COMPUTEX TAIPEI '99 レポート

モバイル製品 Part1
~ 台湾でもスリムな銀パソブームが到来?~

Text:石井英男

会場前

会期:6月1日~6月5日

会場:台北世界貿易センター展示場
   台北国際コンベンションセンター

主催:TCA(台北市電脳商業同業公会)
   CETRA(中華民国対外貿易発展協会)


 COMPUTEX TAIPEIといえば、マザーボードやケースといったPC/AT関連パーツばかりが注目されがちだが、会場をじっくり回れば、他にもいろいろ面白い製品が展示されていることに気づく。そこでここでは、モバイル関連の製品を中心に紹介していきたい。



■台湾でもスリムな銀パソブームが到来? ユニークなサブノートも

 台湾というと、マザーボードの生産地という印象が強いが、実は国内で販売されているノートパソコン(特にA4ファイルサイズのフルサイズノート)の中には、台湾メーカーのOEM品も少なからず存在する。日本では、VAIO PCG-505のヒット以来、いわゆる銀パソなどと呼ばれるメタリックカラーのノートパソコンが人気を集めているが、そのブームは台湾にも飛び火したようだ。従来の台湾製ノートでは、黒やグレーを基調にしたあまりあか抜けないデザインの筐体を採用していた製品が多かったが、最近はメタリックカラーのスリムな筐体を実現した製品も増えてきている。

 COMPUTEX TAIPEI '99でもそうした製品が各社から発表されていた。例えば、マザーボードベンダーとして有名なASUSTekのL7300/7200シリーズは、13.3インチXGA液晶(12.1インチSVGA液晶モデルもあり)を備えたフルサイズノートだが、展示されていたモデルの筐体の色はシルバーであった。また、ノートパソコンメーカーとして古くから定評のあるTwinhedのブースでは、12.1インチSVGA液晶を搭載したB5ファイルサイズスリムノートPowerSlim 300が出展されていた。PowerSlim 300は厚さ25.4mmで、重さも1.67kgと軽く、携帯性も優れている。インテルブースのノートパソコンコーナーにも、銀色やそれに準じる色をした製品が数多く並んでおり、台湾の銀パソ人気を裏付けるかっこうであった。

 また、GIGATECHのブースでは、タッチパッドとタッチパネルの両方を備えたユニークなサブノートが出展されていた。MNB-5000シリーズは、液晶パネル(8.0インチDSTNまたは8.4インチTFT)の下側に収納式のスタイラスを装備していることが特徴だ。スタイラスの収納の仕方は、ソニーのVAIO PCG-505に似た感じである(VAIOでは、液晶パネル部分の側面にスタイラスが収納されるようになっていたが)。また、液晶パネルの両側にメールやエクスプローラーなどのアイコンが印刷されており、アイコンをペンでタップするだけで、アプリケーションを起動できることも特徴だ。Windows CEを搭載したH/PCなどではときどきみられるが、Windows 98マシンでは珍しい。
 筐体はコンパクトで、重さも1.39kgと軽い。モバイルCeleronやモバイルPentium IIを搭載(新パッケージのμPGA1を採用)するなど、パフォーマンスも高い。日本市場で受けるかはわからないが、なかなか面白いマシンである。

ASUSTeKのL7300/7200シリーズ。ボディカラーはシルバーが基調になっている TwinheadのPowerSlim 300。12.1インチの大画面液晶を採用しながら、重さを約1.67kgに抑えていることが売りだ インテルブースに並んでいたHTCのスリムノートPC。こちらは、オレンジ色のメタリック塗装がされている GITATECHのMNB-5000シリーズ。タッチパッドも装備しているが、液晶パネルをスタイラスでタップすることでも操作が行なえる



■あれ?どこかで見たような製品が……

クレイドルに載せて、PCとの連携をとることができる点も、Palm/Pilotシリーズそっくりだ こちらはカシオのE-500にそっくりの製品
 COMPUTEX TAIPEIには、どこかしら怪しげな雰囲気をまとう製品も出展されている。今回のモバイル関連製品の中でも特に気になったのが、PenBex Data Systemsが出展していたE-star Personal Companionである。写真を見ればわかるように、サイズといい画面の構成といい、Palm/Pilotシリーズそっくりな製品だ。しかし、OS(PenBex OSと呼ぶらしい)は、独自に開発したものだという。6月くらいから欧米市場向けに出荷したいとのことだが、果たして受け入れられるのだろうか。

 また、PALMAX TECHNOLOGYが展示していたPD-500Cは、カシオのWindows CE搭載Palm-size PC E-500に非常に似ている。着脱式のデジタルカメラを装備している点や、MP3の再生ソフトウェアが標準でバンドルされていることなど、E-500を真似て作ったといわんばかりの製品だ。実は、PALMAX TECHNOLOGYは、昨年のCOMPUTEXにリブレットそっくりのミニノート(ポインティングデバイスはタッチパネル)を出展して話題を呼んだメーカーでもある。ヒットしている商品があれば、それを真似た製品を開発しようというのは企業としては当然の論理であり、決して悪いことではない。それにしても、すぐ真似のできる技術力もたいしたものだ。



■ユニークなCFカードスロット対応製品が続々登場!

 最近では、モデム機能やLAN機能を標準で内蔵したノートパソコンが増えたため、PCカードスロットの重要性がだんだん減少している。PCカードスロットに代わって、脚光を浴びているのが、CFカードスロットである。CFカードスロットは、デジタルカメラやPalm-size PC、H/PCなど、ノートパソコンよりもさらに筐体の小型化が要求される製品に採用されている。当初は、ストレージカード(コンパクトフラッシュカード)専用スロットであったが、I/O系カード(モデムカードやLANカードなど)にも対応したスロットを備えるものが増えてきたため、CFカードスロットの応用範囲も広がってきた。

 CFカードスロット対応製品を積極的に展示していたのがPRETECだ。同社のブースでは、CFカードスロットに対応したLANカードやモデムカードのほか、スマートメディアをCFカードスロットで読み書きするためのアダプタといったユニークな製品も展示されていた。10Base-Tと10Base-2の両方に対応したLANカードも用意されていることも面白い。CF Type1に対応しているため、コネクタ部分が大きくはみだしてしまうが、より多くの機種で利用できるというメリットがある。

PRETECのCFカードスロット対応LANカード「CompactLAN 10BASE-T/2」 CompactLANを、HPのH/PCで利用している様子 スマートメディアをCFカードスロットで読み書きするためのアダプタ「CompactSSFDC」 Type2だが160MBの容量を持つCFカードも展示されていた


■Palm/Pilotに接続できるフルキーボード

Palm/Pilotシリーズにシリアル経由で接続するキーボード。その名もPDA Keyboard
 日本IBMから正式日本語版であるWorkPadが発売されたことで、日本におけるPalm/Pilotシリーズの人気も不動のものになりつつある。DATACOMP ELECTRONICSのブースには、Palm/Pilotシリーズ専用のフルキーボード(英語版)が展示されていた。サイズもコンパクトで軽いので、Palm/Pilotシリーズと一緒に持ち歩いて使うのもいいだろう。価格も、実売50ドル前後ということなので、リーズナブルだ。日本での発売も期待したい。



□COMPUTEX TAIPEI '99のホームページ(英文)
http://www.computex.com.tw/cpx99.asp
□TCAホームページ(和文)
http://www.ippc.com.tw/tca/tca.htm
□台北世界貿易センター展示場ホームページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/
□TAIPEI International Trade ShowsのCOMPUTEX TAIPEI '99ページ(英文)
http://taipeitradeshows.cetra.org.tw/computex/

('99年6月1日)

[Reported by 石井英男]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp