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新iMacが衝撃のデビュー! FireWire搭載など3モデルに分化
~ Apple Special Event現地レポート ~

会場

期日:10月5日 午前10時(現地時間)

会場:The Flint Center at DeAnza College(カリフォルニア州 Cupertino)



■Mac OS 9は、10月23日にリリース

会場
ウォークマンを手にする盛田昭夫氏の姿がスクリーンに表示され、Jobs氏は追悼の言葉を述べた。同氏に敬意を表すように、Think difrerentのロゴが右上にある

 予定より15分あまり遅れて、米Apple Computerの暫定CEOであるSteve Jobs氏はステージへと姿を現した。米国内では9月30日の夕刻、日本では10月1日にあたる先週末に、突然アナウンスされたApple Special Eventの開催は、新iMacの発表という大きな期待へとつながった。会場となったのは、Apple本社からもほど近いFlint Center。DeAnza College内にある施設で、初代iMacがはじめて公開されたのもこの場所である。

 講演の冒頭にJobs氏は、先日訃報が伝えられたソニーの名誉会長、故盛田昭夫氏への追悼の言葉を述べ、トランジスタラジオやウォークマンなど、次々と革新的な製品を世界へ送りだしてきた功績を称えた。

 続いてリリースが近づいたMac OS 9の紹介がはじまる。この内容についてはこれまでも伝えてきたMacworld EXPOやSEYBOLD SEMINARSとほぼ同様で、50を超えるMac OS 9の新しい機能のなかから代表的な9つの機能を紹介するというもの。Jobs氏はこれらをこれまでよりも短く簡単に説明したあと、お馴染みのPhil Schiller氏にデモンストレーションを託した。このSchiller氏のデモは、これまでより一層具体性を増したものになっている。例えばマルチユーザー機能のログインは、発声による声紋の認証で行ない、さらにログインしたユーザーのキーチェーンを使って、暗号化されたデスクトップ上のファイルが、許可されたユーザーだけに復号できることを実証。さらにこれらは、インターネットを経由して共有されているSchiller氏宅のファイルサーバー上で行なわれるなど、緊密な連携をもつMac OS 9のインターネット機能をアピールした。

 また、1回で見事に成功させた声紋認証のデモ以上に会場が沸いたのは、インターネットを使ったソフトウェアのオートアップデート機能。最初は、まだドライバのインストールされていないUSB接続のハードディスクをプラグイン。すると、インターネットから自動的に必要なドライバをダウンロードして、再起動なしにマウントされることを実演した。また、そのハードディスクに入っていたゲーム「STARWARS:Episode1 RACER」に必要なOpenGL関連のファイルも最新バージョンをサーチして、これも自動的にダウンロード、再起動なしにゲームを楽しんで見せた。ポッドレーサーが豪快にクラッシュしたシーンは場内の笑いを誘ったが、これはSchiller氏のサービスに違いない。

 こうした一連のデモを受けて、Jobs氏が再びステージに登場。これまでの発表どおり、米国内での価格は99ドル。発売日を10月23日と明らかにした。講演では各国対応版については触れなかったが、Mac OS 8.5リリースから実現している世界同時リリースは継続するものと予想される。

クラシックなどのコンサートホールとしても利用されているFlint Centerの入り口付近で開場を待つ来場者。今回のイベントは、招待者と報道関係者のみに公開された 今回もデモンストレーションを受け持つ、ワールドワイドマーケティング担当の上級副社長 Phil Schiller氏。ユーモア満載の実演で来場者をひきつける プラグインしたUSB対応ハードディスクのドライバがインストールされていなかったため、必要なドライバをインターネット上で発見して表示している

Mac OS 9製品情報(英文)
http://www.apple.com/macos/
□関連記事
【9月1日】SEYBOLD SEMINARS SF 基調講演レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990901/seybold2.htm


■3モデルの新iMacをアナウンス。米国内では本日出荷

会場
今回多用された「AMAZ!NG FEATURE」のスクリーン。この後に続くスクリーンとJobs氏の言葉に、拍手と歓声をあげるのはすでにお約束のような状態

 スクリーンは、2×2の製品マトリクスへと変わる。プロとコンシューマー、デスクトップとポータブルに、それぞれ分けられたすっかりお馴染みの内容だ。Jobs氏は、まずG4、続いて同じプロ向け製品であるPowerBook G3、そしてコンシューマー向けのiBookと順に紹介を続けていく。こうしてトリをとるエリアの製品が、そのイベントでの主役となる。今回は言うまでもない、コンシューマ向けのデスクトップ「iMac」のニューモデルであることは、来場者もすでに察している。初代iMacが登場してから13カ月と半月。200万台を超える出荷と、22億ドルもの売り上げを達成した製品のモデルチェンジである。

 スクリーンには次々と、新iMacの断片的な情報が公開されていく。100MHzのシステムバスに350MHzのG3プロセッサ、標準で64MB、最大512MBの搭載でアクセスが容易なメモリースロット、8MB搭載でAGP 2×対応のRAGE128。さらにスロットインタイプのCD-ROMの搭載、ファンを排除しノイズを軽減する設計、そしてインターフェイス部分など各パーツのクローズアップ画像が公開される。全体像は、まだ出さない。さらには、Harman Kardonにより新設計された内蔵スピーカーや、別売のサブウーハーまで紹介される。ここまで焦らされて、ようやく新iMacがステージ奥から姿を現した。カラーはブルーベリー。かたわらに立ったJobs氏が手をかざし、スロットインでCD-ROMの出し入れをすると、背後のはずの手の動きで前モデル以上に透明度が増したことがわかる。

