第12回:Windows 2000とモバイル機能



 今週はまず謝罪から。先週、デルタ航空やアメリカン航空などの小さ目の会社のほうが……などと書いたが、デルタ航空よりもノースウエスト航空の方が全米での規模は小さかった。太平洋便はノースウエストの方が豊富だし、資本提携しているKLMオランダ航空とひとつに考えれば話は変わるが、単一航空会社としてはデルタの方が大きいのだ。関係者に陳謝したい。

 また、マイレージクラブの乗り換えも、以前には乗り換え支援が行なわれていたそうで、さらに今でも直接問い合わせれば乗り換えを受け入れてくれるケースもあるようだ(ただしすべての航空会社が行なっているわけでもなく、正式なサービスでもない。また貯めてあるマイルまで移動できるわけではなく、カードランクを引き継げるだけ。カードランクは一段下になることが多い)。

 FFPに関する反応は、なぜか本題のモバイルネタよりも大きく驚いたのだが、もちろんPC Watchで扱うネタではないので、お話はここまでにしておこう。中にはFFPではなく本題の感想を書いてくださった方もいらっしゃった。今回はその話からはじめたいと思う。



■ モバイルでマウスの使い心地は?

 いちいち再起動するのが面倒とか、いったい持ち歩いてどうするんだとか、慣れれば同じだよといった、さまざまな声を頭の中で繰り返しつつ、僕はノートPC内蔵のポインティングデバイスを使ってきたのだが、どんな内蔵デバイスよりもマウスのほうが使いやすい、と思うことも事実だ。

 実際、ホットプラグの行なえるUSBマウスが登場してからは、海外取材にはUSBマウスを必ずスーツケースに入れるようにしている。でも、携帯はしていない。だって、マウスって軽いかもしれないけど、かさばるし、コード絡まるし、その上動かす場所も必要。あまり良くない、と決め込んでいたのだ。

 でも、先週いただいたメールの主は、ノートPCのポインティングデバイスはあまり使わないから、ハッキリ言ってどれでもかまわない、とのことだった。さすがにそれは煩雑だろうと思って返事を書いたのだが、彼はかなり本格的なモバイラー。A4薄型ノートPCを持ち歩き、公園のベンチや電車の中など、色々なところでノートPCを動かしているのだという。

 曰く、ベンチならば腰の横の位置で、膝の上ではかばんを台にして、それぞれマウスを使えるという。さらに新幹線のテーブルなどのマウスを操作する場所が、どうしても確保できない場合にはパームレスト上でマウスを使ってしまうツワモノだ。そんな彼の秘密兵器は超小型のUSBマウスだという。おそらく、SANWAサプライのUSBエルゴミニの事だと思われる。

 このマウスはホイールなどの付加機能がない代わりに、コンパクトかつ軽量な設計。長さ87ミリ、高さ29ミリしかない。そして何より、ケーブル長が70センチと短めなため、持ち歩くときにとても具合がいいのだ。ジーンズはちょっとキツイが、上着のポケットの中にならすっぽりと収めることもできる。早速、近場のショップに出かけて購入してみようと思っている。

 「いまでは、マウスは外では使えないもの、という固定観念が有るのではないかと思って、逆にエポックじゃないかなと思って書いてみました」ということだが、ちょっとした煩雑さを覚悟するなら、これも一つの解とは言えるだろう。



■ Windows 2000はオフラインフォルダだけでも価値がある

 本当は先週あたりから、モバイルで使うWindows 2000をテーマに何回かに分けて面白そうな部分をピックアップしてみようと思っていたのだが、一日だけ西川さんに先を越されてしまった。が、ここは少し違った切り口でWinodws 2000を紹介しようと思う。

 以前のコラムで告白したように、すでにモバイルで使っているPCには英語版Windows 2000β3をインストールしていた。なぜ危険を冒してまでWindows 2000に乗り換えたのかというと、オフラインフォルダ機能にクラクラと魅了されてしまったからだ。

 オフラインフォルダというのは、ネットワークドライブ上にあるファイルやフォルダを、ローカルのハードディスクにコピーしておき、オフラインでもアクセスできるようにする機能。なんだ、ブリーフケースと同じじゃないか、と思うかもしれないがちょっと違う。

