~ ソリッド単色なら仮処分決定に違反しない ─ソーテック 大辺社長~
ソーテックダイレクト価格:
「e-one 500」128,000円
「e-one 500A」143,000円
「e-one 500B」163,000円
株式会社ソーテックは、CRT一体型Windows機「e-one」の新モデル「e-one 500」を発表した。従来モデル「e-one 433」は、9月20日に東京地方裁判所が「iMac」の工業デザインを模倣したとして、製造および販売を禁止する仮処分を決定している。
まず一番大きく変わったのは本体色だ。トランスルーセントのブルーとホワイトのツートンカラーから、ソリッドカラーのやや青みがかかった銀色「ミレニアムブルー」単色となった。しかし、本体デザインは従来モデルから変更されていない。
スペックはCeleron 433MHzから500MHzに、HDDが8.4GBから13GBに強化。OSがWindows 98 Second Editionにアップグレードされたのみで、そのほかの仕様は従来通り。直販価格は据え置かれ、メモリ64MBモデル「e-one 500」が128,000円、メモリ128MBモデル「e-one 500A」が143,000円となっている。また、今回から「Office 2000 Personal」プリインストールモデル「e-one 500B」が直販価格163,000円で用意された。
「e-one 500/A」のインターネットでの受注受付は、9月28日午後7時から開始された。電話での受注は29日午前9時からとなっており、出荷は10月上旬より順次開始される。「e-one 500B」は11月1日より受注受付を行ない、11月上旬より出荷を開始する。
ソーテック 代表取締役社長 大辺創一氏 |
次に「今回のモデルは、7月19日のe-one 433の発表会で今後の予定としてお話した、スケルトンではないビジネスモデルを当初予定の11月から前倒しして発売したもの」とし、東京地裁のe-oneの仮処分決定を受けて新たに計画したものではないことを強調した。
スペックについては「CPUに最新のCeleron 500MHzが搭載できたのはインテルのフルサポートが受けられたからだ。また、ソーテックとしては初めてマイクロソフトのオフィスアプリケーション搭載モデルを用意することができた」と語った。
本体のプレゼンテーションは、従来モデルからほとんど変更点がないこともあり、約30分程度の短時間で終了した。しかし、その後の質疑応答は、パソコンとしては初めて工業デザイン模倣により、製造および販売を禁止する仮処分の決定がなされ、販売を中止した経緯もあり、かなり白熱したものとなった。
●e-one 500を発表した今日にあわせ、アップルが発表される新製品についても仮処分決定違反をチェックするとリリースをながしているが、その点についてソーテックはどう考えているのか?
仮処分が下った今でもe-one 433/500両機種とも、iMacと混同されるとは考えていない。仮処分には不服であり今週中か来週早々に異議申し立てを行なう準備を整えている。
●できれば、契約している弁護士事務所を教えて欲しい
事務所名が必要な情報だと思わない。2つの弁護士事務所の3人の弁護士の方にお願いしている。
●色を変えただけで、乗り切れると考えているのか?
10万円以上する製品を購入するときは、友人や知人に相談したり、カタログを調べたりするはず。つまり、誤認、混同して購入することはないはずだ。
裁判所が判断したe-oneとiMacの最も大きな類似点は、ブルーとホワイトのツートンカラーだと考えている。よって今回のミレニアムブルー単色では、仮処分決定に違反しないと弁護士も判断している。また、認定理由に含まれている「丸みをおびたCRT一体型」はアップルが作ったわけではない。ソーテックでも、15年前に丸みをおびたプラスチックを使用したものを出している。もし、これらのことが、だめだとすると、これからの家庭向けのパソコンはアップル以外作れなくなってしまう。
また、e-oneの意匠登録が現在申請中。係争中の場合は、登録が早く行なわれる可能性もある。
e-one 500は実際のところ、このスペックでこの価格は非常に苦しい。色についてもこの色は製造も難しいので、本当はもっと生産効率を上げてから販売を開始したかった。しかし、ユーザー、販売店などご迷惑おかけした関係者のためになるべく早く出荷することが必要だった。
●一部で、e-oneのコードネームが「iPC」だったと報道されているが
その雑誌は昨日読んだばかりだが、確かに他の大手メーカーからコードネーム「iPC」という一体型PC製造の依頼を受けたことがある。しかし、e-oneのコードネームは「IrDA(イルダ)」と全く違うものだ。また、そのときの「iPC」もInternet PCという意味で、時期的にもWindows 98の発売直後だった。
その雑誌にコメントしていたデザイナーには、この「iPC」にデザインを依頼するために大手メーカーとともに訪れたことはある。そのときは、お供するという立場だった。また、その場でiMacという話は全くでておらず、デザイナーの作品の経緯をみせてもらっただけだ。その後、見積もりを出してもらったが、天文学的な数字だったため、こちらからおことわりした。
また、「IrDA」というコードネームは、元々コードレスPCを実現したいために名付けた。このプロジェクトは'97年3月スタートし、元々は液晶一体型を考えていた。しかし昨年、液晶の価格が高騰したため、一度ペンディングしたこともあった。
●ソーテックという名前が入ったデザインの発注書を入手しており、それにはiMacと思われる筐体の写真がはいっているのだが
そういった発注書は知らないし、ソーテックには存在しない。
●米国で発売しているTriGem Computer(eMachines)の「eOne」も銀色になるのか?
写真左からTriGem Computer 副社長Chris Chung、Korea Data Systems 副社長Jung Koh |
現在のところe-one 500は日本専用モデルだ。(Korea Data Systems 副社長Jung Koh)
●今回のことで、販売量の計画はどうなる?
はっきりいうと、販売量の推移はわからない。ただ、今回の製品はソーテックとしてはスペック、デザインを含めいいできだと思っている。しかし、最終的にはマーケットが判断することだ。
●今までの予約分(バックオーダ)は残っているのか?
相当数残っている。希望者には返金している。しかし、実際に返金を希望したのは3~4割、1割が他の機種を購入した。残りの約6割が新機種を待っている。今回の発表により、e-one 500を購入するかどうか判断するだろう。
●商品を引き上げた販売店で、この製品は販売されるのか
(e-one 433の)販売中止を決定した時点で、販売店に販売と商品展示の取り下げをお願いした。また、今回のe-one 500はその店頭からの支えをいただいており、販売店でもバックオーダを抱えている。
そういったこともあり、来週末より今までと変わりないチャンネルで出荷するので、e-one 433と同じ販売店の店頭に並ぶ。
●この色(ミレニアムブルー)に決定したのはいつか?
金色や、黄色などモックアップの段階で十数色作った。ミレニアムブルーに最終的に決定したのは、先週の半ばだ。
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【従来モデル「e-one 433」とiMac】 | |
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□ソーテックのホームページ
http://www.sotec.co.jp/
□製品情報
http://www.sotec.co.jp/News/1999/0928.htm
【9月28日】アップル、新型e-oneについても仮処分決定違反をチェック
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990928/apple.htm
【9月22日】ソーテック、「e-one」と同形状で色違いの後継機種を発売へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990922/sotec.htm
【9月21日】ソーテック、e-oneの展示・販売を中止、受注分も解約へ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990921/eone2.htm
【9月20日】東京地裁、e-oneに対し製造および販売禁止の仮処分決定
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990920/eone.htm
【7月19日】ソーテック、iMacに似たデザインの一体型PC
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990719/sotec.htm
('99年9月28日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]