家電に代表されるコンシューマ向けエレクトロニクス製品のトレードショウ『CES (Consumer Electronics Show)』が、今年もネバダ州ラスベガスで開幕した。コンシューマ向けエレクトロニクス製品のショウとしては最大規模のものとあって、数多くの来場者が、カンファレンスと展示会が開催されるLasVegas Convention Center、Sands Expoをはじめとした計4会場に足を運んでいる。
展示会場レポートでは、ここ数年、家電業界が積極的に取り組んでいる家電とデジタル機器との融合の進捗状況や、最近の製品トレンドなど、会場内で見つけた製品情報を中心に紹介しよう。
■普及はまだだが、注目度は高いDTV & HDTV
昨秋より放送が開始されたデジタルTV(以下、DTV)だが、残念ながら米国でも本格的な普及はまだまだといった状況。しかし、それでもデモンストレーションに使われているHDTV(High Difinition TV)の高精細な映像に見入る来場者は多い。また、会期中の9日、10日は週末にあたり、フットボールのプレイオフがHDTVで会場内に生中継されており(これが日本だったら、相撲か野球のところだ)、製品そっちのけの来場者も。写真で紹介したPanasonic、SONY以外にも、Toshiba、Pioneer、Philips、Sharp、JVC、SAMSUNGなど10数社が関連製品を出展している。
いっぽうのSONYは、ホールではなくコンコース横の一室を利用して製品を展示。参考出展となる65インチのリアプロジェクションモデルをはじめ、おなじみのWEGAシリーズなども。横にあるのが、DTVのデコーダ
Panasonicが参考出展するPC99規格のPCを対象にした、DTVボード。DTVチューナーとMPEG-2デコーダを一枚のボードにまとめている。他にATI REGE 128を積んだビデオカードが必要。Windows 2000上のDirectShowを使って映像を表示する |
□米PanasonicのTVホームページ(英文)
http://www.panasonic.com/consumer_electronics/tv/index.htm
□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/index-j.html
■見たい番組が自由自在になるパーソナルテレビサービス
パーソナルテレビサービスとして、注目を集めているのが以下に紹介する2社の製品。ビデオデッキサイズの本体にはCPU、MPEG-2カード、そしてハードディスクが収められている。ユーザーは電話回線経由で入手するEPG(電子プログラムガイド)を使って見たい番組を選んだり、録画の予約をすることで、その番組が放映時にハードディスクに記録される。あとは好きな時間にそれらの番組を楽しむという仕組みだ。見ている映像は、ハードディスク上に記録されているものなので、スロー再生や一時停止、リプレイなども自在にできる。こうした操作はリアルタイムの番組を見ているときも可能。'98年秋に大阪で開催されたエレクトロニクスショーでも、同一コンセプトの製品を松下電器が参考出展していたが、米国では一気に製品化されている。
こちらはTiVo社の「TiVo」。EPGはユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることができる。地上波やケーブルテレビ、衛星放送などのEPGは電話回線経由で入手するが、月々にかかるコストはゼロ。ローカルエリアの電話料金が安い米国ならではのサービス
□Replay Networks(英文)
http://www.replaynetworks.com/
□TiVo(英文)
http://www.tivo.com/
■既存のプロダクトが中心のMicrosoftブース
CESにあわせて、家庭での情報家電およびパーソナルコンピュータの接続を容易にし、それらの機器の共有を実現する規格である、ユニバーサル プラグ アンド プレイ(Universal Plug and Play)を発表したMicrosoftだが、展示会場内の同社ブースでは、関連する展示をほとんど見ることができなかった。展示の中心はWeb TVやWindows CEなど、同社がこれまでに展開してきたコンシューマ向けの路線を継続するもの。
いかにもラスベガスらしく、Auto PCやHandheld PCが当たる抽選会はスロットマシンを使う。まぁ、たいていはハズレてTシャツが一枚もらえる
■会場内いたるところにその姿がある「Microdrive」
昨年、IBMがウェアラブルコンピュータの技術説明会を行なった際に公開された超小型のハードディスク「Microdrive」が会場内のいたるところで展示されている。
Microsoftブース内にあるCE PartnersパビリオンのNECブースにもMicrodriveを紹介。同社のH/PC Pro搭載機「Mobile pro 770」への応用などをデモ
□IBM Storageホームページ(英文)
http://www.ibm.com/storage/
■多種多様な家庭内ネットワークへの試み
ホームネットワーキングは、家電のデジタル化とあわせて大いに市場の伸びが期待されるジャンルだが、スタンダードへの模索は続いている。本命はもちろんIEEE-1394を利用するネットワークなのだが、現状ではまだ絵に描いたモチ状態。現実的な無線LANや、既存の屋内配線を利用するものなど多種多様な内容となっている。
展示会場内に設置されたIEEE-1394パビリオン。Audio & Visualを中心に各社の対応製品を相互に接続してデモンストレーションを行なっている
AC電源コンセントという、ちょっと怖い屋内配線を利用して各部屋間でPCのネットワークを構築する製品。Intelogis社の「PassPort」 |
□Intelogisのホームページ(英文)
http://www.intelogis.com/
□1999 International Consumer Electronics Show
http://www.cesweb.org/
('99年1月11日)
[Reported by 矢作 晃]