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Macworld Expo New York '99 展示会場レポート第一弾
ついに公開された「iBook」の全貌に迫る!
~ iMac to Go. iMacを外に連れ出そう ~

Jacob Javits Convention Center

会期:7月20日~23日(現地時間)

会場:NewYork Jacob K. Javits Convention Center


■お出かけできるiMac! これがコンシューマポータブルの正体

 基調講演の会場を後にして、早速展示会場のApple Computerブースへ足を運んでみると、そこには発表されたばかりの「iBook」に早く触れたいユーザー達ですでにあふれていた。展示会場レポートの第一弾は、スペックからは見えない「iBook」の細部にわたる情報を、写真を中心に紹介する。

 繰り返し伝えて来たことだが、「iBook」のカテゴリはコンシューマ向けのポータブルマシンにあたる。Apple Computerは、『iMacのメインターゲットとなるユーザー層 = コンシューマ』という自社の考えを忠実に守って、持ち運びのできる(つまりポータブルの)iMacをリリースしたわけだ。すでにニュースでお伝えしているスペックを参照していただければわかるとおり、その内容はiMacのそれに酷似している。インターフェイスについても、唯一AirPort(詳細は後述)をのぞいては、iMacの持つインターフェイスをすべて踏襲した格好だ。

 つまり、日本国内においてはiMacの購買層の50%を占めるという『はじめてコンピュータに触れるユーザー』に対して、新たなデザイン、可搬性、そして省スペースといったさらなる選択肢を付け加えたということになる。結果的に、iMacの潜在的需要の何割かはiBookへと流れることになるが、コンシューマ市場におけるトータルシェアは向上するという考え方である。

 なお、ブルーベリーとタンジェリンの2色がリリースされたことに関して、デザインチーフのジョナサン・アイブ氏は、iBookのデザインにもっともマッチする2色を選んだとコメントしている。また、日本法人に確認をとったところ、この2色の選択はワールドワイドにおいて共通で、地域ごとに別のカラーが選択されたり、カスタマイズされることはないという。

iBookの形は、いわば貝殻のような感じ。開口部を固定するラッチは存在しないが、蝶番側にあるスプリングの力で閉じた状態を維持することができる iBookの上部背面に位置するのが、キャリーハンドル。こちらもスプリングの力で未使用時は本体に密着し、一体化とデザイン向上に貢献している

基調講演でもJobs氏が強調した部分、フルサイズのキーボード。上部ファンクションキーは、モニタの輝度調整や音量調整のほか、アプリケーションの起動などを行なうプログラマブルキーとして利用できる。また、これまでと違う書体を採用しキートップ中央に配置するなど、デザイン面でのこだわりも トラックパッドとクリックボタンは従来よりも大きめ。平坦なボタンだがクリック感もよく、パームレスト部分との一体感もある バッテリパックは背面に装着されている。きれいな模様がプリントされたカバーで固定されているため、交換時はコインによって回すことができるふたつのスクリューねじをはずす必要がある。バッテリ持続時間が6時間ということで、交換の簡便さはそれほど考慮されていない

本体正面に向かって左側に集中しているインターフェイス部分。iMacとは反対の位置だが、これはCD-ROMへのアクセスのしやすさを優先したためだろう。左から順に56K内蔵モデム、10/100BaseのEthernet、USBポート、ステレオ音声のアウトプットになっている 本体正面に向かって右奥にあるACアダプタ用の接点。写真では映らなかったが、充電中はプラグ部分がオレンジ色に点滅している。充電が完了した状態ではグリーンで点灯 最大24倍速の内蔵CD-ROMは、本体に向かって右側に位置する。本体手前に収納されているバッテリが、横長サイズのために、CD-ROMドライブの位置はほぼ中央だ

□iBookのニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/jul/21ibook.html
□関連記事
【7月22日】米Apple、トランスルーセントボディのノートPC「iBook」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990722/apple.htm


■バンドルソフトウェアは基本的にiMacのものを踏襲

 コンシューマ向けポータブルに、サブノート的な役割を期待していた既存のMacintoshユーザーや、iMacユーザーは決して少なくないことだろう。しかし、さすがに3kgという重さは、移動先で利用することは可能でも、移動中に利用するには難がある。携帯電話やPHSとのインターフェイスとなるPCカードスロットや、ICカード公衆電話などで利用できるIrDAインターフェイスが搭載されていないことからも、残念ながらこうした目的にはフィーチャーされていない製品である。

 米国では1,599ドルで9月の出荷が予定されているが、すでにApple Storeでは予約の受付を始めている。日本国内における発売日や価格は日本法人より後日発表される予定だが、非公式ながらほぼ同時期の発売を目指すというコメントを得た。昨年のiMacや今春のPowerBook G3同様、遅くとも米国での発売から1~2週間後という考え方が妥当だろう。

 ちなみに、米国でiBookにバンドルされるソフトウェアは下記のとおりだが、もちろん日本では変更が加えられる。現時点で正式なラインナップは決まっていないが、現行のiMacのバンドル内容とほぼ同一になる見込みということだ。

【米国におけるiBookのバンドルソフト(米国)】

ACアダプタはコードを巻き付けることができるタイプ。サイズはやや大きめである ACアダプタの下部。アダプタ部分と電源コードは分離することができるようだ アダプタを外した電源コード。すでにお約束だが、トランスルーセント素材を採用

サイズを実感してもらうため、NY在住のジャーナリスト、川口雅代さんに実際にiBookを持っていただいた。川口さんはInternet Magazine誌で「マッシー川口のfrom NewYork」を連載中 キャリーハンドルを起こして持ち運ぶ状態がこれ。ハンドルが起こした側に固定されることはないが、本体の重量で、可搬時はほぼ垂直な状態を維持する たまたまPowerBook G3と並んでデモンストレーションされているコーナーがあった。スペックの数字からも明らかだが、本体のサイズはほとんど同じということがわかる


■iBookでワイヤレスLANを実現する「AirPort」

 iBookで新たに追加されたソリューションが、ワイヤレスLAN機能「AirPort」だ。オプションとして提供される「AirPort Card」(99ドル)をiBookに内蔵することによって、ワイヤレスLANを構築することができる。その中心となるのが、299ドルで発売される「AirPort Base Station」。このベースには、56Kモデムと10Base-T Ethernetインターフェイスが内蔵されており、電話回線や、Ethernetインターフェイスを経由して接続されるケーブルモデム、xDSLモデム、既存のLAN回線でインターネットへのアクセスやファイルの共有を実現する。iBookと,AirPort Base Stationの間は,最大11Mビット/秒の速度でデータを転送できる。転送可能な範囲は最大で150フィート(およそ45メートル)に及び、ひとつのAirPort Base Stationで、10台のiBookからワイヤレスによる接続が行なえる。PowerBook G3などPCカードスロットを持つ機種では、Lucent Technologies社から発売される製品を利用。PowerMacintoshなどのデスクトップ機からは、ハブなどを経由してAirPort Base Stationの10Base-T Ethernetインターフェイスを利用すればいい。
 業界標準規格のIEEE 802.11bを採用しているため、日本においても使用できる。教室などでの使用はもちろん、屋内配線の難しい日本の家庭などでも利用価値は高そうだ。米国ではiBookと同時期の9月に発売される見込みだが、日本での発売時期は現時点では未定。今後、正式な発表が行なわれる。

メモリと、オプションのAirPort Cardの拡張はキーボードを取り外してアクセスする。ここまで開くのも意外に簡単。手前に見えるのが、ワイヤレスLANを実現するAirPort Card。形状やピンの数などはPCMCIAカードとそっくりだが、電気信号などが異なる専用インターフェイスだという iBookによるワイヤレスLANを実現するメインユニット「AirPort Base Station」。背面には56Kモデム端子、10Base-TのEthenetといったインターフェイスと、電源用の端子がある AirPortで利用するアンテナは、あらかじめiBookに内蔵されている。液晶モニタ上部の周囲にうっすらと透けて見えるのがおわかりいただけるだろうか こちらはPowerBook G3のPCカードスロットで利用できるAirPort Card。AirPortの開発で技術協力を行なっているLucent Technologiesブランドで提供される

□AirPort Wireless Networkingに関するニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/pr/library/1999/jul/21lucent.html
□Lucent Technologiesのニュースリリース(英文)
http://www.lucent.com/press/0799/990721.cob.html


今回もやはり用意されていたポスター。iBookのラインナップ同様に、ブルーベリーとタンジェリンの2種類あるが、両方もっていく来場者が多い


Macworld Expo New York '99のオフィシャルサイト
http://www.macworldexpo.com/mwny99/index.html
Apple Computerのホームページ
http://www.apple.com/
Apple ComputerのMacworld Expoホームページ
http://www.apple.com/hotnews/features/mwny99/
□関連記事
【'98年7月10日】MACWORLD Expo/New York レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980710/mwny98_i.htm

('99年7月22日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp