米国内では本日出荷
今回多用された「AMAZ!NG FEATURE」のスクリーン。この後に続くスクリーンとJobs氏の言葉に、拍手と歓声をあげるのはすでにお約束のような状態 |
スクリーンには次々と、新iMacの断片的な情報が公開されていく。100MHzのシステムバスに350MHzのG3プロセッサ、標準で64MB、最大512MBの搭載でアクセスが容易なメモリースロット、8MB搭載でAGP 2×対応のRAGE128。さらにスロットインタイプのCD-ROMの搭載、ファンを排除しノイズを軽減する設計、そしてインターフェイス部分など各パーツのクローズアップ画像が公開される。全体像は、まだ出さない。さらには、Harman Kardonにより新設計された内蔵スピーカーや、別売のサブウーハーまで紹介される。ここまで焦らされて、ようやく新iMacがステージ奥から姿を現した。カラーはブルーベリー。かたわらに立ったJobs氏が手をかざし、スロットインでCD-ROMの出し入れをすると、背後のはずの手の動きで前モデル以上に透明度が増したことがわかる。
ここで再びPhil Schiller氏が登場。新iMacにも搭載可能なAirPortを使って、インターネット経由でゲーム「Quake 3 ARENA」をプレイしてみせた。そしてJobs氏から、新iMacの価格が999ドルと発表された。聴衆が拍手と歓声をあげるなか「インターネット接続でCompuServeとの長期契約を結ぶことにより、さらに400ドルのリベートが受けられる。実質は599ドルだ」と続け、さらなる歓声を浴びた。こうしてJobs氏の言うところの“これまでで最高のiMac”を紹介して、感謝の言葉を述べたJobs氏はステージを後にした。
ちょっと待て、何かはやい。忘れ物を思い出したかのように、Jobs氏はステージの端から戻ってきた。今度のiMacには第2のモデルが存在する。続いて登場したのは、先に紹介したブルーベリー単色のモデルとは異なり、iCandy同様の5色のカラーを持つ「iMac DV」。400MHzのG3を搭載し、ハードディスクが10GBのこのモデル。そして前者との最大の違いは、やはり“DV”の部分だ。CD-ROMドライブに変わりDVD-ROMドライブを搭載、さらにFireWireを2ポート持つ。そしてもうひとつ、デジタルビデオムービーを作成するソフトウェア「iMovie」を搭載している。これらすべてが“DV”を意味するという。
最近では珍しく、自分自身の手でデモンストレーション。iMac DVに搭載されるビデオ編集ソフト「iMovie」を使って、優しい父親ぶりを披露 |
そして、みたびJobs氏はステージへ戻ってきた。今度の忘れ物は、iMac DVのSpecial Edition。iMac DVのハードディスク容量を10GBから13GBへ、標準搭載メモリを64MBから128MBへと増加させた製品である。これまで紹介した2モデル同様に、ステージの奥からせり出してきたiMac DV Special EditionのカラーはスペシャルカラーのGraphite。その透明度はこれまでのいかなるモデルよりも高く、遠目にもはっきり内部が確認できる。
このSpecial Editionの価格は1,499ドル。これら3モデルは米国では本日付けで店頭に並ぶほか、AppleStoreでの販売も始まった。そして、米国では今夜から流れる3種類のCMも紹介された。最後にJobs氏は、5月に発表されたPowerBook G3を皮切りに、iBook、PowerMac G4、iMacと、わずか5カ月間、実際には148日ですべてのラインナップを一新したスタッフの努力と功績、そしてその家族のサポートも称え、これからもいい製品を作ると言い残してステージを降りていく。もう、忘れ物はなかった。
なお、iMacとiMac DV、そしてSpecial Editionの詳細なスペックなどは、別記事にてお伝えする。あわせて参照してほしい。
□Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
□ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05imac.html
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05wrapper.html
□iMac製品情報(英文)
http://www.apple.com/imac/
('99年10月6日)
[Reported by 矢作 晃]