後藤弘茂のWeekly海外ニュース

MicrosoftがWindows NT 4.5報道を否定



●Windows NT 4.5はないとMicrosoftが反論

 先週のこのコーナーでは、Windows 2000が2000年出荷にずれ込んで、その中継ぎとしてWindows NT 4.5のようなバージョンが出るのでは、と伝える記事「Waiting for Windows 2000: Possible interim NT release may offset concerns」(InfoWorld,'99/1/15)を紹介した。先週は、それに対するMicrosoft側の反論のコメントを取った記事が出てきた。「Windows 2000 Beta Delayed, Final Release On Track」(Computer Reseller News,'99/1/19)によると、MicrosoftのプロダクトマネージャEd Muth氏が、「Microsoftは、Windows 2000のファイナルリリースの前に、NT 4.5といったポイントリリースを出すことは考えていない」と明言したという。Microsoftは、暦上の年内に出荷する予定だとしており、この記事でもそのスケジュールを強調している。「隕石が地球に衝突することもある? たしかにその通り。だけど、隕石のことばかり考えて計画することはできないでしょう」だそうだ。Windows 2000のスケジュールがさらに遅れる確率と、隕石が衝突する確率と、どちらが高いかはなんとも言えないが、Microsoftは自信を持っているらしい。


●Windows 98の代金払い戻しがLinuxユーザーから

 反トラスト法裁判の影響で最近すっかり公的イメージが悪くなってしまったMicrosoftに対して、PCにバンドルされているWindowsの代金をリファンド(払い戻し)してもらおうという動きも出てきた。これは、今や飛ぶ鳥も落とす勢いのLinuxコミュニティから発生した動きで、ちゃんと「Windows Refund Center」というWebページがあり、リファンドを受けるためのガイドを提供している。また、2月15日を「Windows Refund Day」として、一斉にリファンドを要求することも計画している。


●Intel対FTCの審判開始は再々度の遅れ

 Intelに対するFTC(米連邦取引委員会:Federal Trade Commission)による行政審判がまたまた遅れた。これまでにも予定が後ろへずれ込み、ようやく2月中旬から始まる予定になっていたのが、3月9日スタートへとまた2週間ほど遅れたらしい。「Intel trial delayed until March 9」(CNET NEWS.COM,'99/1/20)によると、FTC側が膨大な書類捜査などに忙殺され、なかなか始められないらしい。ところが、FTCの規定では、提訴してから1年以内に結論を出さないとならないため、今年の6月までとデッドラインは切られてしまっているという。実質3カ月となると、FTCにとってはかなり厳しいスケジュールとなりそうだ。


●Pentium IIIアプリケーションは2月17日発表か

 Intel関連では、いよいよPentium III(コード名:Katmai)の発表が近づき、Pentium III関連ニュースが増えてきた。まず、「First Katmai-optimized appscoming Feb. 17」(InfoWorld,'99/1/20)では、Pentium IIIに搭載される新命令KNI(Katmai New Instructions)に対応したアプリケーションが、Pentium IIIの登場前の2月17日にまとめて発表されると伝えている。2月17日の翌週には、Intelの開発者向けカンファレンス「Intel Developer Forum(IDF)」も予定されているので、遅くともこのカンファレンスではKNI対応アプリケーションが大々的に公開されるのは間違いなさそうだ。

 また、IntelはPentium IIIにセキュリティ用に利用できるプロセッサIDを入れることを先週明らかにしたが、これについて、プライバシーの侵害になるのではという不安を抱く声が出てきていると伝えるニュースも出てきている。「Congressman: Intelchip a privacy hazard」(CNET NEWS.COM,'99/1/22)が、民主党の連邦下院議員Edward J. Markey氏が、Intelに対して懸念を表明する書簡を発表したと伝えているほか、プライバシー保護団体なども反発しているという。Intelは、こうしたユーザー感情に関わる問題を処理するのがこれまでは下手だった。今回、この問題をどうやってさばくか、なかなか見物だ。


●NVIDIAが株式公開に成功

 先週は、米NVIDIAの株式公開も、地味ながらニュースになった。NVIDIAはRIVAシリーズの成功で、ついに株式の公開に至ったわけだが、ここでも成功を収めることができたようだ。「Nvidia stock jumps 83 percent」(CNET NEWS.COM,'99/1/22)によると、NVIDIA株は、IPO(initial public offering)が12ドルでスタートしたが、すぐに急上昇、午後には83%アップの22ドルになり、終値は19.68ドルだったそうだ。まずは上々といったところ。IPOも、以前の予想より高めで、しかも株価がジャンプしたわけで、NVIDIAという会社の価格はこれで跳ね上がったことになる。というわけで、NVIDIAを大手ボードベンダーが買収するのでは、といったウワサもとりあえず消えることになりそうだ。資金調達に成功したことで、エンジニアリングリソースを強化することも容易になったし、とりあえず順風といったところ。

 もっとも、「Nvidia IPO set for Friday, sources say」(Electronic Buyer'sNews,'99/1/19)では、最近のビデオチップはCPUと同程度のトランジスタを搭載しているのに、平均販売価格(ASP)はCPUが200ドル(Intelの場合)に対してビデオチップは35ドルと低く、しかもASPが急落することも多いと、指摘している。それから、株式公開をすると、ストックオプションを手にした幹部社員が、しばしば、それを現金に変えて退社してしまうというのは、シリコンバレーの通例となっている。もちろん、ストックオプションの権利の行使には、いろいろな制約を設けているのが常なので、すぐにはすべてのオプションを現金化できないため、すぐにそうなるというわけではないが、同社が上がり調子を維持できないと(株価の上昇の期待を維持できないと)、そうした危機が訪れることになる。


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('99年1月25日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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