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スタパ齋藤

買わざるを得なかったわたくし
VAIO PCV-R70



■ 誤解されるわたくし

ソニー VAIO PCV-R70
オープンプライス。現在でもDTVをしようと思うと、HDDの回転数やSCSIまたはATAの転送速度、CPUパフォーマンスなどに気を配る必要がある。またDVカメラとキャプチャカードの相性などもあるが、そうしたことを気にせずはじめからDTV作業に入れるマシン。とくにソニーのDVカメラユーザーには堅い組み合わせだ
 俺による俺のための俺の記録を見てみたら、俺は'97年6月~'98年12月までの間に、ソニーのパーソナルコンピュータことVAIOを、な~んか7台も買っていたのであった。つまり、恐らくソニー本社の美人OLが使用しているデスクマット1枚程度分くらいは、いや、その美人OLが腰掛けているオフィスチェアくらいは、いやいや、その美人OLが昼食後に口紅を塗り直してンパッっていう表情を映す洗面所の鏡くらいは俺の消費活動によって得られた備品っていうかそういう話じゃない&美人OLとかの妄想やめろ>俺。

 とにかく、その1年半ほどの間に同じメーカーの同じシリーズのコンピュータを7台も買っているのであった。ちなみに、買ったのは、順にPCG-715(初代A4ノートVAIO)、PCG-505(初代505)、PCV-M300TV7(初代VAIOコンポ)、PCV-S600TV7(マイクロタワー型)、PCG-C1(カメラ付きのアレ)、PCV-S710(マイクロタワー型)、PCV-M350V5(VAIOコンポ)。ある種VAIOマニアと言えよう。ていうかバカ!? アホ!? なお、VAIOを7台も買っちゃったこの期間には、他のメーカーのマシンは買ってないのかと言えばそうでもなくて、実は、東芝のマシンを3台、松下とカシオとIBMのマシンを2台ずつ、それからシャープとNECのマシンも買っていた。だから俺的にはVAIOマニアという感じよりもむしろ、ソニーのマシンの比率が高かっただけなのだ。ていうかやっぱ気ぃ狂ってますか?

 でまあ、こういう買い方をしていると、傍目からは手の付けられないコンピュータ野郎という感じに見えるのだが、それ以上に「この人ってソニーマニアだな」という感じに見えるらしい。でも、俺は、ソニーマニアとかソニー崇拝者とかではない。確かにソニーの製品は俺のようなミーハーかつマニアックな奴をコロッとイカせちゃう魅力を持っているが、そういう意味で言えば、他のメーカーの製品にも俺を虜にする魅力がいっぱいある。ソニーも東芝も松下もシャープもカシオもエプソンもって感じで、冷静に考えればメーカーごとに強力な魅力を引っ提げた製品があるわけだし、俺はそーゆー製品なら衣食住を忘れてビシバシ購入しているのである。

 強いて言えば、俺は、メーカー崇拝者かもしれない。俺という個人では絶対に作り得ない製品を実際に作ってしまうメーカー。多くのテクノロジーを融合させ、なかったものをあるものにし、できなかったことをできることにする、そういう力にいつもクラクラきている。ていうかぶっちゃけた話、俺はマジメに、日本に神がいるとすればそれはテクノロジーの神だし、その神の偶像を示せと言われたら各メーカーを指差すだろう。なので、俺がハードウェアを買うときは、八割方、メーカー様がお作りあそばした神聖なるテクノロジーの結晶というか集合体というかつまり製品を、謹んで買わせていただくという感じなのだ。まあ、そこまで謹みまくるってのは少々オーバーにせよ、製品の向こうにメーカーの人々の姿を感じ、それに共感したり興奮したりして、製品を買っている。

 とか熱くマジメに語ったりしても、いつも冗談ばっかりやってる俺は比較的に狼少年状態らしく、「またぁ~スタパさん別にソニーマニアだっていいじゃないですか~ボクもソニー好きですよ~」なんてチャカされて、結局は妙な誤解が解けないままだったりする。要するに連発してソニーのマシンを7台も買ってるスタパはソニーというブランドが好きなソニーおやじなのだと思われがちなのだ。

