会場:幕張メッセ(7ホール、8ホール)
2D及び3Dコンピュータグラフィックス関連のソフトウェアを中心とした展示会「ContentCreation+NICOGRAPH98」が、11月25日から3日間の予定で開幕した。
会場は「SOFTIMAGE 3D」など、ハイエンドを対象としたCGツールや、DVDオーサリング・システムなどが展示されていた。また、ナムコやヒューマンなどのゲームメーカーの出展も目立ち、なかでもスクウェアの「ファイナルファンタジーVIII」、「FINAL FANTASY THE MOVIE」のムービー上映には常時待ち行列ができるほどであった。
■注目はウェアラブル・コンピュータ・コーナー
会場の端に設置された、こじんまりとしたコーナーながら、常に多くの来場者が集まっていたのが、“着るパソコン”ことウェアラブル・コンピュータ・コーナー「WEARABLES TOKYO」だ。初日の25日はこのコーナーの他にも、コンファレンスやファッションショーなどが催され、力の入ったものとなっていた。
展示コーナーで一番大きなスペースを取っていたのが東芝だ。もちろん実機を展示しているのだが、ハードウェアに関する詳しいスペックなどは詳しく説明されず、むしろウェアラブル・コンピュータでなにが可能となるのか? といった説明が中心となっていた。
展示されていた実機は、大きさはLibretto 100程度。CPUはMMX Pentiumクラスとまでしか教えて貰えなかった。入力方式は音声入力のみ。
また、ウェアラブル・コンピュータの製品化の実現度だが、展示員によれば「IBMなどは東芝より小さいものを開発しており、それなりの時間が経てば製品化は可能だ。しかし、ウェアラブル・コンピュータでなにが可能になるかが重要で、現在ソフトウェアを開発しながら試行錯誤を繰り返している」と説明した。では、一般への販売は遅くなるのかと質問したところ「それは検討中でわからない」とした。会場では「今すぐ欲しいけど売って貰えるか」と展示員に詰め寄る来場者もおり、それなりの需要はあると見てもよさそうだ。
東芝では米国MicroOptical社製のメガネ型ディスプレイなども展示しており、実際に被ってどのような映像かを確かめることができる。
ヘッドセット部分。こちらは島津製作所製。メガネの右側部分に小さく液晶部が見える | こちらは本体部分。ちょっと大きな気もする…… | こちら全体像。たとえば、お店でこれを身につけることで、個人レベルの対応が少人数で行なえるという | こちらは別のヘッドマウントディスプレイ。結構ゴツイ印象 | 別のモックアップ。色々な研究が行なわれている模様 |
この他では、MIT(マサチューセッツ工科大学)が面白いシステムを展示していた。カメラを設置したヘッドマウントディスプレイで捉えた映像を、リュックサック内の送信機で離れた位置にあるワークステーションに転送。ワークステーションではその映像とデータベースを照合し、結果を再度ヘッドマウントディスプレイに返して表示するという。このシステムは、実際に来場者が被り、試すことができるとあって、来場者の関心も大きかったようだ。
ヘッドマウントディスプレイ。真中に小さいカメラが設置されている | カバンの中身。けっこう重たそうだった | システム部分。下の棚にはシリコングラフィックスのワークステーションが置いてあった |
日本IBMはWORLD PC EXPOでも展示していた、ヘッドホンステレオサイズのウェアラブル・コンピュータを展示していた。相変わらずアクリルケースにしまわれており、触ることはできないのだが、ヘッドマウントディスプレイの部分だけ来場者が覗くことができる仕組みになっている。
オリンパス光学は「Eye-Trek (アイトレック)」と、片方の目だけで見る、試作品のヘッドマウントディスプレイを展示していた。試作品のヘッドマウントディスプレイは、640×480ドット表示が可能。製品化に関しては、「製品化する予定ではあるが、このまま商品化するわけではない」という。
この他では、長野オリンピックでテストされた腕時計型PHSや、セイコーインスツルメンツの腕時計型コンピュータ「ラピュータ」などが来場者の注目を集めていた。
参考出品されていた「VGA対応フェイス・マウント・ディスプレイ」 | 光学系は偏心自由曲面光学系。92万画素。写真は分解したところ | 覗いてみたところ。640×480ドット表示でけっこう美しい |
日本IBMのヘッドマウントディスプレイから覗いたところ | 長野オリンピックでテストされた腕時計型PHS | セイコーインスツルメンツの腕時計型コンピュータ「ラピュータ」 |
■ウェアラブル・コンピュータ・ファッションショーは大入り満員
WEARABLES TOKYOのコンファレンスの一環として、「ウェアラブル・コンピュータ・ファッションショー」が開催された。会場には多くの女性客も駆けつけ、かなりの注目度だったようだ。
ファッションショーは「デイリーライフ」、「ワーキングスタイル」「エンターテインメント」など、いくつかのジャンルに分けて行なわれた。ただのマシンの紹介に終始せず、ウェアラブル・コンピュータでどのようなことが可能になるかといった提言まで行なわれ、ただのファッションショーにとどまらなかった。
たとえば、デート中に映画の情報から空き席の確認、チケットの購入まで行なったり、街中で同じ趣味の相手を探しだし、待ち合わせをして一緒に映画を見に行くなど(いわゆるハイテクナンパか?)、これまでにない世界がウェアラブル・コンピュータで広がるという。
ヘッドマウントディスプレイを被ったままでデートをするのか? とか、ウェアラブル・コンピュータを持ちながらパーティドレスを着て社交パーティするのか? 等の疑問はあるが、近未来ではそれが当たり前になるのかもしれない。
('98年11月25日)
[Reported by funatsu@impress.co.jp]