スタパ齋藤

VAIOの2周年記念モデルを試用!!
VAIO PCG-N505SR



■ XGAじゃないと……

ソニー VAIO PCG-N505SR
オープンプライス。N505はサイズはこれまでの505のコンパクトさを保ち、できるだけ多くの機能や性能を詰め込んだ505シリーズの正統派モデル。筐体上面のVAIOロゴは印刷ではなく彫れている。このN505を思いきり贅沢にしたのがN505SR、記念モデルだが、N505の市場価格が25万円程度であるのに比べ、店頭予想価格は40万円ていどとかなり高い
 某社の某型の某薄くて某黒い某サブノートを買うぜ買うぜ買うぜっていうか買いたくてたまらねえゼ!! と思っていた俺だったが、その物欲は比較的一瞬で消滅した。なぜかというと、そのマシンが、800×600すなわちSVGA表示だったからだ。まあ、800×600でも十分使い物になるわけだが、でもなんつーか俺は、もう1,024×768つまりXGAがデフォルトのノートユーザーになっており、最近じゃぁもしかしたらXGAってのも少々手狭なのかも~なんて感じたりしている。なので、今時新発売されるノートなら表示はXGAが当たり前、と思っていたのだが、そのターゲットたるマシンときたらSVGA。いきなりテンションが低くなってしまったというわけだ。

 こういう俺の考え方は、俺としては普段通りなのだが、一瞬だけ第三者になったつもりで改めて考え直してみた。そしたら、もしかしたらこのスタパって奴のノート型マシンの表示における考え方は……かなり偏っているかもしれない……そうだコイツはトチ狂ってる……だいたいノートで大画面が当たり前ってのはオカシイ……しかもサブノートでXGAが当たり前なんて抜かしてんだから助けようがねえ糞馬鹿野郎だ、というふうに思えたりした。

 うっ、俺ってもしかしたら大間違いのスットコドッコイなのかもしれない!! ああ怖い!! 脳内の回路がバグってんのかも!! どうしよう!! そうだ編集のお姉さんに俺がバグってるかどうか確認してもらおう!!

「もしもしスタパなんですけど困ってるんですけどぉ」
「もしもしクドーですけど困ってるんですかそりゃ難儀ですねぇ」
「難儀なんですけどぉ某ノートがぁXGAじゃなくてぇSVGAだからぁ買わないと思った俺はぁバグ野郎でぇバカでぇアホですかぁ?」
「ん~それはアレですね~、かなり、あの、なんて言うか……」
「なんて言うか? なんですか!?」
「普通です!! 全然普通です。問題ありません」
「そうですか!! やったァ!! 普通じゃんオッケーじゃん!!」
「オッケーっスよ!! クドーもその某マシンがXGAじゃないから買うのやめたんですよ。やっぱこれからはXGA以上っスよ~」

 というわけで、俺の考え方は問題ないことになった。もしかしたら俺と編集のお姉さんの考え方に問題があるって可能性もあるが、まあそれはさておき、結局こういう結論に達した。

 まず、最近のサブノートなりノートは、処理性能的にまるで問題なくデスクトップの代替えになること。それから、拡張性においても、PCカード類やUSB接続デバイスを使うことで、デスクトップに引けを取らないものになる。要するに、コンピュータとしての動作においては、デスクトップ型もノート型も似たようなモンになっているわけだ。

 が、ノートは、ビデオカードやディスプレイをどうこうして表示性能を高めることはほぼできない。SVGAのノート買ったらソレが壊れるまでずーっとSVGA!! でも東芝のマシンの一部とかは液晶交換サービスもある!! じゃあ東芝のノートですかクドーさん!! そういう話じゃないスよスタパさん!! そうスね俺たちゃ高精細画面じゃなきゃダメって言ってたんスね!! そうなんですよスタパさんクドー的にはデスクトップでXGAなりSXGAなりの解像度使った後にノートでSVGAとか使うと狭くて狭くてもう!! 俺も俺も俺も俺もXGAとか使うともうSVGAに戻れない感じ!! でしょでしょ!! ですです!! というわけで、一消費者として今後買うべきノートを吟味するとしたら、まずXGA未満の表示のマシンはパスですなぁという結論が出たのであった。

 ついでに、でもやっぱノートマシンはHDD換装とかビデオチップ換装とかマザーボード交換とかできなくて残念ですなぁ~なんて結論も出たが、しかし、んなこたぁ関係ねえよ半年でCPUクロックが倍近くなってHDDとかメモリが激安になる時代に細かいコトこだわってらんねえよという乱暴な結論も出た。



■ VAIOの2周年記念モデル試用

VAIO N505SR 右側面(写真上)
左側面(写真下)
 それじゃあどんなXGAノートを買えばいいんでしょうねえクドーさん、そうですねぇどれがいいんでしょうねえスタパさん、みたいな話になり、XGAのノートをいろいろ挙げてみたのだが、なーんかこう、どれも比較的似たような雰囲気ではある。

 各社が発売するXGAのノートは、各マシンにそれぞれ個性があり、テイストもちゃんと違っている。外観だって、一時の銀パソブームの頃よりずっと差別化が図られている感じだ。そういう意味では、似たような雰囲気ではない。でも、なんつーか、新発売マシンを知った時のインパクトが、似たような雰囲気なのだ。恐らく、ノートマシンに対する俺の感覚が麻痺しつつあるのだ。

 例えば、今回のお題としてソニーさんからお借りした最新型のVAIOノートことPCG-N505SRは、1年くらい前の俺なら何が何でも絶対死んでも必ずきっと即買いした内容のマシンなのだ。

 まず、このボディサイズにXGAのポリシリコンTFT液晶が搭載されているって点で俺は固まる。次に、CPUがモバイルPentium IIの400MHzだってんだから俺の血液が凝固。さらに動画も静止画も撮り込めてメモリは標準128MBでHDDが8.1GBだと来た瞬間、俺の脳波は一直線になる。トドメに本体表面の“VAIO”ロゴがシルク印刷とかじゃなくてしっかり彫ってあることで、映画『ターミネーター2』の液体金属野郎ことT-1000よろしく俺の肉体は粉々に砕け散るが、数分後、破片が液化して一箇所に集まり、再度俺は蘇り、PCG-N505SRを買い求めるべく徹底的にターゲットを追いつめるのである。

 ところが、現在においては、そうはならない。もちろん、PCG-N505SRはすげぇ高性能だし、外観も非常にスタイリッシュだし、プレインストールのソフトのホビー指向にも磨きがかかってるしで、非常に魅力あるマシンだと思う。が、VAIOの505がセンセーショナルにデビューした時のような、ゾクッとするほどのインパクトはない。冷静かつ沈着に判断するにおいては“非常に優れたマシン”と思えるのだが、俺の理性を押し倒すような圧倒的な魅力とはなっていない。これは何もPCG-N505SRだけではなく、他社のノートにも言えることだ。まあ、スペック、持ち物としての良さ、各種機能やソフトを使ってのおもしろさという面では、このPCG-N505SR、さすが505の系譜と思える抜きん出た魅力があるのだが。



■ 2年という時間

 ところでPCG-N505SRは、'97年の7月に誕生した初のVAIO(ミニタワーとノートの2機種)からちょうど2周年にあたるのを記念したモデルだ。で、実は俺、この初のVAIO(ミニタワーの方)を、強い魅力を感じつつ(原稿を書くために)いじくっていたのであった。そのマシンには、266MHzのPentium IIプロセッサ、3Dビデオカード、MPEG-1動画エンコーダボード、読み出し8倍速のCD-Rが搭載され、プレインストールの映像編集ソフトSlipclipを使えば動画編集もできた。味付けとしてはちょうど現在のマイクロタワー型VAIOのPCV-Rシリーズのような感じだ。

 で、この、2年前のVAIOについて、俺はもう超ドすげぇ欲しいと感じたし、冷静になって考えてもモノ凄いスペックだと感じた。すげぇよこのマシンったら4.3GBのディスクでCD-Rドライブまで付いてて挙げ句はMPEG-1エンコーダボードまで付いてる!! ホントに驚いた。自分で当時の原稿を読んでも、なんかヤケにテンションが高いなぁこの人は、と思える内容だ。

 それから2年。266MHzとか3DビデオカードとかMPEG-1とかCD-Rなんて、別に全然ちっとも大したことではなくなった。いや、既に1年前くらいからこの“初VAIO”のスペックは、わりと普通っぽいものとなっていた。

 さほど昔ではない過去に、例えば16MBのメモリが十数万円したとか、540MBのHDDのベアドライブが5万円以上したとか、Pentium 90MHzから133MHのマシンに乗り替えたらその速さにビビったとか、A4フラッドベッドスキャナが98,000円は安いゼと思ったなど、ちょっとホントかよマジかよふざけんなよアレは何だったんだよと憤慨することは多々ある。タイムマシンでその頃に戻って、当時のパソコンユーザーに「'99年夏はこうなってますよ」と伝えたら、たぶん完璧に虚言癖野郎として扱われるだろう。ともあれ、ここ数年間、特にWindows 95が定着した後から現在までは、コンピュータやそれを取り巻く市場が狂気を帯びた変化をしている感じがする。

 例えば、初のサブノートVAIOことPCG-505を考えたら、それから2年経っているとしても、このPCG-N505SRは怪物的存在だ。ホントにモンスタースペックなのである。なのに、現在の俺は、PCG-N505SRをとりわけモンスターだとは感じない。ソニーのノートの方がちょっと性能高いかなぁなどと呑気な印象を受けているだけだ。これは、この2年間、俺がいかにハードウェアに対して麻痺したかということに他ならない。どんどんCPUがクロックアップし、どんどんどんどん周辺デバイスが値下がりし、どんどんどんどんどんどんどんどんニューマシンが登場したから、俺のパソコン野郎魂は徹底的に擦れっ枯らしになっちまったんだ!! うわ~このコンピュータ市場め俺の純粋な心を返せ~なんちて。

 そんなわけで、俺にとってのPCG-N505SR、そんなにインパクトのあるマシンじゃないのだが、でもやはり冷静にじっくり検討してみるとブチ切れたマシンなのである。400MHzで128MBで8.1GBでB5でXGAでIEEE-1394で動画キャプチャーまでしちゃうのである。ここ数年で麻痺した感覚をリセットし、改めて吟味してみたいマシンだ。



■ 吟味してみた!!

 さて、XGAで400MHzでVAIO505感抜群なこのマシンを吟味したのだが、そうしているうちに別のマシンが浮上。やはり同じくVAIOのPCG-XRシリーズ(A4のパワフルなノート型VAIO)とPCV-Rシリーズ(マイクロタワーで動画なVAIO)。

 PCG-N505SRはサブノートであり、サブノートでここまでやれるんなら、もっとパワーがある普通的サイズノートや、さらにパワーがあるはずのデスクトップタイプなら、よりいっそうスゲエことができるだろう、と思って調べたら、やっぱそうだった。

 まず、XRシリーズの方は、なんかもうフル装備の大排気量スポーツカーみたいなコトになっている。これって長時間使ったら燃えちゃうんじゃないの!? みたいな。ともあれ、デスクトップで使い込むためのノート、という、ハイエンドノートの典型をさらに押し進めたような内容になっている。

 それから、Rシリーズの方は、従来の“DTVができるVAIO”であるPCV-Sシリーズを、より鋭く研ぎ澄ましたようなマシン。怒濤のパワー、そしてこれでもかこれでもかと機能を詰め込みまくった、トレーラーハウスみたいなマシンだ。

 とか久方ぶりにVAIOを吟味していたら、再度またVAIO熱が高まってきた。現在の俺は、IBMのThinkPad 770Xを強力なメインマシンとして使い、東芝のDynaBookSS3300をド安定のサブマシンとして使い、VAIOのPCV-S710をおもしろおかしいDTVマシンとして使い、他にも何台か使っているのだが、なーんかまた新たなマシンが欲しくなったというかVAIOが欲しくなった。

 ヤバいですな。最近のマシンはVAIOに限らずインパクトがないとか、いかにも欲しくないようなコト書いてたのに、よっこらしょっと吟味を始めた瞬間物欲が溢れ出してますな。ここはやはり禁欲か!? ともあれ、次回もまた恐らくVAIO関連の話になる感じだ。

□VAIO PCG-N505製品情報(ソニー)
http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCG-N505SR/

□週刊スタパトロニクス バックナンバー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/backno/wstapa.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp