プロカメラマン山田久美夫の

COMDEX/Fall '98レポート メモリースティック編

COMDEX/Fall '98 会期:11月16日~11月20日
会場:Las Vegas Convention Center, Las Vegas Hilton,
    Sands Expo & Convention Center


会場風景 会場風景
 近年、その可能性と応用範囲の広さで注目を浴び始めたメモリカードの世界。とくに今回のCOMDEXでは、ソニーが自社開発の「メモリースティック」を、具体的なアプリケーションとともに大々的にアピールし、かなりの人気を博していた。

 今回は、数多く出品された関係アプリケーションから予想される、メモリースティックの世界についてレポートしよう。


メモリースティック
●来年には64MBカードも

 今回出展された各分野でのメモリースティック対応製品は、今夏のメモリースティックの発表会で公開されたプロモーションビデオに登場したものが中心。その大半はプロトタイプだが、その中には製品化間近なものから、完全なコンセプトモデルというレベルのものまである。しかし、この展示を見ていると、ありとあらゆるデジタル家電製品への展開を、同社は提案しており、かなり具体的なメリットが感じられる展示内容といえる。


●デスクトップVAIO&プリンタ

 個人的に興味深かったのが、このメモリースティック搭載のデスクトップVAIOと同デザインのプリンタ。これはよくよく見ると、デスクトップ機本体が「MK-300KX」、プリンタには「PK-300KX」という型番がきちんとあり、ごくごく近い時期にそのまま製品化される可能性が高い。

デスクトップVAIO デスクトップVAIO デスクトップVAIO

 本体側には前面にCD-ROMドライブとFDDがあり、その右側にメモリースティック用スロットが配置されている。しかも、かなり薄型でデザインもスマートで魅力的だ。

 さらに、とても興味深いのはプリンタ側にもメモリースティック用スロットがある点で、これはプリンタ単体でも、メモリースティックからのデータをプリントすることができることを意味する。


●VAIOノート

 メモリースティックを2本搭載できる、三つ折り式のVAIOノート。メモリースティックスロットのあるトラックパット部が手前に張り出すので、携帯時にはPCG-C1並みのコンパクトサイズで、使用感は現行の505シリーズと同等になることが予想される。また、バッテリの形状やスイッチの配置などを見ると、PCG-C1ではなく、505シリーズがベースになっているようだ。もっとも、このヒンジ部を見ると、キーボード側にトラックパット部が折れて重なるわけだが、液晶と本体との間のヒンジ部にあまり逃げがないので、本当に折り畳めるのか、ちょっと不安もある。

VAIOノート VAIOノート VAIOノート



●Cyber-shot

 プロモーションビデオの冒頭に登場するのが、このメモリースティック対応の「Cyber-shot」。カードスロットの位置を見ると、本当にカードを挿したら、液晶モニターにぶつかってしまうので、完全なイメージモデルと見た方が良さそうだ。また、本体も一世代前のDSC-F2がベースになっており、その時期に社内プレゼン用などに制作された可能性もある。

Cyber-shot Cyber-shot Cyber-shot

 メモリースティックはもともとCyber-shot用の記憶メディアとして生まれたものだけに、カード搭載機が登場する可能性はかなり高い。とくに、いまさら一世代前のDSC-F2ベースのプロトタイプを展示するあたりを見ると、次期Cyber-shotは新規外装のものになるような気がするのだが、考えすぎだろうか。


デジタルビデオ
●デジタルビデオ

 デジタルハンディカムは縦型と横型のものが2機種展示されていた。両機ともに液晶モニタの裏側にスロットが設けられている。しかも、カードの内容がわかるように専用の小窓まで設けられているあたりもなかなか具体的。なお、プロモーションビデオでは、これらで撮影した静止画をカード経由でカーナビに送り、液晶上で画像を確認しながら、撮影した位置情報を追加しているシーンが印象的だった。


カーナビ
●カーナビ

 メモリースティック対応のカーナビ。一見、どんなメリットがあるのかわかりにくい部分もあるが、カードに「Travel Diary」とあることから、出発前に予めメモリースティック上に旅の行程やスケジュールをインプットしておいて利用したり、たどった道筋を自動的にカードに記録して旅の記録として残すといった使い方が考えられる。もしかすると、タクシーや営業車の管理に応用される可能性もある。

 さらに、現地で撮影した画像データに位置情報を付加したり、カーナビ側のカードに転送し、旅の記録を一元的に記録しておくといった使い方もできそう。さらに、カーAVとカーナビを一体化したものであれば、オーディオやビデオデータをメモリースティック経由で入力し、再生することもできそうだ。もちろん、将来的にはAutoPC的な使い方への対応も考慮されていることだろう。


ホームテレフォン
ホームテレフォン
●ホームテレホン

 応用範囲が広く、現実的な例といえるのが、ホームテレホン。プロモーションビデオでは、Cyber-shotで撮影した子供の写真(静止画データ)を、メモリースティックを使ってホームテレフォンに送り、その画像データを離れたところに住んでいる老夫婦に送るといったシーンで登場する。

 もちろん、これ以外にも、デジタルカメラのデータをラボに電話で送ってプリントを依頼したり、他の機器で作成した住所録を電話に登録したり、留守録用に利用するといった使い方もできる。

 さらに、将来的にはE-Mailやボイスメール、画像データなどをメモリースティックに記録して保存したり、外出先で利用したり、パソコンに転送するといった利用方法も十分に考えられる。


携帯電話 携帯電話
●携帯電話

 数多くのプロトタイプのなかで、外部の機能表記や液晶上のディスプレイが完全に日本語化されていたメモリースティック対応の携帯電話。これは、具体的な製品化が確実なものの一つといえそうだ。とくに、電子メールの送受信やボイスメモなどの保存、住所録の管理や共有、他の機器で作成したデジタルデータの外出先での参照など、あらゆる面でメモリースティックが活躍しそうな分野といえる。しかも、他の家電機器との連携という面では、デファクトスタンダードになる記録メディアがないだけに、メモリースティックが普及する可能性もある。


デジタルウォークマン
デジタルウォークマン
●デジタルウォークマン&ヘッドホンステレオ

 メモリースティックがもう少し大容量化された時に、飛躍的な展開を見せるのが「デジタルウォークマン」や「ヘッドホンステレオ」といった携帯オーディオ分野だ。

 今回プロトタイプとして展示されたものは、イヤホンタイプのいわゆる「ウォークマン」タイプと、アメリカでよく見かける本格的なヘッドフォンタイプの2つがある。いずれもテープメディアやディスクメディアの既存システムに比べるとかなりコンパクト。しかも、ヘッドフォンタイプなどはヘッドホン部分に再生機器が一体化できるため、コードがじゃまになることもない。また、可動部分がないため、より軽量になり、電池の持ち時間も大幅にアップすることが十分に予想される。

 また、記録容量の面からいっても、来年登場するという64MBカードでも実用になる可能性がある。


ホームオーディオ
ホームオーディオ
●ホームオーディオ

 プロモーションビデオでも登場するのが、メモリースティック対応のホームオーディオ機器。これはカセットテープやMDといったユーザーが録音可能な記録媒体として利用されると同時に、将来的にはメモリースティックに音楽ソースを記録し、CDのように販売する可能性があることも示唆している。

 メモリースティックの場合、まだ実装はされていないものの、発表時にはすでに著作権保護のための規格も作られており、オーディオCDのように販売することもできる。



携帯ビデオ
●携帯ビデオ

 TVウォッチマンのメモリースティック搭載モデルも出展されていた。動画データになると、データ量が飛躍的に増えるので、即座に製品化される可能性は低いが、将来的な可能性としては大いにあり得る世界といえる。


ゴルフスコアラー
●ゴルフスコアラー

 ブースで唯一、簡単なデモが行なわれていたのが、ゴルフのスコアラー。これはゴルフをしながら適時スコアを入力してゆくものだが、そのデータをメモリースティック経由でPCの表計算ソフトなどに送り、データとして残せる。


フォトフレーム
●フォトフレーム

 デジタルフォトの時代になると、当然、フォトフレームもデジタル化される可能性があり、このデジタルフォトフレームはそれを先読みした製品。メモリースティックに記録した画像データを液晶上に表示するもので、もちろん、スライドショーのように一定時間ごとに写真を次々に表示することもできる。


ボイスレコーダー ボイスレコーダー
●ボイスレコーダー

 メモリースティック搭載製品のなかでも、ボイスメモは比較的簡単に製品化されそうな分野。さすがに、現行の内蔵メモリ専用機よりは細長い感じだが、記録時間やデータ転送を考えると大きなメリットがありそう。デザイン的にもマイクロカセットに似通った感じだ。



□COMDEX/Fall '98のホームページ(英文)
http://www.comdex.com/comdex/owa/event_home?v_event_id=248

('98年11月24日)

[Reported by 山田久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp