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Platform 99レポート
VIA Technologiesが新チップセットや新ロードマップを公開

Silicon Valley
Conference Center
'99年7月21~22日 開催(現地時間)

会場:Silicon Valley Conference Center

 7月21日、22日の2日間の日程で、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼのSilicon Valley Conference Centerでメモリやチップセットなどを中心とした技術者向けのカンファレンスであるPlatform 99が開催された。立ち上がりが遅れているDirect RDRAMの代替の選択肢として注目を集めているPC133 SDRAMなどのメモリ、PC133をサポートしたチップセット、PCI-X、Future I/Oなどの話題が中心となっているイベントとなっている。本日のレポートでは初日に行なわれたキーノートスピーチの模様とVIA Technologiesのカンファレンスで発表された新しいロードマップなどを中心にお伝えしていく。


●ユニークな方式がとられたキーノートスピーチ

スピーカーの質問に対して来場者が札を上げて答える

 会場となったSilicon Valley Conference Centerは、シリコンバレーの中心地であるサンノゼのサンノゼ空港の近くにあり、周囲にある企業はすべてがハイテク関係企業だ。会場はカンファレンスと展示に分かれており、まさにWinHECやIDF(Intel Developer Forum)の縮小版といった感じだが、規模は両イベントとは比べるべくもない。Platform 99が特徴的なのはPC業界の盟主であるIntelの姿が全くないことだ。このため、Intelが推進しているDirect RDRAMやNGIO、インテルのチップセットなどの話題は全くなく、参加しているベンダーの多くはインテルの競合企業となっている。さながらAnti-Intel Developer Forumとでも呼ぶべきイベントだと考えるとわかりやすいだろう。

 初日のスケジュールは少々遅れて9時からジェネラルセッションとキーノートスピーチが開始された。このキーノートスピーチには3Dlabs、NationalSemiconductor、Advanced Memory International、Compaq Computerといった会社の担当者が壇上にあがり、それぞれの会社のメモリやI/Oバスなどの技術についての将来を語った。こうした中で来場者の注目を集めていたのがAdvanced Memory InternationalのDesi Rhodin社長兼CEOが語ったPC2100というメモリ構想だろう。これは現在の168ピンのDIMMにある切り掻きの部分を埋めてここにピンを増やして184ピンのDIMMとしたもので、133MHzのDDR SDRAMを搭載してピーク時の帯域を2.1GBとしたメモリモジュールのことだ。メモリモジュールの形とメモリソケットを少し変えるだけで、PC133などから移行が可能になるので、低コストで移行できるとしている。なお、PC2100はメモリの標準化団体JEDEC(ジェデック)で標準化が行なわれており、メモリモジュールメーカーはオープンスタンダードとして利用することができるという。

 なお、基調講演の会場はそんなに大きくないこともあり、割とフレンドリーな雰囲気で進められており、スピーカーから来場者に逆に質問をしてそれに来場者が「賛成」(黄色)、「反対」(赤)の2枚の札をテーブル単位で掲げることにより意思表示をするという趣向が採用されていた。質問は「IA-64は2005年までにメインストリームにまで降りてくるか?」や「ボードを販売せずチップだけを供給しているグラフィックスチップベンダは生き残れるか?」などがなげかけられ、その都度来場者の間で熱い議論が行なわれていた。むろん、最も盛り上がるのはインテルに関する質問の時で、さかんに反対を意味する赤のカードを誇示するように掲げていたテーブルが多かったのが、このイベントの性格を象徴しているようで興味深かった。


●VIA Technologiesが新しいチップセットのロードマップを公開

 PC133 SDRAMを推進したり、Cyrixを買ったりと最近話題に事欠かないVIA Technologies(以下VIA)だが、今回のPlatform 99で同社のマーケティングディレクターDean Hays氏が行なったカンファレンスの中で新しいロードマップを公開した。19日にApollo Pro133を発表したということもあり、その後に関する詳細なロードマップが新たに公開されている。

○ノースブリッジ

ノースブリッジのロードマップ

 ノースブリッジに関しては2つの新しい製品の追加と、若干の名称変更が行なわれた。1つがAMDのAthlon用のチップセットでApollo K7、もう1つがグラフィックスアクセラレータをノースブリッジに統合したProMediaIIの2製品だ。

