今回の展示は、NECや日立、富士通などの大メーカーの名前は目立つものの、内容的には,ちょっと薄い感じがした。国内コンヒュータメーカーのほとんどは、Linux対応は発表しているものの、インストールサービスやユーザー支援といったところが中心なため、「物」としての展示でインパクトが欠けるためだろうか(Linux プリインストールのマシンといえどもWindows機と同じ外観だし)。こうした中で目立ったのは日本アイ・ビー・エム。翻訳の王様のエンジンをLinuxに移植したり、ホームページ作成ソフトのLinux対応を行うなど、Linuxへの積極的なコミットが目立った感じだ。
NECや富士通は,ブース自体は大きいが,実際には,関連会社の展示が中心。NECでは、NECソフトウェアなどの構築,保守サービスなど。富士通は、業務用ソフトやFORTRANコンパイラ、小型サーバーなど。
日立は,同社のHA8000シリーズにLinuxをプリインストールした「Linuxプラットフォームモデル」を参考出品。Redhat Linux 5.2のインストールや設定サービスなどをセットにしたものらしい。
Compaqは、Linuxがインストールされた「Linux Readyモデル」やAlphaサーバーなど。最近Linux中心の戦略に方向転換したシリコングラフィックスは,SGI 1400Lサーバー(Pentium III Xeon-550MHz。マルチプロセッサ対応)などを展示。東芝も、ノート機でのデモを行っていたものの、インストール代行サービスやテクニカルサービスのチラシを配っていた。
NECのブース全景 | 日立、LinuxインストールのHA8000 | SGI 1400Lサーバー |
日本アイ・ビー・エムでは、HTMLエディタ、ホームページビルダーのLinux版を展示、そのほか、Desktop On-Call(Ver2.5 for Linuxのβ版を提供中。)やインターネット翻訳の王様Power+(既発表。Windows版に Linux版英日翻訳機能が付属)なども展示していた。Desktop On-Callは,ネットワークを介して他のマシンをリモートコントロールするソフトだが、クライアントはJavaを使っているためにプラットフォームを問わないが、今回Linux版サーバーの登場により、Linuxマシンの制御を行うことも可能になった。
また、Lotusは、Dominoサーバーのデモを行っていた。Dominoは,LotusのグループウェアNotesをベースに、HTTPやPOP/IMAP4などの様々なクライアントプロトコルに対応し,さらにDB2やOracleなどのデータベースにも対応したグループウェアサーバー。Notesが,専用クライアント、専用データベースだったのに対し、クライアント側とデータベース側をオープンなプロトコルなどに解放したものといえる。今回展示されていたのは、そのLinux版(現在,英語版がプレビュー中)。
ジャストシステムは、すでにTurboLinuxやLaser5 LinuxにバンドルされているATOK12 SE for Linuxと、一太郎Arkを出展。一太郎ARKは、Preview版よりも完成度が上がっているようだ。また、javaを使って機能拡張するプラグインが出荷時には、いくつか用意されるほか、プラグインの仕様も公開され、ユーザーが機能拡張を行うことも可能になるとか。また、ATOK12 SE for Linuxは、X-Window Systemアプリケーションとの連携を行うkinput2を使うためのパッチなどが公開されている。
オムロンソフトウェアは、発表直後の日英/英日翻訳ソフト「翻訳魂」のデモ版を配布。IBMのものと合わせてこれで翻訳ソフトが急に2本も増えたわけだが……。このほかインプライズは、リレーショナルデータベースのInterBase 5 for Linuxを展示していた。
ホームページビルダーのLinux版 | Lotus、Dominoデモ | ジャストシステム、一太郎Arkなど |
ATOK12 SE for Linux | オムロンブース |
デザインがおもしろい,超小型インターネットサーバーマシン。アクアリウムコンピュータのBlue GrassとWhite Neon。中身はCyrixのMediaGXMを使ったAT互換機だが、WebベースのLinuxシステム管理プログラムが用意されている。Turbo Linux 4.2がインストールされており、サイズは92×185×218mm(幅×奥行き×高さ)。価格は228,000円で、22日よりぷらっとホームなどで販売されている。
超小型のLinuxマシン「CyberCom PathNavigator」。やはり中身はAT互換機で、2.5インチのHDDを内蔵する。また,インストール用にキーボードやマウス、FDDなどのインターフェースをメインボード上に持つ。また、背面に放熱フィンがあり、ファンがない。筐体下部にマグネットがあり、机やロッカーの側面などに貼り付けて使うこともできる。一般オフィス向けには、向いているかも。製造は、サイバネティックで、富士通テクノシステムが販売を行う。
また株式会社フォースも小型Linuxサーバーを展示していた。CPUはCeleron 433MHzを採用している。予定実売価格は20万円強。本体サイズは5×22×24mm(幅×奥行き×高さ)。またファイアーウォール用のtype Fも用意されている。
Blue Grass | White neon |
富士通テクノシステムズの「PathNavigator」 | ハードディスク以外の駆動部品が無いので非常に静かとのこと | フォースの「Gk-21」。右はファイアーウォール用のType F |
□アクアリウムコンピューターのホームページ
http://www.aqua-computer.com
□富士通テクノシステムのホームページ
ttp://www.pressnow.co.jp/linux/
□フォースのホームページ
http://www.force.co.jp/
Linuxディストリビューション各社
ターボリナックスは、黒をベースに作り込んだブースが目立つ。クラスターサーバーのデモなど、ステージには人気があるようだ。Redhatとのパートナー解消で話題になったレーザー5だが、Redhat 6.0ベースのLsser5 Linuxを展示。ならんだ箱には迫力はあるものの,展示としては、説得力に欠ける。まあ、どれもLinuxなのだから仕方ないことかもしれないが……。富士通と提携したOpen Linux(Caldera Systems)は、アミュレットなどとの共同展示だった。また、Redhatは急遽参加になったせいか、展示会場の外にブースがあった。
Windows98上からインストールできるqLinuxは、韓国Web DATA Bank社で開発されたものだが,日本語版のデモが行われていた。Linuxは,VFAT上のファイルとしてインストールされる。また,ハードウェアの設定は,Windows側から行うこともできるという。
red hatのブースは通路上に設置されている。レーザーファイブとの騒ぎもあり、会社ができたときには会場は埋まっていた、とのこと | red hat Linuxの最新版は10月中旬に発売される | レーザーファイブのブース |
ターボリナックスのブース | Mac版の「Turbo Linux for PowerPC Ver.3.6」でも。発売は来年中とのこと | qLinux日本語版デモ |
今回も、ASCII、翔泳社、ソフトバンク、IDG、技術評論社などが書籍販売ブースを出展、中でも目立っていたのは、オライリージャパン。
オライリーのブース |
技術評論社のブースではVine LinuxもExpo特価で |
五橋研究所のブースではred hat 5.2が1,300円で売られていた |
('99年9月30日)
[Reported by 塩田紳二]