 まあそれはそれでいいのだが、マジでメーカーっつー存在がたまらなく好きな俺としては、そーゆー見られかたをされるのは実はちょっとイヤだったりして、カチンと来たりするわけだ。ある種、あってもなくてもどうでもいい、マニア野郎の片意地と言える。が、ともあれなんか気持ち悪いので、7台目のソニー製コンピュータ以降、俺はソニーのマシンを買わないことにした。だって買うと「やっぱあんたソニーマニアだよ!!」なんて言われてムカっとクるんだも~ん。



■ 調べちゃったわたくし

 ソニーの新型マシンについては、なるべく見ないようにし、なるべく触れないようにしていた俺だが、やはりこういう仕事をしているとまるで無視してはいられない。実際、こういう環境にいると、リリースを欲しがればドサッと送ってもらえたりするし、メディア関係者からいろんな情報を伝えてもらえるし、ちょっとノリ気になればマシンをスコッとお借りすることもできる。で、こないだうちから俺が“ちょっとノリ気に”なってしまったのが間違いなのだ。

 先週の記事と、先々週の記事を見ていただければ一発だが、俺は連発でソニーのマシンを借りてしまった。で、それらはかなりイイ感じで触れて、印象も非常に良かった。初代505の時からそうだったが、現在もなおコンピュータ市場でのソニーは元気がいい感じだ。

 そこで気になったのが、最新型のDV編集系VAIOこと、マイクロタワー型のVAIOシリーズだ。で、ついこないだまでの“ちょっとノリ気”が“かなりノリ気”になった俺は、新型のマイクロタワー型VAIOについて調べ始め、調べまくり、調べ尽くしてしまった。そして特にPCV-R70というモデルが超すげえイケててカッコ良くてナイスであるということがわかった。

 そのことがわかった時点で終了していればオーケーなのだが、そういうコトがわかった時点で発動して驀進してしまうのが俺なのであった。俺は案の定気絶して原色に彩られたサイケな世界へトリップしていたが、そのスキに第二の俺が400%の冷静沈着さをもって動き出し、LaOXまでの最短距離を非常に速い速度で移動し、最も効率的な手順で店内を回り、やはり最も効率的な動作でPCV-R70のご注文カードを店員に手渡した直後に支払いを済ませたところで俺の記憶が途絶えていると思ったらアレマ!! いつの間にか俺の机上に非常にカッコよく最新型DV編集VAIOことPCV-R70が設置されており、そこにはアンテナからの同軸ケーブルやDVカメラからのi.LINKケーブルがつながれていたのであって、つまりPCV-R70を買った。

 あ~も~またソニーのマシン買っちゃったよ~マジかよ~ていうか昨日までHDDとメモリを増設して最強に強まってるPCV-S710使ってたのにー!! あ゛ー!! 調べなきゃ良かったVAIOのことなんかこれでまた「やっぱスタパはソニーマニアだ」って言われる~!! あ゛ー!! ぐぎょぁ~(死)。



■ 買わざるを得なかったわたくし

 さて、冗談はこれくらいにして(おいおい冗談かよ長過ぎだよふざけんなよアッタマ来たてめえ放課後体育館の裏に来い>わし)、俺にとってPCV-R70は、買わないでいることが困難な内容をびっしり備えた凄まじいマシンなのであった。

 PCV-R70についての詳細は、ソニーのサイトを見ていただくとして、まずやはりPentium IIIの550MHzってトコロが俺の脳髄を直撃するのであった。まあ、普通のコトに使うマシンなら、こんなプロセッサは必要ないと思うのだが、コイツはDTVマシン。Adobe Premier 5.1Jのタダでさえ速くなったプレビュー処理が、よりドガーンと速くなるのかーと思うと、なんつーかこうやっぱり我慢できなくなる。

