Electronic Entertainment Expo(E3) 会場レポート

期待のゲームを一挙紹介、今年後半はこれに注目!


展示会開催期間:'99年5月13日~5月15日(現地時間)

会場:米カリフォルニア州ロサンゼルス
   World Convention Center



■Microsoftの新作一押しは「Starlancer」

Flight Simulator 2000 Professional Edition
 今回、Microsoftブースでは数多くの新作ゲームが公開されたが、全くの新作と言えば「Microsoft Flight Simulator 2000」と世界でもっとも売れているゴルフゲーム「Links LS 2000」、その特殊コース「Links Extreme」の3本だろうか。

 「Microsoft Flight Simulator 2000」はすでに存在は明らかにされていたが、今回正式な形で出展されたもの。正直に第一印象を言えば、前作とのグラフィックの差は思ったほどではなかった。
 もちろん“777”や“コンコルド”といった新機体も収録されているし、計器パネルも一新されている。インターネットと接続することで、飛んでいる地域の現在の天候情報を拾ってきて再現する機能や、翼の大きさなど航空力学的な数値を変えられる「Flight Dynamic Editor」といった新機能も搭載している。
 また、今回初めて製品構成が変わる。1つは「Flight Simulator 2000」の通常版。そして、ヘビーなフライトシミュレータファンのために用意されたのが「同Professional Edition」だ。こちらのセットには、東京をはじめとした6つの都市がハイレゾリューションで描かれ、追加収録される。さらに飛行機も“ビーチキング”と“ムーニーフライト”の2機種が追加されている。

 現状の完成度は50%ということで、グラフィックや動きのブラッシュアップがまだまだ行なわれると思われるので、仕上がりが楽しみだ。

 「Links LS 2000」はゴルフゲームの金字塔Linksシリーズの最新作。これまでAccess Softwareが開発してきたが、つい先日、Microsoft傘下に入ったため、これからはMicrosoftから発売される。Links LS 2000は、より初心者に対しての配慮がされており、ゲーム起動後2回クリックするだけでゲームを始めることができたり、スイングの練習が可能となっている。グラフィックの美しさと動きの滑らかさは折り紙付きで、Microsoftによれば「彼らはボールの軌道計算をブラッシュアップすることに17年間費やしてきたんだ」という。

 ではMicrosoftブースで一番の注目株だったものは何かと問われれば、それはE3全体でも屈指のおすすめタイトルとなるデジタルアンビルの「Starlancer」だ。「Starlancer」は2月のGamestock '99でもすでに公開済みだったが、今回出展されたバージョンはかなり作り込まれており、ブリーフィングルームから戦闘画面まで、もう「カッコイイ」を連発してしまう出来なのだ。
 ゲーム自体は宇宙空間を舞台とした3Dアクションシューティング。だが、細かな部分まで動きや演出が行き届いており、ゲームとしての完成度はかなり高い。たとえば、ブリーフィングルームでの機種選択時のグラフィックがワイヤーフレームに切り替えられたり、3Dグラフィックのように浮かび上がってみえたりする。そして戦闘画面だが、ホーミングミサイルの軌跡の描き方や、着弾後、一瞬の間があり爆発する点や、爆発のグラフィックなどかなりオタク心をくすぐる出来なのだ。
 ただ残念なのは、この作品は日本での発売が未定な点だ。この手のゲームは数多くあるし、今回も多く出展されていたが、その完成度はピカイチだった。

Starlancer



■豊作だったElectronic Artsブース

Flight Unlimited III
 ブースの大きさも巨大なら、出展されたゲームの数もまた多作だった今年のElectronic Arts(以下EA)だが、どれも粒ぞろいで来場者の目を楽しませてくれた。

 個人的に注目したいのは「Dungeon Keeper 2」。ダンジョンに罠を仕掛け、潜入してきた人間を倒すというブラックなゲームだ。前作は俯瞰タイプだったが、今回は完全に3Dとなっている。演出も凝っていて、たとえば遠くにいる敵にはスコープで覗いたような画面になり、罠を仕掛けるあたりなどは大変楽しそうだった。BULLFROGはこのほかにも日本で人気のテーマパークの続編「Theme Park World」も出展。

 Eidosから出た義賊(泥棒)アクションアドベンチャー「Thief」で完全に復活したLookingGlassのフライトシミュレータのシリーズ3作目「Flight Unlimited III」とコンバットものの「Flight Combat:Thunder Over Europe」の2作品。グラフィックの美しさは群を抜いており、飛ぶ快感を呼び覚ましてくれそうだ。

このほか「Road Rash 2000」、「Need For Speed:High Stakes PC」、プロレスゲーム「WCW Mayhem」、Jane'sの「Jane's USAF」、久しぶりの続編となるがかなりの人を集めていた「System Shock 2」など、もう紹介していたらきりがないほどの作品群だった。これらの作品が今年後半から来年前半に登場するEAには要注目だ。

Flight Combat:
Thunder Over Europe
Dungeon Keeper 2 Theme Park World


■今年も元気だったEidos

気軽にポーズを取ってくれたロメロ氏。ゲームの完成を心待ちにいたしております Daikatanaのスクリーンショット
 今年も圧倒的に元気だったEidos Interactive。Tomb Raiderシリーズの出展はなかったものの、ステージでの催し物はLaraものが中心だった。出展ゲームはEidosお得意の3Dアクションアドベンチャーものが数多く出展され、かなりの仕上がりを見せていた。

 そんななか、いつもプレイする人が絶えなかったのが「Daikatana」だ。同作品はもうずいぶんと前から、Quakeを作った制作者として有名なジョン・ロメロ氏が作っていることで話題になっていた。事実、昨年も出展されていたのだが、やはり完成せず今年こそはの出展となった。今年はロメロ氏自らが会場で対戦をするなど、デモもかなり力の入ったものとなった。今回ロメオ氏にインタビューを敢行することができたので、お送りする。ロメロ氏は人柄もよく、落ち着いてインタビューに答えてくれた。

 ロメロ氏は完全にクリエイターで、本当におもしろいゲームを常に追求しているようだ。スケジュールがかなり延びているようだが、それだけ密度の濃いものに仕上がっている。発売は未定だが、近づいていることは事実なので、完成を楽しみにしたい。


■テクノロジーデモが多かったが台風の目となる予感「G.O.D」

多くの人が詰めかけていたG.O.Dのブースというか会場
 「G.O.D」とは“GATHERING OF DEVELOPERS”の略で、「Sin」を制作したRitualをはじめ「POPTOP SOFTWARE」、「TERMINAL REALITY」、「3D REALMS」など実績のある、高い技術力を持ったディストリビュータ6社が集まり、自分たちの手でパブリッシャーを作り上げていった。それがG.O.Dというわけ。今回はE3の向かいに位置する場所に巨大な会場を設け、独自のブースを作り上げた。そこでは現在開発中のゲームのテクノロジを多数デモしていた。

 個人的に気になった作品としては古くは「アローン・イン・ザ・ダーク」、最近では「バイオハザード」と似たシステムで、画面切り替え式のフィールドを移動しながらミッションを達成、謎を解き明かしていくゲーム「NOCTURNE」。
 時代は'40年代。魔物が巣くうシカゴのような町を舞台に、魔物ハンターとしてプレイヤーは謎を解明していくというもの。ゲームとしては特に目新しいものはないが、世界観を作り上げる演出がすばらしく、その気にさせてくれるゲームだ。たいまつを持ち倉庫に入り、闇から出てくる敵を倒していくあたりはかなりドキドキする。パッと見た感じでは古くさい感じもするが、実はおもしろいゲームなので、発売されたときはぜひ遊んでいただきたい。

 もう1つは日本で人気が出そうな作品「DARKSTONE」。剣と魔法の世界を舞台としたRPGで、世界観はかなりよくできている。クリスタルを見つけだしていくことが目的で、ゲームの感じとしてはちょうど「Diablo」。魔法の使い方などが特徴的でなかなかおもしろそうだ。

 このほかにも数多くのゲームがそろっているので、G.O.Dはこれからも要注目だろう。

□E3ホームページ
http://www.e3expo.com/

('99年5月18日)

[Reported by funatsu@impress.co.jp/tanigawa]]


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