Voodoo3、TNT2のライバルとなるか!?
〜 Matrox Millennium G400登場 〜



 このところ活気溢れるビデオカード市場に、またまたニューフェイスが登場。Millenniumシリーズでお馴染みのMatrox Graphicsから、待望の最新チップMatrox G400を搭載するMillennium G400の出荷が開始された。G400は、旧世代チップのG200と比較して約3倍の3D描画性能を誇ると言われており、前評判も非常に高まっていた。秋葉原では出荷量が少なかったこともあり、発売と同時に争奪戦が繰り広げられたが、今回運良く1枚入手できたので、さっそくその実力を検証してみよう。



■ 3D描画能力がG200比3倍と大幅に向上

Matrox Millennium G400
G200と比較して約3倍の3D描画性能を持つという
 従来より、Matrox Graphicsのビデオカードといえば、2D描画性能と描画クオリティが高い反面、3D描画性能がそれほど高くない、というイメージがある。初代Millenniumでビデオカードの頂点を極めたものの、その後ビデオカードのパフォーマンス競争が3Dに移ってからは、高い3D描画能力を誇るビデオチップをなかなか投入できず、以後初代Millenniumのように高い評価を得る製品を送り出すことができなかった。

 昨年投入されたMatrox G200搭載ビデオカード、Millennium G200では、従来と比較して3D描画性能を大幅に向上させることに成功したものの、当時主流であったRIVA TNTやVoodoo2には及ばず、シェア奪還を実現できなかった。

 しかし、今回登場したMatrox G400搭載カード、Millennium G400では、そういった従来のイメージを完全に払拭するのに十分な3D描画性能が実現されている。

 Matrox G400は、昨年登場したMatrox G200の後継にあたる最新チップだ。従来のMatroxのチップはG200も含めてバス幅が64bitであったが、G400ではバス幅が128bitとなり、名実ともに128bitチップの仲間入りを果たしている。

 G200では、「128-bit DualBus」という独自のアーキテクチャが採用されていた。これは、チップ内部に書き込み用と読み込み用に独立した64bit幅の2本のバスが用意されており、64bitチップでありながら128bitチップに匹敵するパフォーマンスを実現するとされていた。

 それに対しG400では、「256-bit DualBus」アーキテクチャが採用されている。G200同様チップ内部に書き込み用と読み込み用の独立した2本のバスが用意されているが、双方ともバス幅が128bitとなっている。つまり、正真正銘の128bitアーキテクチャチップとなったわけだ。しかも、書き込み用と読み込み用の独立したバスを持つことにより、他社のチップのように1本のバスで読み書きを行なうよりもパフォーマンス的に有利なのは火を見るよりも明らかだ。

 3D描画機能では、「Environment-Mapped Bump Mapping」のサポートが最大のポイントだろう。これは、3Dオブジェクトの表面にリアルな凹凸を表現するための手法で、地表面の凹凸や、水面が波打つ様子などをリアルに表示できるようになる。DirectX 6よりサポートされているが、G400はこれをハードウェアでサポートする初のチップとなる。

 また、G400の機能としておもしろいのがDualHead Display機能だろう。G400には、2系統の画像出力機能が搭載されており、1枚のカードで2台のディスプレイに画像を表示させることが可能となっている。つまり、1枚のカードでWindows 98でサポートされたマルチディスプレイに似た機能を実現できるのだ。

 プライマリ側の画像は、チップ内の300MHz RAMDACを通して出力され、セカンダリ側の画像は、チップ外に用意されるMGA-TVOまたはフラットパネルコントローラを経由して出力される。MGA-TVOはMatroxが用意するビデオエンコーダで、NTSCまたはPALで最大1,024×768ドットのビデオ信号を出力できるだけでなく、135MHz RAMDACとしても動作するようになっており、ディスプレイも接続できる。また、出力する画像は双方とも同じ画像を出力するだけでなく、全く異なる領域の画像を表示、プライマリ側の一部を拡大してセカンダリ側に表示、セカンダリ側にDVDビデオの再生画像のみを表示、といったことが可能となる。


■ 日本語版パッケージとバルク版が登場

 秋葉原で発売されたMillennium G400は、AKIBA PC Hotline!6月19日号で既報のとおり、日本語版のドライバが付属するMatroxの代理店の一つである東和商工の日本語パッケージと、英語版ドライバが付属するバルク版の2種類だ。日本語パッケージはビデオメモリを16MB搭載するモデルが、バルク版ではビデオメモリを32MB搭載するモデルがそれぞれ発売された。また、双方ともDualHed Displayには対応しておらず、出力端子は1系統のみが用意されている。今回入手したものは32MBのビデオメモリを搭載するバルク版である。

 カード上のG400が搭載されている部分には大きなヒートシンクが取り付けられており、かなりの発熱が予想されるが、ファンは取り付けられていない。また、ビデオメモリは6nsの4MB SGRAMが表裏に4個ずつ取り付けられている。チップやメモリの駆動周波数は発表されておらず、正確な数字はわからない。しかし、6nsのSGRAMが搭載されているところから考えると、メモリの駆動周波数は166MHz以下とみていいだろう。

 ちなみに、Matroxが発表するMillennium G400シリーズの製品ラインナップは次のようになっている。これを見ると、Matroxのリテールパッケージは全てDualHed Displayに対応しているものとなっている。DualHed Display非対応モデルのリテールパッケージは、日本の代理店オリジナルの製品と考えていいだろう。

 また、最上位モデルに位置付けられているMillennium G400 MAXは、G400の上位チップG400 MAXを搭載するモデルだ。内蔵RAMDACが360MHzとなっており、パフォーマンスはG400よりも30%ほど高くなるようだ。

Retail ProductsビデオメモリRAMDAC画像出力
Millennium G400(G4+MDHA16GR)16MB SGRAM300MHzDualHead
Millennium G400(G4+MDHA32GR)32MB SGRAM300MHzDualHead
Millennium G400 MAX(G4+MMDHA32GR)32MB SGRAM360MHzDualHead
Bulk ProductsビデオメモリRAMDAC画像出力
Millennium G400 SH(G4+MA32GB/40)32MB SGRAM300MHzSingle
Millennium G400 SH(G4+MA16GB/40)16MB SGRAM300MHzSingle
Millennium G400 DH(G4+MDHA32GB/40)32MB SGRAM300MHzDualHead
Millennium G400 DH(G4+MDHA16GB/40)16MB SGRAM300MHzDualHead


■ Environment-Mapped Bump Mappingの効果

 今回入手したバルク版のMillennium G400には、Environment-Mapped Bump Mappingをサポートするゲームソフトは付属していなかった。そこで、今回はBump Mappingをサポートするゲーム、Rage Softwareの「Expendable」デモ版を利用して、その効果を確認してみた。

 下に掲載したのがその画面だ。これは、ゲーム中のあるシーンの一部を拡大したものだが、Millennium G400を利用してBump MappingをONにした場合、路面にキャタピラの走行痕がくっきりと表示される。それも、凹凸の様子をはっきりと認識できる。しかし、Voodoo3 2000を利用して同様のシーンでBump MappingをONにした場合ではキャタピラの走行痕は残るが、それはまるで地面にテクスチャを張り付けただけの、のっぺりとしたものとなってしまう。

 Bump Mappingの効果を見るには、水面の波の様子を見るのが最もわかりやすいのだが、今回利用したゲームのデモ版では、水面のシーンを見つけることができなかった。ちなみに、Matroxのホームページには、今回利用したゲームも含め、いくつかのデモ画像が掲載されているので、興味のある人はそちらも参照してもらいたい。

Bump Mapping効果を切った場合。路面には何も表示されない Voodoo3 2000を利用して、Bump Mapping効果をONにした場合。路面にキャタピラ痕が表示されるものの、のっぺりとした平面状の表示となってしまう。また、一部黒く抜け落ちている Millennium G400を利用して、Bump Mapping効果をONにした場合。路面に表示されるキャタピラ痕は、路面に食い込むように凹凸がしっかりと認識できる


■ ベンチマーク結果

 今回入手したMillennium G400について、2Dおよび3Dの描画パフォーマンスを、いくつかのベンチマークテストを利用して測定してみた。利用したベンチマークソフトやベンチマークテストを行なう上でのハードウェア環境は、これまでのHotHotレビューでビデオカードを取り扱ったときと同じである。そのため、その時の結果の中で代表的なものもあわせて掲載することにする。

1.2D描画パフォーマンス

 2D描画パフォーマンス測定には、Ziff-Davis,IncのWinBench 99 Version1.1に含まれるBusiness Graphics WinMark 99とHigh-End Graphics WinMark 99を利用した。これらのベンチマークテストでは、ワープロや表計算、フォトレタッチソフトなど実在するアプリケーションの描画コードを再現することで、総合的な2D描画パフォーマンスを測定できる。解像度は1,024×768ドットで、16bitカラーモードと32bitカラーモードで測定した。

 SPECTRA 5400 PEAGP-V3800 Deluxe3D Blaster
RIVA TNT2
Voodoo3 3000Viper V770Millennium G400
Business Graphics WinMark 99/16183187185182185192
High-End Graphics WinMark 99/16525532526528522556
Business Graphics WinMark 99/32178184181179178189
High-End Graphics WinMark 99/32522527518517515548

 結果を見ると、RIVA TNT2 UltraやVoodoo3を搭載するどのカードの結果よりも高い数値となっている。2D描画パフォーマンスで定評のあるMillenniumシリーズとしては当然といってもいい結果だろう。もちろん表示される画像の品質も申し分なく、2D描画に関しては現時点で最高のパフォーマンスが実現されていると言っていいだろう。

2.Direct 3Dパフォーマンス

 いつものように、Direct 3D環境での総合的な3D描画パフォーマンスは、FutureMarkの3DMark99 Maxを利用して測定した。今回は、TNT2 Ultraの時と同様に、解像度は800×600ドット、1,024×768ドット、1,280×1,024ドットの3種類で、それぞれについて16bitカラーモードと32bitカラーモードで測定した。

 SPECTRA 5400 PEAGP-V3800 Deluxe3D Blaster
RIVA TNT2
Voodoo3 3000Viper V770Millennium G400
800x600ドット16bit4,954 4,925 4,889 5,002 4,808 5,062
800x600ドット32bit4,831 4,780 4,797 d/s3,978 4,971
1,024x768ドット16bit4,499 4,496 4,471 4,631 4,083 4,820
1,024x768ドット32bit4,061 4,015 3,886 d/s2,802 4,107
1,280x1,024ドット16bit3,113 3,091 3,085 3,314 2,463 3,504
1,280x1,024ドット32bit2,306 2,265 2,256 d/s1,610 2,582
※d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。

 結果を見ると、こちらも2Dの結果同様に、他のカード全ての結果を上回っている。これまで最速を堅持していたVoodoo3 3000や、本命と目されていたTNT2 Ultra搭載カードを軽くオーバーしている。特に高解像度モードでの差はかなりのものだ。もちろん、3D画像の描画品質も文句の付け所がない。

3.3Dゲーム(Direct 3D、Glide対応)のパフォーマンス

 次に、実際にDirect 3DおよびGlideに対応する3Dゲームを用意し、そのゲームに用意されているフレームレート計測機能を利用してパフォーマンスを測定してみた。利用したゲームは、これまで同様Direct 3D/Glide両方の3D APIをサポートしたTurok2:Seeds of Evilである。

 SPECTRA 5400 PEAGP-V3800 Deluxe3D Blaster
RIVA TNT2
Voodoo3 3000Viper V770Millennium G400
800x600/1660.16059.760.25857.8
800x600/16/Glided/sd/sd/s73.7d/sd/s
800x600/3258.359.357.4d/s53.257
1,024x768/165859.157.257.954.556
1,024x768/16/Glided/sd/sd/s65.5d/sd/s
1,024x768/3254.354.353.3d/s38.953.8
1,280x1,024/1653.353.752.745.640.651
1,280x1,024/16/Glided/sd/sd/s45.9d/sd/s
1,280x1,024/3236.335.434.4d/s20.642.2
※d/sはその解像度を元々サポートしていないことを意味しています。

 結果を見ると、こちらは先ほどの3DMark 99 MAXほどの差はなく、TNT2 Ultraとほぼ同等の数字となっている。しかし、高解像度および32bitカラーモードにおいて良い結果をはじき出している。特に1,280×1,024ドット32bitカラーモードでの結果は、他を大きく引き離している。G400が、解像度や色数が増えるにしたがって高いパフォーマンスを発揮することがこの結果からも一目瞭然だ。今後はゲームでも高解像度・多色モードでの描画が増えていくと思われるため、この結果にはゲーマーも満足だろう。

4.OpenGL対応ゲーム

 最後にOpenGL対応ゲーム、Quake IIを利用したベンチマークテストの結果だ。こちらの結果もこれまでのものと同様の傾向が現れている。ただ、800×600ドットモードでの結果がかなり悪い。G400のドライバには、V-Sync同期をOFFにするためのオプションスイッチが用意されていないため、できる限り高いリフレッシュレートに設定して測定したものの、その影響によるものと考えられる。しかし、解像度が高くなるにつれて結果が良くなっているのは他のテスト同様で、特に1,600×1,200ドットモードではTNT2 Ultraを凌駕しており、パフォーマンスは十分に高いといっていいだろう。

 SPECTRA 5400 PEAGP-V3800 Deluxe3D Blaster
RIVA TNT2
Voodoo3 3000Viper V770Millennium G400
Quake II 800x600/1687.682.688.1117.279.166
Quake II 1024x768/1662.653.363.582.151.958.6
Quake II 1152x864/1651.144.850.967.241.250.5
Quake II 1600X1200/1626.824.727.135.221.628.2


■ Millennium G400はパフォーマンス、描画品質、機能ともに最高レベル

 実は筆者はこのテストを行なうまで、Millennium G400の3Dパフォーマンスがここまで高いとは思っていなかった。TNT2 UltraやVoodoo3に匹敵はするものの、凌駕するには至らないと考えていたのだ。そのため、今回結果を見て正直驚いた。しかも、この結果は上位チップのG400 MAXではなく、G400によるものだ。つまり、G400 MAXはさらにこの上を行くパフォーマンスが発揮されることは確実だ。

 もちろん、単に3Dパフォーマンスが高いだけでなく、非常に高いレベルでの2Dパフォーマンスと描画品質が保たれている点も特筆すべきポイントだ。さらに、今回は試すことができなかったが、DualHed Display対応カードでは、より高度な画面描画が可能となる点も魅力。ビジネス用途からホビー用途、さらにハイエンドグラフィックス用途まで、様々な用途に柔軟に対応できるビデオカードといっていいだろう。

 '99年は、TNT2 Ultra搭載カードとVoodoo3 3500が双璧となると考えていたが、その考えは改める必要があるだろう。もちろん登場していないMillennium G400 MAXが最強と言うのはまだ早いとは思うが、その描画パフォーマンスや描画品質だけでなく、DualHed Displayなどの各種機能を考えると、Millennium G400シリーズはTNT2 UltraやVoodoo3搭載カードと並び、選択肢の上位に位置するカードといって差し支えない。Millenniumシリーズの復権も、もはや時間の問題だ。

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