世界の名門「ライカ(Leica)」から、同社初のパーソナル向けデジタルカメラ「digilux」が発売された。このモデルは、外観から察しがつくように「富士写真フイルム FinePix700」をベースとしたOEMモデルだ。
外観上の違いは、まず、ボディーカラーでFinePix700がシルバーなのに対して、本機ではややゴールド調のカラーリングを採用している。もちろん、先だって発表されたFinePix700のゴールドモデルとはまったく別の色調となっている。また、グリップ部には滑り止め効果の大きな革素材が採用されている点も大きな特徴。もちろん、ライカのトレードマークである、通称“赤バッジ”もある。
実際に現物を見てみると、基本デザインはFinePix700と同じなのだが、どこか高級感があり、いかにもライカのモデルらしい風格すら感じられるから不思議。ややゴールド寄りのカラーリングも、決して派手さを感じるようなものではなく、上質な雰囲気を醸し出している。
また、本機には標準で専用ケースが付属しており、このケースの質感もなかなか良好。しかも、ケース側にもきちんとライカのマークが入っているあたり、マニア泣かせな部分だ。
基本的な機能は、FinePix700と同等。CCDはもちろん、レンズも同じもののようだ。個人的には、せめてレンズだけはライカの設計のオリジナルにして欲しかったところだ。だが、ライカにとってこのモデルは、新たな市場への参入と、テストマーケティング的な意味合いがあり、今回は自社設計パーツの搭載を見送ったという。
基本的な操作感はFinePix700と大きな差異はない。だが、まったく同じものというわけではない。まず、メインスイッチをONにしたあとに、FinePix700では富士フイルムのロゴというかタイトルが表示されるわけだが、本機にはそのような機能はなく、その分、起動時間も約2秒程度早い。
画質は、正確に比較したわけではないが、先月ドイツで開催されたフォトキナ会場で借り出して使った限りでは、若干露出がアンダー目ではあるが、とくに大きな違いは認められなかった。
日本国内では、限定700台。しかも、ライカブランド初のパーソナルデジタルカメラだけに、結構人気が出そうなモデルといえる。また、価格的にも接続キット込みで、実販9万円台なら割高感もない。なにしろ、ドイツでは1,700~1,800マルク。1マルク=80円で換算しても、これよりも遥かに高価なことを考えると、十分リーズナブルな価格設定といえそうだ。
しかし、すでにプロ用機では独自のデジタルカメラを発売しているとはいえ、ライカは35mmカメラの本家であり、いまもこのサイズを別名“ライカ判”と呼ぶほど、歴史のあるメーカーだ。そのライカが、今回のようにOEM供給に近いスタイルをとっても、デジタルカメラへの対応を図らなければならなかったわけで、その意味でも本機は大きな意味のあるモデルといえる。
【お詫びと訂正】
本記事におきまして、「ライカ digilux」につき“専用ケースが付属し、美肌モードが省略されている”旨の記述がありましたが、国内版の仕様は、ドイツでの取材時と異なっており、“ケースは付属せず、美肌モードも付属”します。ご迷惑をおかけいたしました関係者の方にお詫びするとともに訂正させていただきます。
実写画像 |
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□ライカのホームページ(英文)
http://www.leica-camera.com/home_e.htm
□製品情報(英文)
http://www.leica-camera.com/compact/cdigi_e.htm
□関連記事
【'98年9月16日】「フォトキナ '98前日レポート『早くも勢揃いした注目モデル!』」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980916/p_kina1.htm
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm
■注意■
('98年10月16日)
[Reported by 山田久美夫]