今後5年間、市場のトップを維持するのはPalmだが、Windows CE機の追撃はますます強まる――Computer Economicsは、ハンドヘルド市場についてはこう予測を出した。
同社によると、携帯情報機器の出荷数は'99年の650万台から2003年に1,400万台へと順調に伸びるが、この中でのシェア争いについては、Palmは今後4年間少しずつシェアを伸ばすものの、2002~3年に60%で止まる。それに対し、Microsoftは5年間Palmより高い成長率でシェアを伸ばし続け、'99年の8%から2003年には18%に到達するという。
つまり5年後にも、PalmとWindows CEとの間には大差はあるが、ひたひたとWindows CEが迫るという予測だ。この傾向からすると、予測が出ていない2004年以降、PalmとWindows CEはさらにシェアの差が縮まるかもしれない。
現在、Windows CEにはオーバースペックのためにPalmに比べ使用感が重く値段も高いという弱点がある。だが、Computer Economicsはおそらく、将来はハードウェアの進歩でその弱点が解消されると見ているのだろう。
逆にPalmには、元のPalmのメーカーUS Roboticsを買った3Comに、PalmのOSを改良する開発力があまりないという弱点がある。そのため、安価で使いやすい機器にするため機能を絞っているPalmが、将来、Windows CEより貧弱に見えるようになり、人気が逆転することもありうるわけだ。
ただし、Palmもプラットフォームで強化したりクローンを促進したりして、王座を維持する可能性もあるわけで、この予測通りになるかどうかはわからない。
いずれにせよ、PalmとWindows CEの対決は、かなり長引くと見られる。
【ハンドヘルドコンピュータの市場シェア(%)】
1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | |
---|---|---|---|---|---|
3Com Palm System | 54 | 57 | 58 | 60 | 60 |
Windows CE | 8 | 10 | 12 | 14 | 18 |
他 | 38 | 33 | 30 | 26 | 22 |
□3Com Palm Systems Will Continue to Dominate Handheld Market
http://www.computereconomics.com/new4/pr/pr990412.html
HDD、CD-ROM、DVDなどのディスクに関して、ちょっと変わった予測が出た。
IT(情報技術)専門調査会社の米Computer Economicsが今後5年間を予測したもので、それによると、今、ノートPCに主に使われている2.5インチHDDの出荷は2003年から爆発的に伸び、今後5年に計約2億台が出荷される。逆に3.5インチHDDは2003年から減り始めるという。また、CD-ROMドライブの出荷は'99年がピークでその後は衰退し、逆にCD-ROMを食うようにCD-RWドライブとDVDドライブが増えるという。
これらの予測の根拠は、リリースでは述べられていない。しかし、2.5インチHDDがここまで伸びるという理由としてまず考えられるのは、現在デスクトップの中に入っている3.5インチHDDを駆逐する可能性だ。2.5インチHDDは3.5インチに比べ容量が小さく割高だが、消費電力、騒音、発熱が少ないというメリットがある。HDDが今よりもっと大容量化すれば、2.5インチHDDで十分という流れになるかもしれない。また今後は、世界的にノートブックが伸びるわけで、それがデスクトップをある程度浸食し、2.5インチHDDの伸びにつながる可能性がある。
しかし、3.5インチが減ると言っても、予測ではHDDの出荷全体の量はかなり大きい。2.5インチ、3.5インチ合わせて、2004年に3億5,300万台だ。これは、PCの伸びだけでは説明がつかなさそうだ。2003年からの急激な成長予測の一番の理由は、おそらくセットトップボックスなどの家電に2.5インチHDDが入って普及すると見ているのだろう。
また一般には、今後DVDがCD-ROMにとって代わると見られているが、この予測ではCD-RWは伸び続けるとしているのが面白い。これはCD-ROMがDVDに代わるだけでなく、CD-RWにも置き換わると見ているのだろう。
もっとも、この予測はユニークなだけに異論もいろいろあるはずだ。それだけ、ディスクドライブの行方は見えにくい。
【ディスクドライブの出荷予測(単位:百万台)】
年 | 3.5" HDD | 2.5" HDD | CD-ROM | CD-RW | DVD | Removable HDD |
---|---|---|---|---|---|---|
1997 | 110.2 | 14.5 | 73.2 | 2.6 | -- | 0.9 |
1998 | 128.1 | 17.8 | 84.6 | 6.3 | -- | 2.2 |
1999 | 148.5 | 22.7 | 91.4 | 15.7 | 9.8 | 2.5 |
2000 | 181.5 | 24.6 | 79.2 | 22.9 | 18.2 | 3.5 |
2001 | 210.4 | 29.5 | 62.1 | 28.4 | 38.4 | 4.2 |
2002 | 217.9 | 42.8 | 51.6 | 36.5 | 54.3 | 4.7 |
2003 | 192.1 | 123.4 | 40.1 | 44.6 | 75.2 | 4.3 |
2004 | 140.2 | 212.9 | 18.2 | 51.7 | 92.8 | 3.1 |
□Over 200 Million 2.5-Inch Hard Drives To Be Shipped in 2004
http://www.computereconomics.com/new4/pr/pr990416.html
先月、CEOファイファー氏の突然の更迭で世間を驚かせたCompaq Computer。その原因となった業績不振がDataquestのPC市場仮統計でもはっきりと現われた。
Dataquestによれば、好調が続く'99年第1四半期のPC市場は、世界で2,500万台を出荷、前年同期に比べ17%の成長だった。米国だけでなく西ヨーロッパも、また日本もコンシューマ市場に関しては好調だった。
その中でCompaqも出荷を増やしはしたのだが、成長率が他社に比べ低く、そのため1位は維持したものの、シェアを落としたという。なにしろ、DellやGatewayは、それぞれ49.1%、38.1%という伸びを記録しているのだ。
Dataquestでは、Compaqは'98年第4四半期に増えた在庫のために、'99年のセールスのスタートが遅くなったと分析。Compaqの不振は、コンピュータ業界でなく同社固有の問題としている。
Compaqはすでに小売一辺倒の販売スタイルから直販を取り入れたスタイルに移行。またトップまで切って変身しようとしているわけだが、これで持ち直すだろうか。
【'99年第1四半期 世界のPC出荷仮推定(単位:千台)】
社名 | Q1/'99出荷数 | Q1/'99シェア(%) | Q1/'98出荷数 | Q1/98シェア(%) | 成長率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
Compaq | 3,350 | 13.4 | 3,047 | 14.3 | 9.9 |
Dell | 2,295 | 9.2 | 1,539 | 7.2 | 49.1 |
IBM | 2,105 | 8.4 | 1,609 | 7.5 | 30.8 |
Hewlett-Packard | 1,491 | 6.0 | 1,319 | 6.2 | 13.1 |
Gateway | 1,076 | 4.3 | 779 | 3.7 | 38.1 |
他 | 14,683 | 58.7 | 13,038 | 61.1 | 12.6 |
計 | 25,000 | 100.0 | 21,332 | 100.0 | 17.2 |
□GartnerGroup's Dataquest Says Worldwide PC Market Is Still Alive and Well
http://gartner11.gartnerweb.com/dq/static/about/press/pr-b9919.html
7カ月で25,000台しか売れないTV――これを「“わずか”7カ月で」とほめるのはCEMA(全米家電業協会)以外にはなかなかできることではない。
昨秋から米国で放送の始まったDTVは、99年第1四半期のDTVのディーラーへの売上は12,518台、7ヶ月のトータルで25,694台に達したという。“ディーラーへの”だから実際の家庭への普及数はもっと低いわけだ。
DTVを推す同協会では、「第1四半期は伝統的にTVの売れ行きがよくない時期。なのに'98年第4四半期と売れ行きがあまり変わらないのはすばらしい兆候だ」などと言う。だが、どんな言い回しをしてみても、惨めな数字は隠しようがない。
DTVを見たことのある米国人は、いったい何人いるのだろう。
□DTV Sales Remain Strong
http://www.cemacity.org/gazette/files3/dtvsales.htm
結局、米国の「デジタル格差」は広がっているのか、いないのか。
昨年夏、この欄で、米国政府が行なった、所得・人種・教育などによるインターネットアクセスやPC所有率などの格差についての調査結果を紹介した。政府によれば、所得・人種・教育などで格差があり、しかもギャップは広がりつつあるから、対策が必要だとしていた。
ところが、今度は民間団体から、デジタル格差は縮小しつつあり、政府の対策は不要との発表があったのだ。この団体U.S. Internet Councilは、さまざまな調査会社の統計をまとめ、この結論に達したという。
たとえば昨夏の政府の報告では、白人世帯のオンライン普及率は21%なのに対し、黒人世帯、ヒスパニック世帯は各8%、9%と半分以下だとしていたが、USICは最近のForrester Researchの調査を引用し、黒人世帯の23%、ヒスパニックの36%がオンラインにアクセスしているという。両調査を比べれば、たしかに格差は縮小しているようではある。
本当に縮小中なのかどうかの判断はつけにくいが、民間が積極的にこういう発表をして、政府の取ろうとしている対策に対してロビー活動するところが、いかにも米国らしい。そして縮小中であろうが拡大中だろうが、今現在、人種間でデジタル格差があることも、両調査で明らかになったわけだ。それもまた米国らしい現実だろう。
□State of the Internet: USIC's Report on Use & Threats in 1999
http://www.usic.org/
[Text by 後藤貴子]