MACWORLD Expo/San Francisco

矢作 晃の展示会場レポート 第一弾

会期:'99年1月5日~1月8日 開催(現地時間)
会場:サンフランシスコ Moscone Convention Center

 南北にわかれているMosconeの南側、ほぼ中央付近にApple Computerのブースは位置している。Steave Jobs氏による基調講演が最高潮をむかえたころ、展示会場がオープンした。展示会場レポートの第一弾は、基調講演で語られた新製品がいっぱいのApple Computerのブースを中心にお届けする。



■いよいよ発表された新型のPower Macintosh G3

 コードネーム“Yosemite”の名で開発されていた、100MHzのシステムバスを持つ新型のPower Macintosh G3がついに発表され、同時に販売がスタートした。iMacから続くトランスルーセントな本体デザインは、“EL Capitan”という開発コードネームこそ知られていたが、デザインそのものはほとんど秘密のままこの日を迎えたことになる。

Power Macintosh G3の本体。いかにもミニタワーらしく正面を向けて設置しているところも多いが、なかには真横のアップルロゴとG3マークを正面に向けているところも。こうした設置方法はなかなか新鮮な印象。流行るか?

 ミニタワーサイズの本体のコーナーすべてにハンドルが付き、両側面にはブルーのアップルロゴが大きく配されている印象的なデザイン。アップルロゴの背後には大きく“G3”の文字が透けて見える。前面、背面、上部はブルーのトランスルーセントパネルを使って構成されている。

 このPower Macintosh G3に搭載されるCPUは、銅配線技術を採用したPowerPC G3の300MHz~400MHz。クロック比1:2のバックサイドキャッシュも搭載されている。こうした詳細なスペックに関しては日本国内でリリースされた資料や記事を参照してもらうこととして、いくつか特徴的な部分を紹介しよう。何より印象的なのは、iMacとは対極をなす徹底したオープン&拡張指向。一切工具を必要とせず、指一本で側面のロックひとつをはずせばすべての内部構造にアクセスできる。またケーブルやパーツなどを外さない限り、パネルを開いた状態でも動作する。実際にApple Computerのブース内ではこうしたデモを行なっていた。

 拡張面では、基調講演でも語られていたように、本体内に100GB分のハードディスクを内蔵することができる。これは、本体底面に3.5インチドライブのベイを3つ用意することで実現されている。IBM製の36GBドライブを3台搭載すれば、100GBを超す計算になる。同様にPC-100仕様の256MB SDRAMを4枚搭載することで、1GBの搭載メモリも実現するというわけである。また、拡張バスには64bitの33MHz PCIバスが3本と、グラフィックカード用に32bitの66MHz PCIバスがひとつ用意されている。このグラフィックカード用のバスには、あらかじめATIのRAGE 128を搭載したビデオカードが取り付けられている。

 インターフェイス部分では、待望のFireWire(IEEE-1394)のポートが2つ標準搭載された。またiMacに続いてUSBポートも2つ搭載されている。内蔵のEtherポートは、10/100Baseに対応。Gigabit Ethernetにも、PCIバスへのカードの増設で対応するとしている。

 そのいっぽう、廃止されたインターフェイスやデバイスもまた存在する。まずモデムポートやプリンタポートといったシリアルポートはない。外部SCSIインターフェイスもなくなった。前者は主にUSBに、後者はFireWireへの置き換えを前提としているのだろう。iMacに引き続きフロッピーディスクの搭載も見送られた。そうした、いわゆるレガシーインターフェイスのなかで、唯一残されているのが「ADBポート」である。これは、主にハードウェアプロテクトキー(いわゆるドングル)への対応を考慮してのことと思われる。

 製品は日本においても正式に発表されたが、少々気になるのがこうしたインターフェイス部分の現状にあわせたコンフィグレーションだろう。例えば、モデムに関してはUSB対応のモデムやTAがほとんどない現状では、インターネットへの接続はEtherポートを経由したダイヤルアップルーターなどの利用に頼らざるをえない。オプションとして、専用のモデムスロットに搭載できる56kbps対応の内蔵モデムもアナウンスされているが、ブース内の展示モデルには搭載機をみつけることができなかった。また、デザインや出版などの現場ではまだまだ多用されている各種のSCSI機器接続のため、SCSIカード増設に関する情報の提供も重要になるだろう。

 ブース内では、同時に発表された3種類の新型モニターとあわせて、さまざまなソリューションのデモが行なわれた。頭上に掲げられた横断幕には、“The newPower Mac G3. Speed Thrills.” の文字。確かにその速度にも興味は惹かれるが、どちらかといえば、ユーザーはその拡張性や新インターフェイスを中心に、説明を欲していたようである。

同時に発表された新型ディスプレイ。デザイン面での統一が図られている。液晶パネルを採用したモデルは従来機種から配色などの変更が中心。17インチモデルはダイヤモンドトロン管、21インチモデルはトリニトロン管を採用している。21インチモデルには、4ポートのUSBハブ機能も搭載されている。価格は、15インチ液晶モデルが$1,099、17インチ、21インチのCRTモデルがそれぞれ$499、$1,499

本体付属品のひとつ、マイクロホン。形状は従来どおりだが、トランスルーセントなデザインに変更されている。このほか、本体にはUSBに対応したマウスとキーボード(iMacのものと同一の形状)が付属する 背面パネルのコネクタ部分。レガシーインターフェイスのなかでは、唯一ADBポートのみが残されている。また、56kbpsモデムを内蔵した際のモジュラージャック用のスペースがあらかじめ用意されている

ブース内の4、5カ所で、このように内部アクセス可能な状態で展示が行われている。興味深く内部をのぞき込むユーザーが後を絶たない。他の展示エリアでも、説明時には必要に応じてパネルを開いてくれる。動作時には基板上のLEDがいくつか点灯しているが、残念ながら外からは見ることができない

標準状態では、64bit 33MHzに対応したPCIスロットが3本空いている。ハイエンド仕様への拡張デモでは、ここにGigabit Ethernet対応のカードやUltra Wide SCSIなどのカードを搭載している。また、内蔵ハードディスクの100GB化では、写真のように本体底面に3台の36GBハードディスクが並ぶ CD-ROMやDVD-ROMドライブのイジェクト時の様子。ひとつ下のベイには、Zipドライブなど各種リムーバブルメディアが内蔵できる。正面のパネルにはほとんど凹凸がなく、フラットな印象。スピーカー、電源ボタン、リセットスイッチ、インタラプトスイッチなどが前面パネルに配置されている
□ニュースリリース(Power Mac)
http://news.apple.co.jp/1999/0106powermac.html
□ニュースリリース(ディスプレイ)
http://news.apple.co.jp/1999/0106displays.html
□米Appleの製品情報(英文)
http://www.apple.com/powermac/



■1999年をかざる新色がズラリ! のiMac

 あなたは5色揃え(られ?!)ますか? ブースを華やかに彩ったのは、New Colorで登場したiMacである。確かに昨年のiMac発売直後から、新色登場のウワサは何度となくインターネットを駆けめぐっていた。なかには「実際に工場で見た」とか「クリスマスにあわせて赤いiMacが」など、まことしやかなものもいくつかあって、ユーザーの期待と想像力には驚かされるばかりだった。しかし、5色まとめてという今回の発表は、そうした期待や想像をも上回る衝撃といえる。

 頭上には “The new color of iMac. Collect All Five.” と横断幕が掲げられている。まぁ、実際に5色揃えることのできるツワモノは、そうはいないだろうが……(甘いか?)。世代的にはこうして5色並べられると、特撮戦隊モノなどを想像してしまうが、本来のテーマは当然異なる。各色はそれぞれ“Lime”、“Strawberry”、“Blueberry”、“Grape”、“Tangerine”と名付けられており、どうやらフルーツをイメージしているらしい。写真では、“Blueberry”はこれまでのBondai Blueと似た感じに思えるが、実際はかなり明るいブルーが採用されていて、明らかに異なる配色だ。あたり前のことだが、キーボードとマウスの色もそれぞれにお揃いのものが同梱される。

 ちなみに、この製品は決して『iMac II』ではない。あくまで『1999年仕様のiMac』である。Bondai Blueを身にまとったオリジナルiMacがもつスペックを、今さらここで繰り返すことはしない。搭載されるPowerPC G3が233MHzから266MHzへ変わったように、搭載されるハードディスクの容量が4GBから6GBへ変わったように、価格も$1,299から$1,199へ変わったように、当然、1999年仕様のiMacにはスペックやコストパフォーマンスの向上もみられるが、わりとそのヘンはどうでもいいかなと思ってしまえるあたりが、iMacのiMacたるところなのである。

 ところで、iMac用にBondai Blueのトランスルーセントな周辺機器を提供してきたサードパーティ各社は、この怒濤のカラー展開に追従するのか? できるのか?

ズラリと並んだ新色のiMac。ブースにはこうしたiMacの展示列が計4列用意されている。スペック面では同一なのだが、各色ごとにいろいろと試してしまうのは、ユーザーの性なんだろうか USB対応機器を紹介するエリアでも、展示機はiMacが中心。対応する説明員もiMacの説明と周辺機器の説明とでおおわらわといったところ “Lime”カラーのiMac。キーボードとマウスも、もちろんお揃い。オリジナルiMacと異なり、各種ポートにアクセスするためのとびら部分が単色となっている(指を入れる穴のふちにあった着色がない)

正面左に位置する、左スピーカー部分。新iMacではIrDA端子は廃止された ちょっと悲しい変更点もひとつ。従来モデルではBondai BlueとIceに塗り分けられていたマウスのボールが、新色ではどのカラーでもグレイと白の組み合わせになっている

昨年NewYorkで開催されたMacworldと同様に、今回も取り放題のiMacポスター。5色のiMacを花びらのように並べ、 “Yum.”の文字を配したデザイン。厚手の紙だが2枚、3枚と持っていくユーザーも ポスターと同一デザインのバッヂ。こちらも取り放題で、少なくなるそばから補充されていく。会場内ではこれを胸に付けている人が結構多い

□ニュースリリース
http://news.apple.co.jp/1999/0106imac_color.html
□米Appleの製品情報(英文)
http://www.apple.com/imac/

□アップルのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□米Appleのホームページ(英文)
http://www.apple.com/

('99年1月6日)

[Reported by 矢作 晃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp