会場:米カリフォルニア州ロサンゼルス
World Convention Center
■Microsoftの新作一押しは「Starlancer」
Flight Simulator 2000 Professional Edition |
「Microsoft Flight Simulator 2000」はすでに存在は明らかにされていたが、今回正式な形で出展されたもの。正直に第一印象を言えば、前作とのグラフィックの差は思ったほどではなかった。
もちろん“777”や“コンコルド”といった新機体も収録されているし、計器パネルも一新されている。インターネットと接続することで、飛んでいる地域の現在の天候情報を拾ってきて再現する機能や、翼の大きさなど航空力学的な数値を変えられる「Flight Dynamic Editor」といった新機能も搭載している。
また、今回初めて製品構成が変わる。1つは「Flight Simulator 2000」の通常版。そして、ヘビーなフライトシミュレータファンのために用意されたのが「同Professional Edition」だ。こちらのセットには、東京をはじめとした6つの都市がハイレゾリューションで描かれ、追加収録される。さらに飛行機も“ビーチキング”と“ムーニーフライト”の2機種が追加されている。
現状の完成度は50%ということで、グラフィックや動きのブラッシュアップがまだまだ行なわれると思われるので、仕上がりが楽しみだ。
「Links LS 2000」はゴルフゲームの金字塔Linksシリーズの最新作。これまでAccess Softwareが開発してきたが、つい先日、Microsoft傘下に入ったため、これからはMicrosoftから発売される。Links LS 2000は、より初心者に対しての配慮がされており、ゲーム起動後2回クリックするだけでゲームを始めることができたり、スイングの練習が可能となっている。グラフィックの美しさと動きの滑らかさは折り紙付きで、Microsoftによれば「彼らはボールの軌道計算をブラッシュアップすることに17年間費やしてきたんだ」という。
ではMicrosoftブースで一番の注目株だったものは何かと問われれば、それはE3全体でも屈指のおすすめタイトルとなるデジタルアンビルの「Starlancer」だ。「Starlancer」は2月のGamestock '99でもすでに公開済みだったが、今回出展されたバージョンはかなり作り込まれており、ブリーフィングルームから戦闘画面まで、もう「カッコイイ」を連発してしまう出来なのだ。
ゲーム自体は宇宙空間を舞台とした3Dアクションシューティング。だが、細かな部分まで動きや演出が行き届いており、ゲームとしての完成度はかなり高い。たとえば、ブリーフィングルームでの機種選択時のグラフィックがワイヤーフレームに切り替えられたり、3Dグラフィックのように浮かび上がってみえたりする。そして戦闘画面だが、ホーミングミサイルの軌跡の描き方や、着弾後、一瞬の間があり爆発する点や、爆発のグラフィックなどかなりオタク心をくすぐる出来なのだ。
ただ残念なのは、この作品は日本での発売が未定な点だ。この手のゲームは数多くあるし、今回も多く出展されていたが、その完成度はピカイチだった。
Starlancer |
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■豊作だったElectronic Artsブース
Flight Unlimited III |
個人的に注目したいのは「Dungeon Keeper 2」。ダンジョンに罠を仕掛け、潜入してきた人間を倒すというブラックなゲームだ。前作は俯瞰タイプだったが、今回は完全に3Dとなっている。演出も凝っていて、たとえば遠くにいる敵にはスコープで覗いたような画面になり、罠を仕掛けるあたりなどは大変楽しそうだった。BULLFROGはこのほかにも日本で人気のテーマパークの続編「Theme Park World」も出展。
Eidosから出た義賊(泥棒)アクションアドベンチャー「Thief」で完全に復活したLookingGlassのフライトシミュレータのシリーズ3作目「Flight Unlimited III」とコンバットものの「Flight Combat:Thunder Over Europe」の2作品。グラフィックの美しさは群を抜いており、飛ぶ快感を呼び覚ましてくれそうだ。
このほか「Road Rash 2000」、「Need For Speed:High Stakes PC」、プロレスゲーム「WCW Mayhem」、Jane'sの「Jane's USAF」、久しぶりの続編となるがかなりの人を集めていた「System Shock 2」など、もう紹介していたらきりがないほどの作品群だった。これらの作品が今年後半から来年前半に登場するEAには要注目だ。
Flight Combat: Thunder Over Europe |
Dungeon Keeper 2 | Theme Park World |
■今年も元気だったEidos
気軽にポーズを取ってくれたロメロ氏。ゲームの完成を心待ちにいたしております | Daikatanaのスクリーンショット |
そんななか、いつもプレイする人が絶えなかったのが「Daikatana」だ。同作品はもうずいぶんと前から、Quakeを作った制作者として有名なジョン・ロメロ氏が作っていることで話題になっていた。事実、昨年も出展されていたのだが、やはり完成せず今年こそはの出展となった。今年はロメロ氏自らが会場で対戦をするなど、デモもかなり力の入ったものとなった。今回ロメオ氏にインタビューを敢行することができたので、お送りする。ロメロ氏は人柄もよく、落ち着いてインタビューに答えてくれた。
-3Dエンジンは「Quake2」エンジンなのか?
ロメロ氏:そうだ。だが、フォグなどいろいろとブラッシュアップを繰り返しているのでQuake III相当の実力を有していると思う。
-今回「Quake III Arena」が出展されているが、どのように感じたか?
ロメロ氏:大変すばらしい出来だと思っている。だが、Daikatanaはあくまでも1人プレイ用のゲームだ。Quakeはマルチプレーヤーゲームなので全く比較対象とならない。
-Daikatanaのネーミングの由来は?
ロメロ氏:昔、Ultimaをプレイしたときに登場した武器でそれをみたときからいつか使おうと思っていたんだ。もちろんDaikatanaはストーリー中に武器として登場する。
-日本的なテイストが見え隠れするが、日本にはきたことはあるのか?
ロメロ氏:実は行ったことがないんだ。ぜひ行きたいと思っている。
-自分で作ったゲーム以外ではどのようなゲームが好きなのか?
ロメロ氏:う~ん(かなり考えてから)Age of Empireかな。あとテトリスの最近のものも遊んだりしているよ。
-では最後に、最近暴力事件が発生し、ゲームが関係するという人々がいるが、クリエイターとしてどのように考えているか。
ロメロ氏:はっきり言って関係ないと思っている。ゲームを規制するより、銃を持たない方がいいんじゃないのかな。
■テクノロジーデモが多かったが台風の目となる予感「G.O.D」
多くの人が詰めかけていたG.O.Dのブースというか会場 |
個人的に気になった作品としては古くは「アローン・イン・ザ・ダーク」、最近では「バイオハザード」と似たシステムで、画面切り替え式のフィールドを移動しながらミッションを達成、謎を解き明かしていくゲーム「NOCTURNE」。
時代は'40年代。魔物が巣くうシカゴのような町を舞台に、魔物ハンターとしてプレイヤーは謎を解明していくというもの。ゲームとしては特に目新しいものはないが、世界観を作り上げる演出がすばらしく、その気にさせてくれるゲームだ。たいまつを持ち倉庫に入り、闇から出てくる敵を倒していくあたりはかなりドキドキする。パッと見た感じでは古くさい感じもするが、実はおもしろいゲームなので、発売されたときはぜひ遊んでいただきたい。
もう1つは日本で人気が出そうな作品「DARKSTONE」。剣と魔法の世界を舞台としたRPGで、世界観はかなりよくできている。クリスタルを見つけだしていくことが目的で、ゲームの感じとしてはちょうど「Diablo」。魔法の使い方などが特徴的でなかなかおもしろそうだ。
このほかにも数多くのゲームがそろっているので、G.O.Dはこれからも要注目だろう。
□E3ホームページ
http://www.e3expo.com/
('99年5月18日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp/tanigawa]]