COMPUTEX TAIPEI '99 レポート

ビデオカード編: ~ SiS300、Intel 752デビュー~

Text:笠原一輝


会場前

会期:6月1日~6月5日
会場:台北世界貿易センター展示場
   台北国際コンベンションセンター
主催:TCA(台北市電脳商業同業公会)
   CETRA(中華民国対外貿易発展協会)


 NVIDIAのRIVA TNT2、3dfxのVoodoo3、S3のSavage4など最新のビデオチップを搭載したビデオカードが登場したことで活気づいているビデオカード市場だが、COMPUTEXでもその傾向は変わらず、RIVA TNT2、Savage4など新しいビデオチップを搭載したビデオカードが多く展示されていた。今回のレポートでは最新のビデオチップを中心に今後の動向を含めてお伝えしていく。


■ SiS300、Intel 752がデビュー

SiSから発表されたSiS300。安価な価格設定ながら割と高い性能を持つようだ Intel 752もいくつかのビデオカードベンダーで展示されていた

 今回のCOMPUTEXがデビューの場になったビデオチップは2つある。1つはSlicon Integrated Systems(SiS)のSiS300と、インテルのIntel 752がそれだ。SiS300は従来SiSが発売していたSiS 6326の後継となるビデオチップで、AGP 4Xモードに対応しており、2D/3Dアクセラレーション機能の他、DVDのアクセラレーション(Motion Compensation)など最新のビデオチップに必要な機能を備えている。RAMDACが350MHzと高いクロックになっているのも特徴で、ビデオメモリは最大で64Mバイトをサポートしている。

 今回SiS300を搭載したビデオカードを発表したのは、LeadTek Research、CARDEXなど台湾の大手ビデオベンダーの他、中小のビデオカードベンダーなどほとんどすべてのベンダーといってよいほどあちこちで見かけることができた。筆者があちこちのビデオカードベンダーで聞いたところによると、我々が考えているよりもSiS300のパフォーマンスは高いようだ。

 例えば、LeadTek Research 日本事業部営業部長のMichael Lee氏によれば「SiS300の描画能力はRIVA TNTと同じ程度。しかも値段的には100ドルを切るぐらいで発売できる可能性が高く、コストパフォーマンスに優れた選択となるだろう」と述べた他、Savage4以上だと述べたベンダーもあるなど意外とSiS300に対する期待が高いことが伺える。確かに、100ドルを切る価格で出荷できるようであれば、コストパフォーマンスに優れた選択となる可能性もないとはいえない。

□SiS300のニュースリリース
http://www.sis.com.tw/press/sis300_2.htm


 期待を裏切る静かなデビューとなったのが、インテルのIntel 752だ。Intel 752はインテルがIntel740の後継として出荷したビデオチップだが、Intel740の時のようにさぞ多くのビデオカードベンダーから出展されていると思いきや、実は展示しているビデオカードベンダーはSiS300ほどは多くなかった。

 あるビデオカードベンダーの関係者は匿名を条件に「Intel 752のパフォーマンスはRIVA TNTにも及ばず、当然のことながらSiS300よりも低い」とその事情を空かしてくれた(ちなみに、その関係者のベンダーは日本向けにはIntel 752搭載カードを出荷しないそうだ)。ただし、インテルは今回価格面でかなり思い切った戦略をとったようで、特にインテルとチップセットでもつきあっていく必要があるマザーボードベンダーではIntel 752を購入することでチップセットの値段を下げてもらうなどの交渉をしているところもあるようで、マザーボードメーカーからIntel 752を搭載したビデオカードが続々登場という展開もありそうだ。

□製品情報
http://developer.intel.com/design/graphics/752/index.htm


■Permedia3もいくつかのブースで展示

Permedia3はOpenGLにおける性能次第か?
 CeBITのLeadtekブースでは3DlabsのPermedia3を搭載したビデオカードが初めて展示されていたが、今回のCOMPUTEXでもLeadtekおよびCARDEXの2社などに搭載ビデオカードが展示されていた。LeadtekのMichael Lee氏によれば「Direct3Dのパフォーマンスに関してはRIVA TNT2には及ばないが、値段はRIVA TNT2以上。ゲームユーザーには向かない」というのが大半の評価で、実際にCARDEXの担当者も同じような意見を述べていた。ただし、Permedia2がそうであったように、ユーザーがPermedia3に期待している部分は3Dゲーム用途ではなく、OpenGLのAPIを利用する3D CGアプリケーションなどでの用途だろう。残念ながら、筆者は今回のCOMPUTEXでその点について明確な回答を得ることができなかった。この点に関しては実際に製品がでた段階でもう1度考えていきたい。

 なお、今回3Dlabsはメインの会場である世界貿易センターにはブースを持っていなかったのだが、実は世界貿易センターに隣接するハイアットホテルにプライベートスイートを開設していた。今回、筆者はPermedia3の今後などについて3Dlabsの関係者にインタビューを試みたのだが、金曜日のプレスカンファレンスでということで現段階では話を聞くことができなかった。今後、機会をみてレポートしたい。

□3Dlabsのホームページ
http://www.3dlabs.com/


■RIVA TNT2 M64は高速版Vanta?

RIVA TNT2の廉価版と言えるRIVA TNT2 M64。メモリのバス幅は64ビット。VantaとRIVA TNT2 M64のチップサイズは全く同じ Trident MicrosystemsのBLADE 3D Turbo

 この他、何の前触れもなく登場していた製品もあった。その代表はNVIDIAのRIVA TNT2 M64だ。これは、コアはRIVA TNT2を採用していながら、ビデオメモリとグラフィックスコアが64ビットに制限されたローコスト版RIVA TNT2だ。ここまで聞いて、それは「Vantaじゃないのか?」と疑問を持ったユーザーも少なくないだろう。その通りだ。写真を見てもらえばわかるが、RIVA TNT2 M64はVantaと同じ大きさのチップで、明らかにVantaと同じチップと考えるのが妥当だろう。

 ではVantaとは何が違うのだろうか? CARDEXの説明によると、VantaとRIVA TNT2 M64の違いはコアの動作クロックにあるという。Vantaのコアクロックは90MHzとなっているが、RIVA TNT2 M64では125MHzとなっている。これにより、パフォーマンスはかなり改善されるようで、CARDEXの説明によると、RIVA TNT2とRIVA TNT2 M64の描画性能の違いは10%程度になるという。現時点ではNVIDIAからRIVA TNT2 M64に関して何も発表されていないが、基本的にはVanta2というべき高速版のVantaと考えるのが妥当だろう。

 この他、Trident Microsystemsは同社のデスクトップPC用のビデオチップであるBLADE 3Dの最新版であるBLADE 3D Turboを展示していた。従来のBLADE 3Dに比べると動作クロックが高速になっており、BLADE 3Dに比べるとやや高いパフォーマンスを発揮するという製品だ。なお、同社ではBLADE 3D Turboの後継製品として、BLADE 3D 128という製品を現在開発中であるとしており、今年の下半期に出荷する予定であることも併せて明らかにした。

□NVIDIAのホームページ
http://www.nvidia.com/

□COMPUTEX TAIPEI '99のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/cpx99.asp
□TCAホームページ(和文)
http://www.ippc.com.tw/tca/tca.htm
□台北世界貿易センター展示場ホームページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/
□TAIPEI International Trade ShowsのCOMPUTEX TAIPEI '99ページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/computex/

('99年6月3日)

[Reported by 笠原一輝]


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