 ハードウェア的な面で言えば、HDDが20GBあるってのもいい。実際、DV映像を撮り込んで編集なんて始めると、10GBくらいすぐ消費しちゃうのであって、いや、ホントは20GBくらいでも足りないくらいなのである。まあ、CD-R(CD-RW)ドライブがあるから動画のデータをどんどんCD-Rとかに退避させればいいのだが、やはりHDD内で済ませられるのが理想的。この20GBに俺の10GBのベアドライブを追加すればヒッジョーに快適になる!! そしてこの128MBのメモリに俺の手持ちの128MBを追加して256MBにすればよりいっそう快適なDTVができるハズ!! そんなコトを考えると、やはり我慢ができなくなる。

 加えて、PCV-R70にはPCカードスロットが標準装備されている。ノート派の俺にとっては非常に有り難い機構だ。また、DTVができるVAIOには、PCIスロットに空きが1コしかないとかで、ココをSCSIカードで埋めるかネットワークカードで埋めるかAD/DAコンバータ用に使うかどうしようか困っちゃう~という感じになる。あらかじめいろんなハードが組み込まれていてしかもマイクロタワーというサイズなので、イマイチ拡張性が望めないのである。でもPCカードスロットがあれば、フラッシュメモリカード、SCSIカード、ネットワークカード、それからマイクロドライブとかclik!とか、いろんなモンがホットプラグなフィーリングで使いまくれるのだ。まあそこまでは使いまくらないにせよ、本体前面にPCカードスロットが口を開けていると、拡張に関する問題ナシのスムーズでドリーミーな環境を夢見て、やっぱり我慢できなくなる。

 トドメは、やっぱり、ビデオデッキ代わりとして使えるというコト。MPEG-2リアルタイムエンコーダボードとMPEG-2動画の録画・再生・管理用のGigaPocketというアプリを中心に、コンピュータとビデオが融合したすげえ楽しそうな世界が広がっている。このことが、もはや我慢の限界に達している俺を、ドガンと強力に後押ししてしまったのであった。んで、買ったのであった。



■ 快適にDTVできそうなわたくし

 さて、PCV-R70を買ってからまだ間もない俺だが、使ってみての印象などを少々。まず、やはり全体的な処理が速い。まあ、これまで使っていたマイクロタワー型VAIOもPentium IIの400MHzで、メモリもHDDも増設していて、オマケにDTVソフトのPremierもアップグレードして5.1Jにしているので、うわーッすっげぇPCV-R70ってこんなにパフォーマンスがあるのかーッ!! みたいな劇的な速さは感じない。いやまあガクンと速い感じはするのだが、その快適さにもすぐに慣れてしまう感じだ。

 DVカメラからDVフォーマットの映像を撮り込むためのソフト、DVGatemotionは最新版のものがプリインストールされているが、簡単に使えるのは従来どおりイイ感じだ。新たな機能としてDVgatescanが加わり、これはテープ上の映像の録画開始点・終了点を自動的に検出してリスト表示してくれるもので、大雑把に言ってDV映像をパソコンに撮り込む際の面倒をすげえ大幅に肩代わりしてくれる。とても便利かつラクな機能だ。

 動画ファイルをプールしておくためのHDD容量が15GB(パーティションが切られて)用意されているのもナイス。15GBは、無造作にどんどん動画を撮り込んでもわりと安心な容量。まあ、ハードにDTVするとこれでも全然足りないなんてことにもなるわけだが……。ともあれ、処理がクイックで新しいDVGatemotionは“DV映像を撮り込む気にさせる便利さ”を備えた感じなので、俺はさらにHDDを10GB増設する予定だ。でもまあ、とりあえず15GBあれば十分凝った映像作品作りができる気がする。

 あと、細かいところだが、DTVに関わるコネクタ類の位置が非常に使いやすくなった。マイクロタワー型VAIO、つまりDV編集指向のVAIOは、なんか型が新しくなるごとにちょっとずつコネクタの位置が変わり、俺思うに最新のマイクロタワー型のコネクタ位置がいちばん使いやすくなったと思う。基本的に、DTVをしている時にマシンの裏側にアクセスする必要はほぼない。