 ここで再びPhil Schiller氏が登場。新iMacにも搭載可能なAirPortを使って、インターネット経由でゲーム「Quake 3 ARENA」をプレイしてみせた。そしてJobs氏から、新iMacの価格が999ドルと発表された。聴衆が拍手と歓声をあげるなか「インターネット接続でCompuServeとの長期契約を結ぶことにより、さらに400ドルのリベートが受けられる。実質は599ドルだ」と続け、さらなる歓声を浴びた。こうしてJobs氏の言うところの“これまでで最高のiMac”を紹介して、感謝の言葉を述べたJobs氏はステージを後にした。

 ちょっと待て、何かはやい。忘れ物を思い出したかのように、Jobs氏はステージの端から戻ってきた。今度のiMacには第2のモデルが存在する。続いて登場したのは、先に紹介したブルーベリー単色のモデルとは異なり、iCandy同様の5色のカラーを持つ「iMac DV」。400MHzのG3を搭載し、ハードディスクが10GBのこのモデル。そして前者との最大の違いは、やはり“DV”の部分だ。CD-ROMドライブに変わりDVD-ROMドライブを搭載、さらにFireWireを2ポート持つ。そしてもうひとつ、デジタルビデオムービーを作成するソフトウェア「iMovie」を搭載している。これらすべてが“DV”を意味するという。

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最近では珍しく、自分自身の手でデモンストレーション。iMac DVに搭載されるビデオ編集ソフト「iMovie」を使って、優しい父親ぶりを披露

 同社のビデオ編集ソフト「Final Cut Pro」のコンシューマー向け製品ともいうべき「iMovie」を使ったデモは、珍しくJobs氏自身が行なった。自らお気に入りというグレープのiMac DVの前に椅子を置いて、ホームビデオ映像の編集を開始する。Jobs氏の娘と飼い犬が戯れる様子を、いくつかのクリップから編集。さらには、タイトルとエンドクレジット、MP3を使った効果音まで加えて仕上げた。続いて、ステージ横に設置したビデオカメラに、現在の状況をコメント「お父さんは、こうして一生懸命働いていて忙しいんだ。ビデオを送るから、ゴメンね」。このライブ映像を冒頭に加えて、デジタルビデオへと書き戻す。こうして、およそ10分ほどでビデオレターを完成させたJobs氏に喝采が続くなか、iMac DVの価格を1,299ドルと発表して、ふたたびステージを離れようとする。

 そして、みたびJobs氏はステージへ戻ってきた。今度の忘れ物は、iMac DVのSpecial Edition。iMac DVのハードディスク容量を10GBから13GBへ、標準搭載メモリを64MBから128MBへと増加させた製品である。これまで紹介した2モデル同様に、ステージの奥からせり出してきたiMac DV Special EditionのカラーはスペシャルカラーのGraphite。その透明度はこれまでのいかなるモデルよりも高く、遠目にもはっきり内部が確認できる。

 このSpecial Editionの価格は1,499ドル。これら3モデルは米国では本日付けで店頭に並ぶほか、AppleStoreでの販売も始まった。そして、米国では今夜から流れる3種類のCMも紹介された。最後にJobs氏は、5月に発表されたPowerBook G3を皮切りに、iBook、PowerMac G4、iMacと、わずか5カ月間、実際には148日ですべてのラインナップを一新したスタッフの努力と功績、そしてその家族のサポートも称え、これからもいい製品を作ると言い残してステージを降りていく。もう、忘れ物はなかった。

 なお、iMacとiMac DV、そしてSpecial Editionの詳細なスペックなどは、別記事にてお伝えする。あわせて参照してほしい。

新iMacの紹介では、パーツだけが次々と明らかになる。写真は、メモリとAirPortを格納する本体下部にある開閉可能な扉 新設計されたharman kardon製の内蔵スピーカー。これでiMacは、パソコンのなかで最高級のAV機器になるとコメント harman kardonのサブウーハーを手にするJobs氏。この化学実験室にもありそうな形のサブウーハーの価格は99ドル
「スロットインなので、ディスクに指紋がついて汚れたりすることはない」。みずから、CDやDVDディスクを何度か出し入れしてみせる 米国で出荷されるiMac DVには、Jobs氏がCEOを兼任するPIXERが製作したディズニーアニメ「Bugs Life」のDVD-VIDEOが付属する イベント終了後、報道関係者の撮影要請にこたえてステージ上へ。いつも以上にテンションの高かった講演後とあって、終始にこやかな印象だった


Apple Computerのホームページ(英文)
http://www.apple.com/
ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05imac.html
http://www.apple.com/pr/library/1999/oct/05wrapper.html
iMac製品情報(英文)
http://www.apple.com/imac/

('99年10月6日)

[Reported by 矢作 晃]


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