 ブリーフケースは、ネットワーク上の(あるいはリムーバブルディスク上の)フォルダやファイルをブリーフケースフォルダにコピーしておき、それを同期させる機能だった。このため、オフライン時とオンライン時のファイルアクセス先が異なる。

 ところがオフラインフォルダであればオンライン/オフラインを問わず、同じファイルパスでアクセスすることができるから、どのブリーフケースのどの場所に入れておいたか、なんてことを全く気にする必要がない。なにしろ、オンラインの時と同じ場所にファイルがある(ように見える)のだから。

 たとえば僕の場合、My Documentsの対象フォルダをネットワークドライブにしておき(こうすることで全マシンで同じMy Documentフォルダを共有できる)、ノートPCの場合だけMy Documents全体をオフラインフォルダにしておくのだ。オフラインフォルダにはマウスの右クリックから[Make Available Offline]を選ぶだけ。このメニュー項目はネットワークフォルダにしか現われないが、My Documentsの対象フォルダがネットワークになっていれば、My Documentsアイコンの上でもちゃんと出てくる。

 オフラインに設定したフォルダ内のファイルはファイル単位での同期を行なうが、その管理はInternet Explorer 5.0で追加されているSychronnize Managerで行なう。画面にはオフラインに設定してあるフォルダが列記されるほか、Webページの同期(昔の購読)設定など、同期に関わる操作を一度に行なうことが可能だ。

 また、オフラインフォルダを設定してある状態でファイルサーバから切り離すと、オフラインフォルダ・リマインダーというユーティリティが起動してタスクトレイに常駐する。このユーティリティはネットワークに接続した際に、自動的にファイルサーバーを探し、同期の必要がある場合にその旨をユーザーに伝える機能を持っている。これのおかげで、つい同期し忘れてしまったなんてことがかなり少なくなる。しかも、このユーティリティのアイコンからオフラインフォルダすべての同期指示を出すこともできるのだ。

 さらに言えば、各オフラインフォルダごと、どのネットワークアダプタ(もしくはダイヤルアップ先)で接続されたときに、そのオフラインフォルダの状態をチェックするか、定期的に同期を行なうかなど、実に細かい設定を行なうことも可能だ。たとえば、支社へのダイヤルアップでつないだときに同期をするオフラインフォルダや、自宅のLANで接続した場合、会社のLANで接続した場合など、状況次第の設定を細かく行なうことができる。

 なんだか誉め倒してしまっているが、実際に使ってみると、かなり便利な機能だ。この機能、実はWindows 2000がNT 5.0と呼ばれていた頃、Zero Administoration Windows(ZAW)の機能としてデモを見せられたもの。もう一年以上前のことだが、ZAWという特別なモジュールをインストールしないと使えないと思っていたのが、Windows 2000の標準機能として、しかもかなり手軽に利用できる(サーバの種類に依存しな い)ようになったのは素直に喜びたい。

 もちろん、僕一人で喜んでいても仕方がないのだが、幸いなことに6月30日にはWindows 2000日本語版の記者説明が行なわれ、日本語版のβ3が配布されるという噂だ。プリインストールマシンまで登場している米国と同じぐらいの大規模βテストとなるかどうかは不明だが、おそらく読者の皆さんのうちの何人かは、オフラインフォルダを試せるようにはなるはずだ。

 サーバ用のWindows 2000 Serverは別として、クライアント用のWindows 2000 Professionalならば、西川氏が書いているようにWindows 98よりははるかに安定した環境を築くことができる(ただしACPIファンクションの関係でBIOS日付が今年以降のPCにインストールすることを勧める。一部機種ではAPM―Advanced Power Management―モードでインストールしたとき、サスペンド中にシステムクロックが止まるという問題が出ている)。メモリが96MBもあれば、Windows 98よりも高速に感じる場面が多い。

 OS環境を自分で復旧できる知識のない人には勧められないが、スキルさえあればβ3で一足先に快適なモバイルパソコン生活を体験できるはずだ。

[Text by 本田雅一]


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