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塩田紳二のLinuxWorld Expo/Tokyo '99レポート 展示会場編

期日:9月29日~30日
会場:東京臨海副都心 東京ファッションタウン

 今回の展示は、NECや日立、富士通などの大メーカーの名前は目立つものの、ほとんどは、インストールサービスやユーザー支援が中心のなため、展示としてのインパクトにはやや欠ける。そうした中では、日本アイ・ビー・エムは、Linux版の「インターネット翻訳の王様」と「ホームページビルダー」を展示しており、エンドユーザー向けアプリケーションソフト移植の積極的な姿勢が目についた。



●ハードメーカー

 NECや富士通は、ブースは大きいが関連会社の展示が中心だ。NECブースは、NECソフトウェアなどのシステム構築、保守サービスが主力。富士通ブースは、業務用ソフトやFORTRANコンパイラ、小型サーバーなどを展示されている。  日立は、同社のHA8000シリーズにLinuxをプリインストールした「Linuxプラットフォームモデル」を参考出品。Redhat Linux 5.2のインストールや設定サービスなどをセットにしたものだ。

 コンパックは、Linuxがインストールされた「Linux Readyモデル」や、Alphaサーバーなど展示している。Linux中心の戦略に方向転換したシリコングラフィックスは、SGI 1400Lサーバー(Pentium III Xeon-550MHz。マルチプロセッサ対応)が中心だ。東芝は、ノートPCでLinuxが動作しているところをデモンストレーションし、インストール代行サービスやテクニカルサービスの紹介を行なっている。

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NECのブース全景 日立、LinuxインストールのHA8000 SGI 1400Lサーバー


●ソフトウェア

 日本アイ・ビー・エムのブースでは、HTMLエディタ「ホームページビルダー」のLinux版が展示されている。また、「Desktop On-Call」(Ver2.5 for Linuxのβ版を提供中)や「インターネット翻訳の王様 Power+」(既発表、Windows版にパッケージにLinux版英日翻訳機能が付属)も展示された。

 Desktop On-Callは、ネットワークを介して他のマシンをリモートコントロールするソフトだ。もともと、クライアントソフトはJavaで、コントロールする側はプラットフォームを問わない。今回Linux版サーバーが登場したことで、Linuxマシンのリモート操作が可能となった。

 Lotusは、現在、英語版がプレビュー中のLinux版Dominoサーバーのデモンストレーションを行なっていた。Dominoは、LotusのグループウェアNotesをベースに、HTTPやPOP/IMAP4などのクライアントプロトコルに対応し、さらにDB2やOracleなどのデータベースとも接続できるグループウェアサーバーだ。

 ジャストシステムは、すでにTurboLinuxやLaser5 LinuxにバンドルされているATOK12 SE for Linuxと、一太郎Arkを出展。一太郎ARKは、Preview版よりも完成度が上がっている。また、Javaを使って機能拡張するプラグインが出荷時にいくつか用意される。プラグインの仕様も公開され、ユーザーが機能拡張を行なうことも可能となる。なお、ATOK12 SE for Linuxは、X-Window Systemアプリケーションとの連携を行 なうkinput2を使うためのパッチがWeb上で公開されている。

 オムロンソフトウェアは、発表直後の日英/英日翻訳ソフト「翻訳魂」のデモ版を配布。IBMのものと合わせてこれで翻訳ソフトが2本増えたことになる。

 このほかでは、インプライズがリレーショナルデータベースのInterBase 5 for Linuxを展示していた。

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ホームページビルダーのLinux版 Lotus、Dominoデモ ジャストシステム、一太郎Arkなど
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ATOK12 SE for Linux オムロンブース


●小型サーバー

 アクアリウムコンピューターの「Blue Grass」と「White Neon」は、超小型インターネットサーバーマシンだ。中身はCyrixの Cyrix MediaGXM を使ったAT互換機だが、WebベースのLinuxシステム管理プログラムが用意されている。WhiteNeonはすでに限定数を完売。Blue Grassは、Turbo Linux 4.2がインストールされており、サイズは92×185×218mm(幅×奥行き×高さ)。ぷらっとホームなどの代理店経由で販売中、価格は228,000円。

 超小型のLinuxマシン「CyberCom PathNavigator」。やはり中身はAT互換機で、2.5インチのHDDを内蔵する。インストール用にキーボードやマウス、FDDなどのインターフェイスをマザーボード上に持つ。背面に放熱フィンがあり、ファンがない。筐体下部にマグネットがあり、机やロッカーの側面などに貼り付けて使うこともできる。製造は、サイバネティックで、富士通テクノシステムが販売を行なう。価格は25万円強。

 株式会社フォースも小型Linuxサーバー「Force GK-21」を展示している。CPUはCeleron 433MHzを採用し、予定実売価格は20万円強。本体サイズは72×220×240mm(幅×奥行き×高さ)。またファイアーウォール専用のtype Fも用意されている。HDDを持たず、電源切断でもダメージを受けずに再起動でき、無停電電源装置が不要なのが特徴。

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Blue Grass White neon
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富士通テクノシステムズの「PathNavigator」 ハードディスク以外の駆動部品が無いので非常に静かとのこと フォースの「Gk-21」。右はファイアーウォール用のType F

□アクアリウムコンピューターのホームページ
http://www.aqua-computer.com
□富士通テクノシステムのホームページ
http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/fts/
□Linux専用ページ
ttp://www.pressnow.co.jp/linux/
□フォースのホームページ
http://www.force.co.jp/


●ディストリビューター

 レッドハットはレーザー5と別れての参加となったため、申し込みが遅れ、会場に入ってすぐの通路にブースが設けられている。すでに展示会場が満杯になっていたための処置だが、目立つという点ではいい位置かもしれない。

 ターボリナックスジャパンは、黒をベースにした凝ったブースが目立つ。クラスターサーバーのデモなど、ステージに人気が集まっていた。

 Redhatとのパートナー解消で話題になったレーザー5は、17日に発売となったばかりの「Lsser5 Linux 6.0」を多数展示。富士通と提携したOpen Linux(Caldera Systems)は、アミュレットなどとの共同展示だ。

 Windows 98上からインストールできるqLinuxは日本語版のデモが行われている。韓国Web DATA Bankが開発したもので、LinuxはVFAT上のファイルとしてインストールされる。また、ハードウェアの設定はWindows側からも行なえる。

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red hatのブースは通路上に設置 red hat Linuxの最新版は10月中旬に発売される レーザーファイブのブース
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ターボリナックスジャパンのブース Mac版の「Turbo Linux for PowerPC Ver.3.6」が登場。発売は来年中とのこと qLinux日本語版のデモ


●出版

 出版関連のブースはサブ会場に設けられていたが、本会場を上回る熱気。広大なブースを設けたオライリージャパンをはじめ、アスキー、翔泳社、ソフトバンク、IDG、技術評論社などが書籍類やパッケージを販売。一部のブースでは会場のみの特価もみられた。

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オライリーのブース
技術評論社のブースではVine LinuxもExpo特価で 五橋研究所のブースではred hat 5.2が1,300円で売られていた

□LinuxWorld Expo/Tokyo'99
http://www.idgexpo.com/linuxexpo/

('99年9月30日)

[Reported by 塩田紳二]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp