法林岳之のTelecom Watch
第23回:'99年1月編
「携帯電話/PHSは情報サービスの時代へ」ほか



 不況と言われながら'98年の年末商戦は、比較的好調な結果に終わったそうだ。'99年はNTTの分割やDDI/IDOグループのcdmaOneサービス開始、64kbpsPHSの本サービス開始など、通信事業者の動きが活発になることが予想される。春へ向けて、こうした動きを意識した製品がどれだけ登場するかが楽しみだ。


携帯電話/PHSは情報サービスの時代へ

 1月の通信関連ニュースで最大のトピックと言えば、やはりNTTドコモの「iモード」サービスだろう。iモードは同社の800MHzデジタル携帯電話に、DoPaなどでおなじみのパケット通信の機能を追加することにより、今までの携帯電話にはない情報サービスを提供するものだ。情報サービスはすべて携帯電話の液晶ディスプレイを通じ、文字情報として提供される。モバイルバンキングからチケット予約、電車や地下鉄などの路線経路情報、ニュース、天気予報など、さまざまなメニューが提供されており、電子メールについても「携帯電話番号@docomo.ne.jp」というメールアドレスが発行される。

 端末はパケット通信の機能を搭載するため、iモード専用の端末が提供される。同時発表は「デジタル・ムーバF501i HYPER」のみだが、発表会場には「同N501i HYPER」「同D501i HYPER」も参考出品という形で展示されていた。iモードサービスが開始される2月22日にはF501i HYPERしか選べないが、参考出品の2機種も間もなく正式に発表され、3月中には購入できるようになる予定だ。ちなみに、3機種の比較だが、筆者は液晶ディスプレイやボタンが大きい「N501i HYPER」が最も使いやすいと感じた。また、電子メールサービスについては、「携帯電話番号@docomo.ne.jp」という形式を採用したため、「メールアドレスを教えること=携帯電話番号を教えること」になってしまい、女性ユーザーなどにはあまりおすすめできないとお伝えしたが、その後の取材でNTTドコモがエイリアスメールアドレスのサービスを検討しているという情報も得られている。

 こうした情報サービスは、すでにJ-PHONEの「Sky Web」、DDIポケット電話の「PメールDX」などで提供されているが、内容の充実度や情報量の豊富さという点ではiモードの方が一枚上手だ。従来の情報サービスは携帯電話/PHSの付加的なサービスでしかなかったが、iモードは情報サービスそのものを主役として扱っている点が興味深い。従来の携帯電話から、どれだけの人が乗り換えるのかが非常に気になるところだ。

 一方、PHSではDDIポケット電話が「文字電話」というサービスを2月18日から開始した。1月にそのための専用端末が、東芝とトミーから発表されている。文字電話とはPHSから音声通話の機能を省いたサービスで、テキストと手描きイラスト(BMP形式)を送受信できる。インターネットとメールの送受信が可能なPメールDXもサポートされるため、インターネット上からのコンテンツ配信などを含めたさまざまな活用方法が生まれてきそうだ。トミーの「手描き Pipi」、東芝の「TEGACKY」は、ともに2月18日から販売を開始。月額使用料は980/1,780円、端末の価格も5,000円前後と安いのも魅力だ。トミーのニュースリリースでは「女子中高生をメインターゲット」としているが、意外に年代を問わずに遊べる新しいコミュニケーションアイテムとしてヒットするかもしれない。

□NTT DoCoMo、携帯からインターネットにアクセスできる新サービスを開始
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990125/docomo.htm
□トミー、女子中高生をメインターゲットとした携帯端末を発表
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990114/tomy.htm


NTT-TE東京からMN128シリーズの新製品登場

 昨年末、NECのAtermシリーズの新ラインアップが登場したが、NTTテレコムエンジニアリング東京からもMN128シリーズの新ラインアップが1月28日に発表された。ISDNダイヤルアップルータの「MN128-SOHO SL11」、ISDNターミナルアダプタの「MN128miniV」、ワイヤレスアダプタの「MN128-WTA」の3機種だ。

 MN128-SOHO SL11は従来のMN128-SOHO SL10から大きくデザインを変更しており、本体前面の張り出し部分が非常に印象的だ。今回の製品では音声ガイド機能、NTTドコモのPHSで提供されている「きゃらトーク」の送信機能、背面コネクタ類の色分けなど、いくつか新しい試みをしている。実機のテストをしていないので、まだ何とも言えないが、きゃらトーク送信機能などは今までありそうでなかった便利な機能だろう。また、オプションでUSB-Ethernetの変換アダプタが提供されており、USBポート接続でLANに参加することを可能にしている。こうした変換アダプタは、すでに一昨年のCOMDEX/Fall'97などでも登場しており、今までISDNターミナルアダプタなどに添付されなかったのが不思議なくらいだ。

 MN128miniVはMN128miniの後継モデルで、DSU切り離しなど、従来製品で指摘されていた問題点も解消しながら、USBポート接続や音声ガイド機能など、新しい機能を搭載した製品として仕上げられている。USBポートがWindowsだけでなく、iMacにも対応するのはMacintoshユーザーにとってうれしいところだろう。価格は23,800円と安いが、液晶ディスプレイを装備していないことを消費者がどう捉えるかが気になるところだ。個人的にはもう液晶ディスプレイのないISDNターミナルアダプタの役目は終わったと考えているのだが……。もし、実機を触るチャンスがあれば、改めてレポートをしたい。

 MN128-WTAは先月もレポートしたソニー製のワイヤレスアダプタのOEM品だ。OEMとは言っても、ソニー自身の開発か、ビー・ユー・ジーの手によるものなのかは定かではないが、いずれにせよ、内部的には同じ製品と考えてよい。

 2~3月の引越シーズンを控え、ISDN市場で最も元気な2社が相次いで新製品を投入したことにより、市場はさらに活気づきそうだ。ただ、個人的にはもう少し他のメーカーにも頑張ってもらいたいのだが……。

□NTT-TE、MN128シリーズ4機種
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990128/nttte.htm


もう一歩踏み込んだ製品を期待したい

 その他のメーカーで、個人的にも非常に興味をそそられたのが低価格無線LAN「AIRCONNECT」シリーズを発表したメルコだ。無線LANと言えば、1セット数十万円という高価な製品ばかりだったが、ようやくパーソナルユーザーにも手が届く製品が登場した。クライアント用PCカード2枚とアクセスポイントをセットにした「簡単導入パック」は10万円を切る価格を実現している。今のところ、どの程度のパフォーマンスが得られるのかはわからないが、実効転送速度1.6Mbpsというカタログスペックどおりなら、かなり実用性は高いと言えるのではないだろうか。海外でも米Diamond Multimediaの低価格無線LAN製品「HomeFree Wireless」が好調な売れ行きを記録しているとの報告もあり、今年は日本市場でも低価格無線LANが大きくクローズアップされることになるかもしれない。

 一方、アイ・オー・データ機器がRS-232CをUSBに変換するケーブル「USB-RSA」、2つのRS-232Cポートを備えたIPルータ「ET-MPS」を相次いで発表した。USB-RSAはRS-232Cポートを持たないPCに、モデムやISDNターミナルアダプタなどをUSBポート経由で接続するための変換ケーブルだが、PDAやデジタルカメラなどを接続するのにも応用できそうだ。ただ、理想を言えば、複数のRS-232Cポートを持ち、必要に応じて切り替えられるようになっていると便利なのだが……。

 ET-MPSはマイクロ総合研究所のNetGenesis4などと同じスタイルの製品だ。シリアルポートのDTE速度は最大460.8kbpsまで対応するなど、スペック的には申し分ないが、目新しいところではE-Mailアカウントを最大8人で共有できるという特徴も持ち合わせている。メーラーなどもこの機能に対応しているものがあるが、実用的に考えた場合、メールアドレスは無料のものも含めると、かなり取得しやすい状況にあるので、あまり有用な機能とは言えない。むしろ、Windows 95/98/NT 4.0上で動作する仮想COMポートのドライバを添付し、FAXモデムなどを共用できるようになっている方が便利ではないだろうか。

 また、オムロンからは自作PCユーザーをターゲットにした安価な内蔵モデムカードが発売された。秋葉原などを見ていると、ISA/PCIバス用内蔵モデムカードは豊富にあるのだが、今ひとつなじみのないメーカーが多く、初心者は手を出しにくい状況にある。自作PCのユーザー層が拡大している現状を考えると、オムロンのような実績のあるメーカーがこうした製品を発売してきたことは非常に心強い。ただ、いずれのバスに接続するにせよ、モデムのためだけにバスを1つ占有してしまうのを躊躇するユーザーも多いはずだ。ぜひ、今後はマルチファンクション化した内蔵モデムカードなどもラインアップに加えて欲しいところだ。

 ところで、2月はじめに「NET&COM」という通信関連の展示会が幕張メッセで開催された。昨年はレポートをお送りし、今年も会場に足を運んだのだが、残念ながらパーソナルユーザー向けの製品はほとんどなく、レポートの掲載は見送った。展示会レポートはMacWorld以降にご期待いただきたい。

□メルコ、1クライアント3万円を切る無線LAN
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990128/melco1.htm
□アイ・オー・データ、RS-232C変換ケーブルなどUSB製品3点
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990129/iodata.htm
□アイオー、1つのE-Mailアカウントを最大8人で共有できるIPルータほか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990114/iodata.htm
□オムロン、自作ユーザー向け内蔵モデムカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990121/omron.htm

[Text by 法林岳之]


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