 ていうかDTV関連の機能に関しては、ほぼ文句はないレベルになったと思う。処理によってはまだ速度的な我慢をする場面もあるが、でもどの操作もおおよそ快適。コンピュータで映像を編集するというスゴいコトをするんだから多少我慢するのはしかたない、なんて時代はちょい過ぎた感じ。DTVなんて当たり前的レベルの時代が来ちゃった感じだ。

■ 楽しく遊べそうなわたくし

 非常におもしろがれるのが、GigaPocketだ。詳細についてはソニーのサイトを読んでいただきたい感じだが、早い話、PCV-R70を操作性が非常に高いビデオデッキに変身させるソフト、それがGigaPocketだ。で、コレを使うと、テレビを観ることから、単なる録画や予約録画などをすること、それから録画した映像を一覧したり再生したりすることまで、たいていのことは何でもできる。

 映像の録画も気合が入っていて、DVDビデオと同じ方式のMPEG-2。テレビ番組をビデオデッキでテープに録画するよりもずっとキレイに録画できる(ことが多い)。また、圧縮効率もわりと高いので、15GBで1~3時間程度の録画ができる(MPEG-2なら8時間程度まで録画可能)。

 ビデオデッキライクに(操作性はビデオデッキよりずっとイイ感じで)使えるのだが、やはり録画時間は短い感じがする。なので最終的にはテープに出力してライブラリ作りなどを楽しむわけだ。好きな番組などをPCV-R70で録画し、複数の映像をひとつのカテゴリ(ビデオカプセル)として登録し、これを順に再生し、テープに出力・録画する。が、ここで惜しいのが、MPEG形式で録画した映像は、DVGatemotionやPremierなどで直接編集できないこと。例えば、録画したテレビ番組などの一部をカットするなどして編集したい場合は、いったんテレビ番組のMPEG映像をテープに出力し、そのテープからDVGatemotionを使ってPCV-R70に映像を(AVI形式で)読み込み、PremierなりDVGatemotionなりで編集し、またテープに書き出してやっとライブラリ完成、という感じになるようだ。

 まだ細かいところまで使っていないのではっきりわからないが、MPEG動画をAVI動画に変換するようなコトができれば嬉しい。いや、もしかしたらそーゆーコトをする方法もしくはユーティリティーがどっかにあるのかもしれない。あるのなら、ソレを使えば、前述の面倒くさい手順はかなり簡略化され、自由自在なテレビ番組編集ができまくると言えよう。

 ともかく、テレビの映像がそのままPCV-R70で扱えるソースとなるってのが非常にイイ。もちろんこれを商利用したりするとテレビ局から恐ろしい面相のおじさんがやってきてPCV-R70ユーザーをボコボコにする可能性があるからマズいのだが、個人的にテレビ映像を編集の対象として遊べるってのは、なんか非常に愉快なコトになりそうだ。

 例えば、誰かが、NHKのニュースをカットアップ&リミックスして楽しんでいるという話。同じ構図で同じアナウンサが同じトーンで喋る、NHKのニュース。これをたくさん録画し、話がつながるように勝手に編集してしまうという遊びだ。俺が聞いたのは、マジメそうなアナウンサが出てきて「17日未明、鳥取県の中村さんが、10万人を突破しました。専門家は、今後も加速的な勢いで増え続けると予想しています」みたいな、メチャクチャな内容なんだけど想像すると妙におかしいという映像があるとかいう話。それやってみてぇ~俺もやりたーい思ったのだが、PCV-R70が(少々手順は面倒だが)できちゃうのである。あと、マニアの間では有名な、映像は『北斗の拳』だけど歌が『怪物くん』であるというアニメのオープニング映像なんかも、わりとスムーズに作れるだろう。

 ともかく、MPEG-2エンコーダボードとか、チューナ、それからアナログビデオ入力端子などが付いたことで、PCV-R70でできるDTVはより幅広く、しかもすそ野の広いものになった。これからしばらくの間、俺はPCV-R70でいろんな映像遊びができそうである。満足。

□VAIO PCV-R70製品情報(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCV-R/
□週刊スタパトロニクス バックナンバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/wstapa.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp