プロカメラマン山田久美夫の

デジタルカメラ&関連製品レポート その2



会期:'99年1月5日~1月8日 開催(現地時間)
会場:サンフランシスコ Moscone Convention Center



●盛んだった「QuicTime VR」系アプリケーション

 今回のExpoでは、「QuickTime4」が登場するのでは……という噂が流れていた。だが、実際には開発がやや遅れ気味なのか、その発表はなかった。だが、会場にはQuickTime関連の製品ばかりを集めたスペースがきちんと設けられており、さまざまな関連商品を見ることができた。

 もちろん、QuickTimeといっても、実にいろいろな用途に利用できるわけだが、今回多かったのはやはりQuickTime VR系のパノラマや疑似3D関係だ。

 なかでもひときわ目を引くのが、何とも異様なスタイルをしたQuickTime VR用システムを出展した「BeHere」。「Potal S1 Puls」と呼ばれるこのユニットは、360度の全周撮影を一度に撮影できるというスグレモノ。これは特殊なミラーとレンズを組み合わせたもので、装着できるカメラもニコンとキヤノンEOSマウントの一眼レフのみ(同マウントのデジタルカメラもOK)。しかも、撮影後にQuickTime VR化するソフトなどを含めたシステム一式で5,000ドルもする本格派だ。このシステムのメリットは、なんといっても、360度を一度に撮影できるので、分割撮影式では難しい動きのあるシーンを撮れる点といえる。もちろん、業務用機器だが、それでも一度使ってみたいなあ~と思わせる魅力ある製品だった。

 このパノラマ分野は業務ユースが多いせいか、さらに高価で本格的なシステムも出展されていた。これは「PANOSCAN」というパノラマ専用デジタルカメラで、カメラ本体をモーターで回転させながら360度の超高画質画像を撮影するもの。なにしろ、心臓部は「PHASE ONE」というスタジオ用デジタルカメラユニットが採用されており、最大で7,000×22,000ピクセル、390度の撮影ができるという(単純に画素数換算すると1億5,400万画素相当!)。さすがに価格も26,900ドルとケタ違いに高価だが、その高画質ぶりには目を見張るものがある。

 COOLPIX900のフィッシュアイアダプターの付属ソフトとして、日本でもお馴染みの「IPIX」も単独ブースを出展。とくに新製品はないが、「COOLPIX900」や「C-840L」、「DC200」などを使って撮影し同社のソフトでQuickTime VR画像を作成できるパノラマ撮影用のシステムをパッケージとして発売していた。

 このほか、同じQuickTime VR系でも、いわゆる3D系のデモも行われていた。なかでも大仕掛けだったのが「VR ToolBox」のブース。ここでは、来場者を回転台に載せて回しながらビデオカメラで撮影。それを元に、同社のソフトを使ってQuickTime VRのオブジェクトムービーを作成し、配布していた。


●スマートメディアデザインのUSBドライブとFireWireボードを出品した「RATOC System」

 Appleブースに展示されていたものは、いずれもスケルトン風だったが、デザイン的にユニークだったのが日本の「RATOC System」が発表したスマートメディア用USBカードリーダーである「REX-SMA03U」。これは128MBメディアまで対応予定のもので、MacはもちろんPCにも対応したもの。価格的には日本国内で1万円強程度になるという。
 また、スマートメディアの場合、Diamond MultimediaのRioで一度使うと、フォーマットが変わってしまうため、それ以降、デジタルカメラで使えなくなるというトラブルがあるという。それを回避するため、同社のドライブでは物理フォーマット可能なソフトの添付を検討しているという。

 同社はこれ以外にも、Mac用のFireWire OHCI PCIボードの「REX-PCIFW1U」も発表していた。これはMacのPCIバス用のFireWireボードで、4ピンのソケットが2つ、6ピンのソケットが1つ装備されている。実際にIEEE-1394といっても、4ピンと6ピンの仕様があり、メーカーによっては特定用途向けでIEEE-1394に完全準拠しているわけではないケースもある。そのため、今回のNewG3をはじめとしたIEEE-1394対応機が増えるに連れて、これらの問題がクローズアップされる可能性が高い。

 このほか、SanDiskはMac対応のUSB式CFカードリーダーを、ヤノ電子はUSB用でType 2カード対応のドライブを出品していた。




●家電系への応用をアピールした「ORB」

 低価格で、しかも2.2GBの容量を実現し、人気上昇中の「ORB」。同ブースではいち早くFireWire対応を打ち出したドライブ(実際には稼働していなかったようだ)の注目度が高かったが、ブースの端にはORB 2.2GBを搭載した家電製品のサンプルが出展されていた。ひとつはアイワブランドのもので、説明によると同社のDVDドライブを改造したもので、3.5時間のオーディオデータと、液晶画面では2時間以上のビデオ再生ができるという。

 また、もう一点は三洋ブランドで、こちらもORB 2.2GBのドライブを使った、ディスクメディアによるビデオデッキだ。こちらはビデオカメラが接続されており、実際に録画デモも行われていた。

 近い将来、家電製品の記録媒体として、現在のテープメディアに代わって、ディスクメディアが普及することが予想されるが、これらの機器はその先駆け的な存在として大いに注目すべき動きといえる。おそらく、これらの機器はラスベガスで開催されるCESにも出展されていることだろう。



●バージョンアップされた「Kai`s PhotoSOAP2」

 すでにアメリカでは発売されている「Kai`s PhotoSOAP2」。これは一昨年話題になった「Kai`s PhotoSOAP」のバージョンアップ版だ。会場でのデモを見る限り、以前よりもインターフェースがより洗練されており、機能も大幅にアップしているようだ。
 なかでも、画像のサムネール関係やインターネットブラウザ上で簡単に見られる電子アルバム機能などは、なかなかユニーク。最近ではiMacはもちろん、本ソフトが付属するデジタルカメラも増え始めており、アメリカでは低価格な画像処理ソフトのひとつの定番になりつつあるようだ。なお、会場内では49ドルで販売されていた。





●番外:気軽に宇宙旅行とプラネタリウムを楽しめる「Starry Night DELUXE」

 最後に天文関係ソフトをひとつ。これはSiennaの「Starry Night DELUXE」(バージョン2.1.2)というソフトで、MacとPCのハイブリッド版。内容的には実に多彩で、ごく普通のプラネタリウム系ソフトと同じように、時間と場所を指定するだけで、そのとき星空が表示されるのはもちろん、視点を地球から離れた宇宙空間に設定することができる点が実にユニーク。そのため、地上から離れた位置から地球や太陽系を見下ろしながら、星空を鑑賞(シミュレート)できるわけだ。また、このときに足下に視点を移すと、ちゃんと宇宙服を着ているあたりも面白い。
 また、星空にある惑星や星雲星団をマウスで選び、どんどん拡大してゆくと、その実写画像が徐々に拡大されて表示されるあたりも凝っている。価格も89ドルと手頃で、同社Webには10日間のだけのお試し版もあり、日本語版も販売されている。星が好きな人はもちろん、忙しい毎日を送っている人にも心休まるソフトとしてとくに印象的だった。(私もExpo特別価格の75ドルで思わず購入してしまった)

□MACWORLD Expo/San Franciscoホームページ
http://www.macworldexpo.com/mwsf99/


■注意■

('99年1月8日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp