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NEC、12cm光ディスクを使った世界初の家庭用ビデオレコーダ

'99年9月21日販売開始

標準価格:350,000円

連絡先:NEC 光ストレージ事業推進本部
    Tel.042-333-5552


 日本電気株式会社(NEC)は、世界初となる12cm径の光ディスクを使った家庭用ビデオレコーダ「GigaStation」を9月21日より350,000円で発売する。メディアは、同社が'96年7月に発表したMulti Media Video File(MMVF)を採用した「MVDISC(Multimedia Video DISC)」を使用する。現在、この規格の採用を他社へ呼びかけてデファクトスタンダードを目指しており、国内の著作権保護に関連する団体や、官公庁に積極的にも働きかけているとしている。

 MVDISCは、CDやDVDなどと同じ直径12cmのディスクに、DVD-RAMの2倍となる片面5.2GB、両面10.4GBの記録が可能な規格で、シャッターの付いた取り出し不可能なカートリッジに格納されている。価格は片面のものが3,980円、両面のものは近日発売予定としている。カートリッジの外形寸法は125×139×8mm(幅×奥行き×厚さ)となっており、PDやDVD-RAMのカートリッジとほぼ同じ形状。ただし、DVD-RAMとの互換性はない。記録方式は相変化型で、書き換え可能回数は1,000回。DVD-RAMの10万回などと比較するとかなり少ないが、「動画の記録では、パソコンのデータと異なり同じ場所の書き換えはあまり多くないので、ほとんど問題にならない」としている。

 なお今回の製品はMVDISC専用機となっており、同じ12cmの光ディスクであるCDやDVDビデオの再生には対応してしない。また、両面のディスクを使用する場合は、一度取り出してひっくり返す必要がある。次の機種ではDVDビデオの対応や、両面ディスクの裏面も自動的に読み込めるように改善したいとしている。

 GigaStationは、記録方式にMPEG-2(オーディオはMPEG-1 Layer 2)を採用し、可変ビットレート圧縮に対応したエンコーダを搭載している。記録モードは画質がS-VHS3倍相当の長時間モード(転送レート:平均約2.7Mbps)、S-VHS標準相当の標準モード(転送レート:平均約5.5Mbps)、水平解像度500本以上のファイモード(転送レート:約10Mbps固定)の3種類が用意される。録画時間は5.2GBの片面ディスク使用時にそれぞれ4時間、2時間、1時間となる。また、ディスクの空き容量と、録画時間から2.7~5.5Mbpsの間で自動的に最適圧縮レートに設定する「ぴったり録画機能」も搭載している。

 なお、今月各社から製品が発表されたD-VHSと異なり、映像ソースとしてDVや、アナログ放送をメインとしているため、デジタルCS放送のMPEG-2を直接記録することはできない。一度デジタルCSチューナーでアナログにデコードした後、GigaStationにアナログで入力して再度MPEG-2に圧縮することになる。そのため、画質は元画像よりも劣化する。

 録画時には自動的にサムネール画像が作成され、これを選択することで頭出しが簡単にできる。また、再度見たいところにマークができるブックマーク機能も持っている。さらにGigaStationの特徴として、MPEG-2でありながら、独自のビデオ管理ファイルシステム「MVDISCフォーマット」を採用したことで、動画を1フレーム単位で管理できることがある。このファイルシステムにより本体のみで、1フレーム単位のノンリニア編集が可能となっている。編集映像はイン点、アウト点の情報のみで管理されており、元の映像の消去操作をすると、編集後の動画に必要のない動画部分が消去される。なお、編集した動画はセクタが連続しないため、ファイモードの場合、ドライブの性能とバッファ容量が足りなくなり、再生が追いつかない可能性があるとのことだ。

 本体の外形寸法は430×376×119mm(幅×奥行き×高さ)、重量は8.4kgとS-VHSの高級機クラス並み。チューナはVHF/UHF、BSを内蔵。アナログ入力はS端子、コンポジットを4系統、出力はS端子、コンポジットの2系統に加え、色差出力(コンポーネント)が1系統用意される。そのほかにも前面にDV端子が装備されており、入出力端子はかなり充実している。DV端子はパソコンとつないでもDV映像の入出力のみが可能で、MPEG-2などの動画データのやり取りや、パソコン側からのコントロールはできないが、今後の機種ではパソコンからのコントロールには対応していきたいとしている。

 各社が予定しているDVD-RAMなどを採用した製品との住み分けのついて同社では「(MVDISでは)フレーム単位で管理するなど使いやすさを徹底的に追求した。また、先行して発売するというアドバンテージも大きい」とし、さらに「こういった場合によく例に出されるのがβ対VHSのビデオ戦争だが、この時はアナログだったので物理的なフォーマットの統一が必要だった。しかし、デジタルの場合はデータ自体が交換できればよく、物理的な互換性は必要ないと考えている。つまり今までの互換性とは異なる互換性があってもいいということだ」と付け加えた。

 記録メディアは新規格MVDISC。形状はPDやDVD-RAMのカートリッジにそっくりだ。
 実際にDVD-RAMのカートリッジは入ってしまい、自動的にイジェクトされるそうだ。
 付属のリモコン。中心にカーソルキーが備えられている。これを使ってソフトウェアキーボードにより、コンテンツに漢字混じりの日本語タイトルを書き込める。

 前面にはDV端子のほか、アナログ入力1系統が装備されている。  背面にはアナログ入力3系統、出力1系統に加え、色差出力も備えており充実している。

□日本電気のホームページ
http://www.nec.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/9907/2201.html
□関連記事
【'97年7月2日】NEC、新光ディスク「MMVF」の普及推進を目指す新部署を設立
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970702/mmvf.htm

('99年7月22日)

[Reported by furukawa@impress.co.jp]


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