PC EXPO 基調講演レポート Robert Herbold(Microsoft COO)
~ XMLベースの「Privacy Wizard」発表で、プライバシーの保護を訴える ~

Andreessen氏

会期:6月21日~6月24日

会場:NewYork Javits Convention Center




 PC EXPO、2日目の基調講演を務めたMicrosoftのRobert Herbold COOは、パーソナル・コンピューティング業界は成熟段階を迎え、今後はWindows CEなどをベースとした「特定のニーズに対応した単一目的のPC」が大きなトレンドになるだろうという展望を語った。また、ボタンを押すだけでインターネットに接続できる3種類の新たなキーボード製品、さらにプライバシーに関する規約を簡単に作成できるXMLベースのオンラインツール「Privacy Wizard」の発表も行なった。

■「PC-Plus」の時代が到来

Herbold氏
 Herbold氏は、過去20年間のコンピュータの歴史を振り返り、「コンピュータの価格低下は著しく、0.25MIPSの価格が'75年には9,600ドルだったのに対して、この傾向が続けば2012年には1MIPSの価格は1セントにまで落ち込むだろう」と予測した。こうした価格低下により、PCは急速にコモディティ化(生活必需品化)し、「昨年の世界市場でのPCの出荷台数は1億台だが、これは自転車の販売台数と同じだった」と語り、会場を笑わせた。

 「もはや、PCなしで仕事をすることは困難な状態」にまで成熟したPC市場だが、同氏は「今後は特定のニーズに対応した単一目的のPCが大きなトレンドになり、家電のように操作が単純で簡単なデバイスへのニーズが飛躍的に高まる」と語った。同氏はこうしたインターネット情報家電を含んだコンピューティングを「PC-Plus」の時代と呼び、ファーストフードの注文機器やガソリンスタンドの給油機、倉庫管理システムなど、ありとあらゆる所でWindows CEをベースとした小型のワイヤレスやインターネット機器が活躍することになると語った。

 同氏は「あなたが今度レストランに行ったとき、Windows CEのことを思い浮かべてみてほしい。Windows CEは、すべてのプロセスを効率化するものだ。ガソリンスタンドの給油機にスクリーンがついていて、過去の自分の給油情報や最寄りのレストラン情報などを知らせてくれたら便利だろう。洗濯機にもWindows CEが入れば、今まで何回どのくらいの量を洗濯したかを知らせてくれる」と語った。

■ボタン一発でインターネットにアクセスできるキーボードを発表

 Herbold氏はまた、インターネットの役割はますます重要になりつつあるとし、インターネットに最適化された新たなキーボードを発表した。同氏はMicrosoftの新しいキーボードを披露しながら、「これらの青いボタンはインターネットへのホットリンクで、Webブラウザのコマンドと同様の機能を持つ。これらのボタンを押すだけで自分のお気に入りのWebサイトにアクセスできる」と語った。

 Microsoftは、「Internet Keyboard」、「Internet Keyboard Pro」、「Natural Keyboard Pro」の3種類のキーボードを発表。今年10月に29.95ドル(推定小売価格)で発売される予定の「Internet Keyboard」は、お気に入りのWebサイト、文書、アプリケーションにアクセスするようにプログラムできる2つのホットキー、およびインターネットアクセスへのワンタッチ機能を搭載している。「Natural Keyboard Pro」は'99年10月に74.95ドル(推定小売価格)、「Internet Keyboard Pro」は2000年に54.95ドル(推定小売価格)でそれぞれ発売される予定だ。これらは一足先に5月に日本で公開されていたもので、日本でも発売が予定されている。

■Privacy Wizardでプライバシー保護

 Herbold氏は最後に、「プライバシー保護への不完全な対応が、コンシューマ間でのEコマースやWebの普及を妨げる大きな原因となっている」と語り、この問題を解決するためのオンラインツール「Privacy Wizard」を発表した。同ツールはWebベースのウィザードで、「質問事項に答えるだけで、1時間以内にWebサイト・プライバシー保護に関する規約を作成できる」というもの。

 同氏は「Privacy Wizardは、Platform for Privacy Preferences Project (P3P) ベースの最初のテンプレートツールだ」と語った。P3Pは、プライバシーの保護を推し進める目的で作成されたXMLプラットフォームで、Webサイトがプライバシー規約を掲載するためのアウトライン、またユーザーが個々のWebサイトのプライバシー規約を承認するか否かを自動判断するためのアウトラインを提供している。

 同氏は「この6週間で、2,000社以上の企業がPrivacy Wizardを使用し、Better Business Bureau Online(BBBOnline)、TRUSTe、MIT World Wide Webコンソーシウムのポリシーに準拠する厳格なWebサイト・プライバシー規約を作成した」と語った。また、Microsoftでは今後プライバシーに関する基準をさらに厳格にし、2000年以降は厳格なプライバシー規約を掲載していないWebサイトへのオンライン広告は一切行なわないと語った。同氏は「Microsoft Passport」にもこのプライバシーポリシーを拡大するとし、「Passport対応のサイトはすべてTRUSTeやBBBOnlineなどの業界規定に準拠することを求める」と語った。

□PC EXPOのホームページ(英文)
http://www.pcexpo.com/
□Microsoftのニュースリリース
・キーボード
http://www.microsoft.com/presspass/press/1999/Jun99/KBLaunchpr.htm
・プライバシー保護
http://www.microsoft.com/presspass/features/1999/06-23privacy.htm
□関連記事
【'98年5月25日】マイクロソフト、ハードウェアラインナップを強化、新型キーボードを日本でも投入
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990525/ms.htm

('99年6月24日)

[Reported by HIROKO NAGANO, NY]


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