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Microprocessor Forum初日レポート
~半導体業界の名物男Michael Slater氏によるセミナーなどが開催~

期日:10月3日~8日
会場:カリフォルニア州サンノゼ ファーモントホテル


 米国時間10月3日(日本時間10月4日)から10月8日(日本時間10月9日)までの日程で、米国カリフォルニア州サンノゼのファーモントホテルにてPC用半導体向けとしては最もメジャーなカンファレンスであるMicroprocessor Forumが開幕した。初日となる本日は主催者であるMicro Design Resourcesの創設者で主任アナリストであるMichael Slater氏によるセミナーなどが開催された。


●Intelは今後とも強力な市場支配力を維持する

 Michael Slater氏は過去にHewlettPackard(HP)などで半導体の設計に携わっていたエンジニアで、'87年にMicro Design Resourcesを創設し同社の半導体向けニュースレターとして世界的に有名な「Microprocessor Report」の主任アナリストをつとめている。同氏はMicrosoftのハードウェアエンジニア向けカンファレンスである「WinHEC」などでもPC向けCPUのセミナーでスピーカーをつとめるなど、この業界にいてSlater氏を知らないひとはモグリといってもよいほどの有名人だ。

 本日のSlater氏のセミナーは「Processor for PCs」と銘打たれたもので、PC用のCPUメーカー(Intel、AMD、Cyrix、Centaur Technology、RiSE Technology、Motorolaなど)の動向と、それぞれの製品に関する技術的説明やマーケットの状況などにふれ、現在のCPUの市場動向などが理解できるセミナーになっている。このセミナーの中でSlater氏はIntelの今後について触れ「'98年の終わり頃を底にIntelのシェアは向上し続けている。特にCeleronの成功は著しく、AMDから低価格PC向けの市場を取り返すことに成功した」と指摘し、今後もIntelの市場支配力が弱まることはないという見通しを明らかにした。

 また、Slater氏はIntel 820チップセットの延期により出荷が危ぶまれているFSB 133MHzのCoppermineについて、「FSB133MHzを前提にした733MHzの出荷は無くなる可能性もあり、その場合はFSB 100MHzで750MHzというクロックのCoppermineが出荷されるという事態もあり得るだろう」と述べ、注目のIntel 820出荷延期問題がCoppermineの計画にも影響を与えるだろうとした。なお、Slater氏によると「この件は明日以降のカンファレンスで明らかになるだろう」と述べ、明日以降に開催されるカンファレンスに含みを持たせた。


●Transmetaの詳細はCOMDEXで

 この他、Slater氏はAMD、Cyrix、Centaur Technology、RiSE Technologyなどの動向について触れ、各社の今後のロードマップなどについての解説を行なった。ただし、これらの解説は既に本誌でも既報のものばかりで特に目新しいものはなかった。

 その中で、Slater氏はMicrosoftの共同創設者であるPaul Allen氏が投資したり、Linuxの開発者であるLinus Torvalds氏がエンジニアとして働いていることでも知られているTransmetaについて触れ、「彼らはx86の命令セットをVLIW(Very Long Instruction Word)に変換する特許を持っており、それらを利用したCPUをCOMDEXの会場で明らかにする」と述べ、同社が新しいx86メーカーとして参入する可能性があることを述べた。同社には元CyrixのマーケティングディレクターであるJim Chapman氏もおり、そうした可能性があるということはかなり前から米国のニュースサイトなどでも報じられてきた。Paul Allen氏、Linus Torvalds氏というこの業界の「超」有名人が関わっている企業だけに注目度も抜群なのだが、新しいプレーヤーの登場でx86市場が再び面白くなるのは言うまでもなく、そうした意味ではCOMDEXが非常に待ち遠しくなったということができるだろう。


●明日以降のカンファレンスで注目の発表が目白押し

 さて、今回のSlater氏のセミナーでは「これは明日のカンファレンスで明らかになる」という言葉が何度もでてきた。Microprocessor Forumは5日間に渡っているのが、以下のような日程になっている。

  • 10/4 セミナー
  • 10/5 カンファレンス
  • 10/6 カンファレンス
  • 10/7 セミナー
  • 10/8 セミナー

     このうちセミナーはMicro Design Resourcesのアナリストが市場動向などを解説する場となっており、特に新製品の発表の場にはなっていない。これに対して、明日(5日)と明後日(6日)に行なわれるカンファレンスでは実際に半導体のメーカー担当者が登場し、参加者に向けて自社のロードマップや計画などを明らかにする場となっている。

    本日の講演でSlater氏は、

  • Coppermineのアップデート
  • K8の概要
  • RiSEのTiger(Socket370のmP6)
  • Enhanced G4の概要

    などについてカンファレンスで何らかの発表があると明らかにした。本誌では明日以降これらの最新技術やロードマップなどについてお伝えしていく。

    ('99年10月5日)

    [Reported by 笠原一輝]


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