 Apollo K7はその名の通りAMDのAthlon用チップセットで、CPUバスにはもちろんEV6バスが採用されている。昨年のCOMDEXで初公開されたAMDのAthlon用チップセット(AMD-751、コードネームIrongate)がメモリがPC-100 SDRAM、AGP 2Xにしか対応していないのに比べて、Apollo K7はPC133 SDRAMとAGP 4Xに対応しており、インテルが9月に投入するといわれている次期チップセットであるIntel820(コードネームCamino)対抗の製品であると言えるだろう。サンプル出荷が8月、製品出荷は今年の第4四半期が予定されており、秋のCOMDEXの頃には実際の製品がお目見えするという。Athlonに関しては各メディアでチップセットのスペックがCaminoに比べて弱いという面が指摘されているが、Apollo K7が投入されれば、そうした不満の声にも答えることができるだろう。

 ProMediaIIはノースブリッジにS3のSavage4のコアを内蔵したP6バス用統合型チップセットで、既にS3がVIAと提携して出荷するといわれているSavageNBのVIAバージョンと考えるのがわかりやすいだろう。なお、ビデオメモリはメインメモリを割り当てるUMA(Unified Memory Architecture)方式が採用されており、外付けのビデオメモリはサポートされていない。サポートされるFSBは66/100/133MHzで、もちろんPC133 SDRAMがサポートされている。なお、内蔵されるSavage4はAGP 4Xに対応したグラフィックスアクセラレータであるため、内部的にはAGP 4Xでの接続になっているということだ。

 また、これまでApollo Pro133+という名称で呼ばれていたApollo Pro133をAGP 4Xに対応させたチップセットはApollo Pro133/4Xという名称に変更されている。

○サウスブリッジ

サウスブリッジのロードマップ
 サウスブリッジはHub-Link SBとPCI-LPCという2つの新しい製品がロードマップに追加された。両製品は、共に多くの機能が統合されていく傾向にあり、今後同社のサウスブリッジのコンセプトは統合にあることを伺わせる。

 Hub-Link SBは同じサウスブリッジでもハイエンドに属する製品で、ネットワーク機能などが統合されている。注目なのはインテルがIDFで公開した次世代のUSBであるUSB 2.0にいち早く対応をうたっていることだろう(ただ、USB 2.0の規格がまだ完全にできあがっていないのに、大丈夫なのかという気はしなくもないが)。2000年の第2四半期以降の出荷予定となっている。PCI-LPCは現在のSuperSouth(VT82C686A)の後継に当たり、ネットワーク機能が追加されている。出荷は今年の第4四半期が予定されている。なお、両製品共に策定が進められていると言われている次世代Ultra ATA(ATA/100と呼ばれることが多い)に対応しているという。ただ、Ultra ATA/66すらあまり意味がないと言われている現状では、Ultra ATA/33の3倍の転送速度がありますと言われてもあまり有難味はなさそうではある。

 展示会場ではAGP 4Xに対応したApollo Pro133/4Xが展示されていた。COMPUTEX TAIPEIで展示されていたのはプロトタイプのVT82C694Aであったが、今回展示されていたのは製品版のVT82C694Xで、VIAのHays氏によれば予定通り第3四半期に出荷される。

 なお、Hays氏にCOMPUTEXではApollo Pro133の名前をApollo PC133に変更したと発表したはずだがと質問をぶつけると、確かに、COMPUTEXではそういう名前で展示を行なっていたことは認めつつ「COMPUTEX時にはまだApollo Pro133は発表しておらず、Apollo PC133というのは仮の名前に一時的に変更していたためそういう展示になった。結局正式発表時にはApollo Pro133に決定した」と語った。なお、Hays氏は肯定こそしなかったが、一時的に名前を変更していたことについてはインテルとのライセンス問題が背景にあったことは暗に認め、そうした問題はNational Semiconductorとの提携で解決しているという見解を示した。

 なお、AKIBA PC Hotlineでお伝えしたVT82C693の型番のチップセットを搭載したマザーボードがApollo Pro133であるとして出回っている件に関しては、「Apollo Pro133の正式な型番はVT82C693Aである。それはシルク時に間違ってつけられたロットがあるのではないだろうか」(Hays氏)ということで、どうやら単なる印刷ミスであるという可能性が高そうだ。

AGP 4XモードをサポートしたApollo Pro133/4X(VT82C694X)。VIAの説明によれば第3四半期内の出荷が予定されており、約束通り第3四半期内(9月末まで)に出荷されるのであれば、同じくAGP 4XをサポートするIntel820と真っ向からぶつかる製品となる
Apollo Pro133として発表されたVT82C693A。果たしてNationalSemiconductorのロゴは免罪符となるのだろうか?

□Platform 99のホームページ
http://www.platform99.com/
□関連記事
【7月17日】FSB 133MHz対応?のApollo Pro 133搭載マザー登場
第一弾はAOpen AX63 Pro、FSBとメモリのクロックは独立 (Akiba PC Hotline!)
http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/990717/ax63pro.html

('99年7月22日)

[Reported by 笠原一輝]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp