バイオノートXRの仕様の一部が明らかに。Geyservilleテクノロジにも事前対応?

発表日、価格未定



●PCでは珍しいプロモーション手法
 ソニーがインターネット上で行なっている新製品「バイオノートXR」の情報公開が続いている。当初は5つのテーマが予告されていたが、その後追加され11個のテーマが予定され7個が公開されている。このように未発表の製品の情報を小出しにするのは、PC業界では珍しいが、広告業界ではティザー広告といって、よく知られた手法である。

 XRに関してはソニーでは問い合わせなどは受け付けていないが、取材によって一部の概要が明らかになったので紹介する。

 XRは、バイオノートの中では「モバイルデスクトップ」分野に属し、PCG-700/800などの後継機にあたる。メインマシンとしてのスペックと長いバッテリ駆動時間を特徴としているジャンルだ。市場としては従来通り個人市場を目指している。当然A4ファイルサイズ以上と思われるが、筐体は大きめで「デザインはすっきりしていて、厚さもさほどないが、サイズは巨大」という。大きさはIBMのThinkPad i Seriesを思い出させるという声もあった。

●フラッシュサーフェス
 デザイン面のキーワードは「フラッシュサーフェス」で、一例として液晶と額縁(枠)が同じアクリルパネルで覆われている。かつてのプロフィールシリーズのモニターのデザインを意識したという説もある。アクリルパネルは交換可能で、視野角を狭くする「プライバシーフィルター」も用意される。電車内や飛行機での周囲からの覗き見を防ぐためというが、本体サイズが大きいだけに、むしろ家庭内などの方が需要があるかもしれない。

●ジョグダイアル
 本体技術で目新しいのは「ジョグダイアル」だ。これは携帯電話などでおなじみのデバイスだが、キーボード右横に設置されている。マウスのスクロール機能の代用なども可能だが、イベントがマウスとは独立しているため、システムの設定変更、ソニー製アプリケーションでの対応なども予定されている。たとえば、PictgureGearなどで、マウスのカーソル位置や状況に関わりなく、画面のズームやオートフィットなどが割り当てられるという。新しいデバイスだけに対応ソフトでの使い勝手が注目される。

●インタークーラーフラップ
 また、本体の機能で注目されるのは「インタークーラーフラップ」で、液晶を開くと、本体尾部のフラップと呼ばれる部分がティルトアップする。フラップが下がった部分にコネクタ類があるため、ケーブルとの接触を避けるため液晶を閉じただけではフラップは上がらない。別途本体裏にスライドスイッチが用意される。

 なんとも派手な名称だが、この機構の主眼はCPU系の冷却にある。今年後半にノートPC用CPUに搭載が予定されているIntelのGeyservilleテクノロジでは、AC電源駆動時の高クロックと引き替えに猛烈な熱を排出するとされている。ソニーからの確証こそ取れなかったものの、その事前対策とみてまちがいないだろう。CPU廻りの冷却用ダイキャストも倍以上の大きさに拡大され、熱伝導用の銅製のヒートパイプも一体化され、熱伝導性を高めている。また、ファンも大容量化と低騒音化が進んだという。

 なお、パワーアップステーションを合体した場合には、ステーション側からさらに空気を送り込み、フラップ部から排気するなど、なにかと冷却には気を配っているのが伺える。

●基本性能にも期待
 これ以外にもキーのメタリック塗装、キーボードのステンレススイッチ化なども伝えられている。また、このところソニーが積極的に採用しているi・LinkやMDの編集機能なども搭載されるものと思われる。

 XRは実寸、重量、価格などまだ明らかにされていない部分も多いが、デザインや技術面では注目される点が多い。楽しみな機種だけに、システムの安定性、キー配置、PCカードスロットの相性などのノートPCとしての基本的な機能に磨きをかけ、正式発表日を迎えることを望みたい。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□XRのプロモーションページ
http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Xr/index.html
□関連記事
【2月25日】IDFレポート 4:600MHzノートを実現するGeyservilleテクノロジ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990225/kaigai01.htm

('99年5月24日)

[Reported by date@impress.co.jp]


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