情報産業専門調査会社インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社(IDC Japan)は、'98年の国内スマートハンドヘルドデバイス出荷実績を発表した。なお、IDC Japanではスマートハンドヘルドデバイスを、PDAやWindows CE機などが含まれる「ハンドヘルドコンパニオン」、携帯電話型のハンドヘルドコンパニオン「スマートフォン」、特殊用途での使用が中心の業務用機器「バーティカルアプリケーションデバイス」の3つのカテゴリに分けている。
'98年のスマートハンドヘルドデバイスの出荷台数は前年から24.3%増え142万台。今後は、コンシューマ需要の高まりにより、年間40%以上の成長を続け2003年には1,000万台近くに達すると予測している。IDC Japanでは「'97年までは人目を引くようなデバイスを供給できるベンダーは僅かだった。しかし、今では多くのデバイスが様々なプラットフォームに対応し、価格も下がり始めたため需要が高まった」と分析している。
ハンドヘルドコンパニオンは16.4%成長で出荷台数は765,000台となり、IDC Japanが予測した886,000台を下回った。これは、Windows CE搭載機の全体的な出荷台数の落ち込みが原因としている。市場はシャープ、カシオ、NEC、 NTT DoCoMo、日立の5社で出荷台数の約87%を占める。この中でシャープのみが主要機器に独自OSを採用しており、その他はWindows CEを採用した機器を供給。また、3Comは国内市場への参入は遅れたがPalm OSプラットフォームにより、有力なベンダーとなっており、今後の市場シェア獲得が期待される。
個別に見ると今回もシャープはトップを保ったが、より低価格な機器が他のカテゴリーに次々と登場して競合したことにより3割近く落ち込んだ。一方カシオは3倍近くも成長し、シェアで2位になった。ハンドヘルドコンパニオンの各カテゴリーにまたがる品揃えなどが成長要因となっている。NECのMobile Gear IIシリーズは、'98年の出荷台数が倍増となり、他のベンダーを追い越し3位に浮上する原動力となった。第4位のNTT DoCoMoは、上位3社とのOEM製品により成功した。単にブランド名を機器に添えるだけでなく、無線接続を容易にしている点も評価されている。第5位は日立であり、画面を大型化しCPUを高速化したペルソナは、企業ユーザーの間でヒットした。
※内側が'97年、外側が'98年 |
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スマートフォン市場は、86.3%成長で出荷台数は323,200台であった。'99年にはこの2倍以上の増加が予測される。IDC Japanでは2001年に予定されている新たなW-CDMA標準に基づいたサービスにより、2003年には出荷台数は500万台を超え、スマートハンドヘルド市場全体の半数以上を占めると予測している。
年 | 台数 | 成長率 |
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'97 | 173,500 | ― |
'98 | 323,200 | 86.3% |
'99 | 698,112 | 116.0% |
2000 | 1,382,262 | 98.0% |
2001 | 2,418,958 | 75.0% |
□IDC Japanのホームページ
http://www.idcjapan.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/062899Apr.html
('99年6月28日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]